ソマとリンネ
「アマン、また来たよ」玄関先のチャイムで空中にリンネの顔が大きく写し出される。
「ソマ、出迎えてくれないか?」
「あっ、はい」ソマは久しぶりにリンネに会うことに気まずさを隠せない
「どうぞ」
「ソマ、今日は仕事の日だったのか。久し振りだな」
「は、はい」
「まあ、中に入ってから話をしてはどうだい」中利様の言葉に二人とも従う。
「この間おまえの作った卵を、ソマに食べてもらったよ」とモジモジしている二人に会話のきっかけをつくってやる。
「美味しく頂きました。ありがとうごさいました」
「ああ、いや」
「‥‥」
「‥‥」
「今日も、仕事の帰りかい?」
「ええっ、最近下流地区中心に高額の仕事求人が出回っていてどうも胡散臭い話みたいなんでデジャンに警戒体制をしいてきた」
「それは、デジャンが取り扱う話なんじゃないのか?おまえが、わざわざ出向くのか?」
「ええ、ただ私の取り決めで大きくいろんなことを改革したので、私も立ち入らざるを得なくなっているのです」
「だから、いつも言っているじゃないか。自分以外の人なりロボットなりに仕事を割
り振らないと、いくら有能でもなかなか前に進まないじゃないのか」
「分かっているよ」ムッとした口調でリネンは答える。
「その話知っています。うちのロボットも、寮付高賃金につられて行こうとしていたけれど‥家族のみんなが反対したので行くのを辞めてくれたわ」
「家族って、一体みんなで何人住んでいるの⁈」
「人間が二人と、ロボットが三体です」
「‥‥大所帯だね。それで、働いているのは何人だい?」
「なんだい、やぶから棒に」
「いや、低所得世帯は家族の1年間の総所得によって制限があるんだよ。だから、働けない子供以外の収入がたくさんある場合は、今の家から出て行ってもらわなければならないんだ。もっと、困った人に役に立ってもらうために‥」
「えっ⁈そうなんですか⁈」
「ああ、もともと人間の為に作った場所なんだ。ロボットは、どこでだって寝れるし、食べる必要もないから」
「言ってみればそうだろうけど‥いろいろ助け合って生活しているみたいなんだよ。どうにか、考えてあげられないだろうかね」
「こういう話は、初めて聞きました。初めに、複数枚のルリ(紙)をもらったけれどよくわからなくてしまい込んでいました」
「じゃあ、管理者に納得がいくまで、聞いて見るといい」
「まあ、そうだね。まず、本人たちがいろいろ聞いて納得してからだね」
そうソマのことは何とかしてあげたいが、まずは自分達で何とかするしかないもの。それによって、手助け出来ることがあればってことだ。
「わかりました。早く、そのことが分かっただけでもありがたいです。それに、その高時給の話もやっぱり引き留めてよかった」
「子供一人で、後は働いているんだろう。だったら、家計も潤っているんじゃないのか?」
「いいえ、ロボット達の燃料費が高くて‥低所得でも頑張ってくれてはいるんだけど」
「て、ことは中レベル以上のロボット達ってことだね」
「はい、人間にゴミのように捨てられて傷ついているんです」
「ああ、無許可で廃棄されていたものか。今では取り締まりを強化しているのだが、それ以前の放置ロボット達だな」
「生活を圧迫するなら、リサイクル品で出したらどうだ。初期設定で、記憶は残らず必要な人に買い取られて行くんだ。幾分か、金にもなるし」
「‥‥そんなこと、出来ません。家族のように一緒にいたんだから」
「ふうん、物好きだな」
「おまえも、ロボットじゃないか。冷たい物言いだな。それと、他にソマに言いたいことがあったんじゃないのか」
「ああ…もし、また俺の家で働きたかったら来てもいい」
「いえ、結構です」
「また、雇ってやると言ってるだろ」
「だから、別にいらないっていってるでしょ」
「お前たち、何喧嘩ごしになっているんだい。ソマ、うちの息子は口の利き方が出来ていなくてね。だから、おまえにいろいろ助けてほしいんだよ」
「あっ、私もついムキになってしまって、ごめんなさい。でも私が出来ることなんて何もありません」
「‥‥あれから君が泣いているところが何度も気になって、もし俺でよかったら聞いてやれるから」
「それは、メイドの仕事じゃないと思う」
「リンネにとって、私以外の人間と心を通わすことは重要なんだよ。私は、仕事人間だったから大半は、いわゆる駆け引きでしか物事を教えていない気がするんだ。普段のやさしいソマに、いろいろ教えてほしいんだ」中利は、何とかソマを説得したかった。
「‥‥お姫様抱っこも出来るようになった」
「!!わかってるわ。ソファーから、ベットに連れて行ってくれたんでしょ。あの時は、なぜそんなことを口にしたのか自分でもわからないの」それにこんなこと今、言わなくても‥なんだか恥ずかしい。




