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空のカウントダウン
沖縄の冬は、基本的に暖かい。
夜でも湿った空気が残り、海から吹く風は少し生ぬるい。
だからその夜、空から落ちてきたものを見たとき、沙紀は最初、それが何なのか理解できなかった。
白い粒が、ゆっくりと落ちてくる。
フロントガラスに触れて、溶けた。
「……雪?」
沙紀は小さく呟いた。
沖縄で雪。
それだけでもあり得ない。
だが、もっと奇妙なことが起きていた。
空に、数字が浮かんでいる。
ぼんやりと青白く光る数字。
10
それがゆっくりと変わる。
9
「……なに、あれ」
通りを歩いていた人たちも立ち止まる。
スマホを構える人、指をさして笑う人、ただ空を見上げる人。
数字はまた変わる。
8
雪は少しずつ強くなっていく。
その時、遠くの空が光った。
雷でもない。
花火でもない。
星だった。
いや――
星が近すぎる。
沙紀はハンドルを握りしめる。
空の星が、まるで地面に落ちてくるような距離に見える。
そしてカウントは続く。
5
4
雪は、もう吹雪のようだった。
沖縄の街灯の下で、白い雪がぐるぐる舞っている。
沙紀のスマホが鳴った。
ニュース速報。
「世界各地で同時に異常気象が発生しています」
次の瞬間。
空の数字が 0 になった。
そして――
遠くの空で
何かが燃えながら落ちた。




