駅前にて ~妬きもち~
「それで……カラオケボックスなのか?」
藍さんは目の前に現れた僕たちの行きつけのカラオケボックスを目の前に呆れている様子だった。
「……ダメですか? 一度藍さんと一緒に来たかったんですけど」
僕はいつもののりでハウと遊びにくる感覚で悩む事なく、真っ直ぐカラオケボックスに来てしまった事を少しだけ反省していた。
「いや、別に私は歌わないと思うがそれでも良いなら構わないぞ? かなり歌が上手いって話を聞いているからそれだけでも十分楽しみだろうな」
悲しそうな表情を見て気を使ったのか、それとも本当に楽しみだったからか僕に笑い掛けながら僕にそう言って来た。
「うー気を使ってそう言ってるんじゃ無いですか? 確かに僕は歌に自信がありますけど……っていうか誰にそんな話聞いたんですか?」
僕は頰を膨らませながらそう言ったが、途中で誰からそんな事を聞いたか考えていたがハウしかいないと思い話を続けた。
「ハウですか……」
僕は呆れたようにそう言ってがっくしとうなだれてしまった。
「あはは……流石に分かるか、まぁ、キミの事を話してくれるなんて月見里君くらいなもんだからな」
藍さんは乾いた笑みを僕に向けながらそう言って来た。
「むー何か僕が知らない所でハウと仲良くしてるのは何か嫌ですね……」
僕は更に頰を膨らませて藍さんから視線を逸らしてしまった。
「まぁ、まぁ、別に創君も知っている通り、月見里君には彼女がいるからね……別に月見里君と二人っきりで逢っている訳では無いから心配しないでくれ」
藍さんは僕の気持ちを抑えるようにそう言いながら肩を軽く叩いた。
「むーだったら良いですけど……今度ハウと藤林さんに文句言わなくちゃ……」
僕は肩に乗った藍さんの手に自分の手を重ねながら、藍さんにそう言った。
「本当に可愛い奴だな創君は……こうしてやる」
藍さんはそう言うと僕の事をそのままぎゅっと抱き締めて来た。
「藍さん……」
僕はまさか藍さんからそんな事をされるとは思っていなかったので、少し驚いたがその温かい温もりに触れていたくてそのまま大人しく藍さんの腕の中にいた。
「さて、そろそろ落ち着いたか? いくら着替えをしたとはいえ、こんな時間にこんな所にいたら警察に補導されてしまう……早く創君の歌声を聞きたくてうずうずしているんだ」
藍さんは僕にそう言ってゆっくりと僕から離れた。
「……そうですね。ありがとうございます、僕の本気の歌声藍さんに聞かせてあげます。もっと惚れ直させてあげます」
僕はそう言って藍さんの手を握ってカラオケボックスへと入っていった。




