6ポスト目② 期末テストにつき、投稿をお休みいたします
「ほんで、結局どこ旅行すんねん」
指導室から教室への帰り道。皆が3人を見つめ、自然と上がった口角で各々噂をする。圭介と綾乃は慣れたものなのだろうが、ハルトはその視線にどこか居心地の悪さを感じた。
「国内だとしても、圭介の点数あげないといけないでしょ」
「たしかに…」
「圭介が学年の半分に来ないと、今年の夏の旅行はお預けよ!!!」
完璧女子の綾乃が腰に手をあて、もう片方の手で圭介を指さし決めポーズをした。
「…!!!!」
雷に打たれたかのように、衝撃を受け立ち止まる圭介。これまでの人生で飽きるほどの旅行を経験しているだろうに、まだ旅行したりないのかとハルトは思った。
「ハルトくーん…勉強教えてくれへん…?」
手を合わせ擦りながら、キュルンとかわい子ぶったブービー賞君はハルトの周りをウロウロ纏わりついた。
「別にいいけど…家庭教師とかの方が教えるプロだと思うけど…?」
「昔、東大やハーバードのカテキョつけてもろてんけど…なんかやる気が続かへんのや…」
「そんな優秀な人達がダメだったなら、俺でも無理だと思うけど…」
「わからへんやん?ハルト君くらいのデキスギ君なら、俺の成績上げれるかもしれへん!」
圭介は戦術を変更したようで。ハルトにしがみついたままズルズルと引きずられた。周りの視線には慣れている圭介はどんなことをしても気にしていない様子だ。いや、視線の種類を考えて欲しいものなのだが。
「…まあ、とりあえず次の期末まで一緒に勉強しよっか…」
このままだと授業が始まっても纏わりついたままだ…と的中率100%の予言を見た彼は諦めたのだった。
「ほんまハルト君大好き♡」
圭介がほっぺにキスしようとしてくるので、ハルトは必死に逃げ回った。
「ほんと、ハルトはお人良しね」
「あー、ハルト君。俺もう飽きたわ」
「それもう今日で100回くらい聞いたよ」
いつものハルトの自室。床やローテーブルに教材を広げまくり、それぞれの教科のページを見ているフリを繰り返す圭介にどう勉強を促すかと、半ば諦めかけているハルトだった。綾乃にヘルプを頼んだのだが「私、ひとりで静かに勉強するのが好きなの。あと、私には圭介の勉強まで面倒見きれないわ」と断られてしまった。一応その後「頑張って」とメッセージが届いたのだが、あまり救いにはなっていない。
しかもハルトが遠くに写るように自撮りをする始末だ。舌を出してみたり、真剣に勉強するハルトを摘み上げているようにしたりと、何パターンも撮ったようだ。最後の方はハルトも顔をあげ、圭介を睨んでいた。
「次のコラボのアイキャッチとかで使おうか!」
ニタニタ笑顔で満足げな御曹司だ。
「勉強しないなら、解散するけど…」
「えー。だって、暗記とかおもんないやん」
「うーん。まあ暗記ってそんなもんなんじゃないかな?」
「あーーー、もう無理や。ゲームせえへん?」
「…内部進学はお金では買えないよ…?」
「っはあ〜ハルト君はホンマに俺を動かすのが上手いやんなあ〜…っは!ハルト君…もしかして記憶力をあげる魔法とか知ってるんやないの?暗記パンみたいな!」
「いやそんなのないよ!」
記憶を掘り返しているように目を泳がせるなどの振る舞いをした。実際あったとしても日本で行使するのは違法である。
「というか、そもそも王国内でも身体強化系の魔法技や道具の使用は制限されてるんだから」
「ファンタジー世界でも夢はないねんなあ…」
圭介は珍しく、エナジードリンクを開けグビグビと飲み始めた。たしかにカフェインや炭酸で目が覚めるのには変わりないが、糖類で血糖値の急上昇を招き、結果的に眠気に繋がるのでは…と言いかけて飲み込んだ。
「飽き性なら、逆にそれを活かしてみる…?」
次回は8月10日18時に更新です!
圭介は果たして赤点を回避できるのか…?




