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星の丘
街は混乱していた。
道路は車で埋まり、信号は無視され、サイレンが鳴り続ける。
空からは時々、光の尾を引いた石が落ちてくる。
隕石。
誰かがそう叫んでいた。
沙紀は車を走らせる。
ピンクの軽自動車。
ナンバーはゾロ目。
目立つ車だった。
こんな状況でさえ、パトカーが後ろについた。
「嘘でしょ……」
交通規則を完全に無視して走っている。
止まれば渋滞に巻き込まれる。
進めば警察。
沙紀はアクセルを踏み込んだ。
街を抜け、坂道を登る。
沖縄には、海が見える高台がいくつかある。
そのひとつ。
伊佐の丘。
そこに着いたとき、沙紀は思わず車を止めた。
景色が――
あまりにも綺麗だった。
空は信じられないほど星で埋まっている。
普通の星空ではない。
星が
近すぎる。
空全体が宇宙のように見える。
地面には青白い花が咲いていた。
見たことのない花。
そして周りを蛍が飛んでいる。
冬なのに。
静かな光が、丘を満たしていた。
そのとき。
空が赤く光る。
沙紀は顔を上げた。
巨大な火の玉が
空を裂くように落ちてくる。
隕石。
それが海の向こうに落ちた。
衝撃波が、少し遅れて丘を揺らす。
世界が
静かに壊れ始めていた。




