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真実の愛  作者: 瀬名 杏子
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私は…私は…

「アンネローゼ、少し痩せたかしら?」


「エレナ様こそお痩せになったのでは?少しお顔の色も優れませんわね」


王妃教育はそれはそれは厳しかったのですが、教育担当のエレナ様には何かとお目を掛けていただきましたわ。


知的で上品なエレナ様の美貌は私の憧れでもあります。


細い指先まで、洗練されています。


エレナ様にいつも王妃教育を受けていたこの部屋へ来ることも、もうないのでしょう!


そう思いますと感慨深いですわ。


「レオポルド王子の件では、本当にお互い大変でしたわね」


レオポルド様の処遇については、揉めたようです。


「まさか、ミシェルと恋仲とは思いもよらず…?」


本当に私知らなかったのです。


仲が良さそうでしたが、そういう意味で仲が良いとは思いもよらず、悔やまれます。


私が恋愛事に疎過ぎたのです。


「貴族間の政略的な結婚ならば、白い結婚の場合もあるでしょう?没落貴族や貴族と繋がりたい商会に手を回せば、相手は見つかったと思わないこと?」


「ええ、まあ」


釣り合いの取れる貴族の養女にすれば、何とか形は整います。


「レオポルド様は私が婚約者だと勘違いされていましたから?」


「それにしても…?」


無謀(浅慮)ですわね。


「タイラー様でしたら、廃嫡されるような失態は絶対ありえませんわ」


強引に話を切り替えます!


「チェイス王子とカイル王子も仕出かさないわね」


「レオポルド様はご兄弟の中でも見目麗しい(かた)でしたし、学院の後輩の伯爵令嬢と噂もありましたし…?」


あの噂は、何だったのでしょう?


一方的に伯爵令嬢が熱を上げていただけでしょうか?


それにしては、随分具体的だったような気が…?


「貴女の異母弟は、レオポルド王子の何処が良かったのかしら?」


「ミシェルには優しかったのではないかと…?」


無難に答えておきましょう!


愛の形は、人それぞれですもの。


「アンネローゼ、僕も話があるから、仲間に入れて貰ってもいい?」


「何ですか、不躾な?」


タイラー様が、突然お部屋に入って来られました。


「タイラー様、また少し身長が伸びたようですね?」


身長が伸び、顔付きや身体つきも変わってどんどん男らしくなっていらっしゃいます。


もう可愛いなんて、褒め言葉でも言えませんね。


「王妃教育を再開する気になったかい?」


「タイラー様、私はミシェルの代わりに公爵家を継ぎますわ」


「そのことだったら、アンネローゼの父上のフォーセント公爵はまだまだお若い。アンネローゼの子供が成長するまで、領地経営を頑張って頂けばいい!」


「アンネローゼ、私もそう思いますわ!」


エレナ様まで!困りましたわ。


この機会に王妃の重責から逃れようと思っておりましたのに!


私が甘かったのでしょうか?


「元々、私のような不出来な令嬢には王妃の大役は無理なのです。これからは領民の為に、私が出来ることを精一杯模索していきますわ」


貴族名鑑を暗記するのは大変でした。


忘れないように、時々読み返していましたわ。


家柄と魔力量はともかく、私なんか頭の中身は凡人ですの。


領地経営頑張りますわ!


「僕はアンネローゼのその謙虚なところが好きだよ」


「そんな嬉しいことを言って下さるのは、タイラー様だけですわ」


「とりあえず、子供は4人でいいよね」


タイラー王子の両手が私の手を包みます。


「子供?何のお話でしょうか?」


とても嫌な予感がします。


「第一子は王太子、第二子は王太子のスペア、第三子は公爵家の嫡子、第四子は他国の王族と婚姻させようね」


「それはタイラー様が王太子に選ばれる前提のお話ですか?」


「そうだよ」


室内に侍女の姿はありません。


「タイラー様が王太子に選ばれた場合、4人も私が産むのですか?」


「最少でも2人ね、王太子と公爵家の嫡子は是が非でも産んで頂戴」


エレナ様、それは決定事項ですか?


「大丈夫!僕にまかせて!アンネローゼは僕に身を委ねていればいいよ」


私の耳に息を吹きかけないで下さい。


いやいやいや、15歳のタイラー様がどなたにどのような手ほどきをお受けになったのか存じ上げませんが、エレナ様の目前で言葉に詰まります。


15歳のタイラー様の未成熟な妖しい色気に私酔いそうです。


早く逃げた方がいいですわね。


私ではこのお二方に太刀打ち出来ません。


「アンネローゼは何も心配することはないわ」


「御子を授かれなかった場合はどうなるのですか?」


「その時は、王太子は側妃の産んだ王子達の中から選んで、公爵家は分家から養子を貰うことになるわね。でも、焦ることはないわ」


15歳と17歳ですからね。私老けて見られますが、17歳ですのよ。


タイラー様より5歳上位に見られそうですが?


「それとも、アンネローゼは僕では不満?チェイス兄上やカイル兄上の方がいい?」


探ぐるような瞳で見つめられます。


「素敵な方ばかりですので、選べませんわ」


本心ですわ。


王太子の婚約者として私に選ぶ権利などありません。


国に殉ずる覚悟があるかと問われれば、正直微妙ですが…?


…...と、最近まで思っておりましたが、このまま流されてよいのでしょうか?


このまま流される前に、自分の気持ちに素直になってみようかと…?


傷つくことを怖れ、嘘の作り笑顔と虚勢で固めた薄っぺらな私。


貴族の矜持と刷り込まれた価値観が、私を縛ってきました。


後悔しないように、一度だけ!


閉じ込めてきた私の長年の想い。


「私は…私は…」


私はあの方が好きなのです!


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