↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
2/28

1ポスト目② SNS担当官と申します…!


「えーっと、アカウントIDはこれでよし…と、アカウント名は『【公式】アルヴェロイザ王国広報』でいいかな…?固すぎる…?」

ハルトは自室でスマホと格闘していた。お風呂後の彼は襟までアイロン済の、質の良い水色ストライプのパジャマに身を包んでいる。魔導符仕掛けのランプがデスク周りをほんのりと灯している。

「いや公式なんだから、ちょっと固いくらいで丁度いいよね。で、自己紹介は『こちらはアルヴェロイザ王国の公式広報です。日々、我々の王国の魅力などを発信していきますので、皆様ぜひフォローをよろしくお願いいたします。』じゃあ…アカウント作成っと。」

フカフカで豪勢な椅子にもたれかかり、プロフィール画面を眺める。フォロワー・フォローの数字は0と0のままだ。

「誰かを先にフォローしたりしたほうがいいのかな…内閣府アカウントとか、首相のアカウント…?いや、順番的には宮内庁のほうが先か…?」

コンコン

物思いにふけりすぎていた彼の耳に、軽快なノック音が響いた。

「どうぞ」

「あにうえー!!!」

ハルトの元に一直線に向かっている、この小さな女の子はハルトの妹のアデルだ。ふわっとしたベビーピンクのネグリジェに、美しい金髪を高めのツインテールで結っている。美形両親の良いとこ取りをしたような天使の顔立ちだ。嫁に出す時は絶対に泣くまいと決めているハルトだった。

「兄上、このご本を読んでくださいまし!」

「アデルもう寝る時間じゃないのか?」

小さな天使はちょっとだけ頬を膨らませ自然に上目使いをした。

「今日はお昼寝を沢山したのです。だから、ちょっとだけならいいよってママ上が」

「わかったわかった。じゃあ、読んであげるから」

「わーい!兄上大好き!」

アデルはさも当然のようにハルトの膝の上に乗り、ハルトも左手で彼女を抱えた。

「あれ?兄上、スマホで何をされていたのですか?」

「ああ、父上からのご指示で公式SNSアカウントを作ってたんだよ」

「SNS…?」

「あー、えーっと世界中の人とお友達になれるっていう」

「本当ですか!アデルもお友達沢山作りたいです!」

アデルが必死にスマホを取ろうとする。

「アデルにはまだ早いよ」

ハルトはスマホをアデルに届かないように頭上に掲げた。

「兄上はケチです!!!アデルはお友達100人作って、富士山でおにぎり食べたいです…!!!」

「いや、100人って…」



「フォロワー56人か…友達を増やすのは簡単じゃないな…」

あれから1週間が経ち、何件かポストしたのだが芳しくない反応だった。

「圭介、いや圭介先生!どうしたらSNS伸びますか?」

ハルトは椅子の上で正座になり、圭介に手を合わせた。

「お、やっと俺を頼ってくれたな?ほなちょっと覗いてみますか」

いつものニタニタスマイルで圭介はスマホを触り始めた。

「えー、なになに…『アルヴェロイザ王国と日本国との接触は、王国歴1218年(西暦20XX年)に偶然によって始まった。

当時、王国東部の農村に居住していた青年エルドは、』って、ちょいちょい!!!!!これは硬すぎるし、真面目すぎるて!!!」

「え!だって公式広報なんだよ?」

「いやいや、誰もXで歴史学の小難しい話なんて、読みたないねん!!!」

「いやでも、我が王国との歴史をお話しないと…きちんとした認識を得られない…!」

「おもんないねん!!!!」

「おもん、ない…???」

青天の霹靂だった。ハルトは真面目に自国をアピールしようとしているだけなのだ。そうすれば正しく広めることができると思っていたのだ。

「おもんないものがバズるわけないやん!まずはバズらんと話にならんで!!」

「バズるって…じゃあ、何を投稿すればいいんだよ!!!」

「ハルト君、なんか苦戦してる?」

いつものようにマドンナが颯爽と現れる。

「いや、思ったよりアカウント伸びなくて…」

「そうね…というか、納豆で会見が炎上したんじゃなかった?」

「…!!!そうだった」

「それならいっそのこと、ハルトが納豆食べるしかないんとちゃう?」

「俺が???」

公式広報係は少し考えたのち「俺が食べるのの、どこがバズるんだ…?」という結論に達した。

「いや、外国人が恐る恐る納豆を食べるのがバズるんや」

「別に俺、納豆嫌いじゃないよ…」

「はぁぁ…お前、ホンマおもんないな…!!!」

圭介は呆れたように、いつものメロンパンにかぶりついた。

「嫌いじゃないなら、それでも良いんじゃない?」

「はあーーーーーーー。綾乃は相変わらずInstagram脳やな!ええか?食レポは反応が命なんや!ただ『食べます!美味しかったです!』は意味ないねん!!」

「え?そう?大使が赴任先の文化を楽しんでる様子ってだけで、両国でバズるのは定番なんだけど?むしろ、わざとらしいリアクションとか嫌煙されると思うんだけど」

「もー、そんなんおもんないやん!」

「まあまあ…」

ハルトの問題解決のはずなのに、いつも通り彼が二人の喧嘩という問題の仲裁に入っている。

「わかったわ。じゃあ、どっちのプロデュースの方が優れているか、対決よ…!」

「お、受けて立つで!絶対に綾乃になんか負けへんで!」

「金だけの圭介に負けるわけないじゃない!」


③は本日18時に更新です!フォローしてお待ちください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。