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地球で起きた神々の戦い、『カオス・ネオ』との戦いからさらに二ヶ月後のこと。
ギン・ライラックこと朝宮銀次は星埜小雪だけではなく名倉恵美と赤坂美琴を花嫁として責任をとることを決めた銀次は朝宮家の庭園で鍛錬をしていた。そしたら、そこに小雪、恵美、美琴がやって来た。銀次はここにやって来た三人を見て刀を鞘に収めて三人の方に向いた。
「小雪・・・恵美・・・美琴・・・どうしたんだ?・・・ここにやって来て?」
と三人に尋ねると恵美が
「実は・・・小雪に聞いたんだけど・・・貴方と小雪は女神に力をもらったんだよね・・・だから・・・私や美琴にも・・・」
銀次は恵美の真意が分かった。仲間はずれにされたくないというわけだ。それを分かった銀次は
「良いよ・・・そういえば・・・恵美や美琴に力を与えないと・・・俺との子を身籠もったときのことを考えると・・・頭が痛くてしょうがない・・・二人とも・・・こちらにおいで」
銀次はそう言うと恵美と美琴は銀次の所に行く。銀次は二人の頭に手を置いて闘気を流し込む。二人はいきなりのことで一瞬、身体がビクッとなったが、即順応した。そして、二人に闘気を流し込むと、二人の身体では、銀次と小雪と同じような状態にするように女神から授かった闘気、始祖神精霊たちの加護、その加護に耐えうる肉体に順応させるためにその場に座り込む。そして、しばらくした後、二人の身体から剣らしきものが出てきた。そしたら、恵美と美琴はその場で倒れ込んでしまった。それから、さらに数分後、恵美と美琴は目を覚まし起き上がる。そしたら、そこにいた銀次と小雪、そして、二人の目の前にあった剣を見て、どうやら身体が銀次の闘気に馴染んだことになる。二人は目の前にある剣を拾い上げ見ていると、銀次と小雪が
「へぇー・・・その精霊剣・・・神級の精霊剣だな・・・二人とも・・・」
「本当・・・二人とも才能あるね・・・ギンちゃんの闘気で精霊が目を覚ましたんだ・・・持ち主が次の次元に上ったから・・・」
「まぁ・・・それしかないだろう・・・これは教え甲斐があるぞ」
「ギンちゃん・・・嬉しそうだね」
「ここ最近退屈でね・・・鍛錬してないと落ち着かない・・・やっぱり俺の人生戦いたい性分なんだろうねぇ」
「そうじゃないと思うよ・・・ギンちゃんはこれからの世界を守らないといけない・・・ギンちゃんの存在が・・・地球・・・GROに多大な影響を与えているんだよ」
「それもそうか」
銀次と小雪がそう会話していると恵美と美琴が二人の会話に割って入った。
「あの・・・銀次・・・この剣は・・・いったい?」
「それにこの剣からもの凄い力を感じるだけど・・・そして、身体からにじみ出しているのはいったい?」
と言っていると銀次と小雪が説明した。
「その剣は精霊剣・・・恵美・・・美琴・・・貴方たちが持っている剣は・・・貴方たち自身が身体に宿っている精霊が刀剣となって具現化したものだよ・・・」
「そして・・・二人の身体から滲み出ているのは闘気・・・自身の気力といったものが変化したもの・・・闘気が空になれば・・・疲れてしまうから気をつけろよ・・・闘気は・・・身体中に血液のように流れている・・・それを放出している・・・だから・・・気をつけないとすぐに・・・制御しないとガス欠して動くことも出来なくなるぞ・・・」
と説明したら、恵美と美琴はすぐに闘気を身体に留め、身体中に流れようにすると、身体から滲み出ることはなくなった。だが、少しだけ気怠いような感覚を醸し出していた。銀次はそれを見て三人を連れて屋敷に戻っていた。
そして、翌日、銀次は三人を呼んで朝宮家の鍛錬室に向かった。銀次はそこで恵美と美琴に精霊の使い方を叩き込ませることにした。小雪は銀次の考えを理解して二人のサポートに入ることにした。まず、銀次と小雪はギン・ライラック、ユキの姿になって二人の前に立つと
「じゃあ・・・まずは・・・恵美・・・美琴・・・お前らには・・・自身の精霊と対話してこい」
恵美と美琴はギンが言っていることに疑問符を浮かべる。そしたら、ユキが詳しく説明した。
「今の貴方たち二人は・・・精霊を刀剣に具現化しても・・・精霊を本当に使えたとは言えない・・・精霊自身の名を聞いて・・・精霊の能力を解放させないといけない・・・それが精霊の本当の使い方・・・」
「どんなに優れた精霊を持つものでも・・・長期にわたる鍛錬が必要だが・・・俺が無理矢理こじ開ける・・・俺はそうやったけど・・・ユキ・・・君は?」
「私も・・・無理矢理目覚めたかな・・・あの時は・・・『蛮竜』の声が聞こえたから・・・使えるようになっただけだから・・・恵美も・・・美琴も・・・力ずくでこじ開けて目覚めさせた方が・・・効率が良いと思う」
「そうだね・・・それじゃあ・・・今から始めるけど・・・二人とも覚悟はいいかい?」
恵美と美琴は真剣な顔つきで頷くと、ギンは二人に闘気による威圧で二人の意識を精霊の心象世界に行かせた。
恵美と美琴はそれぞれの心象世界で意識を目覚めさせると、そこにいたのはこの世界を支配する精霊がいた。そして
「やぁ・・・何しに来たんだい?・・・我が主・・・恵美・・・」
「貴方は私に宿っている精霊・・・なの?」
「いかにもその通り・・・私の名は・・・だ・・・」
「えっ?」
恵美は今、目の前にいる精霊が言った名が聞こえなかった。それを見た精霊は
「どうやら・・・今の主は・・・私の名が分からないようだ・・・だけど・・・私は貴方のことをずっと知っている」
「知っている?・・・いつから?」
恵美は精霊が言っていたことに問い返すと
「貴方が生まれた時から・・・」
恵美はそれを聞いて驚きを上げ
「それっていったい?」
「本来・・・私たち精霊は・・・宇宙に点在する星々に存在する・・・そして・・・ある時は・・・地球に存在する人類に宿ることがある・・・だが・・・人類は私たちの存在を知ることもしない・・・全ての起源であるGROに連れて行ってやっと気づくような生命体・・・それでも・・・私たちは太古の流れに従い・・・人類が生まれた時に宿る・・・持ち主の心境も理解できるのは私たちだけ・・・恵美・・・貴方をここに行かせた人は・・・あの世界に飛ばされる以前から私たちの存在に気づいていた・・・だが・・・対話の仕方が分からなかっただけ・・・」
「そうだったんだ・・・やっぱり凄いなぁ・・・銀次は・・・」
「我が主に問う・・・貴方は朝宮銀次のことをどう思っている・・・自分の本心はどう思っている?」
「私は・・・その・・・彼を・・・」
恵美は彼を銀次のことは好意を持っているのは事実。だが、自分の本心を言っていないのは事実でもある。
「(そもそも・・・私は・・・小さい頃から親に言われたとおりのことをしてきた・・・剣術も勉学も・・・全てが・・・言われたとおりのレールの上で歩んでいく人生なのかと思った・・・だけど・・・そんなときに会ったのが・・・銀次だった・・・銀次は・・・家族からでは・・・次期当主になれるほどの人だと言われていた・・・だけど・・・そんなことなど気にしていないほど・・・自由に楽しんでいた・・・どうしたらそんな風に自由に生きられるかを聞いたことがある・・・そしたら、彼はこう言った・・・「(俺は・・・敷いたレールの上で生きていくのは・・・面白くないから)」と言った・・・その時・・・私は・・・彼に憧れも惚れていたのかも知れない・・・そして、今・・・彼は・・・世界最強の軍隊の頂点にいる・・・自分の本心も伝えずに・・・彼の傍にいることがおこがましい自分がいる・・・全く・・・嫌な人生だ・・・でも・・・もうそんなことはどうでも良い・・・彼を追いかけることは止める・・・これからは・・・彼の隣で共に歩いて行こう)」
と恵美は何かに吹っ切れたような顔をすると精霊は
「どうやら・・・吹っ切れたようだな・・・ならば・・・もう一度問おう・・・主は朝宮銀次のことをどう思っている?」
「私は銀次のことを好きだ・・・彼の後ろを追いかけることもなく・・・彼の隣で歩んでいく」
精霊はそれを聞いて、ついに自らの名を言い始めた。
「今の主なら・・・私の名は聞こえるはずだ・・・名は『白光蓮』」
「『白光蓮』・・・良い名だ・・・ありがとう・・・『白光蓮』」
と言って恵美は心象世界から意識が消えた。それを見ていた『白光蓮』は独り言であるが
「また・・・会えるから良いけど・・・まさか・・・『凪』が私の融合相手とは・・・大変だな・・・主は・・・」
と言って消えていった。
時を同じくして、美琴も精霊の心象世界に来ると、そこにいた精霊を見てこう言った。
「お前が・・・俺に宿っている精霊か?」
「いかにも・・・私は・・・と言う・・・」
美琴は精霊が言ったことに不明なところに感づいて尋ねた。
「てめぇ・・・今なんて言った・・・全然聞こえねぇぞ!!」
「そうか・・・今の主では・・・聞こえないか・・・仕方ない・・・一つ問いたい・・・主は・・・朝宮銀次のことをどう思っている?」
「どうって?」
「彼と戦いたいか?・・・彼を好いているのか?・・・どっちなんだい?」
精霊は美琴にそう問いかけると美琴は
「戦いたい・・・俺は・・・銀次と戦いたい!!」
「そうか・・・では主は・・・彼のことを好いていないというのか・・・違うな・・・主は彼のことを好いている・・・好いているからこそ・・・彼と戦いたい・・・矛盾しているな・・・主よ」
精霊が言ったことに美琴は内心では
「(そうだ・・・俺は・・・彼を・・・銀次を好いている・・・剣を握って鍛錬していた彼を見て・・・俺もあんな風になりたいと思って剣を振るった・・・そして・・・初めて・・・彼との真剣勝負で・・・敗北した・・・その時かな・・・俺が・・・彼に好いてしまったのは・・・そして・・・もう一度戦いたいという感情が出たのは・・・俺を女として見た奴は容赦なく叩き潰した・・・だけど・・・彼だけは・・・俺を好戦的な剣士として見ていた・・・俺を女としてみていなかった・・・だから・・・俺は・・・銀次のことを好いてしまった・・・あいつに認めてもらいたくて・・・ひたすら追い続けていた・・・今でも・・・ずっと・・・)」
美琴は拳を握っていると、精霊はさらに追い打ちをかけるように言った。
「主は・・・ひたすら追いかけ続けた彼から認めてもらいたいという感情だけで・・・ひたすら挑み続けていた・・・けど・・・彼が君を認めてもらったことがあったかい?」
美琴は精霊が言われたことに歯を食いしばっていた。
その頃、恵美は精霊の名を聞いて意識を現実世界で目を覚ます。それに気づいたギンとユキは恵美に近づいた。そして、恵美が持っている精霊剣から僅かな変化があった。二人はそれを見て安堵をこぼした。
「どうやら・・・上手くいったようだな・・・恵美・・・」
「えぇ・・・後は・・・美琴だけか・・・だけど・・・大丈夫かな?」
「どういうこと?・・・恵美?」
「だって・・・美琴・・・銀次に一度も認めてもらっていないじゃない・・・それじゃあ・・・精霊の名を聞くことさえ・・・出来ないんじゃ・・・」
恵美がそう言うと、ギンはあっとなって何かを思い出したようだ。
「そういえば・・・まだ・・・あいつに言ってなかったな・・・俺は美琴のことを認めていたんだ・・・いっぱしの剣士としてね・・・まぁ・・・なんとかなるだろう」
ギンはそう言って美琴の方に向いていた。
そして、精霊の心象世界で精霊と対話している美琴はその場に座り込んで放心にふけていた。そしたら、精霊が
「まだここにいるのか?」
「いるさ・・・ここにいると・・・昔のことを思い出せそうだから・・・そして・・・分かったことがある・・・それは・・・銀次は・・・俺のことを認めていたんじゃないかと思って・・・」
「認めていたというのなら・・・何故言わない・・・それが分からない主じゃない・・・」
「そうだな・・・あいつは・・・口ではなく行動で示す奴だし・・・そこら辺不器用だから・・・いつの間にか俺を認めていて・・・言えずにいたんだよ・・・だから・・・あいつが自分から言うまで・・・俺は・・・ずっと待つし・・・挑み続けるさ・・・認めてもらうために・・・」
美琴がそう言うと精霊は聞いて頭を悩ましていた。そして、結論をつけた。
「分かった・・・分かったよ・・・主・・・君がこれからどうしようと・・・しても・・・我は・・・主について行くよ・・・よく聞くんだな・・・我が名は『赤逆』」
「『赤逆』・・・良い名じゃねぇか・・・んじゃぁ・・・元気でな・・・」
美琴はそう言って意識が心象世界から消えていった。それを見ていた『赤逆』は独り言であるが
「全く・・・主は・・・あの男は既に主を認めていた・・・そして・・・我の融合相手が『黒夜』とは・・・恐ろしいものだ」
『赤逆』はそう言って消えていった。
そして、美琴は意識を覚ますとギンたちがやって来て、首尾はどうだったのかを聞くと、美琴は
「あぁ・・・上手くいったぜ」
と言った。ギンはそれを聞いて安堵の顔をする。そして
「ごめんな・・・二人にこんな危険なことをして申し訳ない・・・と思っている」
と言うと恵美と美琴は
「いいよ・・・いいよ・・・そんな水くせぇことはもう良い・・・それに」
「えぇ・・・私は・・・もう迷いはありませんから」
ギンは二人の言ったことにスッキリしている顔立ちを見て内心ほっとしていた。
「(どうやら・・・杞憂に終わったようだな・・・さすがは・・・俺が認める数少ない嫁さんだよ)」
と内心そう思っているとギンは立ち上がり
「それじゃあ・・・今日はここまでとしよう・・・二人とも・・・身体がヘロヘロのはずだよ・・・休もう・・・今からやりたいというのなら・・・構わないが・・・」
「良いぜ・・・やってやるよ!!」
美琴はそう言って精霊剣を持ってギンに襲いかかっていった。




