リンネの本音・ソマの本音
わかってる。
リンネの言う通り、私はいつも自分の都合のいいように考えていた。
リンネの言葉は…正しい。
──ダンと付き合って三ヶ月が経ったころ。
だいたい、彼の性格がわかってきていた。
ダンはよく嘘をつくし、プレゼントだと言ってくれた高そうなペンダントも『まつり』に来ていた客の落とし物か、あるいは盗品なんじゃないかとうすうす気づいていた。
それでも、自分への愛をあけっぴろげに告白してくれる彼の姿に心が揺さぶられていた。
けれどその一方で、リンネ邸で過ごす日々…
彼との穏やかな会話や、いろんな場所へ出かける時間の中で私は次第にリンネの持つ大人の包容力と真摯な気持ちに惹かれていった。
彼がロボットであることなど、どうでもよくなっていった。
(私って、ずるいわよね。あっちがダメだから、こっちって。リンネが怒るのも無理ないわ…今日は、やっぱりこのまま帰ろう)
けれど規約上、勝手に帰ることはできない決まりだった。
エントランスを上がりリンネの部屋の呼び鈴を鳴らす。
「…寝てるのかしら。でも、開けてもらわないと」
しばらく待つとドアが開いた。
現れたリンネは少し不機嫌そうな顔をしていた。
「わ、私、今日は帰ります。すみません、勝手なことばかり言って…」
「本当に君は勝手だよね。それなのに…僕は君に惹かれているんだ」低い声でそれだけを言う。
次の瞬間、ソマの腕は引っぱられてリンネの腕の中にすっぽりとおさまっていた。
「僕はね。君が人間と付き合うようになってから、自分の気持ちに気が付き始めた。ロボットは本来、人間の幸せを願うようにできている。
それでも、君が仕事で来てくれる日は幸せだった。
ただ、見つめて話をするだけで満足だったんだ。
でも、ダンと別れたって聞いて…もう、自分の気持ちが抑えきれなくなった。
ソマ、君が好きなんだ」
リンネの腕に、わずかに力がこもった。
「わ、私も…あなたに惹かれてた」
ソマは小さくつぶやいた。
「じゃあ、何の問題もないよね」
そう言いながら、リンネはそっとおでこにキスを落とした。
(やさしい…)
帰るつもりだったのに、全身の力が抜けていく。
ソマはただ、リンネに身を預けるしかなかった。
「お姫様、大好きだ」
そう言いながら、リンネはソマの顔に優しくキスを散らし、唇を重ねた。
「シャワー、浴びないか?」
「えっ…わ、私、臭いですか?」
モジモジと答えるソマに、リンネは笑う。
「あはは、違うよ。そうじゃなくて…一緒に入らないか?」
「い、一緒に?」
その言葉に、ソマの顔が一瞬で熱くなる。
「無理にとは言わないよ」
「…はい。一緒に入ります」
恥ずかしさは隠せなかったが、それよりも…彼と一緒にいたいという思いが勝っていた。




