ソマ再び、リンネ宅で働く(ソマとフラ)
出迎えてくれたフラはニコッと笑って、ソファーでくつろいでいたリンネに目線を送る。
「お久しぶりねフラ。中利様のお陰で、取り合えず週に1回だけ働くことになったの。よろしくお願いします」
「お久しぶり、人間っていいわね。何も出来なくても気に入られるんだもの」
「えっ⁈ ええーと、あの。ごめんなさい」フラの辛辣な言葉に少したじろんだ。
「おい、ソマを虐めるなよ」
「別に虐めてないわよ。ただこの時代になっても、ロボットは人間に好かれるための道具でしかないのに歯がゆいだけよ」
「おい、言い過ぎだ」
「では、人間様。ここでご主人様の横でお座りになってください。私は、その間に高速でお掃除をすませますので」
「あ‥‥あの。とりあえず座ります」
「あ、うん座ってくれ。今日は、とりあえずまたカリアンをやろうか」
(中利様の頼みもあって、また週1だけはここに通うことになったけれど、なんだかフラの言葉にも引っかかる。ていうか、フラって、ああいうキャラだったんだ。なんだか言った言葉が逐一、心に突き刺さったみたい)
「あ、あの。掃除とかは‥あっ、そうですね。そうしましょ」と口にしはじめるが、フラの後じゃ必要ないことに気付きカリアンをすることにした。
「今度は負けませんよ」
「前回は苦戦はしたが、所詮人間だろう」
「うちのロボットたちに対策を叩き込まれましたからね」ふふんと鼻で笑う。
二人とも、かなり集中して時間が過ぎた。
途中、フラの仕事が終わり帰っていく。
「お疲れ様」
「お疲れさまでした」
「お疲れさまでした」
「人間でも、ここまで上達するもんなんだな」
「まあね。中利様に教えてもらってからは、家に帰ってからの隙間時間はずっとやっていたわ」
「ふーん、凝り性なんだな」と言いながらソファーを立つ。
そして淹れたてのコーヒーを入れて持ってきてくれた。
「あ、ありがとうございます」
「ああ、インスタントなんだけどね。ここで会議をすることもあるから。飲み物や食べ物はストックしてあるんだ」
「有難いけど油断しましたね。はい、ここで私の勝ち決定ですよ」
「えっ、嘘だろう。油断したよ。くそう」と言葉を吐き捨てるが口ほどに顔は残念そうではない。
「いただきます。このお菓子も美味しそうです」ソマは、中利様のお手伝いに入るようになってから、色々な物を食べる機会もふえ有難いと思っていた。リンネが出してくれたお菓子も見た目に可愛らしく、口に入れるとふわっと溶けていった。
「私、フラの言ったように何もお手伝いしていないのに、給料もらって遊んだり食べたりしているだけでいいのかしら」
「アマンが言っていたろう。いいんだよソマのままで。実際政治は駆け引きばかりで疲れるからこういうのが、ありがたいんだよ」
「では、遠慮なくいただきます」
ソマの嬉しそうに食べる様子を見てるだけで、満足だった。
「あの、私のエリアには公園があります。あとで、このエリアの外に出てみたいのですが‥」
「ここのエリアは、高所にあるから外には出れないんだ。中級エリアも同じだが、あそこは部分的にドームが透明になっている箇所があるだろう。ここはエリア全体が巨大な不透明なドームに包まれている。ドーム内には他の家や買い物ができる大きな建物『マツリ』があるから、そこに行ってみるか?」
「ええ、ぜひ」ソマは、上級エリアの様子を知ることに興味が湧いた。
「あの、フラさんってどこに住んでいるんですか?」同時に、ふとフラのことが口からでる。
「なんだ、まだフラのことが気になるのか?」
「ええ」
「フラは、同じ上級エリアに住んでいるんだ。あとで、近くを通るから教えてやるよ」
「上級エリア!!って。大金持ちじゃあないですか⁈」
「ああ、メイドで働いていた人間から、財産を受け継いで悠々自適に暮らしているんだ。仕事は1人で家にいてもつまらないからと、趣味みたいなものだな」
「まあ、うらやましい生活」
「だろう。まあ、俺もアマンがいたからこの暮らしが出来ているんだけどね」
(本当に羨ましい話だわ。でも、羨ましがっていても仕方がないか‥)




