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ロボット  作者: いづる
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第54話 今でも忘れられない昔の話(ドウラ)

ドウラの言動を前にして、ジャラはとても動揺していた。もちろん頭では、こんな上手い話はあるものかと疑ってはいた。しかし真相を知らされると、娘達のためになるどころか病気にでもなったら借金が増えて今までよりも家族に迷惑かけるじゃないか⁈


 しかし、なんだってこの男は俺にそんな大事な事をベラベラと俺に喋るのだ。

 このドウラと言う男の知り合いとは?俺に似ている?頭の中が、真っ白になってしまって集中できない。



 すると、ドウラは立ち上がって壁に掛けてある大きな絵画の前に歩いて行った。もちろ昔の作品のレプリカには違いないが、ある程度の価値があるものだ。


「少し過去の話をしますね。私の若い頃の話です。私は下級エリアで生まれ育ちました」


「‼ なんだ、突然に‥」


「子沢山の家に生まれ、口減らしに中級エリアの旦那様に売られて行きました。そこでは、何かあると私への暴力が日常茶飯事でした。私は毎日怒鳴られ、蹴られ殴られそんな日々にやがて慣れ、誰も何も信じられなかった‥」


「悪いが突然に君の昔話を語られても、先程の話の方がショックが大きすぎて身を入れて聞く気になれないんだ」


「それでも、聞いていただかないと話は進みません」


「‥‥」何だって言うんだこの男。


「そして、ある時にその旦那様のもとへ一人の男がやってきました。旦那様は商売をしていて、新しい顧客のようでした。その人は、俺と同じくらいの年の娘を連れていて‥」


「なんだかよくある話だが⁈」

ジャラも昔の話を思い出していた。そう。昔の話になるが、新しい取引先に行った時の話だ。

 そこには、身体がボロボロの使用人がいた。

 年は連れて行った娘とあまり変わらないぐらいの子供。だが、衣服から出ている腕や足や顔は傷だらけ。痛ましかった。そしてその一見だけで、この取引は中止となった。

私の一方的な断りで‥。人を、しかもこんな子供に暴力を振るうのが許せなかったから。そんな、理由からだった。


 そして後に、縁あってその子供を引き取って育てた。逆境にあいながらもその子供は賢くて思いやりがあり、私の事業も精力的に手伝ってくれた。やがては年頃になって、娘が結婚したいと言い出した時は反対する理由もなかった。


(つい、思い出してしまったな。しかし、娘婿のランティと目の前の初老の男とは、年齢も見た目も全く違うではないか)


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