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閑話2

 ギンたち『ジ・エンパイア』は『真世界』から現実世界に向けて出発しようとしたときのこと。ゴードとロンズはユキの執務室でお茶を飲んでいた。そしたら、ロンズはユキにあることを尋ねた。


「ねぇ・・・ユキさん・・・ユキさんはいつ・・・ギンお兄様との子供を身籠もったの?」


 それを聞いて、ユキは頬を赤く染めながら


「そうねぇ・・・私がギンちゃんの過去を知ったからかな・・・」


「ギンお兄様の過去?」


 ロンズは、ユキが言った。ギンの過去のことに首を傾げた。ゴードもそれには首を傾げた。そしたら、ユキは自分の腹を撫でながら、銀の過去のことを話し始めた。




 ギンたちが『真世界』に来て間もない頃、夜な夜な何かにうなされているギンにハクリュウたちは心配していた。しかも、ギンは起きて早々と何処かへ出かけてしまうのだ。ユキたちはそんなギンに心配していた。特に一番心配していたのはユキであった。そんなユキたちにある一人の大男が『クロウ』に近くにやって来た。ハクリュウたちはその大男の顔を見ると、その大男は元『神下七星界』のジンフェーであった。だが、ハクリュウたちはここにやって来た人は知らずに招き入れないようにしようとしたが、ユキ、ノーラ、ルミはその大男の名だけは知っていたので、ジンフェーを招き入れることにした。そして、ユキはジンフェーを招き入れると、ジンフェーはハクリュウたちに自己紹介をした。


「儂は・・・元『神下七星界』のジンフェーじゃ・・・君たち『ジ・エンパイア』が『真世界』に来ることは分かっていた・・・そして・・・この後のことも・・・全部な・・・」


「全部?・・・それは一体?」


「ジンフェーさん」


 『ジ・エンパイア』の部下たちはジンフェーが言った事に首を傾げるが、ユキはジンフェーにあることを聞こうとした。


「ギンなら・・・後で・・・いえ・・・昔のギンのことを教えてください!!・・・ここ最近・・・ギンは・・・何かにうなされている日々で・・・それが心配で・・・」


 ジンフェーは今にも泣きそうなユキを見て、息を吐いた。


「全く・・・ギンの奴め・・・あの日のことを・・・まだ引きずっているのか・・・いや・・・むしろ逆か・・・あいつのことを・・・・・・自分の所為だと思っているかも知れんな・・・」


「あいつ?」


「あいつって誰ですか?」


 ハクリュウたちはジンフェーが言ったあいつという存在に尋ねると、ジンフェーは


「霊軍兵さ・・・しかも・・・ギンにとって・・・親友というべき友が二人いた・・・その名は新しく霊軍大将になるユーヤと『神下七星界』・・・『悪魔の夜叉』フーランゴに殺されたセンズイだ!!」


 ユキたちはジンフェーが言った事に驚愕して声を出せずにいた。そしたら、ジンフェーはそんなユキたちを無視して、昔のことを話し始めた。




 それは、ギンが『白鯨のエド』、ジャン・キュウール・ホーク、ジンフェーとの戦いに制し、何処かの島にいた。そこで当時のギンと同じくらいの二人の男性と出会った。それが、ユーヤとセンズイである。それがギン、ユーヤ、センズイの初めての出会いだった。


 ギンは『白鯨のエド』との戦いで極度とはいわないがかなりの疲労をしていた。これからどうしようかと考えていると、その時、ギンの頭に何かが当たったのだ。ギンはその何かに当たって頭を押さえながらうずくまっていた。そしたら、そこに二人の少年がやって来た。


「ごめん・・・ごめん・・・俺が放った術が・・・君の方へ飛んでしまって・・・」


「ったく・・・君・・・大丈夫かい?・・・」


 一人の少年はギンに謝る。もう一人の少年はギンの心配をした。そしたら、ギンは頭を押さえながら


「大丈夫・・・大丈夫だ・・・」


 立ち上がる。二人はそれを見て、ほぉっと息を吐く。そしたら、二人は


「あぁ・・・俺はセンズイ・・・こっちは」


「俺の名はユーヤといいます」


 二人は自己紹介をすると、ギンも同じように


「俺の名は・・・ギン・・・ギン・ライラックっていうんだ・・・よろしくな!!」


 ギンも二人に自己紹介をすると、ユーヤとセンズイはその名を聞いて


「こちらこそ・・・」


「よろしく」


 そしたら、ギンはユーヤとセンズイが手にしている刀剣を見て、二人に尋ねようとしたら、腹から音がしたのだ。ユーヤとセンズイはその音を聞いて、すぐに自分らの食べ物を差し入れた。ギンはその差し入れを見て、すぐに取り食べ始めた。そして、数分で食い終わらせると、ユーヤとセンズイにお礼を言った。


「ありがとう・・・昨日から何も食べていなくて・・・ありがとう」


 ギンはそう言うと、ユーヤとセンズイは顔を少々引き攣っていた。だが、ギンはそんな二人に


「あのさぁ・・・聞きたいんだけど・・・君たちって剣士?」


「あぁ・・・そうだけど君も・・・」


「あぁ・・・その通りだ・・・よろしく・・・」


 ギンはそう言うと、ユーヤとセンズイはギンの刀剣を見ると


「へぇ・・・精霊刀か・・・」


「しかも・・・三本もある・・・」


 センズイはギンが精霊刀の使う剣士と見たが、ユーヤだけはそう見えなかった。何故なら,ギンが持つ精霊刀が三本も持っているからだ。そしたら、ユーヤはギンに


「ねぇ・・・ギンといったね・・・俺と一勝負してくれないかな!?」


「あぁ・・・良いぜ・・・その勝負・・・相手になってやるよ・・・」


 ギンはユーヤの勝負の申し込みに受けることにした。


 そしたら、ギンは精霊刀『凪』を抜くと、ユーヤも自分の精霊刀を抜く。そして、精霊刀を振り上げながら


「叩き潰せ・・・『天浪』」


 と精霊を解放し、振り下ろす。しかし、片手で精霊刀を持ち、ユーヤの一撃を受け止めるギン。だが、その一撃は地面に亀裂を入れた。しかも、ギンはユーヤの一撃に力負けしていた。ギンは内心で


「(くそっ・・・なんつう力だ・・・)」


 だが、ギンはユーヤの一撃を弾き返す。しかし、ユーヤの一撃を弾き返すだけでかなりの力を使った。だが、ギンはユーヤの精霊刀を見ていた。ユーヤは息を吐きながら、こちらを見ているギンを見て


「君の精霊を解放しないのか?・・・このままじゃ・・・君は死ぬよ・・・」


 ユーヤはギンにその一言を言われても、ギンは口角を上げながら笑みをこぼした。そして


「面白い・・・良いだろ・・・・・・見せてやる・・・俺の一体目の精霊『凪』を・・・奏でろ『凪』」


 ギンも精霊を解放した途端、ユーヤは危機感をあらわにした。そしたら、ユーヤは、もう一度、精霊刀を振り上げて、振り下ろす。しかし、精霊『凪』を解放したギンには、何も構えていなくてその場で平然と立っていた。センズイはその場で平然と立っているギンに驚いていた。だが、ユーヤの刀がギンに触れずに弾き返されたのだ。ユーヤはいったい何が起きたのか分からなかった。そしたら、ギンが説明をし始めた。


「俺の一体目の精霊『凪』の能力は・・・完全無欠の支配領域・・・刀の間合いと俺自身の移動領域を合わせた領域・・・それが『凪』の能力・・・『空竜圏』・・・さらにもう一つあってね・・・それは・・・幻想・・・幻を見せる能力・・・『饗宴水月』」


 それを聞いたユーヤとセンズイは


「そんな能力・・・それだけの精霊の能力を持てるのは・・・」


「帝級以上の精霊・・・あいつの精霊刀は帝級精霊の精霊刀・・・(しかも・・・あいつは一体目と言った・・・二体目以降の精霊は・・・帝級以上の精霊を持っている・・・怪物めぇ・・・)・・・それだけじゃないだろ・・・先のあれは・・・『空竜圏』の能力だって分かったが・・・『空竜圏』には・・・まだ隠しているだろ!?」


 ユーヤはギンに向かってそう言うと


「正解だ・・・『空竜圏』は・・・支配領域に入った途端・・・自動的に反応する能力・・・いかなる場所からでも反応することが出来るんだよ・・・」


「なるほどねぇ・・・そいつは面白い・・・卍解・・・『黒縄天鎧浪剛』」


 ユーヤは嬉しそうに笑みをすると、卍解をし始めた。そしたら、ユーヤの背後に超巨大な巨人が現れたのだ。そして、ユーヤが刀を振り上げると、その巨人も刀を振り上げたのだ。ギンはそれを見て、あの巨人はユーヤの動きに連動しているということが分かった。ギンはユーヤの精霊の弱点が分かった気がした。だが、それは、もしかしたらの領域であった。そしたら、ユーヤは刀を振り下ろすと、巨人も刀を振り下ろしはじめた。ギンはまずいと思ってこの場から移動して躱したのだ。


 ユーヤの巨人が刀を振り下ろした途端、巨人を一帯に土煙を上げた。ギンはその土煙で吹き飛ばされたのだ。その時、こう思った。


「(クソ・・・こいつは・・・『空竜圏』でも捌けない・・・・・・しかも・・・もし『饗宴水月』をしたら・・・辺り一帯が荒原になるぞ・・・仕方ない・・・)卍解・・・『神薙舞』」


 ギンはユーヤの攻撃に対して、卍解をした。そしたら、ギンの身体の周りに空気の膜が出来てくるのだ。ユーヤはそれを見て


「君も卍解したのかい?・・・」


「あぁ・・・そうだよ・・・卍解・・・『神薙舞』・・『神薙舞』・・・『流水・空竜圏』」


 ギンがそう言うと・・・ギンの身体の周りにあった空気の膜が色濃く出てきたのだ。ユーヤはそれを見て、可笑しさを感じ取ったので、ギンに尋ねてみると


「なぁ・・・お前の身体に纏っているその空気の膜は一体何なんだい?・・・教えてくれないか?」


「良いぜ・・・教えてやるよ・・・この空気の膜は・・・『流水・空竜圏』という技さ・・・『空竜圏』の支配領域を凄く薄くして纏わせる・・・そうすれば・・・いかなる攻撃も・・・躱すことが出来る・・・しかも・・・ギリギリの所で躱すことが出来る・・・」


 ユーヤはそれを聞いて、精霊刀を強く握った。そして、ユーヤは、また、刀を振り上げると巨人も刀を振り上げる。そしたら、一気に刀を振り下ろす。


「『天浪・一刀両断』」


 ギンは今にでも迫ってくる巨大な刀に『流水・空竜圏』で躱そうとする。しかし、あの攻撃は躱せるようなものではなかった。そしたら、ギンは


「『流水・空竜圏』・・・『改』」


 ギンはユーヤの攻撃を『流水・空竜圏』の『改』で躱した。しかし、その攻撃で発生した衝撃で吹き飛ばれるギン。


「(なんて破壊力だ!!)」


 そう思いながら吹き飛ばされていた。そして、遙か後方に飛ばされると、ギンはチッと舌打ちをして、『凪』の能力の解放を止めると、次は黒き精霊刀『黒夜』を抜く。その間に『凪』を納刀していた。そしたら、ギンは黒き精霊刀『黒夜』を解放する。


「目覚めよ・・・『黒夜』」


 精霊『黒夜』を解放すると、ギンの身体から黒い闘気が溢れ出ていた。ユーヤはかなり後方から感じ取った。もの凄い力を。しかも、ギンが溢れ出ている闘気も遠くからでも見えたのだ。そしたら、そこにギンがやって来たのだ。ギンの顔に、左目が黒くなっていた。そして、精霊刀『黒夜』を握っている左手を振り上げる。そこには黒き闘気が刀に収束されていた。ユーヤはそれを肌で感じ取っていた。命の危機を感じ取れるほどの何かを感じ取れていた。そしたら、ユーヤは精霊刀に先ほどの一撃よりも闘気を込めた。そして


「『黒縄天鎧浪剛・・・天外鄭玄』・・・・・・『天浪・隆起・一刀両断』」


 ユーヤの卍解である巨人を覆われていた鎧がどんどんと落ちていた。そして、全ての鎧が落ちると、そこにあったのは、巨大な屍であった。しかも、巨人でだ。その巨人からもの凄い雰囲気を感じた。しかし、ギンはその雰囲気にももの保持しない顔つきをしていた。そして、黒き精霊刀から溢れ出す闘気。さらに、精霊刀を振り上げる。そして


「『黒夜・月下無月』」


 と黒い斬撃を放った。その斬撃は屍の身体にぶち当たった。だが、屍は斬撃によって消失した部分が再生し始めた。ギンはそれを見て、「嘘だろ」とつぶやいた。そしたら、屍は刀を振り上げギンに向かって振り下ろした。ギンはそれを躱す。だが、屍が振り下ろした威力は鎧を着た状態よりも威力が増していた。ギンはその威力に吹き飛ばされてしまう。その間ユーヤはギンに近づき斬りに掛かる。だが、ギンはその刀を『黒夜』で受け止める。しかし、右頬に軽い切り傷が出来、『黒夜』ではらって後退した。ギンはユーヤの方を見て


「(ちっ・・・さっきのあれは・・・闘気の刃・・・ユーヤはあそこまで領域にいるとは・・・さすがだ・・・だが・・・負けるわけにはいかない)」


 ギンは『黒夜』に闘気を込める。そしたら


「卍解・・・『黒夜叉丸』」


 黒刀『黒夜』を卍解する。卍解した途端、ギンの身体に『黒夜』の黒い闘気に飲み込まれ、そして、黒い闘気から晴れてそこから現れたのは両肩に狼の意匠を施された漆黒の服に包まれたギンが現れた。ユーヤはそれを見て、得体の知れないということだけは肌で感じ取れた。そしたら、ユーヤは刀を振り上げようとした。だが、それは途中で阻まれてしまった。何故なら、ギンの黒刀の切っ先が首に突きつけられた。ユーヤは目線だけでその黒刀を見る。さらにその前にはギンがいた。そしたら、ギンはユーヤから距離を取って構えていた。ユーヤは先ほどまでの事を思い出していた。


「(刹那・・・奴の姿を認識することが出来なかった・・・それだけ・・・移動速度を持っていることになる・・・目だけでは追いかけきれない・・・仕方ない『見聞』を使うしかない)」


 そう考えていると、ギンが先ほどの速度でユーヤに斬りつけてきた。ユーヤはそれを『見聞』の『覇気』を使って躱した。だが、ギンの黒刀はユーヤが躱した先に黒刀を振るわせる。ユーヤは少々驚きを上げて躱した。ユーヤは何故、ギンが躱した先が分かったのかを考えていると、ギンが


「解せないという顔をしているな・・・それりゃそうだ・・・何故、俺がお前の躱した先が分かったのか・・・答えは簡単・・・俺も『見聞』の『覇気』を使えるということ」


 ギンはそう言うが、ユーヤは内心で


「(いや・・・ただ使えるというだけでは攻撃を躱す位置を予測するというのは・・・相当の修練が必要だ・・・もしかしたら・・・あいつは・・・『見聞』の他に『武装』、『覇王』も使えるじゃ・・・とにかく・・・今は目の前にいる化け物を倒すことに集中しないと・・・斬られる!!)」


 ということがユーヤは分かった。気を切り替えて刀を構え直し闘気の質を上げる。ギンはそれを見て笑みをこぼした。内心では


「(まだまだ楽しめそうだな・・・ゾクゾクしてきた・・・)」


 などと思っていると、ギンもまた闘気を高めた。そしたら、ギンは先ほどの速度でユーヤに近づき、斬りつけていくとユーヤはその斬り込みを刀で受け流して反撃を加えようとする。だが、ギンは速度を持って躱す。しかし、ユーヤはギンが次に現れる位置を特定し斬り込みに行く。だが、斬り込みに行くがそこにはギンはおらず、ユーヤは瞬時に『見聞』で気配を探すと、ギンは上空にいることが分かった。そしたら、ユーヤは


「『浪剛』!!」


 と叫ぶと、巨大な屍が刀を振り下ろしてきた。だが、ギンはその刀を黒刀で受け止めてしまったのだ。ユーヤはそれを見て驚きを上げていた。だが、ギンは


「この程度なのか・・・この程度がお前の全力なのか?」


 と言うと、ユーヤはさらに闘気を刀に込めて振り下ろしているが、一行に押している感じがしなかった。ユーヤはそれを見てなお、力を込めていく。だが、ギンは巨大な屍が振り下ろしている刀を受け止めながら


「無駄だ・・・お前がいくら力を込めても・・・今の俺には勝てない・・・俺を倒すには渾身の一撃を放たないと勝てないぞ!!」


 ギンはそう言うと、ユーヤは刀を振り上げる。それに連動して巨大な屍も刀を振り上げる。その後、ユーヤは自信が持てる闘気を刀に込める。ギンはそれを見てこっちも『黒夜』に闘気を込める。そしたら、ユーヤは巨大な屍と連動して一気に刀を振り下ろした。


「『天外浪剛』・・・『天浪・一刀滅魔斬』」


「『黒夜』・・・『月下無月』」


 二人は互いに渾身の一撃を放つと、ユーヤが振り下ろした刀とギンが放った黒き斬撃がぶつかり合って辺り一帯が二人の闘気がぶつかり合って奔流が出来ていた。センズイはその闘気の奔流に吹き飛ばされてしまった。しかも、二人の攻撃が均衡しぶつかり合っていた。だが、だんだんとギンの斬撃がユーヤの刀を押し始めた。ユーヤは押し負けているのを感じてきたので、力を込めて押し返そうとした。だが、それは一行に押し戻されず、ついには、ギンの黒き斬撃に押し負けて、その黒い斬撃を受けてしまった。ユーヤは屍を通じてかなりのダメージを受けてしまった。ユーヤは荒い息を吐き続けながら、ギンの方に向いていると、ギンはユーヤの元に近づいていきこう言った。


「俺の勝ちだ・・・」


「あぁ・・・そうだな・・・だがな・・・次こそは絶対に俺が勝つ!!」


「望むところだよ・・・ユーヤ」


 二人は互いに構えると、どこからか声が聞こえてきた。


「フフッフ・・・フハハハハハハ・・・こいつはすげぇ・・・最近暇を持て余していたらこんな所でスリルのある真剣勝負をしているじゃないか・・・しかも・・・一人は最近噂になっている剣士に・・・もう一人は霊軍本部の少将じゃないか・・・このような勝負は早々見られる物じゃない!!・・・だが・・・せっかくの勝負に水を差すのは悪いが・・・こいつは連れて行くぜ・・・」


 いきなり現れた男がセンズイを連れて行ったのだ。ギンとユーヤはそれを見て、いきなり現れた男に


「待って!!」


「貴様何者だ!?」


 と言うと、男は


「俺の名は・・・フーランゴ・・・『悪魔の夜叉』だ・・・覚えておきな・・・小僧共!!」


 フーランゴはそう言ってこの場を去って行った。それを見ていたギンとユーヤは口を噛み締めていた。


「ち、畜生・・・あの『悪魔の夜叉』の野郎・・・」


「今は嘆いている場合じゃない・・・とにかく今はセンズイの救出に専念することに集中しろ」


 ギンは『黒夜』の卍解を解除しながら言うと、ユーヤは


「ギン・・・お前・・・もしかして・・・怒っているのか?」


「あぁ・・・怒っているよ・・・だからこそ冷静でいるべきだ・・・我を忘れそうな怒りを出しても・・・冷静でいるべきだ・・・ユーヤ・・・早くしろ・・・急いで・・・センズイを助けに行くぞ!!」


 ギンはそう言うと、ユーヤは卍解を解いて、ギンについて行った。




 とジンフェーが話を一時止めた。一度、話を止めてくれたおかけでユキたちも分かってきたことがあった。ギンはその頃には『真世界』で有名になるほど噂されていたということになっていた。その時には霊軍の少将クラス以上の実力を持っていたこと。いや、下手したら、既に『神下七星界』と同等の実力だったこと。そして、センズイという男がギンとユーヤの鍵になっているということが分かった。そしたら、ユキが


「その頃のギンちゃんは・・・『真世界』ではもう有名になるほどの実力者だったということになるよね」


「いや・・・正確に言うと・・・その頃は・・・まだギンとユーヤはそれ程有名にはならなかった・・・センズイがフーランゴに誘拐されるまでは・・・その時から・・・二人の実力は急速的に成長し名が上がっていた」


 そしたら、また、ジンフェーは回想を話し始めた。




 ギンとユーヤは、フーランゴに誘拐されたセンズイを助けるべく、フーランゴの拠点を探していた。拠点を探していればセンズイの情報が手にはいる考えた。それを考えたのは、ギンであり、ユーヤは独自で情報を得ていた。しかも、その情報は霊軍の上司からフーランゴの拠点の情報をもらっていた。そして、二人の情報を統合すると、センズイは現在、『真世界』のとある島にいるということが分かった。ギンとユーヤはセンズイがその島にいるということが分かったので、急いでその島に出発した。そして、その島に着くと、そこにあった光景は寂れた村というか町を見て、ギンは


「どうやら・・・これは・・・かなり前に廃れたようだ・・・こんな所に奴がいるということがおかしく見える・・・こんな所アジトに向いていない・・・」


 ユーヤはギンが言ったことにどうしてというと、ギンは目の前にある物や地面を見た。


「こいつを見ろ・・・これはここ最近・・・誰かが触った形跡がある・・・さらに言うと・・・さっきから感じ取れていると思うけど・・・俺たちを睨んでいる者たちがいるということに」


「あぁ・・・分かっている・・・数からして・・・十人ってところかな?」


 とユーヤはそう言うと、ギンが向いている方向に向くと


「力量からして・・・フーランゴの幹部クラスかな?」


「そうだと思うよ・・・この気配からして・・・数人だけは知っているなぁ」


「本当か?・・・ユーヤ?」


「あぁ・・・この気配は・・・まさか・・・最高幹部の全員がセンズイと共にこちらを見ているのか!?」


 とユーヤはそう言うと


「その通り!!・・・さすがは霊軍のユーヤ少将」


「と最近噂になっている剣士さん」


 ギンとユーヤは目の前に現れた者たちに目を向けた。そしたら、ギンは目の前に現れた者たちに向かってこう言い放った。


「貴様らは・・・あのフーランゴのお仲間さん?」


 と言うと


「あぁ・・・その通りだ・・・それと・・・まず・・・挨拶をすることが礼儀だと思うが」


 そしたら、最高幹部の一人がギンに向かって蹴り掛かってきた。だが、ギンはその蹴りを片手で受け止めた。それを見た最高幹部の一人はほぅっと言ってもう片方の脚でギンに蹴り掛かるが、ギンはもう片方の手で受け止めた。ギンは最高幹部の一人の脚を掴んで残りの最高幹部の方に放り投げる。ギンが最高幹部の方に放り投げられた最高幹部は空中で体勢を取って地面に降り立った。そして、その最高幹部は首をならして直立に立っていた。それを見ていたギンとユーヤは顔を引かせていた。そしたら、ユーヤがギンに質問を問いかけた。


「なぁ・・・ギン・・・あいつらって本当にフーランゴの最高幹部なのか?」


「本当だよ・・・ユーヤ・・・あいつらはフーランゴの仲間だよ・・・さっき君が言ったじゃないか?」


「そうだったな・・・それじゃあ・・・あいつらが『悪魔の夜叉』フーランゴの仲間である最高幹部なんだね・・・どうするギン?・・・あいつらからセンズイの情報を得るのは骨だよ」


「そうだね・・・だけど・・・それは今の状態での話だ」


 ギンはそう言って精霊刀『凪』を抜いて先ほど襲いかかってきた最高幹部に向かって斬りかかっていた。それに続いてユーヤも精霊刀『天浪』を抜いて最高幹部に斬りかかっていた。しかし、ギンとユーヤの斬り込みは最高幹部のそれぞれ武器で受け止められてしまった。ギンとユーヤはそれを見て顔色一つも変えなかった。だが、内心では


「(マジかよ・・・こいつ・・・結構強いじゃねぇか・・・さっきの蹴りもそうだったけど・・・これはヤバそうだ)」


「(クソ・・・今の俺たちじゃ・・・勝てるレベルじゃない・・・これじゃあジリ貧がオチだ)」


 二人がそう思っていたら、最高幹部たちの武器によってはじき返された。ギンとユーヤははじき返された勢いを利用して後方へ退避した。そしたら、最高幹部の一人がまた、妙な能力を使って地面から二人を掴もうとした。二人はそれを感づいてジャンプして回避したが、それを気に他の幹部たちもそれぞれの武器で攻撃を仕掛ける。ギンとユーヤはその攻撃を真っ正面から受けてしまい口から少々血を吐いてしまった。ユーヤは口から出た血を拭っていると、ギンはその場で立ち上がり笑みをこぼして笑い始めた。そして、笑いながらギンは


「良いぜ・・・最高だ!!・・・こうでなきゃいけない・・・ゾクゾクするじゃないか・・・終わったような・・・敵わないような顔をするじゃないユーヤ・・・ようやくお前らと同じ領域立ったところだ・・・・・・さぁ・・・始めようぜ!!・・・幹部さんよ!!」


 ギンは笑みをこぼしながら、闘気を高めていき大気や地面が揺れた。そしたら、幹部たちはそれを気にギンに襲いかかってきた。だが、幹部たちは身体を下に反らして躱しながらギンに突き進む。そうなったわけはギンが刀を横一線に切り払ったのだ。それを躱した幹部たちはそれぞれの武器でギンに攻撃しダメージを与える。ギンは幹部たちにダメージを受けてなお、ギンは幹部たちに刀を振り上げ両断するように振り下ろす。だが、その両断も一人の最高幹部の武器によって防がれるが、その幹部はギンの精霊刀の両断に押し負けていた。威力も重さも先ほどよりも格段と上がっていた。ユーヤはそれを見て驚きを上げていた。だが、ユーヤはすぐに切り替えてセンズイの救出に向かって気配を殺しながら進んでいた。ギンは移動しているユーヤを確認して幹部たちを自分自身に専念するように攻撃をし続ける。その攻撃を躱しながら反撃をする幹部たち。その頃、ユーヤはセンズイの救出に向かっていた。最高幹部たちとやり合っているギンのために早くセンズイの救出にしなきゃという気持ちで向かっていたユーヤ。そして、センズイの姿を確認したユーヤは茂みの中に潜み息を殺して隠れた。ユーヤはまず、周りの人影がないのを確認してからセンズイに近づこうとしたが、センズイの身体から放たれる不気味な闘気が漏れ感じ取って鳥肌が立ってしまった。そしたら、そこにギンがやって来た。ユーヤはギンを見て少々驚きを上げた。小声で


「ま、まさか・・・お前・・・あの最高幹部を倒してきたのか!?」


「あぁ・・・一人は確実に倒してきた・・・他の三人は再起不能してきたから・・・早々に追いついてくることはないだろう・・・だが・・・数十分後にはここに駆けつけてくるから・・・時間は無いぞ!!」


「そうか・・・分かった・・・俺だってすぐにセンズイを助けたいんだが・・・それが・・・」


「分かっている・・・センズイから感じ取れるあの闘気は・・・ヤバすぎる・・・」


 ギンとユーヤはそう会話していると、そこに最高幹部の三人がやって来た。そのうちの一人はギンが倒した幹部を背負っていた。そしたら、そこからフーランゴが現れてきた。しかも、右手には銃が握っていた。ギンとユーヤはそれを見て今すぐにでも斬りに掛かりたいが自身の理性で押さえ込んでいた。そしたら、フーランゴの方から声が聞こえたので、二人はその声に耳を傾けた。


「済まねぇ・・・ランゴ・・・やられちまって・・・」


「そいつはどうでも良い・・・そして、実力の方はどうだった?」


「それはねぇ・・・もの凄く強かったよ・・・しかも、底なしの戦闘力だったよ〜」


「そうか・・・さて・・・このガキをどうするか?」


「殺しちまうか?」


「いや・・・まだ早い・・・このガキにはまだ利用価値がある・・・」


 などと話し合っていると、センズイがその会話に割り込んできた。


「おい・・・なぜ・・・何故・・・あの二人を率いれようとする?」


「あぁ?・・・そんなの簡単じゃん・・・あの二人は利用できるからさ・・・俺のために戦える人形のようにする教育も必要だからな・・・」


 センズイはそれを聞いて、憎らしくフーランゴを睨んでいた。だが、今の話はギンとユーヤにも聞こえていた。だが、二人はフーランゴの恐ろしさを感じ取ってびくりと鳥肌が立ってしまった。そしたら、センズイはフーランゴに向かってこう言い放った。


「お前なんかに・・・ユーヤと・・・ギンは・・・渡さん・・・あいつらはお前の物じゃない・・・自由気ままに生きさせる物じゃないのかよ!!」


 それを聞いていたギンとユーヤは


「(せ、センズイ)」


「(お前・・・まさか・・・)」


「「(ここで死ぬ気か!!)」」


「(それはさせん・・・もしお前が・・・センガイさんに報告しても・・・俺は仲間を助けることに専念する!!)」


 ユーヤは内心そう思っていると、島の外から大砲の音が聞こえた。ここにいる全員はその砲撃音にいったい何事といった状況をしていた。そしたら、センズイが


「俺が・・・ここにフーランゴが来るという情報をセンガイさんに報告したんだ・・・この島には既に霊軍でひしめき合っているはずだ・・・しかも・・・おゆるさんの指揮でだ・・・どうする?・・・『悪魔の夜叉』フーランゴ・・・これに懲りてユーヤとギンのことは諦めろ・・・あいつらは・・・俺と違って自由なんだから!!」


 センズイはそう叫ぶと、フーランゴは右手に握っていた銃をセンズイに向けて弾丸を撃った。センズイの身体に銃の弾丸が撃ち抜かれていき、その場に、へたれ込んでしまった。それを見たギンとユーヤはその場で呆然と座り込んでしまった。そしたら、そこに霊軍の軍艦空挺から放たれた砲撃にフーランゴたちはその軍艦空挺を見て、汗を流していた。


「おゆるの軍艦だ!!・・・クソ!!・・・行くぞ・・・お前ら!!」


 フーランゴは仲間たちを連れて、ここから離れていた。そしたら、ギンとユーヤはセンズイの所に近づき


「センズイ!」


 センズイはユーヤの声に反応したのかこちらを向いて笑みをこぼした。ギンはセンズイが笑みをこぼしているのを見て


「何、笑っているんだ・・・待ってろ・・・すぐに助けてやる!!」


 ギンは『虹竜』を抜こうとしたら、センズイが手を上げて首を横に振った。


「いい・・・もう俺は死ぬ・・・俺は最後まで・・・何も出来なかったな・・・だが・・・友のために命を張れたから・・・いいかな・・・最後にユーヤ・・・ギン・・・俺は・・・お前たちを・・・大切な友だ・・・」


「あぁ・・・俺だってお前は・・・かけがえのない親友だ!!」


「俺も・・・戦友であって・・・一生の友だよ!!」


 とギンとユーヤはそう言うと、センズイはそれを聞いて、笑みをこぼしながら


「そっか・・・よかった」


 と言って目を閉じ、息を引き取ってしまった。ギンとユーヤはそれを見て、涙をこぼし盛大に泣いた。しかし、その声はフーランゴたちには聞こえなかった。それはおゆるからの砲撃音でかき消されてしまったからだ。その間、ギンとユーヤは盛大に泣いた。センズイという男の死に盛大に泣いた。そして、翌日、ギンはその場から目を覚ますと、隣で寝ていたユーヤを見て少し安堵をした。そして、センズイの亡骸を見て、今にでもまた泣きそうであった。だが、ギンはセンズイの亡骸に近づき、その場で座り込み手を合わせた。そしたら、そこにユーヤがやって来てギンと同じように手を合わせた。そして、ギンはセンズイの亡骸を見ながらこう言った。


「今回のことで・・・俺たちは大切な物を失った・・・」


「あぁ・・・そうだな」


「だが・・・それと同時に俺たちは・・・大切な物を得た・・・それは思い・・・センズイの思い・・・センズイは確かに死んだ・・・だが・・・センズイは俺たちの中で生き続ける・・・あいつの思いを胸に生き続けるんだ・・・俺たちは・・・あいつの分まで自由に生きるんだ!!・・・絶対に!!」


「あぁ・・・そうだな・・・俺たちは・・・センズイの分まで生きなきゃいけない・・・そして・・・必ず・・・フーランゴをこの手でぶっ倒してやる!!」


「そうだな・・・だが・・・それには時間がかかる・・・とにかく今の俺たちに必要なのは・・・力だ・・・もう何も失わせない力を・・・」


「そうだな・・・ギン・・・だが・・・ここでお別れだ・・・」


「そうだな・・・元気でな・・・ユーヤ・・・」


 ギンはそう言ってユーヤの元から離れていた。そして、その数日後、ジャン・キュウール・ホークの住処に一つの書き置きがあったという。その内容は


「『世話になった・・・世界の広さを知った・・・俺が青二才なガキだったって事に・・・だからこそ俺は・・・強くなる・・・もう大事な物を失わせない力を手に入れて・・・』」


 という書き置きが残されていた。




「と、そのことを儂はホークの口からそう聞いた・・・その後のギンの事は・・・儂もホークも知らなかった・・・まさか・・・このような仲間を連れて・・・『真世界』にやって来たのもな」


 と、ジンフェーは銀の過去のことを話し終えると、ユキは


「そっか・・・ギンちゃんにそんな過去があったんだ・・・それじゃあ・・・今、ギンちゃんがいる所って!?」


「おそらく・・・亡きセンズイの墓じゃろうな・・・場所は知っておる・・・案内しよう」


 ユキたちはジンフェーからギンの壮絶な過去を知り、ジンフェーの案内でギンが今いる場所に向かった。


 その頃、現在、ギンがいる場所は、亡きセンズイの墓の前にいた。ギンはセンズイの墓に花を添えて黙祷をしていると、そこに一人の霊軍兵がやって来た。ギンはその霊軍兵の顔を見ずに


「久しいな・・・ユーヤ」


「お前もな・・・ギン」


「聞いたぜ・・・お前が霊軍の新大将になったという話・・・親友としておめでとうと言わせてもらおう」


「そりゃ・・・どうも・・・あぁ、それと・・・お前宛に中央からの手紙が来ているから渡しておく」


 ユーヤはギンに中央からの手紙を渡すと、ギンはその手紙の内容を見ずに懐にしまった。ユーヤはそれを見て


「読まないのか?」


「読まなくても分かる・・・手紙の内容は『神下七星界』への勧誘だろ?・・・もちろん・・・承認はする・・・俺の計画には・・・この方が手っ取り早いと考えているから・・・それはそうと・・・ユーヤ・・・後ろの彼女・・・いったい誰だい?・・・もしかして・・・お前の女か?」


 ユーヤはギンの質問に顔を少々真っ赤にしていた。


「な、何を言うお前は・・・彼女はアヤ・・・俺とセンズイの幼馴染みだけの関係だ・・・センズイの死を知ってから彼女は人一倍頑張って俺の側近になった・・・それだけの関係だ!!」


「本当にそうかな?」


「何が言いたい!?」


「だったら・・・お前・・・その左の薬指にはめているそれはいったいなんだい?・・・しかも・・・アヤという人にもはめているけど・・・ただの幼馴染みだけの関係なのかい?」


 ギンはユーヤとアヤがただの幼馴染みだけの関係じゃないことに気づいていた。そしたら、ユーヤは


「そうだよ・・・俺とアヤは付き合っているよ・・・あの時・・・アヤは俺がおゆるさんの軍艦から帰ってきたのを見てすぐに駆けつけてきた・・・俺との再会に嬉しそうにしていたが・・・あの時の俺にとってみれば・・・アヤにセンズイの死を話すことは出来なかった・・・そしたら、そこに当時、大将だったセンガイさんがやって来て・・・俺に「センズイは本当に死んだのか!?」と尋ねた・・・俺は正直にそのことを話した・・・・・・その後は・・・」


「いい!!・・・そこから先は想像できる・・・もう話さなくていい」


 ギンはそう言うとユーヤはありがとうと言って、ユーヤも手に握っていた花を添えた。そしたら、アヤが近づいてきて


「ユーヤさん・・・『ジ・エンパイア』の艦空挺がやって来ています・・・どうします?」


 と報告すると、ギンははぁっとため息をついていると、そこにユキがもの凄いスピードでやって来る。そして、ギンに抱きついて


「このバカ・・・心配したじゃない!!」


 ギンは泣きじゃくるユキの頭を撫でながら


「済まない・・・心配させて悪かった」


 ユーヤはギンとユキを交互に見て、顔をニヤニヤとしていると


「なるほど・・・ギンも『巫女』のユキと付き合っているという訳か・・・隅に置けない男だね」


 ギンはユキの頭を撫でながら


「ふん・・・当然だ・・・俺の嫁さんは全てにおいて完璧超人だ・・・ついでに才色兼備でもある」


 ギンがユキのことを自慢すると、ユキはギンの頭をドつく。


「もう・・・恥ずかしいじゃない!!」


「悪い悪い」


 ユーヤはギンを見た後、アヤを連れて軍艦に戻ろうとした。ギンはそれを見て


「行くのか?」


「あぁ・・・」


「そうか・・・じゃあ次に会うときは・・・お互い敵同士だ」


「そうだね・・・俺は霊軍大将・・・ギンは『神下七星界』いや『四聖帝』の時に・・・お互い全ての力を出してやり合おうじゃないか」


「望むところ!!」


 ギンとユーヤは互いに話すことは話してそれぞれの艦空挺に乗り去っていた。ギンとユキは『クロウ』艦内に戻ると、ギンはそこで意外な奴と出会った。


「久しぶりだな・・・ギン」


「ジンフェー」


 ジンフェーは今のギンを見て、安心しきった顔をする。


「どうやら・・・見ない間に大きく成長したな・・・ギン・・・心身共に」


「そうかもしんねぇな・・・」


 ジンフェーが言った事にギンはそう答えると、ジンフェーは立ち上がり『クロウ』から出て行くようだ。


「じゃあ・・・儂はもう行く・・・ギン・・・仲間を大事にするんだぞ・・・まぁ・・・そう言わなくてもお前なら分かっているはずだ」


「あぁ・・・分かっているよ」


 ギンはジンフェーが言った事にそう言うと、ジンフェーは『クロウ』を出ていた。その後、夜になって、ギンはベッドの上で横になっていると


「何かようかい?・・・ユキ」


 扉の方に言うと、そこにユキがドアを開けて入ってきた。ギンは入ってきたユキの格好を見て驚きを上げた。何故なら、今のユキの格好は薄着を着込んでいたからだ。ギンはユキの格好を見て、ついつい素肌を想像してしまうのだ。ギンは視線をそらした。しかし、ユキはその間にギンの隣にいて横になっていた。そこから少しの間、ギンはどうしようと思っていると、ユキはギンに


「ギンちゃん・・・私・・・貴方のつらい過去をジンフェーから聞いたわ・・・つらいよねぇ・・・貴方は物事を全て引き受ける悪い癖がある・・・だったら・・・そのつらさ・・・私にも・・・分ければいいじゃない・・・つらいことは何かも発散すればいいじゃない」


 ユキはそう言うが、ギンはまるでユキが言ったことを聞いてはいなかった。それよりも何かを求めているような目をしていた。そしたら、ギンはユキに襲いかかっていた。しかも、ユキはそんなギンを受け入れていた。


 翌日、ギンは目を覚まし、昨晩のことを思い出していた。そしたら、ユキが


「おはよう」


「お、おはよう」


 ギンはビクッとなりビクビクとしながらそう言うと、ユキは頬を少し赤くしながら


「もう・・・昨晩のギンちゃんは・・・獣だったよ・・・でも・・・気分が悪くなったりしたら・・・またしても良いよ」


 ギンはそんなことを言うユキを見て


「それは悪かったが・・・ありがとうなぁ・・・ユキ・・・おかげでスッキリした気分だ」


「どういたしまして・・・ギンちゃん」


 それからの日々、ギンとユキは互いに求め合って夜を過ごしていた。その間にユキのお腹にギンとの子供が身籠もっていた。


 と、ユキはゴードとロンズにそう言うことを話し終えると


「へぇ・・・ギンお兄様にもそんな過去があったなんて」


「しかも・・・霊軍に友がいるとは驚きだ・・・」


「いや・・・そうでもないよ」


 ゴードとロンズはそんなことを言っていると、ギンがユキの執務室にいたのだ。ゴードとロンズはそれに驚きを上げる。


「いつからいたの?」


「ついさっきだよ」


 ギンはそう言うと、ユキは「そう」と言う。そしたら、『クロウ』艦内に緊急連絡が鳴り響いた。しかも、その緊急連絡の内容が


「ギン総帥!!・・・霊軍本部の軍艦空挺がやって来ています・・・しかも・・・その指揮が大将ユーヤです・・・総帥・・・指示を!!」


 ギンはユーヤという単語を聞いて、すぐに指示を出した。


「お前ら・・・よく聞け・・・大将の相手は俺がやる・・・手を出すな・・・お前たちは軍艦を沈めることに専念するか・・・ここから距離を取ってくれ・・・巻き添えを食う可能性がある」


 ギンはそう指示すると、無窮から『虹竜』を出し抜くと、ギンは『クロウ』の甲板に向かって走っていた。甲板に出ると、既にそこには大将ユーヤとその側近であるアヤがいた。ギンはユーヤとアヤを見て


「ユーヤ・・・俺を捕まえに来たのか?」


「そうだよ・・・今や君は・・・『剣帝』と呼ばれているほどの剣士だ・・・しかも・・・君も仲間たちも『真世界』では最強の部類に入る剣士たちだ・・・それを一網打尽に捕らえなくてどうする?・・・じゃあ・・・大人しく捕まってもらうよ・・・『銀帝』・・・ギン・ライラック」


 ユーヤはギンを睨みながらそう言うと、ギンもユーヤを睨みながら


「そっか・・・今の俺たちは・・・そこまで有名になったのか・・・嬉しいぜ・・・だが・・・今はそんな物はどうでも良い・・・ユーヤ・・・俺はてめぇをぶっ倒す」


「やれる物ならやってみな!!」


 ギンとユーヤは互いに精霊刀を握った状態でいると、ユーヤが先に精霊を解放したのだ。


「叩き潰せ・・・『天浪』」


「させねぇよ・・・輝け『虹竜』」


 ユーヤが精霊を解放したのにつられてギンも精霊を解放した。そしたら、ギンはユーヤを甲板からはじき飛ばす。だが、ユーヤはギンにはじき飛ばされてもなお、身体は無傷の状態で上空に立っていた。ギンもその後に続いてやって来て上空に立つ。だが、ユーヤは


「感謝するよ・・・ギン・・・君が上空で戦闘する方を選んでくれて・・・これなら・・・思い切り暴れられる・・・卍解・・・『黒縄天鎧浪剛』」


 ユーヤはいきなり卍解をしたのだ。そしたら、ユーヤの背後から巨人が現れてきたのだ。ギンはそれを見て、あの時と変わってはいないが、内なる闘気の質と力量が大きく変わっていた。そしたら、ギンは浪剛に向かって斬り込みに行く。ギンは斬り込みに行きながら


「(あの卍解の弱点が・・・あの時と同じなら・・・いける!!)」


 そしたら、ユーヤが上段の構えをすると、浪剛も同じように上段の構えをする。それを『クロウ』艦内から見ていたユキたちはユーヤと浪剛の動きを見て


「あの巨人・・・大将ユーヤと同じ動きをしている・・・つまりシンクロしているのかしら」


「じゃあ・・・あの巨人は・・・大将と一心同体ということ・・・それじゃ弱点なんてないんじゃ・・・」


「いや・・・ギンの奴・・・知っているな・・・あの巨人の・・・大将ユーヤの弱点を・・・」


 そしたら、ゴードはあの巨人の弱点に気がついたようだ。ロンズは弱点に気づいたゴードに尋ねると


「これは・・・憶測の話だが・・・あの巨人は使用者であるユーヤと動きがシンクロしているのなら・・・」


「そっか・・・痛みもシンクロするはず・・・」


「なるほどねぇ・・・あの巨人を見る限り・・・もの凄い力を秘めている反面・・・鈍重な動きをしている・・・」


「だけど・・・それじゃあ・・・近づかない方が安全なんじゃあ・・・」


 ユキたちはそういった会話していると、外から爆発音が聞こえた。全員外の方を見ると、そこには既に卍解していたギンがいた。


「卍解・・・『神仙虹竜』」


 ギンが『虹竜』の卍解したことによって姿が変化していき、ユーヤの卍解の巨人と相手した。ギンは巨人に向かっていながら内心で確認していた。


「(ユーヤの卍解は・・・もの凄い破壊力ではあるが・・・動きが鈍重であるという欠点がある・・・しかし、ユーヤと『天浪』は別々の動くことがある・・・それにさえ気をつければ・・・奴を倒せることは出来る!!)」


 ギンは内心でそう思いながら巨人に向かっていた。そしたら、ユーヤは上段の構えをすると、巨人も同じように上段の構えをする。そして、振り下ろす。だが、ギンは自身の秘めた能力『超高速移動』で躱すが、ユーヤは次にギンが移動する場所を予測し、精霊刀で薙ぎ払う素振りをすると、巨人もユーヤに同調して薙ぎ払いにいく。だが、ギンはそれすらも読んでいて躱した。そして、ギンは巨人の右手の甲に立ち、精霊刀で右手の甲を刺すと、同時にユーヤの右手の甲にも傷が出来、血が少々出たのだ。ユーヤはすぐさまに左手でギンを掴み取ろうとするが、しかし、ギンは『超高速移動』で躱す。


「どこを見ている?」


 ユーヤはギンがいるところに刀を振り上げ、振り下ろそうとした途端、その瞬間に巨人の右腕に斬りつける。そして、斬りつけたことでユーヤの右腕にも傷跡を残した。そしたら、ユーヤは上空にいるギンに向かって


「『浪剛』!!」


 と叫ぶと、巨人の左腕をギンに向けて薙ぎ払うと、ギンは『神仙虹竜』の羽と右腕で受け止めるも吹き飛ばされてしまった。しかし、ギンは吹き飛ばされながらも踏みとどまった。そしたら、ギンはユーヤに向かってこう言い放った。


「お前とその巨人は全て同じ動きをしている・・・そして、その巨人に傷を与えれば・・・そのダメージはお前にも影響する・・・なんとも不便な精霊であり卍解だな・・・その異常な破壊力を持ちながら・・・それだけの代償を持っているからな・・・こちらは・・・その巨人にダメージを与えれば・・・ユーヤ自身に大ダメージになるからなぁ」


「それは・・・ギン・・・お前も同じなはずだ」


「同じ?・・・残念ながら・・・『虹竜』には・・・人体にもの凄い力が与えられる。」


 そしたら、ギンの右腕は『浪剛』で受けたダメージが元通りに治ったのだ。ユーヤはそれを見て


「『超治癒力』・・・それが『虹竜』の能力か?」


「そうだ・・・これが『超治癒力』・・・『虹竜』の能力の一つだ・・・俺の精霊『虹竜』の能力は『空絶防片』、『超治癒力』そして、『天界蓮臨』の三つの能力を持っている」


 ギンが言った『天界蓮臨』とは、『虹竜』の『天』の力である。世界の天候を意のままに操るつまり支配することが出来る。わかりやすくいうと、世界中の空はギンが思うが儘に操ることが出来るということだ。


 だが、ユーヤはギンが言った『虹竜』の三つの能力を聞いて驚きはしたが、顔には出していなかった。だが、ユーヤはギンに向けてこう言った。


「ギン・・・お前はもう人間の領域じゃない・・・既に神の領域にいるぞ・・・お前は・・・あの時の関係に戻れないだろうか」


「前にも言ったはずだ・・・俺は『剣帝』、お前は霊軍大将・・・お互いそれぞれの道がある・・・やらないといけない立場がある・・・感情に左右されるじゃない」


 ギンはこの戦いに感情を極力持ち込むなと言った。だが、ユーヤは


「違う・・・お前が人として思いやりのあるのかと聞いているんだ!!」


「ユーヤ・・・俺が醜いのか?」


「醜い?・・・どういうことだ?」


 ユーヤはギンが言ったことにオウム返しで問い返した。


「醜ければ・・・醜かろう・・・力を求めて・・・修羅道に進んだ俺が醜かろう」


 ギンはそう言う。だが、ユーヤは


「いや・・・ギン・・・お前が力を求めたのは・・・仲間のためだろう・・・それぐらい俺にだって分かる・・・俺たちはセンズイを失ってから力を求めた者同士・・・だからこそ・・・俺はお前をその領域から連れ戻す」


「連れ戻すだと・・・神のようなことを言うな・・・ユーヤ・・・お前自身は気づいていないだろうが・・・既にお前は神の領域の次元・・・世界で五本の指に入る剣士の一人だ」


「な、何!?」


「この戦いは神と神の戦い!!・・・『剣霊界』の頂点を決める戦いでもある!!!!!!」


 ギンはそう言って『超高速移動』を用いて巨人に向かっていく。だが、ユーヤはいつでも応対できるように準備し構えていた。しかし、ギンは『超高速移動』で縦横無尽に移動しユーヤと巨人を翻弄させながら、巨人の背中、左腕などの至る所に斬り込んでいく。それによってユーヤにも多大なダメージを与えていた。だが、タイミングを見計らって反撃をするも、ギンは精霊刀で受け止めていた。力の差はほぼ無かったように見える。


 そういった均衡状態でギンは


「何を驚いている・・・ユーヤ?・・・今のお前と俺の力の差は無い・・・だから・・・お互い・・・次のステージに入ろうではないか」


「そうだね・・・今の君を倒すには・・・あれをしないといけないかも知れない」


 そしたら、互いに闘気を高めていくと、ギンの方は身体中から白い線が浮かび上がり、ユーヤの方は


「『黒縄天鎧浪剛』・・・『天外鄭玄』」


 と、叫んだ途端、巨人が覆われた鎧がどんどんとはがれ落ちていくのだ。それを見ていたハクリュウたちやユキたちは鎧から解放された巨人を見て内心驚いていた。何故なら、今の巨人の姿は巨大な屍だったからだ。だが、ギンは


「相変わらず・・・その姿形は変わらず不気味だね・・・だが・・・闘気に関していえば・・・もの凄いよ」


「お前こそ・・・さっきよりももの凄い力を感じ取れるぞ」


 そしたら、ユーヤは刀を振り上げると、巨大な屍も振り上げ一気に振り下ろしてきた。ギンは『超高速移動』で躱すも、先ほどよりも大きく躱していた。何故なら、あの状態での『浪剛』の破壊力を知っているからだ。


「(今の『浪剛』の破壊力はさっきまでと比べるほどでもないほどの破壊力だ・・・しかも・・・今の『浪剛』はもの凄く巨大な闘気の塊だ・・・あの攻撃を躱しながら・・・反撃をしても巨大な屍には効かないし・・・すぐに再生されてしまう・・・仕方ない・・・こうなったら精霊との一体化するしかないか)」


 と思っていたら、ギンの頭の中から声が聞こえてきた。しかも、その声は『虹竜』の声であった。


「(我が主・・・ギンよ・・・私の卍解・・・『神仙虹竜』は本当の卍解ではない・・・「(何!?・・・どういうことだ!?)」・・・帝級以上の精霊は・・・使い手の肉体を守るために・・・本当の名を教えなかった・・・だが・・・もう、その枷はいい・・・今の貴方なら『神々に愛されしもの』の仲間であった先代『剣帝』の意志や世界の意志を守ってくれるでしょう・・・『凪』の本当の卍解の名は『神苑龍舞』・・・『黒夜』は『黒王夜月』・・・そして。私・・・『虹竜』の本当の名は『虹神皇竜』というのが本当の私の名です・・・・・・さぁ・・・叫んでください・・・私の名は・・・)」


 ギンは頭の中に響いた『虹竜』の声が聞き終わると、卍解を解いた。それを見たユーヤは


「もう諦めたのか・・・ギン?」


 と言いながら巨大な屍が刀を振り上げ振り下ろそうとする。しかし、その間にギンは


「(ありがとう・・・『虹竜』)卍解・・・『虹神皇竜』」


 そしたら、ギンの周辺から光の柱が迸った。その柱にはじき返された巨大な屍。ユーヤは巨大な屍がはじき返されたのを見て


「(何!?・・・いったい何が起きているんだ!?・・・この闘気・・・今まで感じたことがないもの凄く深くて神々しい闘気は・・・いったい何が!?・・・何が起きているんだ!?)」


 光の柱が消えると、そこにいたギンの姿を見て、ユーヤは驚き立ち止まってしまった。何故なら、今のギンの姿は、白き服に身を包み、『神仙虹竜』の時にあった羽は消えているが、代わりに『超高速移動』が使用でき、さらには『超治癒力』、『空絶防片』そして『天界蓮臨』の能力が格段と跳ね上がるのだ。さらに、ギンは闘気を高めると身体中から白き線が浮かび上がった。そしたら、ギンは『超高速移動』で巨大な屍に向かっていた。ユーヤはギンがもの凄いスピードで近づいてきたので上段の構えで振り上げるも、ギンは『超高速移動』を用いながら縦横無尽に『虹竜・超過蓮斬』(レインボー・リフレクション)を放ちながら攻撃をしていた。巨大な屍はその斬撃の応酬を受けてかなりのダメージを受けたが、再生仕掛けていた。しかし、その代償は大きく使い手であるユーヤの方にも多大なダメージを受けていた。しかも、斬撃を放ち続けたギンの方も披露が顔に表れていた。しかし、ギンは『虹竜』との一体化をした。『虹竜』と一体化した姿は卍解したときと同じ姿をしているが、背中には竜の意匠が施されており、さらにいうと闘気の羽を使えるようになる。だが、そんなことはユーヤの知るよし無かった。そしたら、ギンはその姿の状態で巨大な屍に立ち向かっていく。ユーヤはギンがこちらに来るのを分かったら、再び上段の構えで構える。だが、ギンは巨大な屍が振り下ろした刀を『超高速移動』で躱すが、ユーヤは次にギンが現れるところを予測して刀を薙ぎ払うが、それすらも躱していたギン。いや、正確にいうと巨大な屍が薙ぎ払ったのはギンの残像であった。ギンはその間に巨大な屍の背後におり、『虹竜・光蓮陣・超過蓮斬』(レインボー・タクティカル・リフレクション)を放った。ギンが放った斬撃は巨大な屍の背中に直撃すると、ユーヤは口からかなりの血を吐いた。だが、ユーヤは「『浪剛』」と叫んで、『浪剛』の左腕がギンに叩き付け吹き飛ばすと、ギンもユーヤと同じくらいの血を吐いた。しかし、ギンは咄嗟に闘気の羽でガードしたが、それでも吹き飛ばされてしまった。


 ギンとユーヤ、二人は互いに満身創痍な状態で、また、ぶつかり合おうとしたが、その場に倒れ込んでしまった。そんな二人を見て、ユキとアヤはすぐさまにギンとユーヤの隣に来ると、二人の卍解は既に解かれていて気を失っていた。そしたら、ユキとアヤは互いにギンとユーヤを背負って、それぞれの艦空挺に戻って治癒することに専念した。ユキがギンを背負って戻ってきたら、ハクリュウたち、ゴード、ロンズがやって来た。ゴードとロンズはすぐさま、ギンを渡すと、ゴードがギンを背負って治癒室に向かった。ユキはハクリュウたちに『クロウ』を何処かの島に隠して見張りを当たらせることに指示してゴードとロンズの後を追った。ゴードたちは治癒室に入って、台に乗せて治癒させていると、その後に来たユキの様子がおかしかったのをロンズが気づいてユキに駆け寄る。


「ユキさん・・・大丈夫ですか?」


「えぇ・・・大丈夫よ・・・」


 ロンズは心配そうに言うと、ユキは大丈夫と言うが、既に顔色が悪かった。だから、ロンズは


「大丈夫じゃありませんよ・・・ユキさんの顔色・・・真っ青じゃありませんか・・・ここは私たちに任せて・・・ユキさんも・・・お兄様の隣で横になって休んでいてください・・・」


 ユキは仕方なくロンズの言われた通りにギンの隣の台で横になると、数十分後には寝息を立てて眠ってしまった。その間、ゴードとロンズはギンの治癒に専念していた。ハクリュウたちが治癒室に入っては、ギンとユキの様子を見ては部屋を出て、『クロウ』を何処かの島に隠して身を潜めていた。しばらくしたら、ゴードとロンズはギンの治癒を終えて部屋を出ていた。ゴードとロンズが部屋を出てから数十分後にギンは目を覚まし起き上がる。そして、辺りを見回していると隣で寝ているユキを見つけた。ギンは台から降りてユキの所まで行く。ギンはユキのお腹辺りを触っているとあることに気がついた。それはユキのお腹の中にいる赤子の様子がおかしかった。それによって、ユキの容態がおかしかった。ギンはすぐに闘気で干渉させると、また、あることが分かった。


「(ユキの闘気の流れが安定していない・・・このままでは・・・ユキと赤子が死んでしまう・・・どうすればいい・・・)」


 ギンは内心どうすればユキの容態が安定するのか思案していると、頭の中に『虹竜』の声が聞こえてきた。


「(ギン・・・今・・・彼女は・・・私の力と『蛮竜』の力が混ざり合おうと頑張っているところ・・・強大すぎる私と『蛮竜』の力に身体が悲鳴を上げている・・・しかも・・・闘気が限りなく不足している・・・ギン・・・今は貴方の闘気で彼女を助けるしか方法がない・・・)」


 ギンはそれを聞いて、ユキにギン自身の闘気を送り始めた。そしたら、ユキの呼吸が少しであるが安定し始めた。ギンはそれを見て、そのままユキに闘気を送り続けていた。翌日、目を覚ましたユキは起き上がるとお腹辺りを触っていたギンを見る。そんなギンを見たユキは顔を真っ赤に紅潮しギンを引っぱたこうとした。しかし、ユキはあることに気づいた。体内に巡る闘気の流れが安定しており、しかも、身体から溢れるほど満たされていた。今の自身の状況を知ったユキは台の上で寝ているギンを見てユキはそっぽ向きながら、ギンの頭を撫でていた。ギンの頭を撫でていたユキの頭の中に声が聞こえてきた。


「(我が主・・・ユキよ・・・この声が聞こえるなら・・・聞いて欲しい・・・我が名は『蛮竜』・・・「(『蛮竜』!?・・・いったいどうしたの!?)」・・・我が主であるユキよ・・・其方の身体は危険な状態であった「(危険な状態?)」・・・はい・・・今の主の身体に身籠もっている赤子には『虹竜』の力と我が『蛮竜』の力が混ざり合っている状態であった・・・それによって・・・主の闘気が不安定になり・・・下手をすれば・・・主と赤子は死んでいたであろう・・・だが、『虹竜』の主が闘気を送り続けていた・・・それも一夜かけて・・・今は疲れで眠っているだけだ・・・そのまま休ませておけ・・・それよりも主に話しておきたいことがある・・・「(放したいこと?)」・・・はい・・・実は・・・我が卍解『神獄蛮竜』は本当の卍解ではない・・・「(『神獄蛮竜』が『蛮竜』の本当の卍解ではない?・・・どういうこと?)」・・・実は帝級以上の精霊は使い手の肉体を守るために本来の半分の力も出せていない・・・だが・・・その枷をはずそう・・・今の主なら・・・我・・・本来の力を完璧に使いこなせるだろう・・・よく聞いてくれ・・・我が『蛮竜』の本当の名は・・・

『蛮神邪竜』・・・それが我が『蛮竜』の本当の名だ・・・「(『蛮神邪竜』・・・ありがとう・・・『蛮竜』)」・・・礼には及ばん・・・これによって・・・主の肉体は・・・闘気は安定したというわけだ・・・安心して赤子に専念するが良い)」


 と『蛮竜』は言うと、ユキは内心で


「(ありがとう・・・『蛮竜』・・・ギンちゃん)」


 『蛮竜』とギンに礼を言うと、ギンがう〜んと目を覚ます。そしたら、ギンは辺りを見回して、ユキと目を合わせる。ユキと目を合わしたギンは


「おはよう・・・ユキ・・・身体は大丈夫かい?」


「えぇ・・・大丈夫よ・・・ギンちゃんのおかげでだいぶ楽になったわ・・・ありがとうね・・・私の旦那さん」


 ギンはユキが言ったことに頬を少し赤く紅潮させながら


「大きなお世話だ」


 ユキはそっぽ向きながら言ったギンを見て、ふふっと笑っていた。そんな二人を扉越しから聞いていたゴード、ロンズそして、ハクリュウたちであった。


「う〜ん・・・何やら入りづらい雰囲気・・・」


「どうしよう・・・ギンお兄様が・・・」


「相変わらず・・・熱いなぁ」


「そうだね」


「えぇ・・・」


 などとハクリュウたちが言っていると、扉越しから雪がギンにあることを尋ねた。


「ねぇ・・・ギンちゃん・・・あの時の霊軍大将の精霊の能力はいったい何なの?」


 ギンはユキが尋ねた疑問にユーヤを連想した。


「霊軍大将ユーヤの精霊『天浪』はもの凄い破壊力を有している精霊なんだよ」


「もの凄い破壊力を有する精霊『天浪』?」


「そう・・・そして・・・『天浪』の卍解は『黒縄天鎧浪剛』・・・君が見たあの巨人がユーヤの卍解だ・・・あの巨人はユーヤと一心同体に動くことが出来る。そして、その巨人の恐ろしさは圧倒的破壊力・・・その破壊力の前では・・・まともやり合えず・・・戦意喪失になるケースが多い・・・だが・・・その反面・・・動きが鈍重で・・・手傷を負わせると、ユーヤ自身にもダメージを負ってしまうというリスクがある」


「そうだったんだ・・・だからギンちゃんは・・・ずっとあの巨人に攻撃し続けたんだね」


「そう・・・だが・・・それは鎧を着た状態での話だ」


「鎧を着た状態?・・・それってどういうこと?」


 ユキはギンが言った「鎧が着た状態」というのに疑問し尋ねると、ギンは『浪剛』の特徴を話した。


「ユキ・・・君はあの巨人の中身にあった巨大な屍は何だと思う?」


 ギンは突然、ユキに質問を問いかけると、ユキはう〜んと頭をひねるとギンが


「実は・・・あれ・・・闘気の塊なんだよ・・・」


 ユキとハクリュウたちはギンが言ったあの巨人の中身が闘気の塊というのに驚いていた。


「『黒縄天鎧浪剛』は闘気の塊である巨大な屍そのものに鎧というものに命を与えて覆われていることで力を制御された状態・・・もしその制御そのものの鎧が外したら、どうなると思う?」


「ま、まさか・・・」


「そう・・・今まで制御されていた力が解放されて、異常であり圧倒的な破壊力を持つ巨大な屍となる。だが、それは諸刃の剣でもある・・・その圧倒的力を持つ反面、巨大な屍の方はむき出しの闘気の塊だから手傷を負わせるだけでユーヤ自身には大ダメージを負うリスクがある・・・だけど・・・相手の攻撃で欠損した部分は瞬時に再生されてしまうというのもあるけど・・・やれやれ・・・全くとんでもない精霊だよ」


 ギンはそう言うと、ユキはギンが巨大な屍の攻撃を大きく躱したのも、ギンの攻撃で受けた巨大な屍に同調してユーヤにも大ダメージを負ったときのことを思い出していた。そして、ギンが言ったことで今までのことに説明がついた。


「といっても・・・この事は・・・あいつと始めてやり合ったときに知ったことだから・・・余り価値のある情報だと思わないけど」


 とギンは言うがユキは


「そんなことはないよ」


「ユキ・・・」


「だって・・・ギンちゃんはあの霊軍大将と互角に渡り合えるほどの実力と情報を持っているんだよ・・・凄いことだよ」


「だけどねぇ・・・風の噂じゃぁ・・・ユーヤはゲラルドが・・・中央が指名した次期『聖霊軍本部』の元帥になるという情報だ・・・結局・・・あいつは・・・ひたすら俺の後を追い続けたというわけだ・・・」


「あの大将が・・・」


「次期霊軍本部の元帥!!」


 ユキとドア越しに聞いていたハクリュウたちはユーヤが霊軍の次期元帥になるほどの実力者であることに驚いていた。だが、ギンはもう一つ恐ろしいことを言った。


「さらに言うと、ユーヤには側近であるアヤという女性がいる・・・そいつもユーヤの昇進と同時に大将になる実力者でありながら、ユーヤの側近として動く存在だ・・・ついでに言うと・・・あの二人は・・・世界で五本の指に入るほどの剣士だ・・・さらに言うと・・・あの二人は付き合っている」


「えぇっと・・・あの二人が世界で五本の指に入るほどの剣士・・・恐ろしいわね・・・あの二人・・・」


 ユキはすら恐ろしいことを言うと、ギンが


「いや・・・ユキ・・・君も世界で五本の指に入るほどの剣士の一人だよ・・・」


 ユキはギンが言ったことにえっといった表情をしていると、ギンはすかさずにもう一つ言った。


「『剣霊界』・・・世界で五本の指に入るほどの剣士はジャン・キュウール・ホーク、ユーヤ、アヤ、ユキそして俺だ・・・この時代における最強の剣士がこの五人だ」


 ギンはそう言うとユキとハクリュウたちは顔を引き攣っていた。その後からの一日は、ギンはユキと楽しんだ。


 翌日、ギンたち『ジ・エンパイア』一行は、何処かの島から現実世界に向けて出航していた。ギンとユキは執務室でお茶を飲みながら会話に楽しんでいた。そんな二人の会話を楽しんでいたところにロンズが入ってきた。


「お兄様・・・霊軍の軍艦空挺が追っかけてきているの・・・しかも・・・あの大将が率いているの・・・」


 ギンはロンズの報告を聞いて、昨夜の夕日を思い出していた。あの時の夕日は血のような夕日であったからだ。そんなことを思い出していたギンは腰に携えた『虹竜』を抜いてロンズに指示を出した。


「ロンズ・・・お前はユキと一緒にいろ・・・ユキに何かあったときは・・・俺か他の奴らに伝えて対応に当たれ」


「分かりました・・・お兄様」


 ロンズはギンの指示に従ってユキと一緒に執務室に残った。その後、ギンは『クロウ』の甲板に出て辺りを見回していると、ロンズの言うとおり霊軍の軍艦空挺がやって来ていた。そしたら、ギンは左手に持つ『虹竜』を解放しようとしたら、軍艦空挺から二つの人影が飛び出し、こちらに向かっていた。そして、こちらにやって来た人たちの顔を見て、ギンは一際険しく顔を顰めながら


「何しに来た?・・・ユーヤ?」


「お前と話しに来た」


 ギンはユーヤが言ったことと、ユーヤの目を見て『虹竜』を鞘に収めると顔で来いという仕草をすると、ユーヤとアヤはギンの後についていった。その間にやって来たハクリュウたちにギンはハクリュウたちに目配せをした執務室に向かった。ハクリュウたちはギンの目配せですぐに指示内容を理解した。それは


「出入口付近に部隊を展開させて対応にあたれ!!」


 という指示であった。その指示を理解したハクリュウたちはすぐに各持ち場に移動していた。そして、ギンはユーヤとアヤを連れて執務室に入ると、ロンズとユキはギンの後に入ってくるユーヤとアヤを見て、ロンズはユキを庇いながら精霊刀に手をかけていた。そしたら、ギンはユーヤとアヤをソファに座らせると、ギンもユキの隣に座る。ロンズはそれを見てすぐに執務室から出て行き執務室のドア付近で待機していた。それを確認したギンはユーヤとアヤの方に向いて


「本日はどのようなご用件で?」


 ギンはユーヤとアヤに追っかけてきたわけを聞くと


「あぁ・・・大変なことが起こった・・・実は中央政府が堕ちた」


 ギン、ユキそして、盗聴していたロンズとハクリュウたちはユーヤが言った中央政府が堕ちたことに驚きを上げた。ギンは驚きながらもそうなった訳を尋ねた。


「いったいどういうことだ!?」


「昨日・・・中央政府にいる霊兵から緊急連絡があった。その連絡内容がおぞましい化け物に襲われているという報告であった。その後から音信不通になったので、大至急、中央政府の所に向かった。そして、中央政府で見た光景が・・・」


「光景が?・・・その光景とはいったい?」


「地獄絵図さ・・・」


「何!?」


 ギンたちはユーヤとアヤが言ったことに酷く驚いていた。だが、そんな中でもギンは詳しいことをユーヤに尋ねてみると、ユーヤはその光景を淡々と話し始めた。


「中央政府に行くと、そこにあった光景はさっき言ったとおり地獄絵図だった。辺りの床一面・・・血の海となっていた。そして、血の海に浮いていたのは、何者かに喰われた後があった死体だけが浮いていた・・・俺たちはまず、生存者がいないかどうか確認するために中央政府内をアヤと一緒に歩き回った。だが、誰も生きておらず死体となって横たわっていた。そしたら、部下たちからの報告で最高権力の『五星』までもが死体となって横たわっていたと知った。その後、俺はすぐに現場検証の指示を出して、この事をすぐにゲラルド元帥に報告した。元帥はそれを知ってなのか怒りを燃やしながら「報告に感謝するユーヤ・・・お前は大至急・・・この事を『銀帝』に報告してこい」と命じられてここにやって来た。ここからは可能性の話だが・・・元帥は、この一件に『第一級特異危険視』であるお前たちの力が必要なのだと思ったんだろう」


 ギンはユーヤが話したことを聞いて考え込んでいると、ユーヤに通信が入ってきた。ユーヤはそれに応じると部下から報告を申し上げた。その報告にユーヤは驚きを上げた。その報告はユーヤとアヤ以外の霊軍兵が中央政府を崩壊した奴を倒しに行こうとしていたらしいが、大将たちによって抑えられたと報告された。ユーヤはその報告を聞いて酷く尚早に陥っていた。ギンはユーヤが言ったことにやっぱりという顔をしていた。そして、ユーヤの話に驚くが理解することが出来た。そしたら、ギンはユーヤとアヤを軍艦空挺に帰してやった。ユーヤもギンの誘いに乗ってアヤと共に軍艦空挺に帰っていた。その後、ギンたちは『クロウ』で現実世界に向かって進行しているとあることに気がついた。超巨大戦艦空挺には『世界移動』が出来ることを知った。だが、それはある一定距離じゃないと機能しないと言うことを知った。それを知ったギンたちはすぐさま『世界移動』を使用して現実世界に移動した。だが、ギンたちは気づいていなかった。今、現実世界で起こっている危険のことに・・・。

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