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12(『真世界』編04)

この話は『ジ・エンパイア』VS『魔王の軍勢』との戦。

 ギンたち『ジ・エンパイア』は『四聖皇』の『魔王カイ』率いる『魔王の軍勢』がいるSSO世界に向かっていた。SSOとは『ソード・センス・オンライン』の略称で剣士たちが住まう世界だが、『剣霊界』ほどの剣士は存在しないのだ。しかし、その世界の剣士は侍と呼ばれている。さらにいうと、SSOは中央政府に加盟していない世界でもある。


 そんな世界にやって来た『ジ・エンパイア』はSSOの人々の姿や格好を見ると、ハクリュウたちは


「へぇー」


「この世界は・・・侍の剣士が住んでいるのか?」


「なかなか・・・でも・・・」


「うん・・・この世界じたいが静かすぎる・・・まるで・・・」


「あぁ・・・圧政でも強いられている感じがする・・・」


「確かに・・・ん?・・・どうしましたか?・・・ギン?」


「うん?・・・あぁ・・・あそこにいる人たち・・・この世界の人たちじゃないよな?」


 ハクリュウたちはギンの視線で指した方向を見ると、そこにはこの世界ではない人たちが何者かに襲われていたのだ。ギンたちはそいつらのことを詳しく調べてみると、そいつらの至る所に『魔王の軍勢』のエンブレムがついていた。ハクリュウたちはふっと笑っているが、ギンはもう一つの方を気にしていた。襲われている人たちの顔を見ていた。そしたら、自分の脳裏に浮かんだ顔がインプットされた。そしたら、ギンはその場から飛び降りだしたのだ。ハクリュウたちはギンのいきなりの行動にまたかよといった顔をしていた。さらに続いて、ユキも飛び降りたのだ。カキュウたちもはぁっとため息をついた。


 地上に飛び降りたギンは、その後に続いて降りてきたユキを抱っこして下ろすと、ギンとユキはすぐに襲われている者たちの所へ向かった。『魔王の軍勢』の下っ端たちに襲われている者たちはそれぞれ武器を持って応対していたが、劣勢に見舞われていた。そして、襲われている者たちに『魔王の軍勢』の下っ端たちは一気に襲いかかろうとしていた。そしたら、そこに突如、空から刀が降ってきて地面に突き刺さったのだ。そしたら、そこに二人の剣士がやって来た。そしたら、一人の剣士が


「何だ・・・ついてきたのか・・・お前ら」


「我々は・・・『ナイト・オブ・ラウンズ』・・・ギンの直属剣士だ・・・」


 その後にハクリュウたちが飛び降りてきたのだ。『魔王の軍勢』の下っ端たちはハクリュウたちの姿を見たからなのか驚きはじめた。


「おい・・・こいつら・・・」


「間違いねぇ・・・」


「ザルク様をやった奴らだ・・・」


「おめえら・・・やっちまえ・・・」


 一人の下っ端の合図と共にギンたちに襲いかかってくる『魔王の軍勢』の下っ端たち。しかし、その下っ端たちをギンが刀を一閃で返り討ちにした。下っ端たちはその返り討ちで戦闘不能になった。残った下っ端たちは


「くそっ・・・」


「お前ら・・・行くぞ!!」


 下っ端たちがもう一度、襲いかかろうとしたら


「待ちな・・・」


 と、声が聞こえた。その後、すぐにやって来る一人の女性に下っ端たちは


「『鎧王のセルケト』様」


「セルケト様ー」


「私の名は『魔王の軍勢』の『魔王カイ』様の腹心の一人・・・『鎧王のセルケト』・・・・・・貴様らが・・・『惨王のザルク』をやったことは知っている・・・・・・ここで貴様らを倒し・・・ザルクの敵を取る・・・」


 セルケトが自前の剣でギンに斬りつけてくる。しかし、その剣をメリアとギリスが刀で受け止める。そしたら、メリアとギリスが


「ギン・・・こいつの相手は・・・」


「僕たちに任してくれないか?」


 二人はセルケトの相手をしても良いというのを聞くと


「構わない・・・さっさと倒せ・・・」


 と、ギンが許可をしたのだ。そしたら、メリアとギリスはセルケトの剣を弾き返す。弾き返されたセルケトはメリアとギリスを見て


「なるほど・・・貴様たちは・・・『ナイト・オブ・ファイブ』・・・『遊びの剣士』のメリアと・・・・・・『ナイト・オブ・シックス』・・・『人望の剣士』・・・ギリス・・・・・・なるほど・・・まさか・・・私の相手に『ナイト・オブ・ラウンズ』が二人もねぇ・・・・・・光栄に思って良いかしら?」


「さあ・・・どうかしら・・・乱れろ・・・『花転狂骨』」


「全く・・・メリアは・・・・・・剣と盾となれ・・『双竜の理』」


 メリアとギリスは互いに精霊を解放させ構えていた。その二人の構えを見てセルケトは


「面白い・・・」


 そしたら、セルケトも精霊を解放させる。メリアとギリスは精霊を解放させたセルケトに向かって突撃していく。それを見て、セルケトは二人に向かって火炎弾を放った。しかし、その火炎弾がセルケトに向かって放たれていたのだ。セルケトはその火炎弾を躱し、再び、火炎弾を放つと、今度こそ、命中と思っていたが、既にメリアが消えていて、ギリスだけしかいなかった。そしたら、セルケトの腹に青竜刀みたいな刀で貫かれていた。セルケトはいったいその刀がどこから出てきたのか確認しようとしたが、火炎弾がまたセルケトに向かって放たれていたのだ。その返されていた火炎弾はセルケトに直撃した。それを見ていたカキュウたちはいったい何が起きたのかに驚いていた。そしたら、ギンが


「そうか・・・ユキやカキュウたち・・・あの半年間に仲間になった者たちは・・・メリアとギリスの能力は知らなかったな・・・」


「確かに・・・」


「そういえば・・・そうだったね」


「まあ・・・メリアとギリスは・・・『ジ・エンパイア』の中で・・・一,二を争う天才だから・・・」


「違うぞ・・・S.A.R.U・・・」


「二人は・・・頭が良いの・・・」


 ギン、ハクリュウ、シュウ、S.A.R.U、ガル、ヴァンといった初期のメンバーはメリアとギリスの精霊の能力を知っていたが、ユキたちは知らなかった。だから、ギンが二人の精霊の能力の説明をした。


「まず・・・メリアの精霊・・・『花転狂骨』は・・・子供の遊びを現実にすること・・・ルールや縛りは精霊が決め・・・領域に入ったものは・・・強制的にそのルールに従わせる・・・使用者を含めてね・・・・・・けどね・・・メリアの卍解は・・・思い出す度に・・・ゾォーとするよ・・・メリアが使うときは・・・・・・絶対逃げよ!!」


「確かに・・・」


「俺も絶対逃げるよ・・・」


「「「死にたくない!!」」」


 ギンたちが言った事にユキたちもそんなにメリアの卍解はやばいということが分かった。そしたら、ギンは続いてギリスの説明をした。


「続いて・・・ギリスの精霊・・・『双竜の理』は・・・相手が放ったものは刀を通して・・・もう片方の刀から放たれるもう力と考えていい・・・しかも・・・恐ろしいところが・・・威力とタイミングを若干狂わせるんだ・・・だから、相手は直感で躱さないといけない・・・卍解も・・・やばいちゃ・・・やばいな・・・」


「っていうか」


「メリアとギリスは・・・」


「滅多に卍解は使わない・・・」


「使うとしたら・・・」


「俺たちも驚くよ・・・絶対に!!」


 ユキたちから見ればメリアとギリスのことをギンたちは言いたい放題であった。




そしたら、メリアとギリスの方では、セルケトが二段階目の解放を通り越して三段階目の解放をしたのだ。メリアとギリスは第三段階目の解放したセルケトの姿を見ると


「まるで魔王ね・・・」


「ザルクのときもそうだったけど・・・こいつも・・・魔王そのものになるの・・・いやになる・・・」


 二人はそんなことを言っていると、セルケトはメリアとギリスに向かって特大な火炎弾を放った。しかし、その火炎弾もギリスの刀によって跳ね返し放たれた。だが、セルケトは跳ね返された火炎弾を取り込み、力が増していた。メリアとギリスはさっきのセルケトの行為を見て分かってしまったことがある。


「あいつ・・・間違いない・・・あの実を食べているわ・・・」


「あぁ・・・俺もそう思う・・・早めに倒さないと・・・あの人が・・・・・・」


「仕方ない・・・やるしかないか・・・・・・卍解・・・『花転狂骨・白松金寿』」


「メリア・・・このタイミングで使うの・・・!?・・・・・・ギン」


「分かっている・・・全員!!・・・この場から逃げろ!!!!!!」


 ギンはハクリュウたちをこの場から逃げることを命じると、ハクリュウたちはすぐにカキュウたちを連れて『クロウ』に戻っていた。もちろん、襲われている者たちも連れて『クロウ』に避難していた。しかし、『クロウ』内部にいても身体中からゾクっと肌から来るものを感じた。


「いったいこれは何?」


「何でこんなに寒いって感じるの?」


 リーナとナルスリーが寒さを感じていた。それはカキュウ、ショウキュウ、カレン、カグラ、クルーウ、ネネといったの女性陣はそう感じたが


「いや・・・これは・・・ジノ・・・」


「あぁ・・・お前をそう思うか・・・シューテル・・・」


 ジノとシューテルは、これはもしやといった顔をしていた。そしたら、ギンたち初期メンバーが


「その通りだ・・・ジノ、シューテル」


「これは・・・」


「寒気だよ」


「しかも・・・」


「こんな寒気を感じるのは初めてだと思うよ・・・」


「さらに言うと・・・ここまで戦慄を感じるのも初めてのはず・・・」




 そして、地上にいるセルケトは空も暗くなっていることに気づいていたが、このようなことして何になるという考えであった。そしたら、そこにメリアだけがやって来てセルケトにあることを尋ねた。


「ねぇ・・・今の君にとって・・・この空は何に見える?」



「何に見えるって・・・別に何も見えないけど・・・それが何か・・・まさか・・・これが君の精霊の能力・・・」


「その通り・・・卍解・・・・・・『花転狂骨・白松金寿』・・・私の卍解は人にはあんまり見せないの・・・その圧倒的な能力や範囲が恐ろしいから・・・」


 メリアは笑顔でそういうことを言うが、セルケトは


「何を言っているのか・・・見当がつかないよ!!」


 と言いながらメリアに向かって特大火炎弾を放つが、既にメリアの卍解が起こっていた。それはセルケトの身体の至る所に火傷のような跡と何かの切り傷があった。セルケトはこれらを見てすぐに気づいた。これらの傷は先ほどまでの戦闘の傷跡であった。それを見てメリアは


「気がついた・・・その傷跡は・・・今までの戦闘の傷だよ・・・・・・これが私の卍解・・・『花転狂骨・白松金寿』の一つ目・・・『痛みの舞』・・・私が受けたダメージは・・・貴方も受けることになり・・・その傷跡は・・・二度と消えない・・・じゃあ、次の幕に入ろう・・・・・・二の幕・・・」


 と言いかけると、辺り一帯が水でいっぱいになっていた。セルケトは辺りを見回し、上に向かって跳躍し飛び続けた。しかし、一行に水面に向かっている気がしなかった。セルケトは内心でこれはいったいどういうことだと言っていた。そしたら、メリアが続いて能力の説明をした。


「二の幕・・・『永劫輪廻の流麗』・・・この水の中から出ることはできない・・・・・・ここから出られる方法は・・・自らの闘気が消えるまで・・・ここから出ることはできない・・・永遠に・・・・・・さて・・・そろそろ・・・終わらせようか・・・」


 メリアがこの戦いの終わりを宣言すると、セルケトは「何!?」と言うと、そこにギリスがやって来て


「卍解・・・『蒼天・双竜蓮の理』」


 ギリスも卍解をする。それを『クロウ』から見ていたギンたちが


「ほぉー・・・珍しいことが起きたね」


「ギリスも卍解するなんて・・・」


「珍しい・・・」


「って・・・何を言っているんですか!?」


「ギリスの卍解も・・・メリアと同じくらいやばいじゃん」


「しかも・・・メリアとギリスが卍解すること自体が珍しいが・・・このままだと・・・死んでしまうような気がするだが・・・」


 ヴァンが言ったことにギンたちも賛同する。ユキたちはそのわけを聞くと


「メリアの卍解・・・『花転狂骨・白松金寿』と同様に・・・ギリスの卍解・・・『蒼天・双竜蓮の理』は・・・もともと・・・二人の精霊は精霊刀で具現化したとき二本の精霊刀になっている」


「メリアとギリスの精霊は二刀一対の精霊だ・・・つまり・・・二体で一つの精霊だ・・・」


「しかも・・・今までに無い・・・精霊でもある・・・」


「メリアとギリスの本気は見られることは滅多にない・・・・・・」


「元々・・・二人は集団戦を好まない・・・」


「二人は・・・互いに卍解を隠した・・・・・・他の皆の迷惑になるからだ」


 ギンたちが言った事にユキたちも驚いてメリアとギリスの戦いを見ていた。




 地上では、ギリスが卍解をして形勢は変わってしまったのだ。セルケトはメリアの卍解にもがいていたら、メリアが


「動かない方が身のためだよ・・・・・・三の幕・・・『戦毒の嘆き』」


 そしたら、セルケトの身体の至る所に黒い斑点が浮かび上がり苦しみはじめた。


「三の幕・・・『戦毒の嘆き』は・・・癒えぬ病を負う・・・二度と治ることはない・・・・・・と言っても・・・今の貴方は・・・もがき苦しいんで・・・訳が分からないでしょうけど・・・さて・・・ギリス・・・」


「あぁ・・・メリア・・・終わらせよう・・・この幕に終幕を・・・」


 そしたら、メリアは精霊刀を納める。セルケトはメリアが丸腰になった途端に超特大火炎弾を放った。しかし、その火炎弾はギリスの能力によって、吸収されてしまった。しかし、その後、すぐにメリアがセルケトに向けて何かの仕草をする。そしたら、セルケトの身体を縦から真っ二つのように斬られたのだ。


「終の幕・・・『糸切りの血月』」


 セルケトは今までにしてやられたことに頭にきてメリア目掛けて超特大火炎弾を放ち続けた。しかし、それらの全ての火炎弾はギリスに精霊の能力で吸収されてしまう。ギリスは精霊刀をセルケトに向けて


「『蒼天・双竜蓮の理』・・・・・・『神例の舞』・・・・・・『魔蓮の理』」


 ギリスの刀から放たれた火炎弾は今まで放たれた全ての火炎弾だった。セルケトはギリスが放った火炎弾をまともに受けてしまう。だが、メリアが放った傷とさっきの火炎弾で身体が思うように動けなくなってしまった。その後にメリアの卍解によってくる病の苦しみに気絶しかけていた。そしたら、ギリスは何もないところで刀を振るわせると、そこの空間が裂ける。その吸引力にセルケトは引っ張られていた。しかし、セルケトはそれにあらがう。だが、それを見ていたギリスはセルケトに向けてこう言った。


「無駄だよ・・・この技の前では・・・誰一人・・・あらがうことは出来ない・・・・・・それが出来るのは・・・総帥であるギンだけだよ・・・・・・・・・・・・そういえば・・・この技の名を教えていなかったね・・・『蒼天・双竜蓮の理』・・・『瞑封の理』・・・・・・この技に囚われたものは・・・二度と抜け出ることは出来ない・・・永遠に・・・」


 しかし、セルケトにその声は聞こえていなかった。なぜなら、もうセルケトは空間が裂けたところの目の前まで来ていたのだ。そして、セルケトはその空間に飲み込まれてしまった。その後、空間は閉じ消えていた。それを見ていたギリスは精霊の解放を止め納めた。そしたら、辺り一帯にあった水が消えていた。メリアとギリスは『クロウ』に戻ると、ギンたちが二人の帰還と勝利にはしゃぎはじめた。だが、ギンは何やら怒りっぽく二人に近づくと、メリアとギリスは察しがついていたので、大人しくしていた。


「お前ら・・・卍解するのはいいが・・・・・・周りを考えてからやれ・・・!!!・・・・・・こっちだって死ぬかと思ったわ・・・」


「「すいません」」


 ギンの説教に二人は謝ると


「まあ良い・・・それより・・・・・・」


 ギンは襲われている者たちの所に行き、その中にいた一人の少女と一人の青年の頭に拳骨をした。


「何でこんな危険なところにいるんだ・・・金兄貴に・・・バカ銅・・・・・・」


 ギンが言ったことにここにいる全員目を点にしていた。そしたら、ノーラがギンに


「ねぇ、ギン・・・この二人は・・・どういう関係?」


「どうもこうもない・・・俺の兄と妹だよ・・・」


 全員、ギンが言ったことにえぇーと盛大に声を出し、ビックリしていた。しかし、そんな中、ハクリュウたちとユキは前にギンが言っていたことを思い出した。『俺には・・・まともな兄貴と超絶ブラコンの妹がいるんだ・・・とにかく更生したいくらいな妹が』と言っていたことを思い出した。そしたら、兄がギンに対してこう言った。


「それについては・・・悪いと思う・・・だが・・・いきなり拳骨はないだろう・・・しかも・・・かなり威力あったし・・・」


「それについては俺も悪かったと思うが・・・だけどよぉ兄貴・・・・・・何で妹のバカ銅の更生・・・じゃなくて面倒を見てないんだよ」


「お前・・・今、更生と言わなかっ・・・「気のせいだよ」・・・いや・・・しかし・・・「気のせいだよ」・・・そうだな・・・俺が面倒を見なかったのが悪かった」


 兄はギンが公正と言っていたことを追求しようとしたら、ギンが思い切りはぐらかしてしまった。その会話を見ていたハクリュウたちはもの凄いことを言っているギンを初めて見た気がした。そしたら、妹のバカ銅が


「そんな・・・お兄様・・・私を更生して私物化する気なのですね・・・」


 ギンはそんなばかげたことを言う妹の頭にアイアンクローを決める。しかも、みしみしと相当力を込めていることが分かった。ギンは妹にアイアンクローを決めながら


「アホなことを言うんじゃねぇ・・・このバカ銅・・・」


 と言って頭を放すと


「さすがです・・・お兄様・・・お兄様にも・・・私に対して優しさがあるなん・・・へぶっ」


 ギンはまた妹の頭に拳骨を落とすと、ゴキンというなってはいけない音がそこら中に鳴り響いた。その後、妹は「頭が・・・頭がぁ・・・」と頭を押さえながらうずくまっていると、ユキが


「ね、ねぇ・・・ギン・・・もうそのくらいにしてあげても良いんじゃない・・・その子が可愛そうだよ・・・」


 ギンはユキから「もう止めてあげた方が良い」と言われてしまい、大人しく離れる。だが、妹にこう言い残して


「もし・・・また昔のようにやったら・・・次は無いと思え・・・」


 その言い残しにハクリュウたちは内心容赦ねぇと思っていた。




 その後、ギンたちは再び地上に降りる。しかし、兄と妹たちは『クロウ』内部でお留守番させている。しかも、妹だけは悪さをすれば電撃を与えるブレスレットをつけて留守番をしている。さらに言うと、ギンとユキだけにしか外せないという仕組みになっている。ハクリュウたちからそんなしなくても良いのにと言うが、ギンは


「目を離していると・・・何をしでかすか分からない・・・・・・今までも・・・そうだったから念には念をと思ってな・・・」


 と言われてしまうとハクリュウたちも言い返せなかった。その後、兄ガこっそりと昔のことを教えた。昔、妹がギンに纏わり付いていくのだ。いたずら込みで。それも毎日であった。しかも、ギンのお仕置きを受けてもなお、いたずらをすることであった。さらに言うと、妹のいたずらは日に日に増していた。なお、妹のいたずらは母親譲りであり、俺たちの父親も困っていた。それを知ってハクリュウたちも妹のいたずらにやられたときのことを考えると、ゾッとなってしまった。だから、ギンは妹にブレスレットをつけたのだ。そう思うことにしようと頷くハクリュウたち。


 その回想を終えると、ギンたちはセルケトたちと出会った所にいる。そしたら、ギンが辺りに大声で


「隠れてないで出てこい!!」


 と叫ぶと、茂みから四人の侍とギンたちと同じくらいの二人の侍が出てきた。そしたら、四人の侍たちがギンたちに向けて頭を下げた。ギンたちもいきなり頭を下げる四人の行為に驚くと、四人のうちの一人の侍が


「単刀直入に言う・・・お力を貸していただきたい」


「と言うと?」


「我らの同士・・・トウエンという剣士が『魔王の軍勢』に囚われている・・・彼を解放すれば・・・奴らに対する戦力が整う」


「だから・・・力を貸して欲しいというわけだな・・・」


「その通りだ・・・」


「いいよ・・・ただし・・・・・・君たちの顔を見る限り・・・『魔王の軍勢』には私怨のようなものを感じる・・・・・・その点はどうだい?・・・シュウ・・・ナルスリー?」


 ギンはここにいる侍たちから憎しみといったものが感じ取れていた。それをシュウとナルスリーに振ると、二人は


「いきなり・・・振るのは止めてください・・・確かに彼らからは・・・『魔王の軍勢』に対する不快の憎しみを感じますねぇ」


「その点は同感だが・・・もっと正確に言うと・・・彼らにとって何か大事なものを奴らによって失ったと考えていいよ・・・たとえば・・・同胞の侍か家族を失ったって所かな・・・」


 シュウが言った事にギンたちと同じくらいの二人の侍が


「そうだ!!・・・奴らは・・・俺たちの家族を・・・関係の無い多くの侍たちや人たちを殺したんだ・・・・・・あんな奴らが来なければ・・・・・・」


 ギンは二人の侍を見て


「そうか・・・分かった・・・ただし・・・・・・君たちは・・・俺の仲間になってもらおう・・・」


 ハクリュウたちはギンが言ったことにフッと笑みをこぼす。だが、二人に取ってみればいきなりのことであった。しかし、二人は


「何故?・・・俺たちがお前の仲間にならなきゃいけない・・・・・・その理由を聞きたい!!」


「理由?・・・簡単さ・・・お前に教えておいてあげようと思って・・・・・・怒りや復讐にいったものの末路というのを教えておこうと思ってね・・・」


「怒りや復讐にいったものの末路?」


「そうだ・・・復讐を達成しても・・・そこにあるのは・・・空しさだけだ・・・・・・そうならないために・・・君たちの怒りは全て俺たちが引き受ける・・・もし・・・それが嫌だというなら・・・君一人でやるといい・・・出来れば話だが・・・」


 二人の侍はギンが言ったことに悔しがっていた。しかし、ギンは二人にこう言った。


「しかし・・・君たちが俺たちの仲間になれば・・・奴をこの手で殺したいという機会を与えることは出来る・・・・・・どうだい?・・・・・・乗るかい?」


 二人はギンが言ったことに迷ったが、数分後に覚悟を決めて


「分かった・・・俺の名はソウだ・・・あんたの仲間になってやるよ・・・」


「私の名はアナ・・・私も貴方の仲間になるわ・・・」


「決まりだな・・・よろしくな・・・ソウ・・・アナ」


「「はい」」


 ギンはソウたちから離れていくと、ユキが


「随分とあの二人に力を貸そうしたわね・・・ギン」


 ユキはギンに二人に力を貸そうしたわけを尋ねると


「なぁーに・・・あの二人は・・・昔のおれを見た気がしてな・・・復讐に身を焦がす自分にね・・・(それに・・・俺も『真世界』に来たときに・・・友を失って初めて知った・・・己の無力さを・・・・・・そして・・・あいつが言っていた・・・己を知り、世界を知ることで・・・人は強くなれる)」


 などと思ってギンは『クロウ』に戻ってしまった。その後にハクリュウたちがソウたちを『クロウ』の方へ案内させた。その間に四人の侍たちは向こう側の仲間たちの所に向かっていた。




 その後、『クロウ』内で皆にソウたちのことを紹介する。そしたら、速攻にジノとリーナがソウを連れて行き、ナルスリーとトルルがアナを連れて行ってしまった。だが、ギンの兄と妹は、どうしてあの二人は仲間になったのか理由を尋ねると、そしたら、ハクリュウたちが先までのことを話すと、兄は


「おいおい・・・そういう所は母さん譲りだな・・・あいつも・・・」


 そう言うと、ユキは兄に貴方たちの母親の名を尋ねてみると


「俺、ギン、妹の母親は・・・かなめっていうんだ・・・」


 ユキはかなめという名を聞いてえっといった顔になった。


「か、かなめさんって・・・これは失礼だと思うけど・・・・・・もしかして貴方たちって・・・朝宮家の人間・・・?」


 ユキが言ったことにギンはやはりといった顔をしていた。


「ユキ・・・お前はやはり・・・星埜家の人だね・・・」


 ギンはそう言ってため息をついた。しかし、メリアたちから見ればいったい何の話か分からなかった。だが、ハクリュウとシュウは朝宮家という言葉に聞き覚えがあった。


「もしかして・・・朝宮財閥の人たちか!?」


「そうか思い出した・・・朝宮家は・・・武闘系の一家で警察、軍といった機関に密接な関係がある一家だ・・・」


 ハクリュウとシュウが言った事にギンは


「その通り・・・俺のリアルネームは朝宮銀次・・・そして・・・俺の兄の朝宮金四郎・・・妹の朝宮華銅だ」


 ユキはそれを聞いてはぁっと息を吐く。


「やっぱり・・・朝宮家の人間だったのね・・・だったら・・・華銅ちゃんのいたずらも・・・ギンの恐怖も感じる話し方も頷けるわ・・・かなめさんの子供だって・・・・・・あぁー恐ろしい・・・」


 ユキが言っていたことにハクリュウとシュウは朝宮家、かなめという単語を並べて、頭を巡らせると、あっとなって何かを思い出したようだ。


「思い出した・・・かなめっていやぁ」


「あぁ・・・『武神』とまでいわれている女傑だった・・・・・・」


「他にもあるぞ・・・『武神』とは表の名だ・・・裏の名は『悪魔の女帝』とまで呼ばれていることを・・・」


 ハクリュウとシュウが言った事にギンとユキは


「お見事・・・その通りだよ・・・・・・ちなみに・・・俺がこういうことを知ったのは・・・まだ六歳の頃に知ってしまった・・・母さんと一緒について行って・・・地下世界(アンダー・グラウンド)のことも学んだんだよ」


「ついでに言うと・・・あたしも・・・その時にギンと『アンダー・グラウンド』でもあったし・・・星埜神社でも会ったことがあるの・・・・・・だから・・・あの時、ギンの顔を見たとき・・・もしかしてと思ってしまったから・・・」


 などと言っていると、ハクリュウとシュウははぁっと息をついてしまった。そしたら、彼らの間にメリアとギリスが


「『悪魔の女帝』・・・それなら知っているわ・・・私は彼女のようになりたくて・・・剣を学んでいたの」


「俺もその通りだよ・・・っていうか・・・彼女は裏の世界では・・・伝説の中の伝説だから・・・俺に取ってみれば・・・・・・憧れの存在なんだ・・・今でも」


 金四郎、銀次、華銅はメリアとギリスが母親のことを言っていると、銀次が


「だったら・・・この戦いが終わったら・・・いつでも・・・母さんに会わせて上げても良いけど」


 ギンがそう言うと、メリアとギリスだけではなくS.A.R.Uたちまで嬉しそうな顔をしていた。それを見てギンは内心こう思った。


「(母さんは・・・裏の世界では・・・英雄的存在なんだな・・・凄いと思ってしまうよ・・・まあ・・・俺にとって見れば・・・鬼のような母さんだったけど・・・)」


 そしたら、兄の金四郎ことゴードと妹の華銅ことロンズはギンと話したいことがあると言っていた。ギンはそれを聞いて、いったい何の話なのか内心思っていた。そしたら、ギンはゴードとロンズを連れて、自分の執務室に連れて行った。そして、執務室に入ると、ギンはまず、扉の鍵をかける。そしたら


「っで・・・俺に話したいことは何なの?」


 ギンは兄と妹が話しておきたいことがあることに分かっていた。そしたら


「やはり・・・気づいていたか・・・実はお前に教えておきたかったことがある」


「教えておきたいこと?」


「あぁ・・・実は・・・」


「実は・・・私たち・・・前に女神様に会ったの」


「女神?」


 ギンはロンズが言ったことにオウム返しに言って顔をしかめる。


「実は・・・WSOに数千億年前からあったといわれている古代遺跡を発見した。その遺跡の内部には・・・数千億年前から数億年前までの歴史が壁画や碑文として見つかった。しかし・・・俺たちは・・・その碑文は読めなかったので・・・あとにしようとしたら・・・その時にどこからが声が聞こえたのだ・・・そして・・・その声の主が・・・」


「女神という訳か」


「そうだ・・・そして・・・女神様たちは・・・壁画と碑文を見ながらこう言った・・・・・・『神と呼ばれ続けている機関』と『神と呼ばれし精霊たちに愛されしものと・・・その仲間たち』との戦争があった・・・しかも現実世界も巻き込むほどの戦争があったという話と・・・」


「『神々に愛されしものの子孫たち』の話を聞いたの」


「『神々に愛されしものの子孫たち』?」


 ギンはロンズが言ったことにまた顔をしかめた。そしたら、ゴードがそのことについても説明した。


「『神々に愛されしものの子孫たち』とは・・・『神々に愛されしもの』はその戦争で・・・あるやつと戦い負けた・・・だが・・・彼は死の間際に自らの力を四つに分けて・・・後世の子孫に残して・・・死んだらしい」


「その力は『神の力』と呼ばれている。その四つが『戦闘力、叡智、魔力、権謀術数』の四つで・・・だから・・・」


「いわなくてもいい・・・お前たちが心配していることは・・・俺がその『神の力』を持っているかどうかだろう・・・・・・残念ながら・・・俺には『神の戦闘力』を持っている・・・だが・・・その力は未だに感じたことはないがな・・・さらにいうと・・・ここ最近・・・妙に力が制御出来ないんだ・・・しかも・・・いつ暴走するか分からない状態だ」


 ゴードとロンズはそれを聞いて


「そうか・・・だったら・・・まだ可能性はある・・・ギン・・・・・・まだ君の才能はまだ開花していない・・・しかし・・・気になることがある・・・お前は・・・何のために・・・その『神の力』を使うんだ?」


「知れたこと・・・俺にとって大事なのは『仲間』だ・・・俺個人が出来ることはたかが知れている・・・だからこそ・・・俺は仲間を大事する・・・今までもそうだった・・・俺には仲間たちの思いと命を背負っている・・・そんな力はいらない・・・必要なのは・・・この力ではない・・・個々の力が束なってこそ本当の力だと・・・俺は思っている・・・それが俺たち『ジ・エンパイア』だ!!」


 ゴードはそれを聞いて


「そっか・・・(ギン・・・お前は・・・生まれたときから違ったかもな・・・父上はそれを分かっていて次期後継者として選んだんだろうな・・・・・・しかも・・・お前は母さん譲りのところがあって・・・どんな人にも・・・接しあうところ・・・同世代の子たちと切磋琢磨に鍛え続けた・・・誰からも愛されているお前が『個人ができる事なんてたかが知れている』なんてことを言うなんて・・・そんなことを言えるのは・・・そういったことを一度体験したから言える言葉だ)ギン・・・お前は大きく成長したな・・・父上や母さんが知ったら・・・真っ先にお前を後に継がせて・・・隠居するかも知れないかもな・・・」


 ゴードはそんなことを言うと、ギンは


「そうかもしんねぇなぁ・・・でも・・・・・・今の俺が目指すものは・・・真に世界最強の剣士『剣帝』だけだ・・・今は家督のことなんかどうでも良い・・・・・・世界頂点に君臨したい気持ちでいっぱいなんだ!!!!!!」


 ギンがそう言うと、扉の鍵が勝手に解かれ、そして


「それでこそギンだ!!」


「貴方のためなら・・・」


「我ら『ナイト・オブ・ラウンズ』は・・・」


「いかなる敵にも・・・圧倒的な力で・・・」


「叩き潰してあげます」


「我ら『ナイト・オブ・ラウンズ』に・・・」


「敗北はない!!」


 ゴードとロンズから見れば、『ナイト・オブ・ラウンズ』の気迫は凄まじかった。そして、ゴードは内心では


「(何という気迫というか・・・王の風格を感じる・・・・・・『ナイト・オブ・ラウンズ』には・・・王の力を持っている・・・そんな王たちの頂点にいる・・・ギン・・・これが・・・『ジ・エンパイア』・・・そんな彼らには絶対的な絆がある・・・その絆が・・・彼らをここまで強くなれたんだろう)」


 そう思うと、ギンはこの部屋を出ていた。しかし、内心では


「(クソ・・・兄貴が教えてくれたおかげで・・・この痛みが分かってしまった・・・この痛みは・・・『神の力』に対する徴候・・・おもしれぇ・・・この痛みの中・・・俺は・・・あの怪物とやり合えるのか・・・)」


 などと思いながらギンは通路を歩いていた。




 その後、ギンたちは『魔王の軍勢』に囚われていたトウエンを救出し、トウエンたちSSO奪還隊はギンたちの傘下に入ることになった。しかも、兄のゴードの『エンプレス』も傘下に入ることにした。


 そして、数日後、ギンたち『ジ・エンパイア』は『魔王カイ』率いる『魔王の軍勢』の拠点にやって来ていた。そしたら、ギンは『クロウ』から飛び降りてしまう。しかも、精霊刀『凪』を抜いて臨戦態勢を取っていた。それに続いてユキやハクリュウたち『ナイト・オブ・ラウンズ』も飛び降りていた。しかし、彼らの艦空挺に一人の男がやって来た。そしたら、その男は


「俺は・・・『魔王カイ』様の腹心の一人・・・『大王のセン』・・・貴様たちか・・・セルケトやザルクを倒したのは・・・貴様たちはカイ様にとって危険な存在・・・ここで潰れろ・・・」


 などと言っていると、S.A.R.U、ガル、ヴァンの三人は艦空挺に残りセンの相手をするつもりのようだ。ギンは地上から三人の覚悟を感じ取ると、『魔王の軍勢』のアジトに向かった。しかし、そんな彼らにカレン、カグラ、クルーウは艦空挺に残りS.A.R.Uたちの援護をするつもりのようだ。そしたら、S.A.R.Uたちは内なる力を解放し、さらには、精霊を解放した。


「飲み込め・・・『猿來』」


「吠えろ・・・『神鋼』」


「切り裂け・・・『神雅』」


 S.A.R.U、ガル、ヴァンはそれぞれ獣の力を得た状態で立つと、センはそんな三人を見てふっふっと笑みをこぼしはじめた。そしたら、センも内なる力を解放させ、さらに精霊まで解放させた。


「閃け・・・『雷光』」


 精霊を解放させたセンはS.A.R.U目掛けて殴りかかろうとしたが、S.A.R.Uはそれを掴み、逆に殴り返した。センはS.A.R.Uに殴り返させられて上空まで飛ばされたが、センは上空で浮き、次の攻撃を仕掛けようとしていた。しかし、そのセンの真上からS.A.R.Uが精霊剣を解放させた巨大な斧となって振り下ろした。センはS.A.R.Uの斧によって地上に叩き付けられると、そこに精霊剣を解放させた大剣で薙ぎはらう。センはそのなぎはらいを防御するも吹っ飛ばされる。さらに上空から精霊刀を解放させ、雷を帯びた精霊剣で斬りかかろうとするヴァン。しかし、センはそれすらも防御する。そして、センは森の中に身を隠す。だが、センの両腕は二つの攻撃で痺れてしまった。内心では


「(チッ・・・まさか・・・ここまでの威力とは・・・さすがは『ナイト・オブ・ラウンズ』・・・下っ端の奴らじゃ・・・勝てるはずもない・・・こうなったら・・・全力で叩き潰さないと・・・カイ様に示しがつかない!!)」


 そんなことを思っていると、頭上からヴァンが襲いかかろうとしていた。それに気づいたセンは躱舌。しかし、躱した先には、ガルがいて精霊剣で薙ぎはらう。しかし、センは空中で軽やかに躱す。そしたら、センは魔力を高めると、精霊の二段階目を解放した。


「破壊しろ・・・『魔・雷光』」


 そしたら、センの姿が変わっていく。それは背中から悪魔の羽みたいのが生え、腕も四本になり、下半身から蛇の尻尾が生えてきた。そして、雄叫びをあげるセンにS.A.R.U、ガル、ヴァンは


「おいおい・・・」


「まるで破壊神の・・・」


「魔王そのもの」


「こんな奴と相手にするのか・・・」


「やべぇ・・・ゾクゾクしてきた」


 そんなことを言っていると、センはさらに精霊との一体化をしはじめた。そしたら、センの目が赤くなり、さらに巨大化し、尻尾の蛇も竜に変わっていたのだ。そんな姿を『魔王の軍勢』のアジトに向かっていたギンたちにも見えた。その姿を見て『魔王の軍勢』の下っ端たちは


「まさか・・・セン様・・・」


「やべぇだろ・・・こんな所にいると・・・」


「俺たちも危険じゃねぇか・・・」


「逃げるぞ!!」


 などと言いながら、下っ端たちはこの場から逃げはじめたのだ。それを見ていたギンたちは


「なぁーにあいつら・・・逃げるなんて・・・だらしない」


「まあまあ・・・メリア・・・・・・あれを見れば・・・」


「そうだぞ・・・まあ・・・S.A.R.Uたちが負けることはないけどな」


 『ナイト・オブ・ラウンズ』の面々は平気な顔をしながら先に進むことを決意した。しかし、兄のゴードと妹のロンズは


「良いの!?」


「大丈夫なのか!?」


 そんなことを言うがギンが


「大丈夫だよ・・・あいつら・・・今まで本気を出した記憶が無いし・・・」


 ゴードとロンズは、えっといった顔をしていた。それは


「今まで・・・本気でやってなかったの!?」


「少なくとも・・・俺が知っている範囲では・・・」


「おいおい・・・そんなに強いのか・・・ギン・・・お前の仲間たち・・・」


 そんなことを言いながらギンたちは『魔王カイ』の所に向かっていた。




 その頃、S.A.R.Uたちは、精霊を完全解放したセンを見ていた。そしたら、援護に回っていたカレンたちから


「やれる?」


 と言ってきたのでS.A.R.Uは


「やれるさ・・・久々に本気を出すとしますか」


「本気?・・・だったら・・・さっさと使いなさい!!」


 S.A.R.Uが本気を出そうかなと言ったらカレンからさっさと使いなさいのおしかりを受けてしまった。そしたら、S.A.R.Uは


「卍解・・・・・・『魔人・猿來』」


 S.A.R.Uは卍解すると、彼が握っている巨大な斧は巨大さがなくなり、大きな斧に変わっていたが、S.A.R.Uから醸し出す雰囲気は今まで以上に危機感を感じるものであった。しかし、今のセンには、その危機感は感じ取れていなかったようだ。なぜなら、今の彼は破壊神そのもの全て破壊するまでやむことの出来ないこの戦いであった。そしたら、センは手に炎の玉を出し、S.A.R.Uたち向けて投げはじめた。投げた炎によって森は燃えていく。しかし、その炎にS.A.R.Uたちは当たってはおらず、全て躱していた。だが、センはそれを確認せずに次々に炎の玉を投げ続けた。


「『破壊(デストロイ)火炎玉(ヘルファイア)』」


 次々に放たれる炎の玉に躱すS.A.R.Uたちはセンを見ていると


「なぁ・・・あいつ・・・俺たちを本当に狙っているのか?」


「それもそうだ・・・まるで・・・意識を精霊に則られたのかのように見えるぜ・・・俺には」


「俺もそう思う・・・まさか・・・あいつはあの実を・・・試してみる価値はあるね・・・ガル・・・」


「おうよ」


「「卍解」」


 三人は目の前の巨大なセンに対して、センの意識を感じ取れないことに気がつく。そしたら、ガルとヴァンは二人同時に卍解をする。


「卍解・・・・・・『修羅神鋼』」


「卍解・・・・・・『朽木神雅』」


 そしたら、二人の卍解状態の姿は、互いに精霊剣が大きく変化し、ガルの方は身体の至る所に線みたいのが浮かび上がり、ヴァンの方は背中から羽みたいのが生え、剣も短剣サイズになっている。しかし、雷を帯びてはいた。だが、剣が短剣サイズから長剣サイズまで変化することが出来るのは、ギンも『ナイト・オブ・ラウンズ』の全員にも知っていない『神雅』の能力であった。そしたら、卍解状態のヴァンは背中の羽を利用し破壊そのものになったセンに近づいていく。S.A.R.U、ガルもそれに続いてセンに近づいていた。しかし、そんな三人をセンは羽でいともたやすくはじき飛ばした。だが、三人は羽による攻撃に耐え、センに近づいていった。そしたら、ヴァンは空の雲の中に入って行く。それを気にガルは一気にセンの顔前に飛び、精霊剣に赤い何かが滲み出ていており、そして


「『巌・修羅・一武蓮』」


 ガルは精霊剣を振るうと、精霊剣に帯びていた赤いものがセンに向かって赤い斬撃を放った。赤い斬撃はセンの顔から身体全身まで斬りつけた。センはその斬撃の痛みで雄叫びをあげた。そしたら、上半分の両腕でガルを掴もうとした。だが、そのタイミングで上空の雲から雷撃が落ちてきた。その雷撃は向かって落ちていく。そして、雷撃がセンに当たると、身体全体が痺れてしまった。だが、痺れてもなお、センは雄叫びをあげた。その間にガルは地上に降りて、木々の中に身を隠した。だが、今のセンにとって、雲の中にいる敵のことに気にしていた。そしたら、センは口の大きく開け、薄紫色の粒子が集まり一つの玉となる。


「『破壊(デストロイ)地獄光線(ヘルロード)』」

その玉は光線となって雲に放たれた。しかし、既にヴァンはそのことには気づいており躱していた。ヴァンの内なる力は蝙蝠の能力が使えることが出来る。その能力は目に見えないものを感知することが出来る能力。それによってヴァンはセンの光線を躱していたのだ。しかし、センは連続に光線を放ち続けた。だが、ヴァンはそれすらも躱し続けた。まるでそれは


「『破壊(デストロイ)地獄流星群(ヘルメテオ)』」


 流星群のようであった。その光線の流星群に躱し続けるヴァン。その顔には苦悶の顔をしていた。


「くっそ・・・(なんていう攻撃だ・・・一つ一つの攻撃の規模が違う・・・これが『魔王カイ』の腹心・・・だったら・・・・・・俺の史上最強の技を見せてやる!!)」


 そしたら、ヴァンは雲の中にある雷雲を全て集めはじめた。しかし、それを集めるのに時間をかけていた。それに感づいたS.A.R.Uとガルは雲の動きに変化を感じ取る。


「まさか・・・ヴァン!?」


「あの技を使う気か!?・・・・・・だったら、俺も・・・」


 そしたら、ガルも自分の精霊剣にありったけの闘気を集める。しかし、ガルの方も時間が必要であった。S.A.R.Uはそれを見て


「やれやれ・・・全く二人は・・・そういう所は変わっていないな・・・・・・仕方ない・・・俺が時間を稼いでやるよ!!」


 S.A.R.Uはそう言ってセンに向かって跳躍し、片手で大きな斧を振り下ろす。そしたら、斧を振り下ろしただけなのにセンは躱したのだ。そしたら、センが躱したところから遙か後方まで地面が裂け始めた。まるで、S.A.R.Uが振るった斧が地面を切り裂いたようにみえた。S.A.R.Uはそれを見て


「さすがだ・・・俺の見えない斬撃を躱すとは・・・賞賛に値するぜ・・・・・・その通り・・・俺の『猿來』の能力は・・・目に見えない斬撃を放てることが出来る能力だ・・・だが・・・それだけじゃない・・・俺の精霊の能力は・・・全てのものを斬ってしまう能力さ・・・・・・その能力は・・・ギンの持つ『虹竜』と同じ能力だが・・・俺の精霊である『猿來』は・・・それに充填した能力・・・お前には逃げ場はない・・・」


 S.A.R.Uは大きな斧を縦横無尽に振りまくる。振りまくることでそこら中に斬撃の跡を残していく。しかし、それらの斬撃全てを躱したセン。だが、S.A.R.Uはそんなセンのことを無視してガルとヴァンの方をみていた。そしたら、二人はS.A.R.Uに向けて頷くと


「(よし・・・あいつらの・・・準備が出来た・・・後は・・・奴の逃げ場をなくすこと・・・)行くぜ・・・」


 S.A.R.Uは大きな斧を真上から振り下ろす。そしたら、無数の斬撃を放った。その数は数万にも及びもはや躱すことが出来なかった。


「『猿來・慚愧・五月雨斬り』」


 センはS.A.R.Uが放った斬撃に躱すことが出来ずに受けてしまった。それを見ていたガルとヴァンは


「(サンキュー・・・S.A.R.U!!)」


「(これなら・・・この一撃で仕留める!!)」


「「いくぞ!!」」


「『剛・巌・修羅・一武蓮』」


「『柔・鳳来・癩王・波動弾』」


 ガルはその場で跳躍して精霊剣を大きく振り下ろす。ヴァンは雲の中から短剣となった精霊剣を同じくその場で振り下ろすと、雲から巨大な雷撃を放った。そして、ガルの精霊剣からはもの凄い斬撃の塊を放った。


 その二つの一撃を受けたセンは縦から真っ二つに分かれ、雷撃により痺れ倒れた。そして、だんだんとセンの身体が小さく元通りに戻りはじめた。そしたら、三人の卍解が解かれ、肩から息を吐いていると、センが三人に向かって


「さ・・・さすがは・・・『ナイト・オブ・ラウンズ』・・・・・・噂通り・・・お前らに負けというのはないらしいな・・・この戦・・・俺の完敗だ・・・」

 センはそう言って気絶してしまった。それを見届けた三人は『クロウ』に向かって歩き始めた。


 その戦いの決着を『魔王カイ』の所に向かっているギンたちにも感じ取って立ち止まる。


「勝ったのか・・・S.A.R.U、ガル、ヴァン」


 ギンはそう言うと


「そのようね・・・はぁーあ・・・せっかくS.A.R.Uたちの卍解が見たかったのに・・・」


「また・・・見られる機会はあるよ・・・メリア」


 と三人の卍解が見たかったと駄々をこねるメリアに宥めるギリスであった。そしたら、ハクリュウとシュウが


「だが、今は・・・」


「目の前の敵に集中してよ・・・」


 と言って走り始めた。その後にメリア、ギリス、ジノ、リーナ、ナルスリー、シューテルといった者たちが続いていき、最後にギンが走り始めたのだ。しばらく走り続けていると、目の前に大きな扉が見え開けると、そこにいたのは、なんと『魔王カイ』本人そのものであった。しかも、その背後に彼の腹心らしき者たちも見えた。そしたら、ハクリュウたちはギンの前に立ち


「ギン!!」


「あんたは・・・『魔王カイ』を・・・」


「あんな腹心なんて・・・」


「俺たちだけで十分だ・・・」


 などと言っていると、カイは


「ほぉー・・・まるで・・・貴様たちだけで・・・俺の腹心たちを倒せるような言い草じゃないか?」


「そう言ったんだが・・・それが何か?」


 カイが言った挑発にジノは普通に答えると、カイは、いやカイの腹心たちは『ナイト・オブ・ラウンズ』それぞれのメンバーに一対一の真剣勝負をするようだ。そしたら、ハクリュウたちはこの部屋から出て行くと、その後に続いていた腹心たちを見届けていたギン・ライラックとカイは互いに目線がぶつかりあう。そしたら、ギンは既に抜いていた『凪』を


「卍解・・・『神薙舞』」


 卍解し、さらには一体化までし始めた。精霊との一体化を終えたギンはカイに向かって殴りかかろうとする。それに対してカイもギンに向かって殴りかかろうとした。二人の拳がぶつかり合う。そしたら、二人の拳がぶつかり合っただけでもの凄い衝撃波を放った。その衝撃波に感づいたハクリュウたち、『魔王カイ』の腹心たちもその衝撃波を見て「ついにはじまったか」と内心そう思っていた。そしたら、カイは次の攻撃を仕掛けた。それは精霊を解放し攻撃を仕掛けた。


「抹殺しろ・・・『ガブリエス』・・・・・・さらに・・・滅殺しろ・・・『雅王』」


 カイは二つの精霊を解放し、さらに二つ目の解放をした。


「消滅しろ・・・『メタオ・ガブリエス』・・・・・・破滅に負いやえ・・・『鎧蓮・雅王』」


 精霊の二つ目の解放したカイの身体は巨大化し背中からは巨大な羽が生え、さらに巨大な二つの腕が浮遊していた。しかし、カイは精霊の三つ目の解放までし始めた。巨大化した身体が本来の大きさに戻る。だが、浮遊していた二つの腕は巨大化したままであった。そしたら、カイは左腕でギンに殴りかかろうとする。しかし、ギンはその攻撃を躱す。だが、その後にやって来た巨大な左腕の攻撃には躱すことが出来ずに壁の方までぶっ飛ばされてしまった。カイの攻撃でぶっ飛ばされたギンはかなりのダメージを受けていた。しかも、強靱な肉体で出来ているのにも関わらずにかなりのダメージを受けていた。そしたら、ギンは左手に精霊刀を出現させると、カイに向かって斬りかかろうとした。しかし、精霊刀でカイの肉体に斬りかかろうとするもカイの頑強な肉体に阻まれ切り傷一つもつかなかった。ギンはそれを見て内心


「(化け物か・・・・・・だが・・・それよりも身体が思うように動くことが出来ない・・・精霊を解放しただけなのに・・・身体が鉛のように重い)」


 内心そんなことを思っていると、カイは浮遊している巨大な両腕をギンに向かって殴りかかる。しかし、その攻撃を躱すギン。だが、その後にくる右拳に対応出来なかった。ギンはその攻撃にまた壁に吹き飛ばされる。しかも、その攻撃で口から吐血してきた。だが、ギンは口から出た血を拭うと、また、カイに果敢に突っ込んでいた。しかし、それでもカイの攻撃に受け続け壁に吹き飛ばされる。その間にハクリュウたちはこの部屋に戻ってきていた。だが、身体中ボロボロになっていたが、ギンはそれを見て


「(お前ら・・・勝ったんだな・・・しょうがねぇ・・・・・・こんな弱いところを見せてしまったいじょう・・・負けるわけにはいかないな!!)」


 と内心そう思っていると、突如、どこからからか声が聞こえた。いや、正確に言うと、心の中から聞こえてきた。


「(この私の声が聞こえるなら・・・分かるはず・・・私は・・・フラル・・・・・・貴方に秘めたる才能・・・『神の戦闘力』を解放いや・・・開花させてあげる・・・)」


 その声を聞き終わると、カイはハクリュウたち目掛けて巨大な両腕で攻撃をしようとしていた。それに対応しようとハクリュウたちは精霊を解放しようとしたが、先の腹心との戦闘で精霊を解放できなかった。そして、カイの浮遊している巨大な両腕がハクリュウたちに殴りつけようとする。だが、その両腕はギンが片方ずつの手で受け止めた。カイは幾分に力を込めて押し続けているが、一行に押して気配がなかった。そしたら、ギンはカイの浮遊している巨大な両腕をほんの少し押し返した。ほんの少し押し返しただけで浮遊している巨大な両腕は後方の壁にまで吹き飛ばされた。その間にギンはカイの腹の元までに近づき


「『流水・神薙拍子』」


 ギンが放った拳の突きにカイはさらに後方まで吹き飛ばされた。その間にギンはハクリュウたちの所まで戻る。そしたら、ハクリュウは


「ギン・・・今のは・・・いったい?」


「あぁ・・・俺も分からないが・・・身体の底から力が湧き上がってくるんだ」


 ギンはそう言うと、チッと舌打ちをして後方を振り向く。


「まだやれるのか・・・・・・ハクリュウ・・・次の指示を出す・・・」


 ギンはハクリュウたちを向き、次の指示を出した。


「全員、『クロウ』に戻り・・・出航の準備をしていてくれ・・・その間に回復にも努めていてくれ・・・俺があいつを倒してから・・・次の指示を出す・・・・・・いけ!!」


「はぁ!!」


 ハクリュウたちはギンの指示に従い『クロウ』に戻ることにした。しかし、そんな中ユキだけはここに残った。ギンはそんなユキを見て


「どうなっても知らないぞ・・・」


「分かっているわ」


「そうか」


 ギンはユキの覚悟を聞いて納得すると、『凪』の一体化と卍解を解き精霊刀を鞘に収める。次に二本目の精霊刀『黒夜』を抜く。さらには胸に仕込んだピンを抜く。だが、それだけじゃとどまらず、胸から心臓を抜き出しはじめた。しかし、それだけでギンは死んではいなかった。だが、ギンは心臓の至る所に刺されているピンを抜きはじめる。そして、全てのピンを抜き終わり心臓を元の位置に戻すと、胸の傷は瞬時に回復し『武装』で硬化した指で胸を突くと、胸から白き線が幾重にも浮かび上がってきたのだ。さらにギンはその状態で指を頭に突っ込んで、頭の中にある針を抜く。しかし、ギンはそれだけにとどまらずに頭にある脳を抜き出しはじめた。だが、それでもギンは死ななかった。そしたら、ギンは脳の至る所にあるピンを抜きはじめる。そして、全てのピンを抜き終わると、脳を元の位置に戻す。しかも、頭にあった傷も完全に治っていた。さらにギンは『武装』で硬化済みの指で頭を突くと、頭の額を中心に白き線が幾重にも広がり浮かび上がった。ギンはその状態でカイに向かって『黒夜』で斬りかかろうとした。カイはギンの精霊刀を左腕で受け止める。しかし、受け止めたところから刃先が深く食い込んでいく。カイは腕が斬られるという危険を感じ取り、力を込めて振りほどく。ギンはその勢いで壁にぶつかると思いきやその勢いを何かの動作で殺し『黒夜』にため込んでしまったのだ。それによってギンはカイの攻撃を受け止めずに躱したのだ。そしたら、ギンは『黒夜』を地面に刺し、何かの構えをする。


「『ゲロン・パンチ』」


そして、ギンは正拳突きの突くと、もの凄いエネルギーの塊がカイに向かって放たれた。カイはそのエネルギーに真っ正面から受け止め吹き飛ばされそうになったが、なんとかその場に踏みとどまった。だが、カイは今の一撃とさっきの一撃でかなりのダメージを負ってしまった。そしたら、ギンの身体中からどんどんとピンが抜き出てきた。その間にギンはカイに自分のことについて説明した。


「俺の肉体は・・・元々・・・強靱な肉体だった。だが、GROに来たときから今に至るまで、俺はずっと精霊を食い続けてきた・・・だから・・・俺は精霊が大好物なんだよ・・・しかも、魔精霊で神級のな・・・あれは格別に旨いんだよ・・・・・・まぁ・・・そういったことはどうでも良い・・・今の俺の呼び名は・・・『銀王』ではない『暴獣皇』だ・・・『真世界』に轟かせたその呼び名でな!!」


 ギンはそう説明する。その間もギンの身体中からピンが抜き出ていた。そして、最後に背中に刺されていたピンが抜き出る。最後のピンが抜き出た途端、ギンの身体に変化が起きた。髪の色が黒色から銀色に変わり、ギンから醸し出す雰囲気も大きく変わった。そして、ギンは左手で頭を押さえながら


「ふぅ・・・これで全部か・・・・・・やっと・・・本気で(100%)やれるよ」


 ギンはそう言って地面に突き刺した『黒夜』を抜くと


「卍解・・・『黒夜叉丸』」


 『黒夜』の卍解をして、さらに『黒夜』との一体化をしはじめた。そしたら、ユキも『蛮竜』を解放し、いつでも戦闘できる態勢を取っていた。しかし、ギンはユキに


「ユキ!!・・・お前は手を出すな・・・身体に触るぞ」


 どうやら、ギンはユキの身体の状態に気づいていたようだ。ギンにそう言われたユキは顔を少々赤面して


「(嘘・・・気づいていたの・・・私の身体にはギンちゃんと私の子供が身籠もっていることに・・・)」


 といったことを思っていると、ユキは闘気を高めはじめ


「卍解・・・・・・『神獄蛮竜』」


 ユキは卍解し、さらには『蛮竜』との一体化までし始めた。ギンはそれを見て、『黒夜叉丸』を解き、『凪』と『黒夜』を自身の内部に仕舞い込むと、『虹竜』を抜き解放する。そして、さらには


「卍解・・・・・・『神仙虹竜』」


 ギンは『虹竜』の卍解し、そして、ユキと同様に『虹竜』との一体化をした。『虹竜』との一体化したギンは『蛮竜』との一体化したユキの方を見て、ユキを見た後、カイの方を見ながらユキに


「ユキ・・・一緒に戦おう!!」


 ユキはそれを聞いて


「はい!!」


 と言って大きく頷くと、カイは力、魔力を急激に高め、ついには巨大化した。だが、二つ目の解放と違うところは背中にあった羽が消え、代わりに大きな円月輪みたいのが出現していた。ギンとユキはそれを確認した後、背中にある闘気の羽で空に舞い上がり巨大化したカイに目掛けて攻撃を放った。




 その頃、ギンの命で『クロウ』に戻っていたハクリュウたちは『クロウ』に残っていたS.A.R.Uたちに現状を伝えると、S.A.R.Uはハクリュウたちを巨大モニターの所に案内した。その間にハクリュウとシュウはカキュウとショウキュウに


「カキュウ・・・お前は先に休んでいろ・・・・・・身体が疲れているはずだ・・・」


「ショウキュウ・・・君も同じく休んでいなさい・・・これ以上は身体に触る・・・」


 カキュウとショウキュウはハクリュウとシュウがそんなことを言うと


「「お断りします!!」」


 しかし、カキュウとショウキュウは断固拒否をしたのだ。なぜなら


「私たちは『ゼロ・ヴァルキリーズ』・・・いくら休めと言われましても・・・」


「ギン総帥とユキさんがあそこで戦っているいじょう心配でおちおち休んでいられません」


 などと言っていると、モニターでギンはユキに


「『ユキ!!・・・お前は手を出すな・・・身体に触るぞ』」


 と言ったことにカキュウとショウキュウはギンの真意に気づいてしまったのだ。


「(そうか・・・ギン総帥は・・・『ジ・エンパイア』の女性陣が子供を身籠もっていたことに気づいていたんだ・・・だから・・・私たちの身体を心配したんだ・・・)」


「(優しいお方ですね・・・ギン総帥は・・・でも・・・それだったらユキさんも危ないんじゃ・・・)」


「『ユキ・・・一緒に戦おう!!』」


「『はい!!』」


 とギンはユキに一緒に戦うことを決めた。そしたら、カイは図体が巨大化し、さらにはギンとユキは背中から突如、羽が出現し飛び始めた。しかも、上空での移動速度が速かったのだ。それを見ていたハクリュウたちは


「速い!!」


「しかも、あの速度で方向転換するのか」


 メリアとギリスはギンとユキの移動速度に驚いた。だが、ノーラとルミは


「嘘!?」


「あの時よりも・・・速くない!!・・・・・・っていうか・・・ユキの時速時間が長くなっている!?」


 ノーラとルミが言っていたことにメリアとギリスはノーラとルミが何か知っていると感づいた。


「ねぇ・・・ノーラ・・・ルミ・・・貴方たち・・・何か知っている?」


「それも能力込みで教えてくれないかな?」


 ノーラとルミはメリアとギリスの質問というか尋問に顔を引き攣っていた。そしたら、二人は皆にギンの『虹竜』とユキの『蛮竜』の能力を説明した。ハクリュウたちはそれを聞いて、皆、盛大に顔を引き攣っていた。


「マジかよ!?」


「そんな能力があるなんて・・・」


「まさに神と呼ばれし精霊だわ・・・」


「笑えねぇ・・・」


「同感だ・・・」


「ジノ・・・貴方もそう思う・・・」


「まあ・・・ここでそんなことを話しても何にもならないし・・・」


「とにかく・・・二人の勝利を祈りましょう」


「そうだね」


 皆、『魔王カイ』と戦っているギンとユキの勝利を祈っていた。




 巨大化した『魔王カイ』の攻撃に『超高速移動』で躱しているギンとユキ。『超高速移動』で躱しながらギンは右手から白い玉を放ち続け、ユキも同じく右手から赤い光線を放っていた。


「『虹竜(レインボー)弾蓮(バレット)』」


「『蛮竜(ダークネス)天赦波動(ブラスター)』」


 しかし、ギンとユキが放った攻撃はカイには効いていなかった。それを見てユキは


「どうするの?・・・これじゃジリ貧になっちゃうよ」


 だが、ギンはカイには本当に攻撃が通用しないのか思案をしていた。そして


「(いや・・・まさか・・・試してみるか・・・)」


 ギンは何か思いついたのかその位置よりもさらに高いところに移動すると、背中の闘気の羽を大きく広げ


「『虹竜(レインボー)流星群(メテオレイン)』」


 羽から降り注ぐ白いエネルギーの塊がカイに当たっていく。だが、その攻撃でもカイの身体には傷一つつかなかった。しかし、ギンはカイの外見ではなくカイの内部を見ていた。そして、ギンは「やはり」と言うと、ユキは


「ちょっと・・・何一人で納得してんの」


「ん?・・・あぁ・・・今更になって気づいたんだが・・・俺たちの攻撃が奴に効いていないと思ったが・・・それは外見の話・・・しかし、身体の内側では・・・今まで攻撃のダメージが蓄積されていると考えていいだろう・・・つまり・・・攻撃をし続けると・・・奴自身がパンクすると思う(ついでに言うと・・・奴の身体を見る限り・・・あの実を数千個食している・・・それによって・・・奴の身体は・・・あの実のせいで身体中ボロボロのはずだ・・・・・・それとも何か・・・奴は死に急いでいるのか?・・・だが・・・それは関係ない・・・)・・・ユキ・・・おそらく、次の一撃で決まるはずだ」


「分かった」


 ギンが言ったことにユキは応対する。そしたら、ギンとユキはありったけの闘気を集めはじめた。ギンは左手に白い刀を出現させ、その刀にありったけの闘気を込める。それに対してユキは自身の右手にありったけの闘気を込める。それを見ていたカイは二人の攻撃を止めようとしたが、突如、身体が急に動かなくなってしまった。それを見ていたギンは予想通りの反応であった。そして、ギンとユキの闘気の集まりを終えると、動きが止まっているカイに向けて史上最高の一撃を放った。


「『虹竜(レインボー)光蓮陣(タクティカル)超過蓮斬(リフレクション)』」


「『蛮竜(ダークネス)闇蓮陣(ブレイブ)天赦波動ブラスター』」


 二人が放った一撃はカイに命中して大爆発を起こした。その間にユキは『蛮竜』の卍解が解かれ地上に落ちていこうとしていた。そんなユキをギンは抱きかかえる。しかも、お姫様抱っこで。


「大丈夫か?・・・ユキ?」


「えぇ・・・大丈夫よ」


 ユキは現在の自分が置かれている状況に顔を赤面してギンが言ったことにそう答えコクッと頷いた。そしたら、大爆発で起こった土煙が晴れていく。そこにいたのは、まだ巨大化していたカイであった。しかし、既にカイの肉体は石像のように固まっていたのだ。ユキはそれを見て


「いったいどうなっているの?」


 と疑問を言うと、ギンが可能性の話をした。


「おそらく・・・あの果実の反動だろ・・・ここからは推測だが・・・奴は・・・『魔王カイ』は死に場所を求めていたように見えた・・・だから・・・『シンカー』にあの果実の取引をしたんだろうと思う・・・・・・しかし・・・奴はあの果実を数千も食しているはず・・・それによって奴は強大な力を手にしたが・・・その反動で死んでしまったと考えていいだろう・・・」


「そんな・・・ねぇ・・・なんとかならないの」


 ユキはギンが言ったことに酷すぎる事実になんとかならないのか聞いてみると


「まあ・・・さすがは『魔王カイ』・・・あの攻撃を受けてもなお生きているとは・・・俺の中では最強の生物といっても過言ではない・・・参ったよ」


「えっ・・・」


 ギンが言ったことにユキはえっといった顔をしていた。そしたら、石像と化したカイの身体にひびが入り始めた。そして、石像が崩壊すると、そこから元の姿に戻っていた『魔王カイ』であった。そしたら、カイは上空にいるギンに向かって


「この勝負は・・・貴様らの勝ちだ・・・しかも・・・あの果実に飲み込まれていた俺を解放したお前たちに敬意を表してこう言わせてやる・・・お前たちは・・・神の生物といっても良いぐらいだ」


「それりゃどうも・・・また、あんたとは全力でやり合いたいぜ!!」


「俺もだ!!」


 ギンはそう言ってユキを抱っこしたまま『クロウ』に戻っていた。




 その頃、『クロウ』の方ではギンとユキが『魔王カイ』を倒した所を見ていた。そしたら、ギリスは精霊刀を抜き、卍解をする。そしたら、ギリスは瞑の道の扉を開き、そこからセルケトを引き釣り出した。さらにはS.A.R.Uは気絶していたセンを回収していた。その間にハクリュウといった『ナイト・オブ・ラウンズ』の面々がセルケトとセンに『魔王カイ』は負けたと言うと、二人はそうだろうと思っていた顔をしていた。そしたら、メリアはセルケトに何故『魔王の軍勢』の君たちが『L&Uの実』を手にしようとしたのかの理由を尋ねてみると、セルケトはセンの方を見る。センは頷くとセルケトも頷きことの全てを説明した。かつて、我ら『魔王の軍勢』は禁断の奴と戦い敗北した。しかし、その禁断の奴の名を知る事が出来た。その名は『シェン・カイロン』という男で、さらに彼に宿っている精霊には恐怖といったものを感じ取れた。だが、その精霊には神級精霊といった神々しさは感じ取れなかった。しかも、弱々しさを感じ取れたからだ。メリアたちはそれを聞いて


「そう・・・分かったわ・・・じゃあ・・・貴方たちを解放してあげるわ」


「そうか・・・感謝する・・・『ナイト・オブ・ファイブ』・・・『遊びの剣士』メリア・・・・・・あんたとは・・・もう一度、勝負しよう」


「えぇ・・・私もよ」


 メリアはセルケトとセンの解放することにした。そしたら。セルケトはメリアにまた勝負をしようと言った。メリアも次の再戦を望んでそう言った。そしたら、セルケトとセンは『クロウ』から拠点に戻っていくと、その数分後にギンとユキが帰ってきた。そしたら、ギンはユキを下ろして『虹竜』の卍解を解く。そして、ギンに向かってロンズがやって来て抱きついてきた。ロンズはギンに抱きつきながら


「お兄様!!・・・勝ったんですね・・・あの怪物にやられたと思って私・・・私・・・」


 と言って泣き始めた。その後にゴードがやって来て、ギンにこう言った。


「ギン・・・ついにお前は・・・世界最強の実力者だ・・・戦いは終わったんだし・・・家に帰って父上に報告しよう・・・お前の帰還と仲間たちの紹介をしよう」


 と言うと、ギンはハクリュウたちに


「よぉーし・・・お前ら!!・・・この戦は俺たちの勝ちだ!!・・・・・・皆疲れているはずだ・・・しばらくはこのSSOで休息を取る」


 と命じると、ギンはユキ、ゴード、ロンズを連れて執務室に向かう。ギンたちは執務室に入ると、ギンはユキ、ゴード、ロンズの方に向き


「何か聞きたいことがあるんじゃない?」


 と尋ねると、そしたら、ユキが


「いつから・・・私が身籠もっていることに気づいていたの?」


 ユキは尋ね返すと、ゴードとロンズはユキが言ったことにえっといった顔をしていると、ギンは


「SSOに向かっているときに気がついたんだけど・・・お前の動きに変化があったから・・・・・・といっても・・・その時まで可能性の話だったから・・・まさかかなと思っていたから」


 と顔を少々引き攣りながら言うと、ユキは


「なるほど・・・つまり・・・かまをかけたんだね・・・」


 笑っていない笑顔でそう言うと、ギンは顔を盛大に引き攣ってユキを宥めつかせようとしていた。そんな二人にロンズが割って入ってきた。


「えぇー・・・ユキさん・・・もしかして・・・お兄様との子供が身籠もっているんですか?」


「しかも・・・その歳で・・・」


 ロンズは驚きながらそう言い、ゴードは放心しながら言う。そしたら、ユキはそんな二人を向いて


「えぇ・・・今・・・私の身体にはギンちゃんと私の子供が身籠もっているの」


 とユキは嬉しそうに言う。ギンはユキの方を見ながら嬉しそうに笑みをした。そしたら、ロンズはユキに向いて


「それはおめでたいです・・・早くお父さんとお母さんに伝えないと・・・」


 ロンズはユキに対して暖かく祝福すると兄のギンにこの事を早く両親に報告しないと言った。だが、ギンはそんなロンズの頭にチョップをする。


「慌てない・・・慌てない・・・時間はまだある・・・今は身体を休めてから報告しに行こう」


 ギンはそう言うとロンズは「うん」と言って頷いた。




 それから数週間、ギンたちはSSOで休息を取っていた。ギンはいつも通り、執務室でユキとお茶を飲んでいると、そこにハクリュウたちが報告しにきた。その報告にユキは大きく驚いた。その内容はセルケトとセンが言っていた禁断の奴である『シェン・カイロン』という男の話であった。ギンはその話を聞いて、はぁっとため息をついた。


「知っていたよ・・・いや、正確に言うなら記憶していたと言った方が正しいかな・・・」


 ハクリュウたちとユキはギンが『シェン・カイロン』のことを知っていたことに驚くとギンは皆にあることを説明した。


「『魔王カイ』との戦闘で『神の戦闘力』を開花したときに・・・その時に流れてきた記憶があった・・・その記憶は数億年前の戦争の記憶だった・・・といっても・・・おぼろげの範囲しか流れてこず・・・大まかな記憶は、おそらく・・・ユージの知識となって記録しているはずだ・・・・・・だが、奴に宿っている精霊のことだけは知っている・・・その精霊の名は『カオス・ネオ』・・・能力は全てを消滅させる能力・・・さらに言うと・・・消滅された部分は再生することが出来ないと鮮明に記憶として流れてきた・・・まだ大まかな情報が欲しいから・・・この事は俺たち『ジ・エンパイア』だけに留めておこう・・・その間に中央にも変化があるはず・・・時はその時まで待つとしよう」


 ギンはそう言って、またお茶を飲み始めた。




 この時、ギンたちは気づいていなかった。さらなる敵との戦いの規模が星並みの規模だってことに気づいていなかった。

この戦いの後のギンたちのレベル紹介をします


 ギン・ライラック・・・レベル9470  『世界での一番目に強いプレイヤー』、『ジ・エンパイア』の総帥


 ユキ・・・レベル8998  ギンの婚約者、『巫女のユキ』


 ハクリュウ・・・レベル8895  『ナイト・オブ・ワン』、『極光の剣士』


 シュウ・・・レベル8893  『ナイト・オブ・ツー』、『極闇の剣士』


 メリア・・・レベル8892  『ナイト・オブ・ファイブ』、『遊びの剣士』


 ギリス・・・レベル8892  『ナイト・オブ・シックス』、『人望の剣士』


 S.A.R.U・・・レベル8891  『ナイト・オブ・エイト』、『剛暴の剣士』


 ガル・・・レベル8891  『ナイト・オブ・イレブン』、『暴狼の剣士』


 ヴァン・・・レベル8891  『ナイト・オブ・サーティーン』、『柔劫の剣士』


 ジノ・・・レベル8890  『ナイト・オブ・スリー』、『剣蓮』


 リーナ・・・レベル8890  『ナイト・オブ・トゥエルブ』、剣蓮の婚約者


 ナルスリー・・・レベル8890  『ナイト・オブ・ナイン』、『水蓮』


 トルル・・・レベル8890  水蓮の婚約者


 シューテル・・・レベル8890  『ナイト・オブ・テン』、『北蓮』


 ネネ・・・レベル8890  北蓮の婚約者


 カキュウ・・・レベル8889  ハクリュウの婚約者


 ショウキュウ・・・レベル8889  シュウの婚約者


 カレン・・・レベル8888  S.A.R.Uの婚約者


 カグラ・・・レベル8888  ガルの婚約者


 クルーウ・・・レベル8888  ヴァンの婚約者


 ノーラ・・・レベル8891  『ナイト・オブ・フォー』、『竜剣士』


 ルミ・・・レベル8891  『ナイト・オブ・セブン』、『聖剣士』


 etc




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