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24(過去)

 今からの話はギンたちが『真世界』での序章の前の話である。それはSWOという世界での話でもある。そこで起こる話はカズとハルナの出会い、ユージとユリスの出会い、そして、ユンとシノの出会いである。

 ギンたちが『真世界』にやって来てから数日後、次に『真世界』にやって来たのはユンたち『ぬら組』であった。ユンたちはすぐに『真世界』の恐ろしさに痛感していた。そして、今の自分たちでは歯が立たないと理解した。だが、そんな中でも、『真世界』の情報を集めはじめた。情報を得て分かったことは今の『真世界』の状況は『シンカー』という存在が『真世界』の裏を牛耳っていることが分かった。それを知ったユンたちは規模もレベルもすぐに早々崩せるようなものではなかったので、仕方なくユンたちは『真世界』の近くにあるSWOに向かった。


 その後に『真世界』にやって来たのは、カズたち『セイント・ヴォルガル・スウィーナ』とユージたち『真・整合騎士団』である。二つの組織は『真世界』の凄さと恐ろしさに驚きを上げていた。そして、すぐに分かってしまった。今の自分たちでは生き残れないということに、そしたら、二つの組織はSWOの世界に向かっていた。


 その頃、ギンは中央からの『神下七星界』の申し出に乗り、『神下七星界』となった。ハクリュウたちに異論は無かった。そしたら、ギンは皆に今後の計画を話した。『真世界』をひっくり返す計画を話した。その計画を聞いてハクリュウたちは了承した。ギンは単独で『シンカー』の協力者がいる世界に向かっていた。その間にハクリュウたちはもう一人の協力者がいる世界に向かいながら力をつけていた。


 そして、舞台はSWO。WAOと同時期に発売されたVRMMORPGである。だが、それは伝説、幻のゲームであるGROグランド・ライズ・オンラインの一部であった。その世界における恋に近い話である。


 ある日のこと。SWOで最強のギルドである『精錬騎士団』の三人の副団長の一人であったハルナ、ユリスはハルナの知り合いの武器屋で武器のメンテナンスをしてもらっていた。SWOの下層にある店で武器屋としての経営はなかなかのものであった。そしたら、そこにシノとレイがやって来た。二人は緊急な報告があったようだ。ハルナとユリスはその店で聞くことにした。


「ここ最近噂になっている・・・妖怪の噂・・・ハルナが一番苦手な噂よ・・・その妖怪たちの本拠地がついに解き明かしたのよ・・・そこに行くために私が行くことになったのよ・・・嫌な話よね」


「本当だよ・・・私には妹がいるから・・・この一件から外されたけど・・・シノだけじゃ心配なのよね・・・あっ・・・リスリーさん・・・あたしの剣も研いでくれますか?」


「OK・・・良いよ!!」


 レイはこの店の店主であるリスリーに剣のメンテナンスを頼むと、リスリーも了承し剣を受け取ってメンテナンスし始めた。そしたら、シノは立ち上がってこう言いながら店を出ていた。


「それじゃあ・・・私は・・・妖怪たちの本拠地に行くわ・・・妖怪退治は任せて・・・」


 そう言って店を出ていたシノを見ていた。そしたら、数十分後に店に入ってきたのはカズとユージであった。二人は店の店主に武器のメンテナンスをしに来たようだ。リスリーは二人から武器を受け取ると、メンテナンスをし始めた。カズとユージは店の中にいたハルナたちを見てご挨拶した。


「これは・・・これは・・・『精錬騎士団』・・・副団長・・・ハルナではないですか」


「それにユリスではないですか・・・そして・・・レイではないですか・・・貴方たちはどうしてここに?」


 二人は紳士っぽく言うと、ハルナは


「あらっ・・・昔のように・・・呼ぶなんてどういう風の吹き回しかしら・・・」


「本当ねぇ・・・何でこんな所に来ているのかしら?」


「それに・・・誰ともつるまない二人がどうしてここに?」


 どうやら、カズとユージは墓穴を掘ってしまい謝ると、ここに来たわけを話した。


「俺たちは・・・もともと、この店の常連でね・・・今日はメンテナンスに来ただけだよ」


「それよりも今、妖怪たちの本拠地が分かったと言っていたが・・・それっていったい?」


 ユージはハルナたちが話していた妖怪たちの本拠地を尋ねると


「ここ最近噂になっている妖怪の噂・・・とある森に佇んでいる旅館には・・・妖怪がいるという噂を聞いたんだ・・・皆・・・あまりの恐怖で居場所が分からずじまいだった・・・」


「だが・・・その妖怪たちの本拠地が見つかった」


「その通り・・・本来なら大勢で退治に行くのが良いのだけど・・・そこまでの道のりで部隊が拡散し指揮がバラバラになってしまうことになる・・・だから上は多分・・・シノに一件を任せたんだと思う・・・心配だよ」


「えぇ・・・私もそう思います・・・何か嫌な予感がしてならない・・・心配だよ」


 ハルナとユリスは妖怪退治に向かったシノの心配をしていた。だが、そんな中、カズとユージは何となくその妖怪たちの正体を知っていた。二人の頭の中ではおそらく、『ぬら組』が関与していると思ったからだ。そしたら、リスリーが


「お待たせ・・・武器のメンテ終わったよ」


「ありがとう・・・リスリー」


「どういたしまして・・・ほら・・・あんたたちも」


「どうも」


「ご苦労さん」


 全員リスリーに代金を払って店を出て行き、町まで歩いていると、カズとユージは歩きながら


「なぁ・・・妖怪の噂・・・お前はどう思う?」


「まぁ・・・十中八九・・・ユンたちだろう・・・世間が妖怪騒動を起こしているだけで・・・ユンたちは関係ないと思うよ・・・ハルナたちのような奴らが勝手にそうしているだけだろう・・・邪魔者の排除という奴かな」


「それぐらいしか思いつかないよな」


 二人はそう言いながら歩いていた。




 その頃、妖怪退治に向かっていたシノは、妖怪たちがいる森の中にいた。生い茂る森の中を歩いていた。だが、一行に前を進んでいるような気がしていなかった。シノは歩きながら妖怪を見た人たちのことを思い出していた。辺りがいったいが霧で覆われたときに妖怪を見かけたと言っていた。そう思っていたら辺り一帯が霧に覆われていた。そして、近くに敵がいることに気づき武器を構えると、左側から何か鋭いものが来たので、躱すシノだが、鋭いものでつけられた傷から痛みを感じ、傷口から血が流れ始めていた。シノはそれを見て鳥肌が立っていた。何故なら、今までこんなことはなかったからだ。このまま戦えば死ぬということになるという恐怖に駆られてしまった。そしたら、左の傷口から激痛が走った。そして、意識が朦朧とし始めた。どうやら、さっきの鋭いものには毒が塗られていたようだ。シノはまずいと思い武器を構えようとしたが、その場に倒れ込んでしまった。そしたら、そこに一体の妖怪がやって来た。その妖怪は人型をした百足であった。シノはそれを見て、こんな所で死ぬのかという心境であった。そしたら、そこに背後から刀で両断され、その後に身体中を粉々に切り裂いて、その妖怪は消えていた。だが、いったい誰がやったのかシノは朦朧とした状態で助けに来た人を見ていた。だけど、そのまま気絶してしまった。




 次に目を覚まし意識を覚醒したシノは辺りを見回す。どうやら、ここは何処かの和室であった。起き上がるとシノは自身の身体を見ると、身体の至る所に包帯が巻きついていた。そして、左腕にあった傷はなくなっており、激痛が走っていた毒までも解毒されていたのだ。そしたら、そこに一人の少年がやって来た。しかも、粥を持ってきていた。


「おっ・・・起きたようだな・・・身体は大丈夫?」


 シノはその少年を見て、何処かで見たことのある人であった。そして、ある男を思い出した。


「貴方は・・・ユン?」


「うん・・・そうだよ・・・しかし・・・驚いたよ・・・まさか・・・百足妖怪に襲われていたのが・・・『精錬騎士団』・・・三人の副団長の一人・・・シノだったとは・・・百足の毒は解毒してあるから大丈夫だよ」


 と言うと、シノはどうしてユンがこんな所にいて、何故、助けたのかに気になった。そしたら、ユンがそのわけを話し始めた。


「いや・・・うちに帰る途中・・・森がざわめいてから・・・何かあったのかと思い・・・辺りを歩いていると・・・百足妖怪に襲われたシノを見かけたというわけ・・・まぁ・・・あの時は俺がその妖怪を倒したから良かったけど・・・ここらへんの森は・・・人よけの霧の結界を張っていたはずだが・・・なんでだ?」


 ユンはそう言っているが、シノには訳が分からなかった。そしたら、腹からくきゅっというかわいらしい音がした。シノは顔を真っ赤にしてぷいっとそっぽ向いてしまった。ユンは仕方なく持ってきた粥をシノの近くに持っていくと、シノは鍋の蓋を開けてレンゲで粥を掬って食べ始めた。そして、食べ終わるとシノはユンにお礼を言う。


「ごちそうさま・・・それにしても・・・ユン・・・あんた料理の腕があったんだね」


「お粗末様・・・あぁ・・・俺には妹とかいたから・・・その所為で家事能力が良くなっただけだよ」


 と言うと、そこに


「ユン様!!・・・ユン様が連れてきた人・・・目が覚めたって本当ですか?」


 やって来たのは、子鬼や目玉妖怪たちであった。シノはそれを見て、すぐに起き上がろうとした。だが、昨日のことがあってか。身体が言うことを聞けずにいた。そしたら、ユンが


「おめぇら・・・さっさと持ち場に戻ろ!!」


 と怒りながら言うと、子鬼たちは逃げろと言いながら逃げてしまった。ユンははあっと息を吐くとシノに近づく。でも、シノはユンに疑わしい目をすると


「ごめんな・・・いきなりのことで・・・君が思っていることは・・・さっきのは噂の妖怪だと思っているんだろう?・・・確かにその通り・・・その噂の妖怪たちとは・・・俺たち『ぬら組』の妖怪だよ・・・この森には・・・俺たち以外の妖怪を他の場所に移しているだけなのに・・・その所為で噂になっていたんだね」


 ユンはそう言ってまたはあっと息を漏らす。そしたら、シノに向いて


「御免・・・お願いだから・・・今回のことは内緒にしてくれないかな?」


 ユンがそう言うと、シノは


「別に良いよ・・・助けてくれたから・・・それでチャラにしてあげる」


 シノはそう言って目線を反らす。そしたら、ユンはほっと安堵の息を吐いて、粥が入っていた鍋を持って部屋を出ていた。その間、シノは布団の上に座り込んでぼぅーとしていた。頭の中ではユンのことを考え込んでいた。そしたら、急に顔がカァアーと真っ赤になっていき、頭をブンブンと振って霧散させた。だが、そこにユキネ、ターク、ナギニがやって来た。


「ねぇねぇ・・・貴方・・・いつまで・・・化けているつもりなの?」


「俺たちの目には誤魔化せないぞ」


「ここには人間なんていないんだし・・・正体を現したら・・・」


 ユキネたちに言われてシノは


「何だぁ・・・ここの奴らは・・・伊達に誤魔化せなさそう・・・」


 シノはそう言いながら妖怪化すると、ユキネたちはシノの妖怪の姿を見て


「お前・・・まさか・・・『天武狐』・・・」


「じゃあ・・・この人って有名な・・・」


「『魔狐のシノ』!!」


 と言うと、シノは


「えぇ・・・そうよ・・・久しぶりにこの姿になったから・・・あのような様をしてしまったのね・・・でも・・・ユンに助けてもらっただけでもよしとしましょう・・・お互い嘘をついていたんだし・・・」


 ユキネはシノが言っていたことにむっとなって睨むと、タークは


「そうか・・・最近・・・親近感が湧くような人がいたと・・・ユンが言っていたな・・・それがお前か・・・ユンに話したのか・・・自分が妖怪だということ・・・」


「いいえ・・・言っていないわ・・・そもそも・・・ユンがあの噂が高い『ぬら組』の総大将だったということもついさっき知ったことなのよ」


 シノはそう言うとタークは


「そうか・・・ユンはお前が妖怪であることを知っていたぜ・・・いや・・・正確に言うと・・・妖怪だったかも知れないだ・・・さっき言ったな・・・親近感が湧くって何となく分かっていたんだろう・・・あいつは・・・四分の一が妖怪の血だから・・・」


「あらっ・・・ユンって妖怪と人間のクォーターだったの?・・・私とは逆ね・・・」


「逆?」


「私は四分の一が人間の血なの・・・だから・・・他の人たちから見られる視線は嫌なものだった・・・ユンが羨ましく見えるわ・・・人間として生きていけるユンを・・・」


「そうか・・・それじゃあ・・・俺たちはもう行くから・・・あとはユン本人から聞くんだな」


 タークはそう言ってユキネとナギニと共に部屋を出ていた。シノはタークが言ったことに首を傾げると、そこにユンがやって来た。しかも、いきなりの登場であった。シノはいきなりの登場に驚きを上げるが、それ程のものではなかった。そしたら、ユンはシノにお茶を出す。


「それじゃあ・・・話をしようか・・・何か聞きたいことはある?」


「いつ、私が妖怪だということに気がついたの?」


「前々からね・・・最初にもしかしたらと思ったのは・・・夜で感じた僅かな妖力と君の行動が僅かにおかしかったこと・・・でも・・・確証したのは昨日・・・森の奥深くまで入り込んだのは・・・妖怪だけだから・・・でも・・・どんな妖怪かは分からなかったけど・・・まさか・・・君が『魔狐のシノ』だったとは・・・驚きだ」


「ユンは人間として生きているの・・・それとも妖怪として生きているの?」


「俺は妖怪として生きている・・・人間として生きていくことも出来たよ・・・でも・・・あいつらを纏めるには・・・妖怪として生きていくしかなかった・・・いや・・・妖怪として生きていくことを決めた」


「後悔はしていないの?」


「後悔はしていない・・・妖怪として決めたあの日からな・・・でも・・・心残りがあるとすれば・・・家族に何も言わずに黙ってGROに向かったことかな」


「そうなんだ・・・私も・・・妖怪として生きてはいる・・・でも・・・人間として生きていくことも出来た・・・だけどしなかった・・・SWOに来る以前の世界で・・・忌み嫌われていた・・・現実世界でも・・・自分と隣り合わせ出来る人はいなかった」


「つまり・・・今までずっと・・・孤独だったというわけか・・・でも・・・お前には『精錬騎士団』があるじゃないか・・・あっ・・・そうか」


「そう・・・ハルナも・・・ユリスも・・・レイにも・・・私の気持ちが理解することが出来ない・・・だから・・・ずっと孤独だったの・・・騎士団の皆にも・・・カズ・・・ユージにも・・・理解できないと思うわ」


「いや・・・カズとユージに関していえば・・・そうは言えない・・・あの二人は・・・君と同じだよ」


「どういうこと?」


「あの二人は・・・俺と同じ所からやって来たんだ」


「同じ所って・・・まさか・・・GROから!!?」


「そうだよ・・・カズは『ブラッキー』って呼ばれているし・・・ユージに関していえば・・・『青薔薇』って呼ばれている・・・かという俺も・・・『薬髪』または『妖髪』と呼ばれているから」


「そ、そうなんだ・・・じゃあ・・・あの『銀王』も知っているの?」


「ギン・ライラックのことか・・・あぁ・・・知っているよ・・・あれは強かった・・・今まで相手した中で最強の剣士だと思った・・・あそこまでの剣士は見たことなかったから・・・まだまだ世界は広いということになる」


「そうなんだ・・・私が思っているほど世界は広いんだね」


 など会話していると、ユンは


「そうだ・・・シノ・・・お前が孤独に感じるなら・・・俺たちと一緒にいる?」


「えっ?」


「ここは君が言うほど・・・皆強いよ・・・君だって・・・ここにいれば・・・自ずと見えてくる・・・決めるかは自分で決めな」


 ユンはそう言うと、シノは


「そんなの決まっているわ・・・ここで暮らすわ・・・ここなら落ち着いて暮らせそうだし・・・それに貴方もいるしね・・・」


 ユンはシノが言ったことに頬を少々赤くなりながら


「それっていったい?」


「知らないかも知れないけど・・・このSWO・・・女性から見ての男性陣で一番の人気者は貴方なのよ・・・ユン」


 ユンはシノが言ったことに顔を少々引き攣っていた。それは何となく理解していたからだ。


「何となく分かるよ・・・俺ってこんな美形な顔だし・・・女だと間違われることが多いし・・・泣きたいよ」


 と言うと、シノは


「あんたの顔が美形というのは分かるけど・・・女と間違われるっていったい?」


 そしたら、ユンはSWOの姿からGROの姿に変えると、シノはその姿に驚きを超え驚嘆したような顔をして固まってしまった。だが、すぐにハッとなって意識を覚醒すると


「あり得ない・・・何・・・こんな神のような美貌は・・・女の私の自信を挫かせるほどの美貌は何なのよ!!・・・あり得ない・・・絶対にあり得ない!!!!」


 ユンは完全にシノが壊れ気味になっているので、意識をもう一度覚醒させると


「ごめんなさい・・・でも・・・おかしい・・・ユン・・・貴方は・・・今までその姿を隠していたの!?」


「そうだけど・・・」


「もし・・・その姿で町中を歩いていたら・・・男からナンパされるわ・・・絶対!!」


「それじゃあ・・・俺を守ってくれますか?・・・シノさん」


「な、何をい、言うのかしら・・・も、もちろん・・・ま、守ってあげますよ」


 シノは顔を少々赤くしながら言うと、ユンは


「よぉーし・・・それじゃあ・・・皆に紹介するとしよう・・・シノ・・・お前はこれから俺の『ぬら組』の仲間だ!!」


 ユンはそう言って部屋を出て行く。そしたら、シノは


「ち、ちょっと・・・待ってよ・・・ただの仲間じゃ・・・やだ・・・・・・ユンの・・・女にしてよ」


 シノは顔を赤くしながら言うと、今度はユンが顔を赤くし何を言おうか頬をかいていると


「そ、それは・・・つまり・・・俺の彼女になりたいということか・・・」


「えぇ・・・そうだけど・・・ご不満?」


「い、いや・・・それは良いけど・・・俺で良いのか・・・シノ?」


「えぇ・・・これから末永くお願いします」


 シノはユンにそう言うと、ユンは頬をかきながらこう言った。


「こちらこそよろしくな・・・シノ」


 ユンはそう言って部屋を出て行った。それを見ていたユキネたちは嬉しそうな顔をしていた。そしたら、ユキネたちは部屋から離れそれぞれの持ち場に行った。


 それからの数日間、シノはユンの屋敷で過ごしていた。その間にシノはユキネたち女性陣と仲良くなっていき、ユキネたちからはどうやってユンと付き合うことにしたのと質問攻めに遭っていた。そして、ある日のこと、厨房で皆の食事の準備をしていたユンの所にやって来たシノはユンの姿を見て


「そういえば・・・あんた・・・妹さんに料理を出していたんだよね」


 シノはそう言いながらユンに近づいていく。


「あぁ・・・そうだよ」


 と言うユンに近づくシノは厨房に置いてあった包丁を見て、そして、ユンの調理を見ると


「あんた・・・なかなかの料理の腕をしているね」


「どうしてそう分かるの?」


「この包丁を見る限り・・・なかなかの業物よ・・・それに砥石でしっかりと手入れをしている・・・これは・・・プロの料理人の証・・・そして・・・貴方の調理に対する繊細さ・・・一級品よ・・・貴方・・・本当にごく家庭にいる主婦じゃないよね!!?」


「そうだけど・・・そんなにおかしい?」


「えぇ・・・おかしいにも程がある・・・ここまでの腕をして・・・それが・・・一般家庭の主婦なんてあり得ない・・・しかも・・・あんたの仲間たちの数は結構いたよね・・・その人数分を一人でこなすなんて・・・ユン・・・貴方は・・・ある種の天才でしょう・・・」


「そんなことはないよ」


 ユンはそう言うがシノは挑発的なことを言った。


「まぁ・・・私の方が上だと思うけどね」


 ユンはそれを聞いて


「ほぉ・・・そこまで言うなら・・・料理勝負と行こうじゃないか」


「えぇ・・・望む所よ!!」


 その後、ユンは皆に食事を出した後、すぐに厨房に戻ってシノとの料理勝負をすることにした。そしたら、ユンはシノに勝負のお題を尋ねるとシノは


「そうねぇ・・・お題は・・・「洋食のメイン」で良いんじゃない?」


「「洋食のメイン」か・・・良いだろう・・・それよりも・・・出てこい・・・ユキネ、ナギニ、エルラ」


 ユンが厨房出入口の方に向かって言うと、そこからユキネ、ナギニ、エルラが出てきた。シノはそれを見て、唖然としていた。だが、ユンは


「ちょうど良い・・・お前ら・・・審査員を頼む!!」


「審査員?・・・ユン様・・・それっていったい?」


 ユキネはユンが言ったことにオウム返しに言うと


「これから・・・俺とシノの料理勝負をするから・・・その審査員を頼むということ」


「分かりました」


 ユキネは了解したというと、ユンは髪をひもで結ぶ。そして、ユンとシノは別々の厨房について、さっそく調理に入った。


 そして、一,二時間後。まず、最初に料理が完成したのはシノであった。料理名は


「さぁ、召し上がって『鰻のマトロート』でございます」


 ユキネたちはそのマトロートを一口食べると脳を刺激が来た。そうなった理由をシノが説明する。


「鰻の中にはプラムつまり、すももを挟んで焼いて調理した」


 ユキネたちはシノが出した皿を食べ終わると、次に出したのはユンであった。ユンが出した料理名は


「「鴨のアピシウス風」でございます・・・どうぞ・・・お上がりよ」


 ユキネたちはユンの皿から発せられる香りだけでも幸福感があった。そして、ユンの皿の料理を食べるといきなり捕まれたような感じがした。そしたら、一瞬にして食べ終わっていた。それを見ていたシノはユンが出した料理から発せられた香りから分析した。だけど


「(う、嘘でしょう・・・あの皿だけに・・・いったい何種類のスパイスを使っているの!!?・・・まさか・・・今まで爪を隠していたというの!!?)」


 シノはユンが出した料理に戦慄が走った。そして、審査員の結果でユキネはユンを押し、ナギニはシノを押した。だが、エルラはまだ決めかねていた。そして、こう結論づけた。


「私は・・・ユンの皿を押すわ」


 エルラが言った結果によって、この料理勝負の結果は2-1でユンの勝利になった。シノはその場で放心になってしまった。だが、すぐにシノはユンに


「ユン・・・今回は負けたけど・・・次こそ勝つわよ」


 シノは目元にほんの少しだけ光るものが溜まっていた。ユンは


「もちろん・・・俺もお前から完全勝利をするまで挑み続ける」


 ユンもシノに負けないくらい挑戦を叩き付ける。それから、ユンとシノの料理勝負は九十九回にまで続いた。勝敗結果はユンが九十九戦中七十二勝をし、シノは二十七勝しかしていない。しかも、九十九回にも及ぶ料理勝負で二人の料理の腕がどんどんと磨き掛かっていた。そして、百戦目でユンは『ぬら組』以外の人たちに審査してもらうことにした。そしたら、ユンとシノは森を出て、ハルナたちがいるのであろうリスリーの店に向かった。


 そして、リスリーの店に入ると、店の中にはハルナ、ユリス、レイ、ユージそしてカズがいた。カズとユージはユンを見て内心驚きを上げていた。


「(こいつ・・・前にあったときにより・・・数倍強くなっている)」


「(しかも・・・ここまで・・・感じる・・・存在感・・・もの凄い成長)」


 だが、ハルナたちはシノを見て驚きを上げていた。


「し、シノ・・・」


「い、今までの・・・シノじゃない」


 そしたら、シノはハルナたちにお願いした。


「お願い!!・・・私とユンとの料理勝負を審査して欲しいの・・・出来ないかな?」


 ハルナはシノのお願いに


「えぇ・・・良いけど」


 と言うと、シノは、よしと言ってグッと拳を握ると、ユンは


「そうだな・・・ちょうど・・・ここにいるのは五人だから・・・お前ら全員で・・・俺とシノの料理を審査して欲しい・・・お題は「ラーメン」・・・場所はどうしようか」


 ユンはシノとの勝負に場所をどうしようかと考えているとユリスが


「じゃあ・・・『精錬騎士団』本部でするのはどう・・・あそこの厨房設備だったら・・・ラーメン作るぐらいならいけるじゃない」


 と言うと、ユンたちはさっそく『精錬騎士団』本部の厨房に向かった。そして、ついにユンとシノの料理勝負が始まった。二人はすぐに厨房について調理をする。一,二時間後、最初に料理を出したのは、ユン。出したラーメンは


「「スープ・ドゥ・ポワソンラーメン」だ・・・どうぞ・・・お上がりよ」


 ハルナたちはユンが出したラーメンの麺をすすると、意識が持って行かれる旨味の攻撃がやって来た。そして、ユンのラーメンを食べ終わると、次に出したのはシノ。シノのラーメンは


「どうぞ・・・「こづゆ鳥醤油ラーメン」よ・・・召し上がって」


 審査員全員はシノが出したラーメンを食べ終わると、勝負の結果は3-2でユンの勝ちになった。ユンは、お粗末と言う。そして、シノは納得しきった顔をしていた。何故なら、60戦目以降から感じていた。ユンの成長速度にかつての自分に似ていたからだ。シノは小さい頃から家のしきたりでプロの料理界で叩き込まされていた。さらに、家族からの調理技術を叩き込まれ、料理に関する知識を教え込まされていた。そして、新作料理を作るときが一番楽しんでいた。その頃、私は料理をするときはいつも笑って調理をしていた。けど、今となっていえば、自分と渡り合える料理人が存在しなくなった。その時からか、私は調理をするとき、笑わなくなった。でも、それはユンと出会うまでは、初めてユンと料理勝負をしたときから感づいていた。ユンの才能、料理人としての才能はこの私と同じかそれ以上の才能を持っていた。その後も私はユンに何度も料理勝負を挑むもユンに勝てるのはあんまりなかった。しかも、ユンと料理勝負する度に何故かあの頃の自分に戻っているような気がした。さらに、ユンは昔の自分のように料理勝負する度に技術を吸収していた。ユンと料理勝負をするときは私も料理を真剣に打ち込んでいていつのまにか笑って調理していた。


 シノは内心そう思っていたら、ユンは退散の準備をしていた。シノはそれを見て自分も準備を開始していた。ハルナ、ユリス、レイはシノを見てこう思った。


「(シノ・・・貴方は・・・大切な人が出来たんだね)」


「(がんばってね・・・シノ)」


「(貴方は・・・『精錬騎士団』の副団長であるのと同時に・・・ユンの・・・)」


 そうして、ユンとシノは『精錬騎士団』本部を出て『ぬら組』の所へ戻っていた。


 そして、『ぬら組』に戻る途中、道端の真ん中に立っていた人の顔にユンは足を止めた。そして


「久しぶりだね・・・しばらく見ない間に・・・そんな女性を彼女にしていたとは・・・隅に置けない男だ・・・ユン・ルイルック」


「そうだね・・・驚いたよ・・・君が中央の犬になったのは世界中で驚嘆したと思うよ・・・それで何しに来たんだい?・・・ギン・ライラック」


 シノはユンが言ったことに驚きを上げた。だが、ギンは


「俺が『神下七星界』になった理由は・・・俺の計画を成功させるためだ・・・まぁ・・・まずはそちらのお宅で話をしよう」


「そうだな・・・その方が賢明だね」


 ユンはそう言ってギンを『ぬら組』に招き入れた。そしたら、ギンはさっそく話を切り出した。


「ユン・・・君たちは・・・偶然・・・この世界にやって来ただろうけど・・・この世界には『真世界』を引っかき回せるほどのある重要物が眠っている・・・『真世界』で生き残る方法は二つしかない・・・『四聖皇』の傘下に入るか・・・挑み続けるかだ・・・俺から見る限り・・・お前は・・・誰かの下につくようなタイプじゃない・・・」


「あぁ・・・そうだけど」


「だから・・・俺たち『ジ・エンパイア』との同盟を結べ!!・・・『四聖皇』を引きずり落とす策がある!!」


 ぎんがいったことにシノは


「「『四聖皇』を倒す」ですって?・・・貴方が言う策には段取りあると見えてよろしいかな?」


「その通りだ・・・さっき言ったな・・・この世界には重要物が眠っていると・・・その重要な物こそが・・・『四聖皇』を倒せるチャンスだ!!・・・どうする・・・ユン?」


「一つ聞いていいかな・・・何故・・・俺なんだ?」


「君たちだけは・・・『真世界』での情報を集めている・・・さらに言うと『シンカー』の情報を得ている・・・そして・・・『四聖皇』の情報も」


「よし・・・やろうじゃないか・・・その同盟」


「決まりだな」


 こうして、ギンの『ジ・エンパイア』とユンの『ぬら組』は同盟を結んだ。そしたら、シノは


「一つ聞いていいかな?・・・貴方はこの『真世界』のことも・・・『シンカー』のことも知っているの?」


「あぁ・・・知っているよ・・・俺は『シンカー』の正体を知っている・・・奴の名は俺と同じ『神下七星界』の一人・・・『悪魔の夜叉』フーランゴ・・・どうして・・・俺は『真世界』のことを知っているのかというと・・・俺は・・・5,6年前まで・・・『真世界』にいた・・・その時に知った・・・『真世界』は・・・全ての常識は通用しない・・・必要なのは・・・情報と力だけ・・・それだけが『真世界』で生き残る最低条件・・・これが『真世界』での恐ろしさ・・・『真世界』は本当の強者だけが生き残れる世界だ・・・だが、ここ最近・・・奴らは力をつけている・・・新戦力を整えている・・・まるで・・・何かの準備をしているかのように・・・序章に過ぎない・・・奴はこう言った・・・手に負えないうねりと共に豪傑たちの新時代がやって来る・・・俺の計画はその歯車を壊す計画でもある・・・『真世界』を戦乱の世界にする」


 ユンとシノはそれを聞いてゾクゾクしていた。そしたら、ユンは


「それじゃあ・・・さっそく行動を開始するか」


「あぁ・・・そうだな」


 まず、ギンはユンに『真世界』を引っかき回せるほどの重要物はSWOとWAOにある。WAOの方はハクリュウたちに任せたのだ。それでギンはこの世界の協力者を捕らえることに専念した。そしたら、ユンはシノ共にこの世界に残りギンのサポートに回り、タークたち幹部はWAOに向かった。それからの先は研究所での話である。

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