↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
19/29

9ポスト目② 夏季インターン初日〜所要時間120分編〜


「さて、では今日のグループワークのお題は『次に日本で認可される魔法は?』です。魔法の種類や、使用許可の範囲、違反した場合の罰則や違反の判別方法などを議論し、草案のようにまとめてください。時間は120分です。最後に各グループの草案を発表してもらいます。その際の発表および質疑応答で発言できるのは代表者1名のみです。」

「はい。資料などはありますか?」王国民の1人が片手をまっすぐに挙げ、質問をした。

「現行の法律はインターネット上に公開されていますよ?」

笑顔のまま答える小野の表情に、ディスカッションに慣れているものは戦慄していた。調べ慣れていない法律や慣習の検索から始めるとなると、いくら時間があっても足りないのだ。

「さあでは開始してください!」

「よし!じゃあ俺が進行役してもいいか?」

早速嵐學が場を仕切る。すでに進行役としての能力を見せている。

「いいよ〜」「はーい」イムハシとミミリーナがそれぞれ賛同した。

「じゃあ私タイムキーパーするね」

すぐに聡子が名乗り出る。

「”たいむきーぱー“って何?」

「時間を管理するの。議論が長引いたりした時にスパッと止める役」

「なるほど!聡子に向いてそう!」

「ありがとう。…?」

「えーっと、ほかになにあるのかな〜」

「最後に発表する代表者と、書記…かな?」

「じゃあ僕書記するよ〜。AIに任せた方がよさそうだし〜」

「今時の魔法使いもAIを使いこなすんだな…!」

「じゃあ私は発表をするんだね!…できるかな」

「大丈夫。私が仕込むから!」

「じゃあまずは…現在使用許可が下りている魔法の確認とかかな?」

進行の嵐學が見回す。

「それでいいと思う〜。たしか大使館が出してる一覧表があったはず〜」

素早く検索をかけ、イムハシが該当のページを開いた。

「うわっ少ないね…!」

「え〜、なんにも使えないよ〜」

短いスクロールタイムのすぐ後に彼らは口々に文句を垂れる。

「そうか…?これでも近年は増えてきたほうだって聞いたぞ?」

「入国前にガイドとかないの?」

「あったよ〜。『日本国では原則魔法および魔道具の使用は禁止です』って。でも、ここまで何もできないとは思わなかったよ〜」

「っていうか私、ホテルの部屋で清拭魔法使っちゃったよ…」

「え〜。僕もだよ〜」

「何サラッと犯罪を自供してんだよ…」

「でもその清拭魔法を認可するって案はいいんじゃないかな?日常的にあっても困らないわけだし」

「むしろこの魔法使えないって、地球人は可哀想だよ…」

ミミリーナが真剣に哀れんでいるため、地球人のふたりは何も反論ができなかった。

「じゃ、じゃあこれにするか!どんな魔法なのか、詳しく教えてくれ!」

「え〜っと…学術的な分類でいうと『分離系・低選択性表面分離術式』って名前で、おおざっぱに汚れとかを取り除くってイメージかな〜。ただ、清拭魔法と一口に言っても、なにか指定したものだけを取り除くとなると分離・分解魔法の高難度に分類されるよ〜」

「私は自分の汚れを取り除いたり、洋服や食器の汚れを取り除くのにつかってるよ!」

「なるほどね…その取り除いた汚れはどうなるの?」

「丸めてポイするよ!」

「消失するのかと思ってた」

「物体を消失させるのは、ほぼできないかな〜。数百年に一人の天才とかならできるかもだけど〜」

「魔法ってなんでもできるのかと思ってたけど、案外現実的なのね…」

「勉強になるぜ…!じゃあ清拭魔法を定義すると『物体の付着物などを、対象から大まかに剥がす』って感じか?」

「そうかもね〜」

「じゃあ、何に対して使用を認可するのか、付着物の定義、“大まか”の範囲、使用者・使用機会の制限を決めたいわね」

「なんだか、それをいちいち決めなきゃいけないって、日本は面倒くさいね」

「そうね…まあ、あなたたちにとっては日常の造作もないことなんだろうけど、こっちの世界からしたら未知で脅威に感じるものだからね。こっちの世界でも、車は便利な道具で現代には必要不可欠だけど、免許もいるし、いろんなルールを守らなきゃいけないの。じゃないと、人を殺すことも容易にできてしまうから」

「そっかー…。確かに、魔法も魔道具も使い方を間違えると取り返しのつかないことになるもんね」

「よし、いい感じに進んでるな!このままどんどん決めていくぞ!」

その時、イムハシがポケットからお菓子の袋を取り出し、何食わぬ顔で食べ始めた。

「まって、なんでお菓子食べてるの…?」

「え?だって頭使うから〜。食べる〜?」

「私食べる〜!」

「嘘でしょ…」

聡子は巡回している職員の方をチラッと見たが、お菓子を食べている彼らを咎める様子は見られなかった。

「うちの研究室では、支障が出ないならお菓子とかOKだから〜」

「あ、それ美味しいらしいな!俺にも1つくれ!」

「え?私がマイノリティなの…?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。