↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
6/28

3ポスト目① 日常業務デー…?


「ねえ!!あのアデルちゃんって、モデル事務所とか契約してる???」

例の生配信の翌日。学校に着くなり、綾乃に詰め寄られる。珍しく彼女の目がガン決まり状態で威圧感すら覚える。

「いや?してないよ。たしかスカウトは何回かあったけど」

「そうなの…よかった…。ねえ、うちの母の事務所入らない?私も所属してるけど、サポートは手厚いわよ?」

「え?いや、どうかな…それはアデルと、親父とお袋に確認しないと」

「もう、絶対だからね?っていうか、今日突撃してもいいんだけどね?」

「ずいぶん唐突だね」

「っていうか、あんなにかわいい妹さんがいるなら、もっと早く言いなさいよ!」

「まあ、アデルは可愛いけど、色々忙しいから」

「忙しい?」

「うん。習い事でほぼ毎日埋まってるし」

「流石大使の娘さんね…でも、大丈夫。必ずものにしてみせるわ」

うちのアデルのことをなんだと思っているのか…と心配になるハルトだった。



「次の方ー」

ここは在日アルヴェロイザ王国大使館の受付窓口。床や装飾は大理石、壁紙は真紅で、魔力鉱石を練り込んでいるため絶妙に光が波打っている。天井には魔導符仕掛けの擬似太陽が室内中を照らしている。フカフカのソファや、記入用のデスク、王国特有の観葉植物があちこちに置かれている。もちろん「むやみに触ったり、話しかけないようにしてください」と注意書きがされている。一介の公的機関の割に気合の入っている内装だ。ロビーにはこちらの世界の人や、あちらの世界の人など様々な人間や種族が入り混じる。そしてハルトの今日の仕事はここの受付だ。ちゃんと王国の外交部専門職員補助官試験を突破しているので、立派な一職員である。

「はい、滞在延長申請ですね…。用紙は、全部揃っている…。あ、ここ記入漏れありますよ」

「ああ、本当だ」

今はSNS担当官の仕事が多い彼だが、本来はこちらの受付サポートなどをメインに働いている。大使の息子、というだけでなく正規職員であるのでSNS担当を任せられたということである。

それにしても今日はいつもにも増して来訪者が多い。

「はい、これで手続きは終了です。1ヶ月以内に通知が届くはずですので。」

「ありがとうございます」

ハルトは受付日と担当名の入った印鑑を押す。印鑑はアンディウスが大使に就任した時に

日本文化として大層気に入り、取り入れられたそうだ。

「次の方ー」

「っすー…てあれ?もしかして、SNS担当官君?」

いかにも魔法使いというローブを着ているが、派手なスマホケースに指輪とピアスをゴテゴテにつけている。ちらっと見えるボトムスは豹柄だった。

「あ…そうです…」

「え!マジか!!!俺、Xフォローしてますよ!!マジか!!ヤベえ!!あ、写真いいっすか?」

スイスイとカメラの準備をするチャラチャラ魔法使い。これだから王国の現代っ子は…といういったい誰目線なのかわからない、考えがよぎった。

「いや、その…書類は…」

「あ、そうだった。はい、これ。にしても、窓口業務もやってるんっすね〜」

「そうですねー」

混み合っている時にまさかのフォロワーという事態に、ハルトも混乱している。

「この申請は動物検疫になりますので、3階の3B窓口に行ってください」

「え、写真!写真!!」

この男性はテンション上がりっぱなしで、話が入っているのかわからなくなっている。

「あの、館内は許可がないと撮影禁止なんです…」

「えーーー!ちょっとだけ!いいじゃないっすかーー!」

「いや、その、えーっ………すいません…」

「えー!!ちょっとくらいいいじゃないっすかー!!」

「お客様、3-3B窓口ですよね?ご案内いたします」

ブラウンの短髪に長身の男性が颯爽と現れた。写真、とごねる男性の肩に軽く触れながら、少しだけ強引に誘導した。去り際にハルトに向かって碧眼の美しい瞳でウインクをしていった。


「あ、フェリックスさん…!先ほどはありがとうございました」

廊下で先ほどの男性上司を見かけ、ハルトは駆け寄った。

「ん?あ、いえいえ。ハルトくんも大変でしたね」

バインダーから目線を合わせ、そして軽く微笑む。そのなんでもない仕草ですら大人の余裕を感じる。女性職員だけでなく、男性職員からも絶大な人気があるのも納得だ。

フェリックス・アーレントは駐日アルヴェロイザ王国大使館次席公使という、実質大使館の二番手だ。大使は普段から外仕事が多いため、事務的な仕事のほとんどをフェリックスが担っているわけだ。

「初めてフォロワーさんにお会いしたので…俺もどう対応すればいいか、わからなくて…」

「そうですね…でも、良い感じに対応していたと思いますよ。あそこまで引き下がらない方の場合、ハルト君以外が間に入るほうが良さそうですし。そのように周知しておきましょう」

「あ、ありがとうございます…!」

「フェリックス公使ー!ちょっと聞きたいことがあるんですけどー」

「ん?はい、今行きますよ。じゃあハルト君、引き続きよろしくお願いしますね」

「はい!」

フェリックスが声をかけた女性職員の方に歩いて行った。その残り香が絶妙にセクシーで、ハルトはドキドキした。


ご覧いただきありがとうございます!

②は8/4 19時の公開です!ブックマークをしてお待ちください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。