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異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第四幕 反撃編~対四天王~前編

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第189話:連動する戦場

第七商業エリアが奪還されたという報は、魔王軍の陣営に走る激震となって伝わっていた。


「……何だと? 第七商業エリアが、わずか数十分で陥落しただと!?」


王都の一角、魔王軍が前線司令部として占拠している貴族街の邸宅。

第一の将ヴァンダルの配下である魔族の将校たちが、信じられない報告を前に色めき立っていた。


「馬鹿な……。あそこには精鋭の重装歩兵大隊と、結界魔導師の分隊を配置していたはずだ! それを、たった数人で粉砕したというのか!?」


「そ、そうです! ブリザードドラゴンの化身と、見たこともない規模の極大螺旋魔法……そして、環境そのものを支配する異常な錬成術。反乱軍に、規格外の怪物が紛れ込んでおります!」


報告を聞いた将校たちの間に、これまでの慢心は消え失せ、代わりに焦燥と動揺が広がっていた。


彼らは即座に戦力を再編し、次に狙われるであろう重要拠点への防衛を固め始めた。



一方、マリアの教会の地下にある反乱軍拠点。


そこは、久しぶりの勝利に沸き立つ歓喜の渦に包まれていた。


「アドル殿! 見事な戦いぶりでした! まさか、あの鉄壁の商業区を無傷で落としてしまうとは!」


ガラハドが興奮を隠せない様子で俺の肩を叩いた。

アリア王女や、負傷兵の治療に当たっていたマリアも、希望に満ちた表情で俺たちを迎えてくれる。


「これで西区の住民たちへの物資も届けられます。アドルさん、本当に、本当にありがとうございます!」


アリアの言葉に呼応するように、騎士団のメンバーたちからも歓声が上がる。

だが、そんな熱狂の中でも、俺とミーシャは至って冷静だった。


「アリア、喜ぶのはまだ早い。奪還したのはまだ全エリアの数パーセントに過ぎないんだ。ヴァンダルが本腰を入れてくる前に、畳み掛けるぞ」


俺の落ち着いたトーンに、拠点の空気が少しだけ引き締まった。ミーシャも隣で静かに頷く。


「ええ。敵が混乱している今が最大のチャンスよ。次は、二拠点同時の奪還を提案したいわ」


「二拠点同時……ですか?」


アリアが驚きに目を見開く。


俺は地図を広げ、二つの地点を指し示した。


「一つは、王都の防衛網の要である『東の防衛門』。

そしてもう一つは、その門の防衛結界に魔力を供給している、地下の『水霊の魔導炉』だ」


俺の作戦はこうだ。

まず、東の防衛門に派手な攻撃を仕掛け、敵の主力と援軍をそこに釘付けにする。

だが、強力な結界がある限り、門を正面から落とすのは難しい。


その隙に、別の部隊が地下の魔導炉を制圧し、結界を強制解除する。

結界が消えた瞬間に、門の部隊が一気に中へ雪崩れ込むという、連動した同時攻略だ。


「拠点を守るアリアとマリア、騎士団の主力はここに残って防衛に徹してくれ。敵がここを狙ってくる可能性もゼロじゃない。……ガラハド、お前にはルルとシルヴァと一緒に『東の防衛門』を叩いてほしい」


「我らが陽動、というわけだな。承知した! 我が剣、存分に振るってみせよう!」


「あたしたちにお任せなの! シルヴァと一緒なら、どんな大軍が来ても蹴散らしてやるなのよ!」


ルルが気合十分に拳を突き出した。

隣では人型のシルヴァが、フンと鼻を鳴らして氷の槍を構えている。


「我が行く先に、阻めるものなど存在せぬ。アドルよ、地下の制圧は任せたぞ」


「ああ、頼んだ。……行くぞ、ミーシャ」

「ええ、アドルさん」


俺とミーシャは地下道へと入り、作戦を開始した。



東の防衛門。

魔王軍が誇る最強の防衛結界が展開される中、地響きと共に戦闘が始まった。


「奥義、星天の調べ!」


ガラハドの放つ白銀の剣閃が結界に激突し、火花を散らす。

同時に、空を舞うシルヴァが冷気のブレスを吐き出し、城壁に陣取る弓兵たちを一瞬で凍土へと変えていく。

「こ、こいつら……なんてデタラメな攻撃力だ! だが、この聖なる結界がある限り、中へは一歩も通さ――」


敵兵の言葉が途切れる。



同じ頃、地下深くの『水霊の魔導炉』。

俺とミーシャは、立ち塞がる魔導師の精鋭たちを、一分の無駄もない連携で制圧していた。


「ミーシャ、右の三体は任せた」

「了解。……二重螺旋、放てっ!」


ミーシャが指を差すだけで、逃げ場を失った敵兵たちが光の中に消える。


俺はその隙に、魔導炉を構成する巨大な魔石の回路へと手を触れた。


「瞬きの錬成……因果律の再構築」


俺は魔導炉を破壊するのではなく、その機能を「反転」させた。


魔力を供給するのではなく、周囲の魔力を強引に吸い上げるブラックホールへと書き換える。


「錬成……完了だ」


地下で俺が錬成を完了させた瞬間。

地上、東の防衛門を覆っていた巨大な光のドームが、パリンという軽やかな音と共に、粉々に砕け散った。


「な、なんだ!? 結界が消えただと!?」


パニックに陥る敵軍の前に、ガラハドが大剣を高く掲げる。


「今だ! 王都の誇りを見せよ! 突撃――!!」

「なのーっ!!」


結界を失った敵軍に、シルヴァの冷気とガラハドの剣、そしてルルの拳が牙を剥く。


地上の混乱を地下から感じながら、俺はミーシャと視線を合わせた。


二つの戦場がパズルのように噛み合い、敵の想定を遥かに超える速度で拠点が落ちていく。


王都奪還。その歯車が、かつてない勢いで回り始めていた。

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