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ロボット  作者: いづる
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53/62

第53話 ドウラ

女に案内された部屋は、今までの簡素な部屋に比べて応接室のような風格があった。座り心地の良さそうなソファーに、ドウラは座っていた。

(ここの部屋は、少しは金を掛けているようだな。とはいえ、一昔前の俺の会社に比べればお粗末だが…)


「ドウラ様、お連れしました」


「ああ、ありがとう。ジャラさんだったね。わざわざ呼び出して申し訳ないね」


「あ、いえ。私に何か、気になることがありましたか?」


「まあ、とりあえずは座りたまえ」と、テーブルを挟んだ向かいのソファーを手で示す。


「あっ、はい」俺は久しぶりにかしこまりながら座る。


(ソファーに座るだなんて、何年ぶりなんだ)目の前の男の顔をしげしげとみる。


「あなたは、どうしてここに来たのですか?」ドウラは、面接の時の口調と変わらず話しかけた。


「あっ、はい。先程、面接の時にも言ったのですが暮らしの足しになればと思いまして」


「確か、ご家族3人でお住まいでしたよね。あなたが家を空ければ、娘さんとお孫さんは寂しい思いをするのではないですか?」


「はい。その通りですが、家にいてもごく潰しで生活費を少しも払えません」


「まあ、そうですね。ここに来る連中は、皆そうでしょうから」


「‥‥」


「私共のシステムは最初の1年分は前渡しです。そして、泊まる所も食費も無料です。これだけみれば美味しい話ですよね。ですが2年目からは、全部有料になっていきます。大概の人は前払い金の大金を目の前にして、家族に渡したりしてほとんど使ってしまいます。そして2年目からの支払いは、自分の月々の給料からの支払いとなります。体調が悪かったり長期の病気になって働けなくなったりしても、サインをした以上10年間はすぐには出て行けないのです。

 そして、払えなかった賃料や光熱費等は貸付になります。その貸付金には、高額な利子がつきます。

そこまで言えばおおよそ見当がつくと思いますが、儲けるどころか借金だらけになりますよ。そして、一生あそこからは出れません」


「‼ど、どうしてこんなことを‥」


「あなたは、私の知っている方にとても似ているのですよ。だから、ついつい喋りすぎるのでしょう」


 その時ノックの音と共に、先ほどの女が入って来た。手にはケルトに『旧オボン』飲み物や食べ物などが乗っていた。


「失礼します」といい、女はそれらのものをテーブルに置いて出て行った。

「好きなだけ食べて飲んで下さい」


「どうしてこんな‥私に‥」うまく言葉にならなかったが、これらのものは上級エリアでしか出てこない贅沢品だ。


「似ているって、誰にですか?」先ほどの話を思い出して、口にする。


「昔の話ですけどね」

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