アルバム
今回は少々短くなります。時間の関係で申し訳ありません。
押し入れの奥から青色の表紙をしたアルバムが出てくる。
特に何かが表紙に書かれている訳でもない、一面真っ青な表紙だ。
「はい、これがご所望のアルバムよ」
母親が手に持ったそれを千歳へと手渡す。
「ありがとうございます!」
満面の笑みでそれを受け取った千歳。
「ここだと何だし、リビングで見ましょうか」
母親が提案する。
「はい!」
拒否することもなく頷く千歳。
オレには怒濤の勢いで反論してくるくせに、年上相手だと素直になる。
親としたら、こういう子供が可愛いんだろうな。
特に口答えすることもなく、素直に言うことを聞く子供が。
オレは駄目だ。
この年になり、反抗期が過ぎても尚、母親から
『早く宿題やりなさいよー』
と言われれば
『うっわ......今やろうとしてたのに、そう言われるとやる気無くすわー』
とお約束の返しをしてしまう。
別に母親に言われなくてもやらないのだが。
二人はリビングに入っていき、机の上にアルバムを広げる。
「うわー可愛いーー!」
そう感想を言う千歳。
見ると、千歳が見ている写真には、焼きトウモロコシを手に持ち、それを頬張っている幼少の頃のオレがアップで写っていた。
「これは......昔やったバーベキューの写真か」
記憶が甦る。
あの後、服に染み込んだ煙の匂いに何故か感動したのも思い出した。
「そうそう、この頃はコイツも可愛かったんだけどねぇ......」
過去形で言うなよ母親。
今も尚貴女の息子は可愛いままだよ。
「ふ......ふふふ」
突如笑いだす千歳。
何だろうか。オレの顔がそんなに面白いのだろうか。
「......どうした? 急に笑いだしたりして」
不気味に感じられたので声をかける。
これで予想通り『貴方の顔が面白かったから』とか答えられたら流石に泣く。
「いえ、昔のユウくんにそっくりだなぁと思って」
「当たり前だろ、オレなんだから」
幼少期からは少々顔つきも変わったかもしれないが、そんなに目を見張るほどではないはずだ。
「いえ、そうではなくて......昔の、優しかったユウくんの顔を思い出して」
そこも過去形なの?
今のオレってそんなに冷血だと思われてるの?
「そうねぇ、コイツもこの頃はもうちょっと素直で優しかったんだけどねぇ」
え、やっぱそうなの?
今のオレってそんなに悪辣非道な性格してるの?
口を出して余計に傷を広げる可能性もあるため、ここは黙ることにしよう。
そして、オレの写真で盛り上がる二人の談笑は夕方まで続くのであった。




