保健室にて ~自信家~
「……僕が落ちているって事は全く思っていないですね? ちょっと意外です」
僕は藍さんがそんな不確定な事を信じるなんて思っていなかったので、かなり驚いた。
「……確かに創君の事を知らなかったら、こんな話をする事は無かったと思う。でも三ヵ月の間私の所に来る事もせず、必死になって勉強をしていた事を知っている。それに創君なら私が心配するまでも無いだろう?」
一瞬藍さんは考えるような素振りをしてから、当たり前のように僕にそう言ってきた。
「……まぁ、確かに今回は生まれて初めて本気で勉強しましたからね……試験内容を見ると正直そこまでする必要が無かった感は否めないんですけどね……」
僕は昨日思っていた事をそのまま藍さんに伝えた。
「……あはは……相変わらず自信家だな、創君は……私にはキミと同じ年頃にはそんな風にはいれなかったけどな」
藍さんは軽く笑った後、少し寂しそうな目をしながらそっと窓の外に視線を向けた。
「さて、藍さんこれから何しましょう?」
僕は藍さんが寂しそうな目をした事が何だか気になってしまい、ここが学校の保健室だという事も忘れ藍さんにそう訊いた。
「……? あははっ……気を遣わせてしまったか……すまない。そう言ってくれるのは嬉しいがここは学校で、しかも保健室だぞ?」
藍さんは一瞬不思議そうな表情をした後、また同じように軽く笑ってそう言ってきた。
「別に気を遣ったつもりは無かったんですけどね……実際の所、僕が何かしたかったからそう言っただけですし……まぁ、確かにここが学校だった事はすっかり抜け落ちていましたが……」
藍さんの言葉でここが学校だった事を思い出す事が出来たが、僕の頭の中はもう既に藍さんと遊ぶ事しか考えていなかったので、何をしようかと考えていた。
「はぁ……先生でもある私がサボりを推奨するのもどうかと思うが……私も創君と遊びに行きたい。今直ぐにでもね」
藍さんにしては珍しく僕の考えに乗り気なようで、少し口元を緩めながらそう言ってきた。
「おっ、珍しいですね……サボりが駄目とは言われないと思っていたけど、まさか藍さんの方から遊びに行きたいなんて言われるとは思いませんでした」
僕は藍さんの方からそんな事を言われるとは思っていなかったので、少し驚いた。
「……だって、三ヵ月も逢えなかったんだ……少しくらいわがままになっても良いじゃないか……」
僕と逢えなかった三ヵ月の間そう思ってくれていたんだと思うと、僕は居ても立っても居られなくなった。
「じゃあ折角のお誘いですし、行きましょうか遊びに」
僕はそう言うと、藍さんに微笑み掛けて藍さんの手を握って走り出した。




