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異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第四幕 反撃編~対四天王~前編

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第188話:奪還

翌朝。

俺たちはマリアの教会の地下にある反乱軍拠点へと足を運んだ。


円卓には、疲労の色が濃いアリア王女と幹部たちが集まっている。


「アドル殿、ミーシャ殿、それにルルちゃん。おはようございます」


「おはよう、アリア。さっそくだが、状況はどうなっている?」


俺が尋ねると、アリアは重苦しい表情で地図を指し示した。


「西区の居住エリアが完全に分断されました。このままでは、中央広場まで押し込まれるのも時間の問題です」


俺は地図を見つめ、昨日からシミュレーションしていた作戦を口にした。


「防衛に回るから押し込まれるんだ。今日から、こちらから打って出る。最初の目標はここ……第七商業エリアだ」


「第七商業エリア……敵の物資と兵力の補給経路ですね。ですが、あそこは第一の将ヴァンダルの精鋭部隊が固めています。今の私たちの戦力では……」


「俺たちが行く」


俺の言葉に、アリアが弾かれたように顔を上げた。


「俺とミーシャ、ルルの三人で、第七商業エリアを奪還する。そこを起点に、ヴァンダルの部隊を分断して押し返すんだ」


アリアは俺たちの迷いのない瞳を見て、小さく息を吐き、そして力強く頷いた。


「……わかりました。第七商業エリアの奪還作戦、アドルさんたちに一任します。私も後方から部隊を率いて追従します。どうか、ご無事で」



第七商業エリア。

かつては王都で最も活気のあった市場の跡地は、今や魔王軍の堅牢な前線基地と化していた。


重装甲に身を包んだ魔族の歩兵が立ち並び、後方には魔法兵が陣取っている。


「さて、初陣といこうか。ルル、先陣を頼めるか?」


「任せるなの! お願い、シルヴァ!」


ルルが召喚の陣を展開すると、そこから白銀の髪をなびかせた長身の人型の影が飛び出した。

密集した市街戦である今は、機動力の高い人型形態をとっている。


その手には、絶対零度の冷気を纏う氷の長槍が握られていた。


「フン。我を誰だと思っている。我が主の行く手を阻む愚か者どもめ、まとめてこの槍の錆にしてくれるわ」


シルヴァの言葉には、北の凍土を支配するドラゴンとしての圧倒的な矜持と冷徹さが宿っていた。


彼が地を蹴ると同時に、白銀の吹雪が巻き起こる。


瞬時に敵の懐へと潜り込んだシルヴァが氷の槍を一閃すると、分厚い鋼鉄の鎧に身を包んだ歩兵たちが一瞬にして芯まで凍りつき、次の瞬間には衝撃でガラスのように粉々に砕け散った。


「な、なんだこの氷の化け物は!」

「怯むな! 魔法部隊、一斉射撃用意!」


前衛を易々と粉砕された敵の指揮官が叫び、後方の魔法兵たちが一斉に杖を構え、詠唱を始めようとしたその瞬間。


「させないわ」


ミーシャが静かに前へ進み出た。


特訓を経た彼女の基礎魔力操作は、以前とは比べ物にならないほど洗練されていた。


事前の溜め動作もなしに、片手で魔力を練り込むだけで、瞬時に極太の術式が編み込まれる。


「二重螺旋……展開」


圧倒的な速度と密度。


魔力の奔流が商業エリアを駆け抜け、敵の魔法部隊ごと後方の防衛施設を吹き飛ばした。

轟音と爆風が巻き起こり、敵兵たちは為す術もなく吹き飛ばされていく。


「なっ……あれほどの絶大魔法を、いとも容易く……!?」


後方から追従してきていたアリアが、信じられないものを見るように目を丸くしている。


「……おのれ、舐めるな人間どもが! やれっ!!」


だが、魔王軍の精鋭部隊もただでやられるほど甘くはなかった。


指揮官の絶叫と共に、半壊した建物の屋上から、隠れていた伏兵たちが一斉に姿を現した。


彼らが構えていたのは、攻城兵器である重魔力バリスタ。


狙いは、前衛に出ているシルヴァでもミーシャでもなく、後方で指示を出している一番無防備なルルだ。


「ルルちゃん! 危ない!」


アリアが悲痛な悲鳴を上げる。


ドシュゥゥゥッ!! という風切り音と共に、巨大な爆発魔力を帯びた太矢が、死角からルルめがけて雨あられと降り注いだ。



誰もが「あっ」と息を呑んだ、絶体絶命の奇襲。



だが、俺は周囲の大気と環境に意識を向けていた。


「自然錬成……大気圧断層」


ルルの頭上に、空間が歪むほど極度に圧縮された大気の壁が出現する。


降り注いだ重バリスタの太矢は、ルルに届く直前でその『見えない壁』に激突し、すべて空中で無残に粉砕された。

爆発のエネルギーすらも、断層の向こう側へと綺麗に受け流される。


「な、攻城兵器の直撃が、空中で止まっただと……!?」


「防壁の詠唱すらなかったぞ!?」


敵の指揮官が絶望に顔を歪める。


「お前たちの奇襲は完璧だった。だが、相手が悪かったな」


俺は足元に錬成陣を展開し、一気に現象を書き換えた。


敵部隊の足元にある石畳が瞬時に流砂へと変わり、彼らの足を深く絡め取る。


さらに、先ほどのバリスタの爆発熱と空気中の水分を利用して作り出した無数の氷の刃が、竜巻のように敵の伏兵たちを蹂躙した。


俺の周囲百メートルが、完全に俺の支配する死の領域と化した。


環境そのものを武器とする圧倒的な暴力の前に、魔王軍の精鋭たちは手も足も出ず、次々と地に伏していく。



戦闘開始から、わずか数十分。

第七商業エリアから魔王軍の姿は完全に消え去り、静寂が戻っていた。


「第七商業エリア、制圧完了なの!」


ルルが、涼しい顔で氷の槍を肩に担ぐ人型のシルヴァと共に、誇らしげにVサインを作る。


「ふふっ、大成功ですね、アドルさん」


ミーシャも息一つ切らさず、微笑んでいる。


その光景を後方で見ていたアリアは、震える手で自らの胸を押さえていた。


今まで、どれだけ犠牲を払っても守り切るのが精一杯だった魔王軍の奇襲と部隊を、たった三人で、しかも無傷で鎮圧してしまったのだ。


「アドル殿、ミーシャ殿、ルルちゃん……あなたたちは、本当に……」


アリアの瞳に、熱い涙が浮かぶ。


ただ領地を奪われ続け、じわじわと真綿で首を絞められるようだった絶望の戦況。しかし今、彼女の目の前にはっきりと、勝利へ続く一筋の光が差し込んでいた。


「これなら……いける。王都を、取り戻せる!」


アリアの力強い言葉が、第七商業エリアに響き渡る。

ここから、反乱軍の怒涛の反撃が始まるのだ。

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