錬のこと
『コツコツコツ‥♪お届け物です♪』扉を叩く音と同時に、歌いながらの陽気な声が聞こえる。
「誰か、来たみたいだよ」部屋からでてきた錬が気づく。
「連絡ポーだな。この家に珍しいなあ」とマネ。
「ホントね」とアンナ。
「ぽー?」とソマ。
「れ、れんら く?」と錬。
「ドアを開けて、応対してくれ」
「錬はドアを、そっと開ける。目の前に、いや上の方にコミカルな鳥が飛んでいた。(確か、図鑑ではコウノトリ)目の前のそいつは、とても可愛らしく口ばしの袋の部分に、大きな箱が入っていた」
「こんにちわ。今日は、リンネ様からの配達を承っております。ソマ様宅で、お間違いはありませんね」
「あっ、はい」
「できればソマ様は在宅でございますか?」
後ろの方で聞いていたソマは、慌てて錬と入れ替わるように玄関先に出る。
手続きをすませて、荷物を受け取ると皆に今日のあったことを掻い摘んで説明をする。
「じゃあ。このソウイ『この食品の総称』は、今日会ったダンと言う人間から貰ったものなのね」
「私が、いろいろ試食していたのを見ていて、スタッフが貰う残り物をくれたのよ」
「ふーん、それをわざわざリンネが届けてくれたのか」とマネ。
「リンネ様は、ダンの前で残り物を貰うのは衛生的に良くないと言って突き返そうとしたのよ。でも、優しい気持ちで言ってくれたんだし。私は、ダンから受け取ったの。そんなに、重たいとは思わなかったから」
「ふーん。それで見かねたリンネが連絡ボーで届けてくれたんだな」
「そんなこと、一言もいってなかったわ。後から、皆で取りに行こうと思っていたから」
「もしかして、ダンって若い男?」と、アンナ。
「ええ、同じ年ごろの娘と会ってうれしいと言っていたわ」
「お姉ちゃんモテキだなあ」
「モテ キ⁈な、何てこと言うのよ」顔がほてってくるのを感じた。
「いいんじゃない。今まで、私たちの姉や母のような存在だったんだから、自分の人生も楽しまなきゃ」と、自分のことのようにアンナは喜んだ。
「僕は、ますます邪魔な存在になる」
「何いってるの。あなたが邪魔だなんて」ソマはあり得ないといった顔になる。
「そうだよ。錬は、ソマにとって自分と同じくらい大事な存在なんだよ」
「そうよ。そうよ。でも、ソマの恋愛は応援してあげなきゃね。ちょっと、大人の錬になってね」と、ウインクをする。
「う ん」複雑な顔をしながらも返事を返す。
「錬が邪魔だなんて、絶対あり得ない。それに、恋愛だなんて大袈裟よ。でも住の番号を教えたから、そのうち来るかもしれないわ。同じ下級エリア民だし、友達になれたらないいなと思っているのよ。もし、私がいない時に来たら帰る時間帯を教えといてくれるかしら」どう説明したらいいのか、悩んでいたけれどアンナの言葉に勇気づけられて、皆の前で言えたことで少しホッとした。
「さあ錬もマネも、ソウイを台所に運んで手伝ってね。ソマは、仕事帰りだから座ってゆっくりしていて。錬は、初めてお肉とか食べるんだよね。美味しいらしいわよ」




