第52話 ドウラの呼び出し
面接が終わった俺たちは、図書館のような部屋に移動した。案内書の持ち帰りが出来ない為、もう一度皆でよく読んで一方的に不利な事は書いていないか検討してみようと、サンドの提案だ。
「この家から出てくる奴がいないと思ったが、ここにいたのか」ニコラ
「まるで図書館だよな」ナタク
「水も飲み放題だし」無料の水のタンクが設置してあるのを見ながら、ニールは言う。
「胡散臭い話だと思ったが、ちゃんとした説明もあっていい会社じゃないか?」ナタク
「だけど、ミイラルなんて会社聞いたことがあるか?」ジャラ
「いや、ない。だけど全部の会社名まで、把握しているわけじゃないからな」ニール
「俺たちが上流階級にいた頃は、ひと昔前になるからね」ジャラ
「まあ、それもそうだよな」ニール
「しかし、この案内書よくできているよな」ニコラ
「金、掛けてある」サンド
「しかしこんなに予算を掛けた大掛かりな事業なのに、肝心な建物がどんなものかどこにあるのか質問しても上手いことはぐらかされたよな」ジャラ
「案内書に盲点がないとしたら、多分そこに書かれていないことこそが盲点だろうな。あとおまえの言った通り、何の目的でどういうものを造るのか」小声で顔を密着させながらナタクは、話す。俺たち仲間内で一番に洞察力がいい。
俺たちは、しばらくこの場所で時間つぶしをして帰ることにした。周りの連中も、帰ったって狭い部屋で同居人に口うるさく言われてここに来た同じような連中だろう。
「なあ。それにしてもここの備品といい、大量募集といい無料水といい案内書といい、相当に金をかけているよな。それで、この賃金を払ってくれるだなんて、どこから利益を回収するんだよ?」ナタク
「その、増設物がお金を生んでくれるのか?考えたって、俺たちにはわからねぇなあ」ニコラ
「まあ、胡散臭いことを承知で最後のチャンスだと思ったんだよな」ジャラ
俺たちは思いつくまま会話を続けていた。
案内係の女が俺たちの近くに来るまで気付かなかった。
「ジャラ様は、どの方ですか?」その言葉に、俺に視線が向けられた。
「えっ、俺だけど‥」
「今から、追加でお聞きたいことがあるとのことなので、別室へご案内致します。至急一緒に来てください」
「お、おい」ニール
「お、俺?聞きたいことって何ですか?」ジャラ
「それは、直接ドウラ様に聞いてください。さあ、行きますよ」女の声は、俺を急かす。
「じゃあ。呼び出しだそうだから、行くよ」皆に声を掛ける。
「俺等どうせ暇だから、戻って来るまで待っているぜ」ニール
「ああ、どうせやることないからな」サンド
「面接した奴、いや面接で何かおかしなこと言ったのか?」ニコラ
「そのまま、連れていかれないようにな」ナタク
「話が終わり次第、戻ってきますので」内容が聞こえたのか怪訝そうな顔をした女は、事務的にそう答える。




