第51話 面接
面接の当日
「お、おい。ここであってるのか?」とジャラ。
「ああ、間違えないだろう。俺たち以外にも沢山の人がいるじゃないか」とニコラ。
ざっと数えてみても、3、40人は集まっていた。5日間は面接はあるはずだから、200人は来るはずだ。
「下級エリアにこんな大きな家があったとはな」ニール
「本当に、俺たち皆に金がもらえるのか?」ナタク
「まあ、ここまで来たら覚悟を決めよう」ニールの言葉に、皆は頷く。
集合時間になると二列に並んで家の中に入るようにと、一人の若い女が声を掛けた。その言葉に、皆はぞろぞろと二列になって玄関から入っていく。中に入るとこの家は、とても広いが空き家のように家具は何もなかった。
「ここは、空き家だったのか?」
「このために、急遽机やイスだけ取り寄せたようだな」
「しかし、中級エリアの真下にこんな大きな家があったとは‥」
「下級エリアのはずれだな」
皆さん、順番に詰めてテーブルの前におかけください。
そして、10名ずつ呼ばれた方から隣の部屋に入ってください。
そう言うと、まだ列の途中だが早速前の方からの10名が部屋に入っていく。
彼らは若い者から俺たちのような初老までいた。下級エリア民特有の匂いや衣服もボロボロだったが皆、覚悟を決めたような目をしていた。
俺たち5人は、緊張をごまかすようにお喋りをして時間を潰していた。部屋から出て来たものはいないが、15分ほど経つと次の10名が呼ばれて部屋に入る。
「入ったものは、どこに行ったんだ?」
「裏口があるんだろうか?」
「まさか、今日から現場に行かされるんでは?」
「面接なんだから、ありえないだろう?」
「何とも、いえないな」
そう言っている途中で、次の10名の方どうぞと案内される。
いよいよ、俺たちの番に来ていた。
隣の部屋も、先の部屋とあまり変わりなく机とイスがあるだけだった。
違うのは、横長のテーブルと横長のイスである。3人ずつ座らされ1人分空けてまた、次の3人が座らされる。一番端は4人で座るようだ。
その3人に対して、1人の面接者が座る形式だ。そして3人ごとに隣を区切るように、簡単なフェイスがされていた。
その机の上には、上質なルリ(紙)で作られた会社紹介の案内書が1人ずつにいきわたるように置かれていた。
俺は、ニコラとナタクと一緒の面接だ。
面接官は、ドウラと呼ばれる白髪の多い初老の男だった。
「皆さん、今回はこの面接に起こしくださりありがとうございます」丁寧に頭を下げる。
俺たちも、みな頭を下げる。
「まずは、当社の説明と仕事の内容について簡単に話させていただきます。手元の案内書に目を通してください」
案内書を捲りながら、説明に入る。
建築関係の現場でロボット達と一緒に働いてもらいたいということ、一旦雇用が成立したら会社の寮に入ることを条件にしてもらう。
勤務年数には10年間の縛りがあるということ。
ドウラはゆっくりとわかりやすく、俺たち一人一人の顔を見ながら話していく。
「ここで、分からないことや疑問点があれば何でも聴いてください。それとこの案内書は回収しますので、面接が終わった後は別の部屋で納得いくまで読んでから帰って下さい」
「休みは、あるのかい?」ジャラ。
「もちろんです。週に2日は休んでもらいます。1日8時間労働、残業はあっても1時間ぐらいですよ。本人の希望次第です。強制ではありません。その残業分は、毎月本人に手渡されます。ただ、前金で1年分は払いますので、仕事が嫌だからと途中で自宅に戻ることは絶対許されません。厳しいようですが、そのままどこかに逃げられたら賃金の支払い損になりますので‥」
「本当に、そんな好条件でこの値段が払われるのか?今時、こんな年寄りやらを下級エリアから集めなくても‥」
「皆さんこう言ってはなんですが、切羽詰まった状況におられる方は、皆さん真面目で一生懸命に仕事に励んでくださいます。なのでこちらでは、特には制限を設けていません。ただ、稀に一か月も経たないうちに家に帰す方もありますが、その時はご本人さんやご家族さんには支払った分の支払いはキッチリと返してもらいますがね」ドウラの口元に笑みが浮かんだ。
(まあ、そうだわな。仕事の前金なんだから)皆がそう思った。
「面接の可否の連絡は、いつになるんだい」
「今日で納得いただいた方は、翌日にでも仕事場に行かれる方もいます。こちらとしては早い方が助かりますが、別に一週間後でも構いません。その間にご家族にキチンと説明してください」
「そんなに、急にかい?」
「では、断られることはないってことか?」
「まあ、見た目にも仕事が出来そうにないと判断したら断ることもありますよ。ただ、今回は大人数の募集なのでね。なるべくなら、皆にチャンスをあげたいのですがね」
一通りの説明は終わり、面接の時間も終わった。




