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十年前の約束 君を幸せにする約束  作者: 東頭明治
押し掛け女房(仮)
15/39

アルバム

今回は少々短くなります。時間の関係で申し訳ありません。

 押し入れの奥から青色の表紙をしたアルバムが出てくる。

 特に何かが表紙に書かれている訳でもない、一面真っ青な表紙だ。


「はい、これがご所望のアルバムよ」


 母親が手に持ったそれを千歳へと手渡す。

 

「ありがとうございます!」


 満面の笑みでそれを受け取った千歳。


「ここだと何だし、リビングで見ましょうか」


 母親が提案する。


「はい!」


 拒否することもなく頷く千歳。

 オレには怒濤の勢いで反論してくるくせに、年上相手だと素直になる。

 親としたら、こういう子供が可愛いんだろうな。

 特に口答えすることもなく、素直に言うことを聞く子供が。

 オレは駄目だ。

 

 この年になり、反抗期が過ぎても尚、母親から


『早く宿題やりなさいよー』


 と言われれば


『うっわ......今やろうとしてたのに、そう言われるとやる気無くすわー』


 とお約束の返しをしてしまう。

 別に母親に言われなくてもやらないのだが。


 二人はリビングに入っていき、机の上にアルバムを広げる。


「うわー可愛いーー!」


 そう感想を言う千歳。

 見ると、千歳が見ている写真には、焼きトウモロコシを手に持ち、それを頬張っている幼少の頃のオレがアップで写っていた。


「これは......昔やったバーベキューの写真か」


 記憶が甦る。

 あの後、服に染み込んだ煙の匂いに何故か感動したのも思い出した。


「そうそう、この頃はコイツも可愛かったんだけどねぇ......」


 過去形で言うなよ母親。

 今も尚貴女の息子は可愛いままだよ。


「ふ......ふふふ」


 突如笑いだす千歳。

 何だろうか。オレの顔がそんなに面白いのだろうか。


「......どうした? 急に笑いだしたりして」


 不気味に感じられたので声をかける。

 これで予想通り『貴方の顔が面白かったから』とか答えられたら流石に泣く。


「いえ、昔のユウくんにそっくりだなぁと思って」


「当たり前だろ、オレなんだから」


 幼少期からは少々顔つきも変わったかもしれないが、そんなに目を見張るほどではないはずだ。


「いえ、そうではなくて......昔の、優しかったユウくんの顔を思い出して」


 そこも過去形なの?

 今のオレってそんなに冷血だと思われてるの?


「そうねぇ、コイツもこの頃はもうちょっと素直で優しかったんだけどねぇ」


 え、やっぱそうなの?

 今のオレってそんなに悪辣非道な性格してるの?


 口を出して余計に傷を広げる可能性もあるため、ここは黙ることにしよう。



 そして、オレの写真で盛り上がる二人の談笑は夕方まで続くのであった。




 


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