望んだ再会 望まぬ再会
時間の都合で短くなっています。誠に申し訳ございません。夜にも更新する予定ですので、是非ご覧ください。
──────────現在────────────
花火が花開く音が消えてからおよそ三十分、ただ静寂な夜が広がる。
花火大会の第一部が終了したのだろう。
オレは脇の松葉杖に体重を預けながら立っている。
ここは『赤染山』にある墓地だ。
あじさい病院と山頂へと続く別れ道、それを山頂へと続く道へと進み、山頂間際の左側に続く塗装が施されていない砂利道を進むと辿り着く場所だ。
その墓地は低い木々に囲まれており、こんな夜中には姿が見えぬ虫の鳴き声が響く。
その鳴き声を聞きながら、オレは一人の少女の姿を思い起こす。
幼少から居場所が無く、孤独に過ごしていた少女。その病弱な体が故に、家族とも距離が生まれ、親しいと言える人間などいなかった少女。しかし、そんな孤独の中で、少女は勇也と出逢った。際限なく優しさを振りまく勇也によって、少女はようやく、たった一人の友人を得て、自身の居場所を得ることができた。
しかし、そんな居場所をオレが奪ってしまった。
兄と違い、器が小さい弟の手によって、彼女は唯一の安らぎの場を奪われた。
そして今、少女はどこかで泣いているだろう。
大好きだった少年から突きつけられた残酷な答えに、彼女は心が砕けているのではないだろうか。
しかし、もう引き返すわけにはいかない。
これは、オレの過ちを贖罪するための物語なのだから。
だから、真実を教えるわけにはいかないのだ。
「......さて、そろそろ帰るよ。補導なんてされたくないしな......」
目の前の墓石を見下ろしながら、オレは兄へと別れを告げる。
そして、踵を返そうとしたその時────
「お久しぶりです、勇也くん」
背後から、聞こえてはならない声が響いた。
ここ数日の間に飽きるほど聞いていた声。
オレはすぐに背後へと顔を向ける。
そこには、夏らしく浴衣を着込んだ千歳が立っていた。
「お前......何でここに」
オレの呆けた問いには答えず、千歳は静かに勇也の墓を見つめていた。
ただただ優しくその口元には小さく笑みを浮かべて、オレと出会った時と同じ、再会の喜びを噛み締める千歳の姿がそこにはあった。
ブクマ、評価をしていただくほど今回は内容を書いてないですね、はい。




