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パーティシペイタ― オブスキュア  作者: 後出しジャンケン
序章
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裏の物語7

「…このレディは君の知り合いだったのか……。それはすまないことをした。だが、クリエイターの力を俺に渡せば彼女を生き返らせることが可能だ。」


こいつの言葉が信用に値するものなのかは分からないが、僕の脳内に蠢く情報は僕の思ってる通りの結果にはならないということを告げている。


「ガワだけなんだろ。生き返るのは。」


無機的な乳白色が初めて驚きの色を見せる。


「ほぅ。前任者の記憶が受け継がれるのか…。だったら話は早い。俺の目的―――世界の新生。これをしてしまえば君が間違った運命に手を伸ばしてしまったことも、レディが死んでしまったことも全てやり直せる。後悔の種を潰すことが出来るのだ。」


「信用できるわけないだろッ!」


僕の声に呼応して背後から雲秋が襲いかかるもノールックで防がれてしまった。


「彼にやめろと伝えてくれないか?いい加減しつこいんだよ。まだやると言うのならこちらも相応な対応を取らざるを得なくなる。」


そう言って大量の剣兵達を創り出し雲秋と交戦させる。雲秋は次から次に攻撃され液状化して逃げようにも粉微塵にバラされてしまう。その上、何体かを自分の隣に侍らせ次はお前だと言わんばかりの剣幕だ。


だが、今の僕には対策が打てる。数には数だ。


NEUTRAL(中立)EQUALITY(平等)FAIRNESS(公平)この3つを持つトリプルネーム(三つ名持ち)

その能力は『相手を自分の人形と同じ土壌に引きずり込み永遠と決着をつけさせない』


公平になるようにお互いの能力の有利不利を調整し、どちらにも平等に「あいこ」という結果をたたき出し、自分は干渉しないことで中立を保つ。


ただ、誤解しがちなのは勝敗が着かないからといって戦況に優劣が無いわけではないということだ。つまり、相手を劣勢にして自身が戦闘に干渉してしまえば能力の前提が崩れ勝敗が着いてしまう。それは相手に干渉されてしまった場合も然りだ。


この能力は相手が単体である時に真髄を出す。クリエイターなどのように0から1を大量に生み出すことが出来る相手にはただの数出し合戦になってしまうのだ。


ここまでの情報があれば流石に勝機は見える。


僕は大量に鋼鉄の人形を生み出しトリプルネームに突撃させた。


「……愚かな。」


相手も対抗するように剣兵を増員。さらに自分から僕に向かって突進してくる。


剣で鋼鉄は砕けない。相手が自分から干渉するというのなら兵力が上の僕が圧倒的有利だ。剣兵を倒しきり、大量の兵が僕の援護にまわってくる。そうなればいくら戦闘経験に差があれど数の暴力には敵うまい。


僕は盾を創造、構え、相手の攻撃に耐える準備をした。この勝負は僕が耐え抜けば勝利だ。


トリプルネームは僕の盾を踏み台に背後を取る。僕が盾を相手に向けようとする隙に一撃、よろけた隙に一撃と得物の双剣で連撃を出してくる。痛覚は無いため痛くも痒くもないが人としての防衛本能なのか単に強い力が掛かって押されているのか、どうしてもよろけてしまう。


無理矢理盾を振るってみるも、既に相手は眼前から消えており、ガラ空きの背中に2発貰い、蹴りを食らってしまった。蹴りによって大きくふらつく。僕が後ろを見た時には手遅れで、腰から下を回転するように斬られる。


うつ伏せに倒れ、白い液体で一杯の背中を串刺し、仰向けに返され、胸を踏まれたかと思えば喉元に剣を突きつけられる。 


「どうした?勝てるとでも思ったか新人?」


いや、まだ勝機は……。そう言いかけた所で僕はあり得ない筈の光景を目にする。


鋼鉄と剣が未だに互角で戦っている。

そんなことはないはずなのだ。こいつの能力は瓦解しているのだから鋼鉄は既に勝利して僕の援護にまわっていてもおかしくない。


「前任者が知覚した情報しか得ることができないのか…。なら、ヒントを与えよう。何故、能力を3つ一気に使う必要がある?」


まさか、3つ一気に使っていない…そんなことが可能なのか!?EQUALITY(平等)FAIRNESS(公平)だけ使ってNEUTRAL(中立)は使わない。確かにそうすると能力は瓦解しない。


「でも、決着は着かないはずじゃ……。」


「そうだ。決着は着いていない。勝負はまだ続いている。その中でお前が劣勢、俺が優勢という戦況なだけだ。まぁ、お前にこの状況を逆転できる一手があるのならだがな。」 


そうだ。まだ負けじゃない。パーティシペイターVSスカウターじゃ互いに殺すことはできない。多少の無茶は承知で腕だけでも!


「………動か……ない……ッ!?」


「フン。予想通りの反応だ。こいつが動かないんだ。お前も動かない。それが平等ってやつだ。さて、お前はユーラシアに連行させてもらう。」


会話中は左手の剣を上下させ、会話が終わるとその剣を胸の中心に刺して持ち上げた。


僕は…ここで終わりなのか…。

そう考えると何処か楽観的に思えてきた。クリエイターとして生きようと人として生きようとどちらも苦しい思いをしなければならない。だったらいっそのこと死んでしまえばいい。


もう独りよがりでいいんだ。クズのままでもいいんだ。初めに決心したことじゃないか。僕はもう何にも関わりたくない。死ねばこれが叶う。


僕は死に希望を見出した。  


そんな、希望を、



「サクリファイスッ!」


一筋の暗黒が掻き消した。

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