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3ポスト目② 日常業務デー…?

ハルトは各書類を届けに、様々なオフィスに顔を出した。その間に、職員向けの掲示板を眺めた。各部からのお知らせや総務部からのお願いなど、アクセス権に関わらず必要なお知らせが掲示されている。


【総務部よりお願い】コピー機の紙詰まりはチョップでは解決できません。「日本の映画では、テレビをチョップという魔術で直していた!」とご意見をいただきましたが、それはフィクションです。現実との区別をしてください。総務部


「あー、たしかに昭和ではブラウン管テレビを叩いて直してたりするもんなあ…。ん?あれ…?交流会って今週末だっけ…?」

年に数回行われるアルヴェロイザ王国大使館主催の交流会。王国の民芸品やお土産、旅行会社や企業の就職サポートなど幅広いブースが立ち並び、事前に申し込みをすれば誰でも参加可能な人気イベントだ。行程表や出展ブースの紹介、当日の軽食メニューなどがいくつも貼られていた。

「交流会って、SNS投稿にうってつけでは…?」

ハルトはすぐにフェリックスを探した。テスト期間で2週間ほど出勤していなかったせいか、大使館の大事な予定をすっかり忘れていたのだ。

館内の上から下まで隅々を歩き回ったが、なかなか見つからなかった。フェリックスは基本ミーティングが入っていない時は館内を歩き、すべての職員と挨拶と雑談を交わしている。そのため、公使執務室を尋ねてもいない場合が多いのだ。そしてようやく外の芝生の上に一人、なぜか四つん這いで生垣のなにかを覗いているフェリックスを見つけた。

「あ、あの、フェリックスさん…?」

恐る恐る話しかける。いつもならすぐに笑顔でこちらを向いてくれるので話しかけやすいのだが、このような状態ではそうもいかない。

「えっ…!!あ、ハルト君ですか…」

驚いた彼は急いで立ち上がり、芝などをサッと落とす。少し赤くなった頬や、息を整える様が珍しいと思ったハルトは少しの間見つめていた。

「何か落とされたんですか?俺も探しますよ?」

「いや、なんでもないんですよ。本当に…。それで、どうされましたか?」

「そうでした。今週末に開催される交流会の様子を、SNS投稿用で撮影したいなと思いまして」

「なるほど。たしかに、今回のイベントはオープンなものですし、投稿に向いていそうですね。大使には許可を取りましたか?」

「いえ、これからです」

「承知しました。おそらく許可が下りると思うので、各ブースの撮影の可否や注意事項など、一緒に確認しておきましょうか」

「…!ありがとうございます!」


週末のイベントに向け、大使館はいつも以上に慌ただしくなっていた。イベントの準備はもちろんのこと、同時に通常業務もこなさなければならない。ハルトも学校が終わると真っ直ぐに帰宅し、学生バイトが勤務できるギリギリの時間まで働いた。こういったイベントでは、機密情報アクセス権限Ⅰ種でもできる仕事が多いので重宝(酷使)されている。

そうしてなんとか当日を迎えた。事前予約人数は前回よりかなり増え、のべ200名となっている。まず入口では警備員による身分証と予約を確認と持ち物検査が行われる。一般人出入り禁止の場所や出展者やイベント登壇者の控え室にも警備員を配置しており、お祭り気分というより少しピリついた雰囲気だ。

イベント会場のマイクを使い、職員に向けて挨拶を始めたフェリックス。

「みなさん、おはようございます。昨日までの準備、大変お疲れ様でした。本日の交流会ではたくさんのお客様が来場予定です。適度に休憩をとりつつ、来場者の皆様にアルヴェロイザ王国の魅力を伝えていきましょう!」

職員と出展者全員の拍手で開会となった。

「あ!代休申請してない人は今日中に!遅れた人には私の小言がもれなくプレゼントされますよ!」

「ちょっと言われたいよね…」という声が何箇所からか聞こえてきた。


③は8/5 18時半公開です!ブックマークはもうしましたか?

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