↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛇になりて  作者: 毛布巻男
第二部 砂漠を渡る風

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
45/60

第二十話 宮殿の真実

 酒場のカウンターの奥から地下の倉庫へと続く階段を下りていく。倉庫は広く、たくさんの物資が置かれていた。

 倉庫の奥には小さな木の扉があり、その扉の先は広い洞窟に繋がっていた。


「この町は巨大な鍾乳洞の上に出来てるの。昔、湖の研究をしてた時に知ったのよ。町の人達もほら、あっちに避難してるわ」


 ナディアが指差す方には洞窟の広いスペースがあり多くの住民が集まっていた。

 住民たちを素通りし、更に奥に進む。洞窟の中にも湖があり、その近くに布が置かれている場所があった。布の上には用途不明な金属製の道具がいくつも並んでいる。

 僕は聞くまでもなくナディアのスペースなのだと理解した。


 そのスペースでナディアの授業が始まる。




「結論から言うわ。宮殿のお偉いさんたちは人間じゃない。もう魔物に乗っ取られているわ」


「えぇ!?」


 僕もファリスも同時に大きな声を出した。


「宮殿は魔物だらけってこと!? 大混乱じゃないか」


「表向きは違うのよ。人間に擬態できる魔物がいるの。魔人《まじん》とでも名付けましょうか」


 焦る僕をたしなめるように手をひらひらとさせ、ナディアは話を続ける。


「宮殿側にもまだ人間はいたわ。入り混じっているのよ。でも国の中枢を担う役職や、軍のトップの人たちはことごとく魔人だった」


「どうやって見分けた?」


 堪らずファリスが口を挟む。

 ナディアは振り返り、ガチャガチャと何かを探し始めた。そして2つのレンズが付いたゴーグルの様な古い遺物を持ち上げた。


「これよ」


 そう言いながらナディアはそれを自分の頭に装着する。目のレンズ部分は薄い緑色に光を反射させていた。


「まさか、それをつけて出歩いていたの?」


 ナディアはゴーグルをつけたまま僕を睨みつけた。


「そうよ! 何か文句でもあるのかしら?」


 そう言ってナディアは硬直した。




「あなた…。レックス?」


「そうだけど…」


 ナディアが座り直して説明をする。


「この遺物はね。魔物の持つ力が見えるのよ。私は魔力と呼んでいるわ。今までは魔力の有無で人間と魔人を判断していたんだけど…。あなたのその魔力。人間?」


 ファリスが納得したように少し笑った。


「レックスはもう人間じゃないぞ」


「おい!」


「どういうこと。ちゃんと説明して」




 ナディアに儀式の話と、精霊ジンの力の話を共有した。代わりにナディアから宮殿で確認したことや、魔物に乗っ取られた町や、軍の部隊の情報を聞いた。


「そんな。俺たちの隊は間違いなく皆人間だったぞ」


「あなたたちはそうでしょう。階級の高い人たちが取って代わられているようね」


 動揺するファリスにナディアは続けた。


「でもだからこそまだ希望があるわ。各地に散らばっている軍の兵隊は人間なの。彼らにこの事実を周知して味方してもらうの」




 理屈は分かるが頭がついていかない。一体誰がどうやって説得して、その軍を率いるのか。

 そう考えた時に、それをやってのける人物の顔がふと浮かんだ。そんなことをできるのは一人しかいない。


「ナディア、師匠なら出来るかもしれない」


 だが思いに反して、ナディアは首を横に振った。


「魔人の話をするのに、見た目が魔物みたいな"鱗の騎士"にはこの役は合わないわ」


「じゃあどうするつもりなの?」




 ナディアはファリスと目を合わせた。ファリスは理解して頷く。

 2人の視線がこちらを向いた。


「あなたがやるのよ。"予言の子"レックス」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。