10ポスト目③交流会、そして休日
「おお〜これが電気街か〜」
「あんまり詳しくないけどよ、東京では1番専門的な品揃えがあるって聞いたぞ!」
そのころ、嵐學とイムハシは秋葉原に来ていた。
「教授にお使い頼まれててさ〜」
「そうか!荷物持ちは任せろ!」
「軍資金も〜…」
イムハシがカバンから厚みのある封筒を取り出そうとしていたので、嵐學は大急ぎでしまわせた。
「わあ〜!ここは天国だねえ〜」
「よかったな!お使いのものは揃いそうか?」
「うん!たぶん〜!」
お店の通路はようやく人が通れるほどの細さで、所狭しとパーツなどが陳列されている。嵐學からすると、商品名もわからなければ違いもわからないが、開拓地に来たような気分で楽しんでいた。イムハシは同じに見えるパーツを見比べ、何やら独り言を呟いている。嵐學は一通りフロアを散策したのち、イムハシを探したが同じ売り場から一歩も動いていなかった。別の階も見てから戻っても、まだその場所にいた。
「あの〜、この規格のやつありますか〜?」
「あー、それはうちでは置いてないんですよー。でも向かいの店なら置いてあると思いますよ」
「え、本当ですか〜。ありがとうございます〜」
「すごいな…他店の紹介なんて、なかなかないと思うぞ」
「そっか〜。みんな親切だねえ〜」
二人はその店での買い物を終え、紹介された向かいの店に移動した。
「ああ、それならこちらです」
店員さんはすぐに売り場に案内してくれた。そのままイムハシと専門的なトークに移行していたが、嵐學には日本語であることしか認識できなかった。
しかしその瞬間ふと、嵐學は通詞部でのインターンで学んだことを思い出した。「佐々木くんは、通訳が向いていそうですね。国際会議などの通訳になると、議題に沿った単語や用語を覚えておく必要があります。もちろん、自分の興味のある分野とは限りません。しかも、間違いが認められません。でも、あなたからはその責任と緊張を背負える度胸を感じますよ」とエレスが語っていた。なので、イムハシと店員の話をよく聞こうと思ったが、勉強していない分野の話はやはりわからなかった。しかし、専門家たちが楽しそうに会話をしている姿をみて、この会話をサポートできるならそれはそれで面白い仕事かもしれないと思った。
「良い買い物できたよ〜」
買い物を終え、二人は両手いっぱいに紙袋を抱えていた。
「そうか。良かったな。あんまり日本らしい観光地行ってないけど、いいのか?」
「そうだね〜なにか美味しいもの食べれたらそれでいいかな〜」
「…それは、甘味か?」
「それもかな〜」
「よし…!じゃあ食い倒れといこうか!」
「ペアの日本人とお買い物行って、ご飯いきました〜」
「それは楽しそうですね」
「教授から預かった軍資金が余っていたので、お菓子もたくさん買いました〜」
この映像はカットかもしれない、とインタビューを終えたハルトは思った。
「ところで、ミミリーナって普段どんな服着てるの?」
「普段…?軍服だよ?」
「あー、そうじゃなくて、お休みの日とか」
「え、軍服だよ?最上級生以外はずっと軍服なんだー」
「え、そうなの?じゃあ、あんまり羽伸ばせない感じ?」
「羽?私はないけど、翼有種の子らは普通に羽用の穴空いてるし…」
「あ、いや『何も気を遣わず、お休みできる』って意味かな」
「なるほど!そういう意味ね!まあ、常に軍事学部生としての行動を求められてるから…羽を伸ばせてはいないかなー」
「そっか。でも来年からは私服着れるんだよね?」
「そう!そうなの!そういえば、私服のサイズ合わないかも…」
「じゃあ買おう!買っちゃおう!」
そうしてミミリーナの着せ替え大作戦が始まった。
「かわいい!!!」
とりあえず、原宿にあるロリータファッションのお店から入った。ブルーの涼しげなドレスに、お揃いのヘッドドレスを着用しし、厚底の靴を履いている。ミミリーナのサファイヤブルーの髪とよく合っている。
「この服かわいい…!でも…」
「でも?」
「なんか動くの怖いよね…」
「え…どんな動きを想定してるの…?」
「じゃーん!」
「おー!この系統も似合ってる!」
動きづらいとのご意見を承った聡子は、カジュアルな洋服屋に連れて行き、デニムのショート丈のサロペットに、白のTシャツ、足元は歩きやすく走るのも楽なスニーカーだ。
「動きやすい!日本ではこんなのが流行ってるんだね」
「気に入った?」
「うん!これ買おうかな…!」
「買って貰っちゃっていいの?聡子」
アパレルの紙袋を持ったミミリーナが少し申し訳なさそうに尋ねる。
「いいの!せっかく日本に来たお友達なんですもの。私もアルバイトしてるし、プレゼントさせて!」
「わあ!ありがとう…!」
少し通りを歩いた先に、また和装のお店があった。
「これって、日本の伝統的な服だよね…?」
ショーウィンドウに2体のマネキンが浴衣を着てポーズを取っていた。
「うん、そうだよ。涼しい素材だから、夏に着るの」
「そうなんだあ…」
「…1日借りる?」
「え!そんなことできるの…?」
「どうして私も…」
聡子は白地に、赤や水色の菊があしらわれたモダンな浴衣を着ている。帯は紺色だ。少し三つ編みなどが混ざったアップスタイルで、赤色の髪飾りを付けて貰った。
「だって、1人で着るのなんか恥ずかしいもん」
「っていうか、地味めな浴衣で良かったの?もっと可愛い色や柄あったのに」
「うん!なんか落ち着く色なんだー!」
ミミリーナは紺ベースで白や黄色、青のハイビスカス柄の浴衣を選んだ。帯は白で、リボン結びで年相応の可愛さを演出している。髪はアップで、ふわっと毛束が引き出されている。花が垂れ下がっているデザインのかんざしで、動くたびに揺れている。
「じゃあ、次どこ行こっか?」
「うーん、そうだなあ…。あ!昨日の交流会でヨコスカの話聞いたんだ!」
聡子はその後のミミリーナの言葉を、待たずに理解してしまった。
「海の基地見に行きたい…!!!」
「いまから…?この格好で…?」
「うん!」
電車に揺られること1時間と30分ほど…
「海ー!!!」
「ついたねー」
♪ピンポンパンポーン
作者から大事なお知らせです。
横須賀の描写を見てもいないのに書くことは難しいので、取材に行くことにしました!
2ヶ月ほどお待ちください!
ミミリーナと聡子が横須賀周辺を楽しみ、遊び、学んだということだけ覚えていただいて、続きをご覧ください…!




