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【完結済】異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第五幕 反撃編~対四天王~後編

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第193話:王家の激突

地響きと絶叫が入り混じる王都正門前の平野。


二千の騎士団と一万の魔王軍が激突し、血煙が舞い上がる混沌の只中で、その一角だけは静寂が支配していた。


アリアは、目の前に立つ最愛の兄、レオンハルトを見据えていた。


かつて自分に剣の手ほどきをしてくれた、優しく高潔だった兄の姿はそこにはない。

纏う空気は冷たく、瞳の奥には昏い決意だけが宿っている。


「兄さん、いい加減目を覚ましてください。誰に剣を向けているのか、今一度考え直してください」


アリアの声は震えていた。


それは恐怖からではなく、込み上げる悲しみゆえのものだった。

しかし、レオンハルトは眉一つ動かさず、静かに漆黒の剣を構える。


「アリア、おまえは全然わかっていない。魔王様こそが、世界を一番理解しており最前の選択をしている。私はその魔王の考えを支持しているのだ。王都という小さい規模ではなく、世界の存続のため、最善の選択をとっているんだ!」


「全然意味がわかりません。民を苦しめ、国を壊すことのどこが世界の存続なのですか……。これ以上会話しても無駄なようですね」


「おまえにはわからないかもしれない。だが私は自分の道は曲げない。例え、親、兄弟、国の民を斬ることになったとしてもな。……覚悟しろ、アリア。手加減はしない」


レオンハルトの足元から黒い魔力が噴き出し、周囲の地面が凍りつく。

その凄まじい威圧感に、後方の騎士たちが息を呑むのがわかった。


アリアは静かに目を閉じ、覚悟を決めた。


「望むところです。こちらも初手から全力で行かせてもらいます」


彼女が鞘から引き抜いたのは、白銀の光を放つ一本の長剣だった。

刀身には古代のルーン文字が刻まれ、抜かれた瞬間、戦場の澱んだ空気を浄化するかのような清浄な波動が広がった。


グランレガリア王家に代々伝わりし家宝、伝説の宝剣「王権守護剣・エターナル・ブライト」。


「なっ、その剣は……。なぜおまえが所持している。それは歴代の王のみが継承を許されるはずのもの」


レオンハルトの顔に初めて驚愕の色が走った。


アリアは剣を正対させ、切っ先を兄の喉元に向ける。


「今はそんなことはどうでもいい。……覚悟してください。兄さん」


「ふん。剣がなんだ。振るうものの技量でどうとでもなることをみせてやろう!」


レオンハルトが弾かれたように地を蹴った。


漆黒の残像を残し、一瞬でアリアの間合いに踏み込む。


「はあああっ!」


激突。


漆黒の刃と白銀の刃が交差し、凄まじい火花が散る。


重い。


アリアの手首に、かつてないほどの衝撃が走った。

魔王の力を受け入れたレオンハルトの身体能力は、人の域を完全に超えていた。


一撃一撃が岩を砕くほどの質量を持ち、アリアは防戦一方となる。


しかし、エターナル・ブライトが放つ神聖な光が、レオンハルトの魔力を中和し、致命的な一撃を辛うじて逸らしていた。


「どうした、アリア! 剣の力に頼り切りか!」


レオンハルトの剣筋は、神速に近い。

流れるような連撃がアリアの急所を的確に狙う。アリアは宝剣のアドバンテージを最大限に活かし、最小限の動きでそれを捌いていくが、剣士としての純粋な技量は、やはり兄の方が数段上だった。


「くっ……!」


レオンハルトの鋭い刺突がアリアの肩を掠め、鮮血が舞った。


同時にアリアも反撃に転じ、宝剣の光を纏わせた斬撃を放つ。レオンハルトの頬に赤い線が刻まれる。


二人の距離が離れ、再び対峙する。


アリアの息はすでに乱れていた。


肩の傷が熱を持ち、視界がわずかに歪む。


対するレオンハルトも無傷ではない。


頬の傷から血を流しながらも、その瞳の輝きは一切衰えていなかった。


「素晴らしいぞ、アリア。さすがは我が妹だ。だが……これでは私を止めるには至らん」


レオンハルトの構えが変わった。


剣を低く保ち、全身の魔力を刀身へと収束させていく。

大気が鳴動し、不気味な黒い雷が漆黒の刃に絡みついた。


アリアは悟った。

次の合戦が、この戦いの行方を決める。


彼女は震える手でエターナル・ブライトを握り直し、残された全魔力を剣に注ぎ込む。


白銀の光がさらに激しさを増し、彼女を包み込んでいく。


「兄さん、私は……あなたを止めて、この国を守ります!」


「来い、アリア! 私の理想の礎となれ!」


両者が同時に踏み出した。


白銀の流星と漆黒の雷が、正面から激突しようとしたその瞬間。


アリアの脳裏に、かつて兄と過ごした穏やかな日々の記憶が一瞬だけ過った。

それが、わずかな迷いを生んだのか。


「ぐ……あ……っ!」


激しい衝撃と共に、アリアの体が後方へと吹き飛ばされた。


エターナル・ブライトの光が、レオンハルトの放った圧倒的な闇の波動に押し潰され、弱まっていく。


地面を転がり、膝をつくアリア。

その胸元からは激しい出血が見られ、白銀の剣は彼女の横に突き刺さっていた。


レオンハルトは、一歩、また一歩と、倒れた妹に向かって歩みを進める。


その影が、絶望のようにアリアを覆い尽くした。


「決着だ、アリア」


冷徹な宣告が響く。


絶体絶命の窮地に陥ったアリアに、救いの手はあるのか。

それとも、王家の血脈はここで途絶えてしまうのか。


激戦の平野に、暗雲が立ち込めていた。

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