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第34話.「来たる小テスト、運命は定まった」

 週末が明け、また新しい週が始まる。今の週だけは本当に、本当に来て欲しくなかった。理由は小テストもだが、その後に待っているとされる交流会のせいだ。


 朝のホームルームで担任から正式に告げられたことで噂程度だった話が本物になった。


『知らない奴はいいが、何故か知っている奴がほとんどだと思う。だから、分かってる前提で話すから聞き逃すなよ。各教科である小テストで1番点数の良かった男女1人ずつには今週の金曜にある新入生交流会で出てもらうことになる。あっ、だからって手を抜くなよ。ちゃんと成績に影響するし、普段点数取ってる奴がわざと低い点を取ったと分かったら遠慮なく成績に反映させるからな』


 ある特定の人物を指して言ったであろう言葉でワンチャン逃げ道があると思っていたが見事に塞がれた。


 騒つく教室にとある生徒の声が響く。


『せんせいー、それって拒否はできないの?』

『しても良いが知らないぞ』


 心の中で『何がだよ』と思いながら話を聞いたとのも早数時間前の話だ。今は最後の小テストを受けている。


(やべー、全部分かる。これじゃあ満点とか取っちまう)


 所詮はやっぱり小テストだった。


 あわよくば難しくて低い点数を取っても違和感のないくらいのレベルだと嬉しかったが、、、残念。


「はいっそこまで」

 

 教科担任がテスト用紙を回収する。


「じゃあこのまま授業をしていくぞ」


 その一言であちらこちらで不満の声が聞こえる。こういうところにこの学校の偏差値の低さを感じる。


「交流会の件は同情するが、小テスト自体は他のクラスでもやってることだからな。早く教科書開けよー」


 毎年の事なのか教科担任は慣れた様子で授業を進めて行く。考えたいことは山ほどあるが授業となれば切り替えなければいけない。


 俺は小テストがあるからと隠していた土曜日の事を昇華できないまま、また隠す事を決めた。


○○○


 あの時はそれどころじゃなかったから指摘できなかったけど、白糸が家にいた。そのおかげで事が余計に拗れた。本来なら鈴香との関係を断つだけで良かったのにだ。


 帰りのホームルームのために担任が来る数分、俺は昇華できず隠した気持ちをどうにかしようとしていた。それができていたら問題はもうすでに解決しているはずなのに---と、分かりきったことも考えてしまう。


 そもそも、どうにかできないものをどうにかしようとして、どうにもならなくてを繰り返して今日に至るのにどうにかできるはずがないんだ。


(はぁー、何をやってるんだ俺は)


 自分がしていることを馬鹿らしいと思っていると担任が教室に入ってくる。それで教室の中が少しピリッとする。そして、俺もその1人だ。


(く、来る……)


 でも、想像とは違っていつも通りに進んで行く。


「じゃあ、帰る奴は気を付けて帰れよー。部活の奴は頑張れ。じゃあ、号令」


 結局、何事もないまま終わってしまう。


 主観だが俺含めクラスの全員が『今日、発表じゃないんだ』と安心していたと思う。だから、一度教室を出たはずの担任がすぐに教室の中を覗いたものだから教室中に緊張が走る。


「あっ、そうだ。硯と白糸、あと蒼山は話があるから一緒に来てくれ。ここじゃ何だし場所を変えよう」


 その内容を察するのは容易過ぎた。だからこそ、一緒に名前を呼ばれた2人に目線を向けそうになるが何とか抑える。その代わり、心臓が痛くなり始めた。


 担任が言うように場所を教え、空き教室に連れて来られた俺達はそれぞれ椅子に座らされた。


 話では男女1人ずつって事だけど、2人が呼ばれたのはどういう事なんだろうか。


 そう思っていると、担任が話を始める。


「察しがついているだろうが、俺に呼ばれたと言うことはそういう事だ」


 ですよね……というのが素直な気持ち。


「朝はああ言ったけど、いちおう確認をな。硯は行ってくれるか?」


 心の中で『拒否権ないくせに』と思いながら「分かりました」と俺は返事をする。


「ありがとう。2人は……ってその前に2人を呼んだ理由を言わないとだな」

「それそれっ! 気になってた!」

 

 白糸が若干被せ気味に担任に言う。


「どうして私だけじゃなくて蒼山さんも呼ばれたの?」

「どうしても何も白糸と蒼山の点が同じだったからだよ」

「それでそれで?」

「俺は悩んだ。どっちに頼むか。悩んだ結果、どっちにも行ってもらう事にしたんだ」


 枯っとしながらそう言う担任を見ながらたぶん3人とも思った。『絶対適当だろ』と。


 でも、点数の話は本当だと思う。教師がその話をちょろまかすとは考えられないからだ。


(あの後、頑張ったんだな)


 そんな事を考えるのも束の間、担任は再度2人に確認をする。


「どうだろうか? 頼めるか?」


 精神衛生的には2人とも降りてくれることを願う。最悪、どっちかだけでも良い。でも、どんな選択をするかは分かっていた。


(グッ…………)


 俺は更に心臓が痛くなったのを感じた。

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