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異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第四幕 反撃編~対四天王~前編

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第170話:王都への飛翔

王都グラン・レガリアへの出発を決めた翌日、屋敷は慌ただしい空気に包まれていた。


今回はシルヴァの背に乗っての長旅になる。上空の冷気や野営に備え、カミラは凄まじい手際で物資を揃えていた。


防寒具、保存食、野営用のテント、各種ポーション。

それら山のようになりかけた荷物は、ミーシャが次々と異空間保存へと飲み込んでいく。


その傍らで、ルルは小さくなったゴーレムの頭を撫でていた。


「グラッキー、あたしたちがいない間、エナちゃんのことしっかりサポートするなのよ!」


「承知した、マスター。このグラキエス、全身全霊をもって主の帰る場所を死守しよう」


グラッキーという可愛らしい愛称で呼ばれながらも、ゴーレムは重々しく頷いた。


一方、カミラは不安げな顔で膨大な引き継ぎ資料を抱え、グラキエスの前に立っていた。


「グラキエス、屋敷の掃除と洗濯の手順、それから商店の在庫管理、領主代行としての決済書類の仕分けですが……」


「案ずるな」


グラキエスはカミラから資料を受け取ると、その石の眼を微かに光らせた。


次の瞬間、彼は複数の腕を土魔法で一時的に形成し、書類の完璧な仕分け、床の掃き掃除、さらには厨房での野菜の仕込みまでを並行してこなし始めた。

一切の無駄がない、精密機械のような手際だった。


「なっ……召喚ゴーレムとは、これほどまでに有能なのですか……?」


カミラは目を丸くして驚愕し、やがて深く息を吐いて安堵の表情を浮かべた。


「これなら、何の心配もなく屋敷を旅立てますわ」



出発前夜。

自室で最終的な装備の確認を終えた俺の部屋を、静かにノックする音があった。


「アドル様……エナです。少し、よろしいでしょうか」


扉を開けると、そこには薄手の寝巻き姿のエナが立っていた。

彼女の白い頬はほんのりと赤く染まり、その瞳には強い決意と、熱を帯びた感情が入り混じっている。


「どうした、エナ。明日は早いからもう休んだほうが……」


「アドル様。……1つだけわがままを、言わせてください」


エナは俺の胸元にそっと顔をうずめ、震える両腕で俺の背中を強く抱きしめた。


「出発前に、一晩だけ……私と、夜を過ごしていただけませんか」


彼女の切実な声が、静かな部屋に響いた。

この屋敷を一人で守るという重圧。

そして、先の見えない戦いへ赴く俺を送り出す不安。


エナはずっと気丈に振る舞っていたが、本当は怖くて寂しくてたまらないのだろう。


海でのあの激しい口づけを思い出し、俺は彼女の細い腰を抱き寄せた。


「わかった。今夜は、朝までずっと一緒にいる」


俺がそう囁くと、エナは涙ぐんだ瞳で微笑み、自分から背伸びをして俺の唇を求めてきた。


エナの甘い香りと柔らかな体温が、俺の理性を優しく溶かしていく。


明日からの過酷な旅を前に、俺たちは互いの存在を深く刻み込むように、静かな部屋で濃密な時間を過ごした。



翌朝。

雲一つない青空の下、屋敷の庭には巨大な銀龍の姿に戻ったシルヴァが鎮座していた。


「いよいよだな」


俺が呟くと、ミーシャが少しだけ寂しそうに笑った。


「鉄のソリ、今回は出番なしね。あれに乗って旅をするのも好きだったんだけど」


「仕方ないさ。今回ばかりは時間が惜しい。シスター・マリアの元へ、一刻も早く急がなきゃならないからな」


あの磁力推進のソリでの旅情も捨てがたいが、空路で直線距離を飛ぶシルヴァの機動力には敵わない。


「エナ、グラキエス。留守を頼む」


「はい! アドル様、カミラさん、ミーシャ様、ルルちゃん……道中、お気をつけて。必ず、無事に帰ってきてくださいね!」


エナが昨夜の熱を少しだけ頬に残しながら、最高の笑顔で手を振った。グラキエスもその隣で深く頭を下げる。


俺、カミラ、ミーシャ、ルルの四人はシルヴァの広い背中に乗り込んだ。


「しっかり掴まっていろよ、お前たち。振り落とされても知らんぞ!」


シルヴァの巨大な翼が力強く羽ばたき、凄まじい突風と共に俺たちの体は天空へと舞い上がった。


眼下に小さくなっていくエナと屋敷に別れを告げ、俺たちは王都グラン・レガリアを目指して一直線に飛翔した。


第四幕 ~完~

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