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スノードロップ  作者: 白城縁
高校三年生 冬
116/372

保健室にて ~まるで『先生』みたい~

「……ふぇー大丈夫です」

 僕は先程の大胆な藍さんを思い出して恥ずかしくなり、そんな気の抜けた言葉を返した。

「はぁ、何で創君の方が恥ずかしがっているんだよ……私だって恥ずかしかったんだが、創君がそんな調子のせいで、何かどうでも良くなったじゃないか……」

 僕の気の抜けた返事に対して、大きく溜息を吐いた後、呆れたようにそう言ってきた。

「だって、あんなに大胆な藍さん初めて見たんですよ? こうならない方がおかしいですって……」

 僕は何とか気持ちを落ち着かせて藍さんにそう言った。

「そ、それを言うな……折角恥ずかしさが消えていたというのに思い出してしまうだろう?」

 僕がそう言うと自分のした事を思い出したのか、藍さんは慌てて僕から離れた。

「うんうん。やっぱり藍さんはそうじゃなくっちゃ。こっちの方がしっくりきます」

 僕は恥ずかしそうに視線を逸らしていた藍さんにゆっくりと近づき耳元で囁くようにそう言った。

「……!?」

 藍さんは僕の囁きによって言葉にならない悲鳴のようなものをあげ、今度は藍さんがその場に崩れ落ちそうになった。僕は慌てて藍さんの事を全力で支えて、今度は何とか床に倒れる前に受け止めることが出来た。

「す、すまない創君……だが耳元で囁くのだけは勘弁してくれ……いくら心臓があっても足りない……」

 僕の腕の中にいる藍さんは尚恥ずかしそうに、僕から視線を逸らしながらそんな事を言ってきた。

「……? 心臓って沢山あるんでしたっけ? それとも藍さん特別な人です?」

 僕は急に藍さんにそんな事を言われ少しパニックを起こしてそう返した。

「……創君は一体この三ヵ月の間、何を勉強してきたんだ? 心臓は一つしかないに決まっているだろう?」

 藍さんは僕がそんな事を言ったからか、少しの間開いた口が塞がらなかった様子だったが、しばらくした後、続けて僕にそう言ってきた。

「看護師の勉強?」

 僕は何故か疑問系で藍さんにそう返した。

「……看護師を目指す奴が、そんな事を知らなかったら色々とヤバいだろう?」

 藍さんは更に呆れたように、というよりは諦めた様子だった。

「……あー確かに。それはまずいかも知れません……でも、試験はバッチリですよ? 心臓が一個か二個かなんて問題は出て来て無かったですから……」

 僕はさも当たり前のようにそう言って、藍さんに微笑み掛けた。

「……まぁ、専門の試験は無いからな……でもそんな調子じゃ先が思いやられるな……仕方が無い私がマンツーマンで教えてやるとしようか……」

 僕の合格がまだ決まった訳では無いというのに、藍さんはまるで先生のようにそう言って口元を緩めた。

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