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26

 地球で起きた神々の戦いから半年後、ユン・ルイルックこと雨宮駿はシノこと柳桐詩乃と一緒に駿の実家に近い店でお茶をしていた。そしたら、詩乃は


「静かだね・・・あの戦いから半年も経ったっていうのに・・・町を見ると・・・活気が溢れている感じがするよ」


「そうだね・・・皆の顔が楽しそうな顔をしている・・・良いことだよ・・・世界を守ることは・・・地球を守ること・・・命をかけたかいがあった」


「そうね」


 詩乃は少々呆れたような口ぶりで言うと、駿は詩乃と同じように呆れた表情をしていた。何故なら


「詩乃お姉様・・・こんな所にいたのですか・・・早く・・・帰りましょう・・・あっ・・・駿さん・・・こんにちは」


「こんにちは・・・せっかくだし・・・君もお茶をしていく」


 里奈は仕方なく駿に言われたとおり席に着くと駿は店員にお茶を出すように言うと、店員は分かりましたといって準備をし始めた。それを見ていた里奈は駿を見て


「駿さん・・・この店の常連さんなのですか?」


「あぁ・・・小さい頃は良く・・・静佳姉と未海と一緒に来ていたんだ」


「へぇー・・・そうなんですか・・・でも・・・周りを見る限り・・・駿さん有名そうに見えますけど・・・」


「あぁ・・・それは・・・」


 駿はその理由を言おうとした時、この店のマスターがコーヒーを持ってきて


「それは・・・小さい頃のあの三人は・・・地域からは美少女三姉妹と言われていたからだよ・・・いやぁ・・・あの頃の三人は誰から見ても・・・姉妹にしか見えなかったからな」


「そ、そうなんですか・・・でも・・・駿さんは男じゃ・・・」


「うん・・・でもね・・・よく三人は一緒にいたから・・・地域の皆では・・・仲の良い三姉妹に見えていたんだ」


「そうだったんですか・・・里奈・・・未海ちゃんとは仲良くやっている」


「えぇ・・・未海ちゃんのような人は初めてよ・・・あんな天真爛漫な人は見たことがないから・・・良く味見してくるし」


「といっても・・・未海の作る料理は殺人級だがな」


「それっていったい?」


「未海の作る料理は絶対規制が入るような料理だから」


「それってつまり・・・見た目も味もヤバいということ?」


「その通り」


 駿は詩乃と里奈に事実を言うと、詩乃は


「それでも・・・あんたは・・・そんな妹を大事にしているんだろう・・・シスコンかい・・・あんた・・・」


「はっはっはっ・・・否定できないな」


 詩乃と里奈は駿が言ったことに笑みをこぼした。駿はそんな中、鞄から雑誌を出して読み始めたのだ。二人は駿が読んでいる雑誌が何なのか尋ねると、駿はその雑誌を見せると、その雑誌の内容はVRゲームの雑誌であった。その雑誌の内容を見て詩乃と里奈ははぁっと息を吐いた。その雑誌の内容はGROについて大々的に公表されたのだ。他の世界からGROにコンバート出来るシステムを導入された。だが、基本スペックは大幅に改善されなかった。つまり、GROの基本スペックは異常で圧倒的に高いスペックなのだ。それだけ『トリエンティア・ゼロ』が制作したGROは改善されるところがなかったのだ。しかも、始祖神精霊と女神の力が入っているので自己メンテナンスも自己アップデートもなく独自に対応できるゲームになった。こういった意味でGROは史上最高にして最強のゲームである。そういった内容が雑誌には書いてあった。その雑誌の内容を読んだ詩乃と里奈は


「まさか・・・ここまで機密に隠された幻のゲームだけはあるよ・・・クエストなんて・・・弱者の世界にしか存在していないし・・・」


「そうなんですか!!?」


「そうだよ・・・あの世界に必要なのは・・・力だ・・・どんな状況でもねじ伏せることが必要なんだ・・・そのために必要なのが力なんだよ」


「そ、そうなんですか」


「それだけじゃないわ・・・あの世界でのパッケージは『真世界』のことが表示されているが・・・その『真世界』では・・・世界最強勢力が存在する」


「世界最強勢力?」


「えぇ・・・その勢力は・・・三大勢力と呼ばれていて『四聖皇』、『神下七星界』、そして『聖霊軍本部』・・・この三つの勢力が世界の均衡を保っているの」


「しかも・・・その勢力は・・・世界だけではなく・・・地球・・・或いは宇宙を支配することが出来る奴らだ・・・そいつら全員・・・化け物レベルなんだよ」


「その化け物レベルにいる・・・駿と私は・・・真面な人間じゃないけど」


「そうなんですか・・・駿さんも・・・詩乃お姉様も」


 里奈はそう言いながら顔が沈んでいた。そしたら、そこに今度は未海がやって来た。


「お兄ちゃん!!?」


「どうした?・・・未海?」


 駿はここにいきなりやって来た未海に尋ねると


「お兄ちゃん・・・今度の学校祭の準備はしたの?」


「そういや・・・そうだった・・・学校祭の準備をしないといけないじゃないか!!」


「学校祭?」


 詩乃は駿が言った学校祭について尋ねると


「俺と未海の学校は中高一貫校で・・・まぁ、規模は八柳里波羅学園とは天と地の差はあるけど・・・」


「そう言わないで・・・教えてよ」


「分かったよ・・・学校祭の期間は二日間で・・・催し物が多い・・・庶民っぽいところかな」


「それもそうだけど・・・今年はお兄ちゃんが何か出さないとお客さんが来ないよ」


「それもそうなんだよな・・・前はカレー料理を出して好評かを得たし・・・今年は何しようか・・・そうだ・・・今年は中華にしよう!!」


「中華ね・・・うん・・・分かった」


 未海はそう言って店を出ていた。そして、駿も勘定をして学校へ行った。その後に詩乃と里奈もついて行った。その後、駿は学校に行って調理室で試作案を考えていた。そしたら、そこにクラスの皆もやって来て一緒に考えていた。途端に試作案を考え出した駿はすぐに調理に入った。そして、調理して作った料理は担々麺であった。具のベースは麻婆豆腐で作った担々麺であった。さっそくクラスの皆は実食をすると、美味い、美味しいと絶賛するが、駿は納得していない顔をしていた。だが、そんな中、クラスの皆と一緒に実食した詩乃と里奈は


「そうかな・・・私には・・・まだまだといったところだけど」


「えぇ・・・これを食べても途中で飽きる可能性だってあると思う」


 二人はそう言うと、駿は


「やはりそうだよな・・・これだけだと・・・客を引き寄せるのは難しい・・・この料理にあと一工夫を加えれば・・・味が劇的に変わるはず・・・担々麺を中心にするじゃなく・・・はっ!!・・・そうか!!・・・あれをベースにすれば」


 駿はそう言ってまた試作を調理し始めた。そして、次に作った料理はさっきと同じではあるが、真ん中にある大きな肉団子があった。まずは詩乃と里奈に出すと駿は


「最初に半分くらい食べたら・・・真ん中の肉団子を割ってみてくれ・・・その後にもう一度食べるんだ」


 詩乃と里奈は駿にそう言われて食べ始めると、半分くらい食べ終わると真ん中にある肉団子を割ると、そこから丸い何かが現れた。まるで


「月が現れた!!?」


「しかも・・・これ・・・カレー・・・カレーですか!?」


 と言うと駿は


「そう・・・その通り・・・これは時限式のカレー風麻婆麺だ」


 駿が料理名を言うと詩乃と里奈はもう一度食べると、そこから勢いよく完食してしまった。そしたら、詩乃はあの時に垂れ流れてきたカレーのことを思い出していた。そして


「あのカレーに使っていたスパイスは・・・クミン、カルダモン、クローブかな」


「そうだと思う・・・他にスパイスを加えると・・・麻婆の風味が落ちてしまいます」


 シノが言ったことに里奈も賛同した。そして、こう結論づけた。


「これならいけると思うよ・・・学校祭ではいけると思うよ」


 と評価すると駿は「よし」っとガッツポーズをとると、クラスの皆もほっとすると、直ちに使った食器を洗い出し始める。そしたら、詩乃は未海にどうして駿がこのようなことをしようとしているのかを尋ねると


「実は・・・前にお兄ちゃんが出した料理を食べた・・・料理人がまた出してくれるよね・・・と言われて仕方なくやることにしたんだよ」


「そうなんだ・・・でその料理人の名前は?」


「えっと確か・・・榎原姉妹だったよーな気がする」


「榎原姉妹!?・・・カレー界のトップにいる・・・あの・・・一つ聞くけど・・・前に駿が出した料理ってカレー料理だったよね?」


「うん!・・・そうだよ・・・それがどうしたの?」


「実は・・・榎原姉妹は・・・カレー界を牛耳るほどの姉妹なの・・・その姉妹が認めるなんて・・・駿・・・あんた・・・その時から天才だったんじゃない!?」


「そうかもな・・・でも・・・今回は・・・榎原姉妹だけじゃない気がする・・・」


「えっ!?・・・あっ・・・そっか」


「そうですね・・・駿さんは柳桐家に婿入りすることは決まったのですから・・・料理の腕前を知りたい料理人・・・食通などが来ると思うよ・・・詩乃お姉様・・・もしかしたら」


「えぇ・・・お爺様も来ると思うわ」


詩乃が言ったことに未海は苦笑いしながら顔を顰めていた。そしたら、駿は未海に


「未海・・・タークたちに伝えてくれないか・・・あの食材たちの準備をしてくれないかって」


「うん・・・分かったよ」


 未海はすぐに携帯をとりだして『ぬら組』の皆にそう伝えるとタークは携帯越しで


「分かったよ・・・ユン」


 と言って連絡を切ると詩乃は駿が言ったことにまさかといった表情をしていた。


「駿!?・・・貴方・・・まさか・・・あんたと私だけのフルコースを作る気!?」


「いや・・・それは出来ない・・・そもそも・・・今、熟していない食材を使うのはまずダメ・・・今回使うのは・・・それに近い取ってこさせる」


 駿はそう言うけど、未海と里奈は


「駿お兄ちゃんと・・・」


「詩乃お姉様だけの・・・」


「「フルコース!!?」」


 驚きを上げると里奈は


「ちょっと・・・学校祭でそんな物を出す気なの!!?」


「大丈夫だ・・・フルコースを作るのは・・・学校祭終了後にやる予定だ・・・それと詩乃・・・一つ言っておく」


「何?」


「さっき言ったよな・・・あの食材はまだ熟していないって・・・だが、正確に言うと・・・学校祭前に熟すと思うんだ・・・その間に俺とお前で・・・ある程度調理する・・・GROの至宝食材を・・・あと一つ・・・せっかくだし・・・今回来るのであろう食通の人たちに・・・GROの食材を食べさせてあげようと考えている」


「なるほど・・・今まで数知れず食べている食通の下を超える料理を出すつもりなのね・・・それじゃあ・・・『ぬら組』の皆協力させるつもり?」


「そうなるなぁ・・・まぁ・・・皆、もう一度食べたいと言っていたし」


「そういえばそうだったわね・・・でも・・・あの魚だけは・・・時間掛かるわよ」


「そうなんだよな」


 などとか言わしている駿と詩乃の間に割り込む未海と里奈


「お兄ちゃん!!・・・フルコースって何?」


「いつの間にそんな物を作ったの!!?」


「そういえば・・・未海と里奈は知らなかったな・・・俺と詩乃のスペシャリテでフルコースは・・・」


「GROに存在する・・・伝説、幻とも云われる至宝食材なのよ・・・その旨味は絶賛するほどの・・・でもGROの食材は・・・地球に存在する食材以上に美味いわ・・・調理も大変だったけど」


「おっ・・・来たな」


 駿は窓の方を見ると、窓からエルラがやって来た。そしたら、エルラは大きめなケースを持ってきていた。それを詩乃に渡すとエルラはまた何処かへ行ってしまった。詩乃はそのケースを開けると、そのケースの中には輝かしき油の中で泳いでいる六匹の魚がいた。詩乃はそれを見て


「いきなり・・・『サッサングラミー』よ!!」


「マジか・・・いきなり、そんな食材が来たのか!?」


「あの・・・『サッサングラミー』って?」


「別名『輝く魚』・・・とある山脈にある洞窟の中で生息している魚だ・・・この魚が泳いでいる水みたいのは油で・・・唐揚げを揚げても全然濁らない油なんだよ」


「へぇ・・・そんな油があるんですか」


 里奈はそう言うと未海は


「それって前に食べたような・・・」


「そうだよ・・・おとといの夕食に出した天ぷらはこの魚の天ぷらだ」


 里奈は未海がこの魚を食べたことに頬を膨らましていると駿は


「まぁ・・・学校祭が終わってからに食そうじゃないか」


 と駿は言った。


 そして、学校祭の一日目、駿のクラスの出し物である模擬店には世界的有名な食通たちがやって来て駿の顔を見ていた。さらに駿が出した料理を実食して退散していく。その間に詩乃はその食通たちに挨拶などをしていた。


 二日目は八柳里波羅学園の総帥の爺さんまでやって来て、しかも里奈も一緒に来ていた。その後に八柳里波羅学園の生徒たちもやって来た。皆、詩乃に再会の挨拶をすると、目当ての駿の料理の腕前を見て驚きを上げた。そして、学校祭終了し、駿と詩乃はすぐさま調理する着替えをして、その間にタークたちが持ってきてくれた食材の調理を開始し始めた。駿と詩乃、そして『ぬら組』の全員総動員でGROの食材の調理に取りかかった。


 まずは、軽めに里奈が食べたがっていた『サッサングラミー』の天ぷらを出した。それと一緒に金色の粉も出していた。そしたら、全員、その天ぷらを実食すると誰かが


「この天ぷらを見る限りこってりしているかと思ったら・・・さっぱりしている」


「しかも・・・身が銀色だぞ・・・美味い」


 などと言っていると『ぬら組』の一人が


「よろしければ・・・隣にある金色の粉を一つまみして天ぷらにかけてみてください・・・さらに極上に美味しいと思いますよ」


 と言って席を外すと、皆、隣にある金色の粉をつまみ天ぷらに振りかけると天ぷらは輝き増していた。それを見てゴクリとのどを鳴らすと天ぷらにかぶりついた。


 そしたら、いつの間にか手に持っていた天ぷらが消えていたのだ。それはつまり、相当の旨味があったということになる。次に出してきたのはそれぞれリクエストしていた料理が来た。全員、その料理に堪能していると、そこに詩乃がやって来て爺さんの所にやって来ると


「どうですか・・・お爺様・・・GROの食材のお味は?」


「なかなかの物だ・・・今まで感じたことがない味ばかりだ」


「それは良かったです・・・では・・・そろそろ・・・フルコースをご用意させていただきます」


 詩乃はそう言って厨房へと行った。それを見ていた爺さん。里奈はわくわくしながら待ち望んでいた。


 そして、ついに、駿と詩乃のフルコースが出てきた。そしたら、いきなりナレーションが入って


「それでは・・・駿様と詩乃様のフルコースをご堪能ください・・・では、まず・・・前菜『セプラインタ』です・・・『セプラインタ』とは・・・別名『命の食材』・・・それを食べたものは死の淵から蘇る食材ともいわれています・・・さぁ・・・召し上がってください」


 ナレーションが終わると全員『セプラインタ』を食べ始めると、あまりの旨さに意識が混濁してしまった。そして、『セプラインタ』を食べ終わると、次に


「次はサラダ・・・『エーマリシュ』です・・・この食材は空気の塊で出来ており・・・フレッシュの状態でお楽しみください」


 と言うと、『エーマリシュ』がやって来た。皆、サラダを食べていると、里奈はこう思った。


「(このサラダは・・・食べた瞬間・・・身体中に空気が満たされていくようだ・・・しかも・・・ここまでの旨味があるなんて・・・幸せ)」


 などと思っていると、次のナレーションが始まった。


「続いては・・・スープ!!・・・『ペティア』です・・・このスープは『表裏一体』といわれており生者と死者の語り合い・・・逆転するスープ・・・さぁ・・・ご堪能ください」


 厨房から透き通り綺麗なスープがやって来た。そして、テーブルの上に置くと、そこに駿がやって来て


「どうですか?・・・スープのお味は?」


「なかなかだ・・・これだけの食材を作るというのは・・・凄いことだ・・・未知の味といっても良い・・・だが・・・この料理は美味すぎるのが難点だ」


「それについては申し訳ない・・・この食材はGROそのもの食材で・・・わかりやすくいうと・・・GROから滲み出た旨味が・・・俺と詩乃のフルコースです・・・次は魚料理・・・『アネルザ』です・・・未知の味覚をご堪能ください」


 駿はそう言って厨房に戻っていった。そしたら、ナレーションは


「それでは・・・魚料理・・・『アネルザ』です・・・『アネルザ』は世界中の海の旨味の具現化・・・その旨味は新たな味覚を開花させます」


 ナレーションが終わると、厨房の方から小さな魚影が出てきた。そして、厨房から魚料理『アネルザ』を乗せて持ってきた。その皿をテーブルに置くと、ウエイトレスは下がっていた。


 そしたら、爺さんたちは『アネルザ』を口にする。『アネルザ』を口にした瞬間、周りの景色が一変した。何故なら、周りにあるもの全てが食材へと変わっていたからだ。だが、すぐに意識は元に戻り辺りはさっきまでと同じ風景だった。その間にナレーションは


「続いて・・・肉料理・・・『ニューベラス』・・・・・・『ニューベラス』はもともと・・・味がしない・・・いえ・・・味が全くしないのです・・・しかし・・・それは『アネルザ』を食していないといけないという条件付きですが・・・これまた至高の食材・・・それではご堪能を」


 と言って皆、『ニューベラス』を食べ始めるとこれ以上にない肉の旨味を感じていた。そして、次にドリンクの『アトランティム』とデザートの『アールベラス』を出した。最後に


「最後にメインディッシュ・・・『ゴーベラント』・・・GRO史上最高の食材・・・・・・歴史の食材です・・・遙か太古から存在した食材の結集した食材といっても良いでしょう・・・さぁ・・・ご堪能ください・・・神のお味を」


 そして、最後に『ゴーベラント』を堪能しているとそこに駿と詩乃がやって来て


「どう?・・・里奈・・・私と駿のフルコースのお味は?」


「美味しい・・・美味しすぎる!!」


「それは・・・お粗末様・・・疲れた」


「本当ね」


「お疲れ様・・・お二人さん・・・今回のフルコースの実食は誠に素晴らしかった・・・またいつか招待してください」


 そう言って食通の人たちは帰っていた。食通の人たちは帰りながら、八柳里波羅学園の総帥に


「これまた・・・すら恐ろしい料理人を見つけましたな」


「そうだな・・・この儂もあの男の料理を口した時に・・・まさかここまでの料理人とは思わなかった・・・そして・・・楽しそうに調理していた・・・儂はそれを見てこう思った・・・もしや彼が・・・詩乃の氷を溶かしたのではないのかと・・・そして・・・また料理が楽しめるようになったと思うのだ・・・・・・だが・・・あの男の才能はこんな所に留まらない・・・おそらく・・・彼にはまだ見果てぬ先を見ているのかも知れない」


 と爺さんが言うと食通たちは驚きを上げた。そして


「では・・・あの少年は・・・」


「我々の想像以上の所にいると・・・」


「うむ・・・これからの少年が・・・どのような世界を見せるのか・・・見物じゃな」


 爺さんはそう言って車に入って八柳里波羅学園に帰っていた。爺さんは車に入って八柳里波羅学園に戻っている途中、あることを考えていた。


「(あの少年は・・・未知の味に対する探求の嵐に飲まれていないのか?・・・大抵の者たちは・・・飲まれてしまうのに一体?)」


 爺さんはそう思いながら戻っていた。


 その後、多くの食通たちはそれぞれの車で帰っていくと、駿と詩乃は席について月を見ながら話し合いをしていた。


「それで・・・これからどうする?」


「そうだな・・・少し調べたいことがある・・・着いてきてくれるよな?」


「もちろん」


 駿と詩乃は席を立って、何処かへと行ってしまった。どこへ行ったのは、WSOではあるが、『ぬら組』の全員は駿と詩乃がどこへ行ったのか何となく察した。だが、里奈は


「どこに行ったの・・・お姉様!?」


「大丈夫よ・・・多分・・・休息を取ることに専念するじゃないかなぁ」


 と未海が言うと、ユキネが


「いえ・・・おそらく・・・研究だと思います・・・ユン様は・・・料理人であるのと同時に研究者でもあります」


「「研究?」」


「ユン様は・・・シノ様に会うまで・・・料理と研究を両立しながら・・・力をつけていました・・・主な研究内容は・・・精霊に関する研究など・・・薬草、霊薬などの研究をしていました」


「だが・・・あいつは『シンカー』たちが求めている・・・『四聖皇』が求めていたことにいち早く気づいたんだ・・・メリットとデメリットを・・・そして・・・それを封じる策も用意していた」


「でもね・・・それにはかなりの時間が必要としていた・・・それも・・・あの三人に気づかれずに・・・相当神経を使ったはずだよ」


「霊薬に関していえば・・・もはや神髄にまで達していた・・・本来なら・・・それを使えば良いのを・・・また新たな研究にのめり込んだ」


「だから・・・ユン様は・・・生粋の研究者だったかも知れませんわね」


 と『ぬら組』の幹部たちが言うと未海は


「だから・・・お兄ちゃんは・・・『薬髪』とか『妖髪』と呼ばれているんだ」


「その通り・・・だから・・・ユン様は・・・次の研究に・・・何をするのかしら」


「そうだよな・・・次の研究に何をしようとするのか・・・そこが心配だ」


 そう言って『ぬら組』の全員は後片付けをしていた。




 その頃、WSOの自前の店に着いたユンとシノはすぐに店を開店させ、店の奥の工房に入っていた。そしたら、ユンは工房の明かりをつけるとシノに向かってこう言った。


「今回の研究は・・・『精霊と人間の境界線について』だ・・・前々から気になっていた・・・何故?・・・人と精霊は相容れないのか・・・そこについて気になっていた・・・そして・・・こう結論づけた・・・人と精霊は互いにぶつかり合って消滅してしまう可能性があると・・・だが・・・ギンといった奴らはどうだ・・・あいつらはそれを使いこなしている・・・おそらく・・・それに耐えうる何かを持っているからだと思う・・・だが・・・今回はそこを研究するじゃない・・・精霊自体が剣士、術士、騎士のような奴らが存在しこれからの敵になるのではないかと・・・それも宇宙の果てから・・・」


 とユンが言うとシノはふーんと納得のいった顔をしていた。そしたら


「確かに・・・ユンの言うとおり・・・これからの敵にそんな奴らがいたとしたら・・・これからの脅威だね」


「あぁ・・・奴らにとって危険だと思っているのは・・・俺たちだ!!」


「つまり・・・『四聖帝』のこと・・・確かに・・・私たちはGROでは最強に部類するわね・・・或いは宇宙最強といっても過言じゃない」


「そういうこと・・・精霊が人の姿をし・・・なおかつ剣士といった存在になった場合・・・危険なことになるだろう・・・これから・・・そいつを『スピーラル』と名付けよう」


「そうね」


 ユンとシノは互いに頷き合うと、ユンはもう一つ懸念していたことがあった。


「もう一つある・・・それは『八王』について研究しようと思う・・・『八王』の恩恵、危険性、強さなどを知っておきたい・・・あの時の戦いでは味方としてみていたが・・・これからの共通の敵が消えた今・・・何が起きるか分からない・・・それについて知っておきたいと思って」


「良いんじゃない・・・私はついていくわ・・・どこまでもずっと一緒よ」


「シノ・・・ありがとう」


 それからはユンとシノは店で『スピーラル』と『八王』について研究していた。

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