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【完結済】異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第四幕 反撃編~対四天王~前編

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第159話 : 帰還

噴水の水しぶきが収まり、静まり返った庭にエナの悲鳴が響く。


俺たちは、巨大なエメラルド色のスライム……すらたんの中から、這い出すようにして芝生へと転がった。


「……アドル様! ミーシャ様! ああ、もう、なんて格好に……!」


エナが半泣きになりながら駆け寄ってくる。


だが、彼女に負けないほどの勢いで、屋敷からもう一人の影が飛び出してきた。


「ご主人様!!」


カミラだ。


彼女はエナの横をすり抜けるような速さで俺の元へ辿り着くと、俺のボロボロの服も泥も気にせず、その場に膝をついて俺の安否を確かめる。


「ご主人様……っ、本当に、本当にお戻りになられたのですね……! ずっと、ずっとお待ちしておりました……!」


カミラの瞳からは大粒の涙が溢れ、俺の腕を掴む手は小刻みに震えていた。

いつもは冷静な彼女が、髪を振り乱してまで取り乱している。


その様子に、俺は自分がどれだけ心配をかけていたのかを改めて痛感した。


「ああ。……ただいま、カミラ。エナも。……悪かったな、心配かけて」


俺は痛む体を起こし、二人の頭をそっとなでた。ミーシャもカミラの手を握り、安心させるように微笑む。


「カミラさん、エナちゃん。……ただいま。私、アドルさんに守られて、ちゃんと帰ってきたわよ」


◇


屋敷の広大な大浴場。

俺は熱い湯船に首まで浸かり、四天王との死闘が嘘のような静寂を噛み締めていた。


そして、その隣にある「冷水の洗い場」には、銀髪を濡らしたシルヴァがいた。


「……ふぅ。龍の血には、貴様らの好む熱湯は毒だ。やはりこの冷水こそが落ち着く」


シルヴァは腰まで冷水に浸かり、目を閉じていた。

龍族である彼の体温は人間よりも高く、温かい湯はかえって体力を削るらしい。


「シルヴァ、水風呂で満足か? 龍王様がそんな端っこで縮こまってていいのかよ」


「黙れ、アドル。貴様とこうして並んで体を休めているだけでも、我(われ)にとっては異例中の異例なのだ。……しかし、あのゼノアという男。最期に見たあの光景だけは、我の記憶に刻んでおく価値がありそうだ」


シルヴァは不敵に笑い、水を手で掬って顔にかけた。

死線を越えた後の静かな語らい。

この時間は、どんな複製錬金の素材よりも贅沢なものに感じられた。


◇


風呂上がり、俺たちはリビングへと集まった。テーブルには、エナとカミラが腕によりをかけた豪華な料理が並んでいる。


「本日はアドル様の帰還を祝して、最高級の鹿肉と、特製の実りスープを用意いたしました」


カミラが背筋を伸ばし、誇らしげに皿を並べる。その横でエナもニコニコしながらパンを籠に盛っていた。


「いただきますなの!!」


ルルが猛烈な勢いで肉に食らいつく。

ミーシャも、ようやく戻ってきた魔力を愛おしむように、ゆっくりと食事を口に運んでいた。


平和だ。


数時間前までの地獄が、まるで遠い昔のことのように思える。

ふと、忙しそうに立ち働くエナとカミラを見て、俺はふと思った。

(……今回の遠征で、俺の錬金術も一段階上がったはずだ。これからは戦闘用だけじゃなく、この屋敷を『もっと楽に』、みんなが笑って過ごせる場所に変えていきたいな)


掃除、洗濯、料理の下準備。

俺の複製錬金と、今回培った経験を組み合わせれば、この屋敷に魔法の家電を導入できるかもしれない。


「アドルさん? 何か面白いこと考えてる顔してるわね」


ミーシャがいたずらっぽく微笑みながら、俺の顔を覗き込んできた。


「ああ。……明日からは、少しゆっくりしよう。やりたいことが、たくさんあるんだ」


俺はグラスを掲げた。


バカンスも、デートも、それから新しい発明も。

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