ハザーズの方がまし?
久しぶりの投稿 理由は活動報告で
胃が痛い。闇落ちヒーローの事を調べていたら、予想以上に闇が深かった。
本部に届いた調査結果が俺の胃にストレスを与える。
「鷹空さん、胃薬取って……お兄ちゃんの馬鹿。弟になんて案件よこしてるんだよ」
闇落ちしたのはヤークトスリーのリバルバーブラック。ヤークトスリーはナーチャーアニマルとデストラックスの策略により解散してしまった。
「はい、胃薬。ヤークトスリーのスナイパーホワイトさん、シュライバーラバーズに加入したんだね……吾郎、僕がついているから負けないで」
鷹空さんが溜息を漏らしながら、俺の背中を優しく撫でてくれた。
ヤークトスリーのスナイパーホワイトは教育免許を持っている。監督役も兼ねてシュライバーラバーズにスカウトされたそうだ。
そして、そのまま大阪にお引越し。
「リバルバーブラックとスナイパーホワイトは恋人関係にあった。身バレによる引退に加えて彼女を寝取られて闇落ち……これだからバフ系は嫌なんだよ」
ヒーローに必要なのは、どんな手を使っても勝つ事。だから俺もない知恵を絞って戦っている。
そしてバフ系が強くなるのは、女性ヒーローが必須。早い話がハーレムを多く作れば強くなれるのだ。
「今のメンバーはスナイパーホワイトさんも含めて四人。メンバーが増えても戦績を伸びていない。バフ系ってメンバー増えたら強くなるんじゃないの?理由分かる?」
俺はヒーロー歴長いから、理由も分かる。でも、好きな女の子の前では凄く言い辛い。
こんな時に月山か健也がいてくれたら……。
「確かにバフ系は人数増えれば強くなれるんだ。でも、一人に割ける時間も減る。当然、前からいたメンバーからは不満が出るんだよ。鈍感系主人公みたいな奴かホストみたいな人じゃないと上手くまとめらないんだ。シュライバーラバーズは前も仲間割れ起こして俺が援護にいったし」
それでも高確率で瓦解するんだけどね。
ゲームのイベントと違って、クリスマスやバレンタインを一緒の過ごせなかった女性は不満を募らせる。
まして命懸けの戦いもしている訳で。
「吾郎も鈍感だけどね」
そういってジト目で俺を見てくる鷹空さん。ヒーロー歴長いから、人の気持ちには敏感な方だと思うんですが。
「翼ちゃん、吾郎は鈍感じゃないの。名は体を表す。臆病なだけ。それで吾郎どうするの?」
美樹本さん、部屋に入ってきて秒でディするのは止めて下さい。
「闇落ちは確定ですけど、まだ実害は出ていません。憎んでるのはシュライバーラバーズだけ……この案件、川本さんか守さんの方が適任じゃないですか?」
川本さんは既婚者、守さんは恋愛経験が豊富。どう考えてもリバルバーブラックを説得するとしたら、俺より適任だと思う
「リバルバーブラックは竜司さんの店の常連。一番自然に接触出来るのは吾郎だろ?」
ヤークトスリーにとって兄ちゃんの店は思い出の場所との事。リバルバーブラックは、在りし日の思い出を求めて店通い詰めているらしい……違う闇を感じるんですけど。
「僕と吾郎で潜入調査するんですね!お義兄さんのお店でアルバイトするのもありかもね」
鷹空さん、物凄く乗り気です。そうするとお兄ちゃんと毎日顔を合わせないいけない訳で。
気まずさで、俺のストレスがやばい事になる。なんとしてでも阻止せねば。
「吾郎は竜司さんの実弟、翼ちゃんは止まり木でアルバイトの経験がある。違和感はないわね」
美樹本さんも乗り気だ。なんとか阻止しないと。
「シュライバーラバーズに接触するのが先かと……鷹空さんに転移装置を経験してもらう必要もありますし」
これから鷹空さんは俺の任務に同行する事が増える。その為には転移装置に慣れてもら必要がある……と思う。
「要請も掛かってないに大阪に行ってどうするんだ?お前は翼ちゃんと大阪デートをしたいだけだろ?」
美樹本さん、そんなに冷静に突っ込まなくても……確かに鷹空さんと大阪デートはしたいけど。
「シュライバーラバーズが担当しているハザーズは、ブロークンハートクラブ……直訳すると失恋同好会……ハザーズの方が、俺に近いんですが」
ブロークンハートクラブは、振られた男の怨念により生まれたハザーズ。主に狙うには恋人。それに相対するのは寝取りもするバフ系ヒーローシュライバーラバーズ……なんでだろう、ブロークンハートクラブを応援していまう。
(俺が前に戦ったのは。ボッチコイ。名前からして切ないんですが)
「バフ系の書記官が女性を魔法のペンでパワーアップして戦う。必殺技がイチャラブアタック……本人達が大真面目なのが怖いわね」
なんだろう。格安ゲームに出てきそうな必殺技なんですが。技名を言っただけなのに、美樹本さんが頭を抱えている。
「しかも詠唱付きらしいですよ……彼女が皆の前で、男子高校生とイチャラブアタック……あれ、なんか涙でてきた」
リバルバーブラックさんを見ている可能性もある訳で……闇落ちするのも分かる気がする。
◇
面接で落ちる予定だった。だって、お兄ちゃんの店の従業員皆が容姿が整っているし。
「今日からアルバイトをしてくれる大酉吾郎君と鷹空翼さんだ。皆よろしく頼む」
お兄ちゃんの紹介に合わせて頭を下げる。
お兄さんの弟という気はない。変に気を使われたくないし。
(大酉は珍しい苗字だからバレるかもな)
年もそうだけど、天舞さんが俺を見て優しく微笑んでいる。
「大酉吾郎です。飲食店でのアルバイトは初めてなのでご指導宜しくお願い致します」
店長の弟さん?とか言われるかと思ったけど、普通のリアクションでした。うん、兄弟だけど似てないもんね。
主な反応は真面目そうでした。
俺の担当は洗い物、ケーキなので油汚れをきちんと落とす必要があるそうだ。
「きちんと洗っているな。そのまま、頼む……例のお客様が来たら天舞が知らせにくる。それまでしっかり頼むぞ」
性分なのかプロ意識なのか、夢中で皿洗いをして気付けば、休憩時間に……従業員の休憩室で休もうと思ったんだけど。
「聞いて下さい。吾郎ったら食生活が滅茶苦茶なんですよ。僕が見張っていないとコンビニ弁当や冷凍食品ばっかり」
鷹空がお兄ちゃんと天舞さんの前で、盛大に愚痴りだした。即席めん禁止令を守っているのは、褒めて欲しい。
「随分、吾郎がお世話になっているみたいだね」
鷹空さんの勢いにお兄ちゃん達がたじろいでいる。休憩開始と同時に弟への愚痴を聞かされた苦笑いするしかないよね。
「でも、安心して下さい。合鍵をもらったので、僕がきちんと管理します」
そういって合鍵を自慢げに見せる鷹空さん。天舞さんが俺を冷たい目でみているんですけど。




