第35話 正直に生きるのって難しい
『破壊者』キサラ視点――――――――野営地外周
「アッァッア、ア」
「五月蝿い、邪魔臭い、壊れろよ。紛い物の死人崩れが私の前に立つな」
集って来るリビングデッドの生き残りを睨みつけて私が静かにそう告げると、それだけでリビングデッドの粉々になる。
あぁやっと静かになったこれで作業に集中出来る。
あぁ、まったくどうしてこんな地味な作業をこの私が……せめて忌み名を付けたんなら、その通りの仕事をさせて欲しいよ。
私の呼び名は数多くあるけれども有名なのをピックアップするならば、AOで関わってはいけないギルド堂々の1位『パンドラ・トイ・ボックス』のギルドマスター。
『吸血』のブラッドフラワーの相方『破壊者』キサラ。
その二人を合わせた呼び名が大量虐殺コンビ、そして私は大量虐殺コンビのいっつも危ない方とかと呼ばれる事もある。
いっつも危ない、そんな風に言われるほどどうやら私は危険人物らしい。
らしいというのは私に、悪気がある訳でもなく自分が楽しい事をしていたらそう呼ばれていたので自覚が無いんだよね。
うちのギルドの人達に言わせるとそこが一番危ないらしいんだけど、そう言われても自覚が無いんで仕方が無い。
でも、そんな私がそうなってしまったのはいつからだったのかな?
子供の頃には無自覚にそれをおこなっていたので、もしかすると生まれた時からなのかもしれない。
最初にそうだ!と認識した時あれはいつ頃だったか…………たしか幼稚園の時だったかな?うん間違いない、小学校に入る頃に慣れてはいたので恐らく幼稚園の頃だったと思う。
あの時の私は人間関係に思い悩む事が多かったから……皆私と何かが違うと子供ながらに感じていたんだ。
***
当事外で遊ぶことが余り好きではなかった私は家族以外の人間に関わる事もほとんどなく他人というものについて考える事が無かった。
だけど幼稚園に通うようになり、その時初めて他人というもの関わる事が多くなり、それ等に対して子供ながらに深く悩んだんだ。
今ならば価値観や行動原理と言う言葉でその感覚の違いを言葉として現す事ができるけど当時の私はそんな言葉も概念も知る訳も無いので、父や母に相談する事も出来なかった。
つまり人間関係というものは当時の私を大きく悩ませるけど、解決方法も分らない悩みの種となっていたんだね。
けれども、今うまくその悩みを言葉にすることが出来ても父も母も私が納得する回答はくれないと思う。
悩みの理由――――それはどうにも私が人の輪の中に入るとその輪が変な方向に歪んで行き最終的には崩壊してしまうという事だった。
崩壊の原因はまったくの偶然か私の関係ない所で起こっている事がほとんであり直接私が何かをしているという事はなかった(当時はそう思っていた)だけど問題の発生元が偶然だろうと必然だろうと決まって必ず私の周りの人間関係が壊れてしまうという結果は決まっていた。
そうして生まれてこの方、家族以外の他人と関わるとそんな事ばかりが起こっているので小学生に上がる頃にはそれが普通なのだと勘違いしていた。
私が属していたクラスが学級崩壊を起こしてPTAで問題になった時なんかは「色んな子が集まってるんだから崩壊して当たり前だよね?何を大人達は揉めているんだろう?」とかそんな風な事を悟ったように分り顔で思っていたものだ。今思えば結構嫌なガキだったと思うね。
でも月日が過ぎて流石に私の周りが微妙におかしいと気づいた。
あれは10歳か11歳位だったかな?始めて友人らしい友人が出来て他人に興味を持ち始めた頃だったと思う。
その時も相変わらず私の周りは古いものも新しいものも壊れ破綻し続けていたけれども、他人に興味を持ち始めた私は私の周囲だけではなく少し離れた場所を見てしまった。
そこには少なくとも表面上は正常に機能しているように見える普通の人々が居た。私は疑問に思ったね。何故あの人達の関係は壊れないんだろう?と。
それに気づいた私はしばらくその壊れない人達を観察した――――その結果私の周りだけがどうしようもなく壊れていく方向に進んでいるだけで他は正常に人間関係というものが機能しているという事に気づいたんだ。
これは衝撃だった。だって私の周りだけが常に異常なんだと気づいてしまったんだから……
気づいてしまったのならば今度は私と他の人々の何が違うのかが気になってくる。
だから私は、当時私に最も近しい存在であると思っていた物知りの友人に思い切って問いかけてみた。
確かそう、こう語りかけたんだ。
「ねぇ?私の周りってもしかしてなんかおかしいの?てゆうか私もなんかおかしい?」と、そして私が語りかけた友人は少しおどけたように笑いながらこう答えた。
「ははは、確かに沙羅ちゃんは普通の人とズレてしまっているからね。普通の人間からおかしいと見えるかもしれない。でもそれは自然な事なんだよ?君はそういう者なのだから周りを壊してしまっても仕方が無い、その在り方を受け入れるしか無いんだ」
今ならば私は彼が言っていた意味を良く理解出来ているけれども当時の私は彼のその言葉だけではよく意味が理解できなかったんだ。
それを察したのか彼は少し真面目な語り口調で言葉を続けた。
私はその時の彼が発した言葉を一言一句覚えている。
それほどにその言葉は衝撃であったし、今の私の心に強く焼きついている物の根源となった言葉だからだ。
確かそう、彼はこう語ったんだ。
「ん?良く分らないかい?困ったなボクは説明が下手なんだよ……でも、そうだな例え話になるけど……普通の人は多少の差異はあっても基本的に丸い形をしていると思ってくれ。で、君の場合はちょっと他の人達と違う四角い形だ。そして世間というのは幾つもの丸い形を受け止めれる穴で、多少デコボコしていても受け止めてくれる柔軟性のある穴だ。普通の人は多少形が歪でも大なり小なり苦労してそこに当て嵌まる事が出来るんだ。だけど君の場合は世間という丸い受け入れ先に無理矢理に四角を突っ込むしかない訳だ。丸い穴に無理矢理に四角い物を詰め込むならば穴自体を作り変えるか、四角を壊してしまわなければいけないだろう?君の場合は前者だ。そして四角く作り変えた穴にはもう丸い形は嵌らない。ならば君の周り全てが旨く機能せず壊れて当然、だから君は普通の人とは相容れない」
その言葉は彼が言う通り意味の分らない例えの長ったらしい下手な説明であったけれども、彼の話が本当なら私を取り巻く環境が破綻していく理由としてシックリ来る物だった。
その話の通り私が他者と違い歪んでいるのならば他人と違っているのならばそれは相容れないのが当たり前だったんだよ。
私はこの下手な説明で私という存在をある程度理解した。だけど全てを信じきるにはこの話には矛盾があった。
だから私は続けて彼に質問を投げかけた。その時の会話こそが、今の私を形作る結果となったものだ。
「他の人と違うと、私は他の人と仲良くなれないの?私はずっと一人なの?誰とも仲良くなれないの?おかしくない?私、少ないけど仲の良いお友達だっているよ?パパとママだって居る。私一人じゃないよ?」
「ふむ、それは簡単な話だよ。先程の例え話をそのまま使うならば、君の周りに居られるのは四角く壊してしまった穴に居られる君と同じ様にズレた人か、君が壊す必要も無く器がとっくに壊れてしまっている人なんだ。つまり君の同類は君の周りには居られるし、君は同類とならば一緒に居る事が出来る。良かったね君は一人じゃない」
「そうなの?……あーそういえば貴方を含めて私のお友達は変な人が多いかもしれない……」
「ボクが友達?あははは、それは光栄だねぇ」
「あれ?でも、パパとママは普通の人だよ?パパもママも普通の会社員だし、普通に仲良くしているよ?」
「あぁ、それは君のご両親が破綻しないのは君を生んだという事実があるからだろう。世界というのは矛盾が出来ないようにうまく出来ているんだよ」
「んー?」
「ふむ、これは良く分らないかい?」
「うん!よくわかんない!」
「だろうね。まぁ、そこは君が気にする必要は無い。世界とはそういうものだと思ってくれれば良い」
「分った!」
「良い返事だ。その素直な気持ちを忘れないようにね。君は君なんだから、君の才能を活かせば良い。君の才能は稀有な物だ。その才能を取るに足らない連中に合わせて潰してしまうのは惜しい、君は君の望むように生きるべきなんだ」
「そうなの?人と違った生き方をしても私困らない?」
「あぁ、多少生き難いかもしれないが器を歪めて生きるほどには辛くはないはずさ。なに、心配ならばボクが君の正当性を保障しよう。そして誰が何と言おうと君の生き方とその存在を祝福しよう。なんせボクは――――――――」
***
―――――――――あれは、そんな甘酸っぱい思い出だった。
あの時から私は自分に正直に生きる事にしたんだ。
自分に正直に生きる――――言うのは簡単だけどそれを実行するのはやはり中々に難しいね。
それにこの世知辛い世の中で 私の生き方を通していると大変な事になってしまうよ。
私が好む事だけをやっていては生きていけないというのが悲しい現実だ。
私も、もう子供ではない。生き難い世の中を頑張って猫を被りつつ旨く生きている。
だけどそれではストレスが溜まる、だから私はせめてゲームの中では私らしく生きていこうと思ったんだ。
そしてその結果――――『破壊者』、あのギルドのマスター、大量殺戮のいっつも危ない方、混沌、災厄、魔女、トラブルメーカー、厄介者、皆殺し、破綻者、という私に対する他プレイヤーが持つイメージと呼び名が増えて行った。
魔女辺りは何か色々作るイメージが有り創造性を感じさせるので良い名前だと思っているけれども、ほとんどの名前は私に不愉快さを感じさせるね。
私は壊すという本質を持ってはいるけれども創る事の方が好きなんだ。
何かを創るというのはプラスのイメージだと思うんだけど、私に与えられる名前は殺すとか、乱すとかのマイナスイメージの色が強い物ばかりなんだよねぇ……その中でも破壊者というこの名は私を一番不愉快にさせてくれる名前だ。そう、態々統括AIが私にくれたクソッタレな称号だ。
この創造性溢れるキサラさんに寄りにも寄って『破壊者』などと不愉快な名前を付けてくれた統括AIを絶対に私は許さない。いずれ何らかの手段で仕返ししてやろうと思っている……まぁもっとも私の行動原理と今までの経歴からすれば、この称号はシックリ来てしまう物で否定しようがないので、もしかすると統括AIのネーミングセンスは中々に良い方なのかもしれない。
私が何か行動を起こすと、望もうと望まないと関係なく必ず何かがブッ壊れてしまう。
壊れてしまうものは物質生物問わず、概念的な物にまで及ぶ。
それは物品であったり組織であったり友情であったり信頼であったりと様々だが、多かれ少なかれ必ず破綻するし大小構わず何処かが壊れる。
そして、それは現実だけでなくAOでも起こる。
つまり統括AIが私につけた『破壊者』という称号は私という存在をたった三文字で見事に表した言葉なんだ。
だからこそ、腹が立つのだけれど…………
まぁそんな忌み名ばかりで呼ばれている私だけど、今日はその数々の忌み名に反して目的の為にそこそこにまともな行動をしている。
敵対していた『白鷹の騎士団』と一時的に協力し『白騎士』の依頼でリビングデッドが発生した白鷹の野営地へ助っ人として訪れているんだ。
これは普段の私の行動原理とはかけ離れた行動なのだけれど……今は仕方無い。
そもそもに『白騎士』の依頼を私達が受けれ入れるという事態がちょっとした悪夢としか思えない事実であったし、いつか潰してやると誓っていた『白鷹の騎士団』と組む事は空から雨の代わりに隕石でも降る方が現実的だと思えるほどに有り得ない事であった。
しかも全滅しかけた野営地に追い討ちをかけて白鷹のプレイヤーを皆殺しにするなら分るけど、助けるなんて……もし三日前の私が今の私の行動を知ればきっと心療内科の受診を勧めるか、無言で絞殺しようとしてくる。間違いない。
今回の事態はそういう異例な事態なんだ。
世の中欲しい物を手に入れるには我慢が必要な時が有る、今はその時なんだと思う。
それに今回はお家の方で一騒動あり休止していた親友のチーちゃんが復帰したのでそのリハビリも兼ねている。
友達というのは貴重なものだ。特に付き合いの長い親友と呼べる友達は私のような性質の人間にとっては宝とも言える存在だ。
その様な存在の為ならば多少の我慢くらいするべきだろう―――――――そう思えば、白鷹のクソみたいな連中と組む事もなんとか我慢も出来ないわけではない。
でも息が詰まってしまいそう、あぁ、生き辛い。自分に正直に生きるというのは本当に難しいなぁ。
***
――――――――野営地中心部
「くっ!まさか新手!?キサラ何やってるのよ!あーもう、ハートフル使うしかないじゃない!」
突然に現れた複数の竜巻が発生させる暴風と砂嵐が轟音を生み出しその合間からチーちゃんのそんな声が聞こえた。
ごめんねチーちゃん、流石に私でも突然現れた原因不明の竜巻には対処できないや。
それに一人でやるって言ったのもチーちゃんだしちょっと一人で頑張ってみてよ。
ハートフルが有るならまだ大丈夫だよね?
それにしても……
「これは……なんてステキな光景なんだろう」
その声と光景を認識した私は思わずそんなウットリとした恍惚の声を漏らしてしまう。
そして私は自覚もせずに声を発したという事実に驚きその言葉を覆い隠すかのように口に手を当てた。
それほどまでにこの光景は私に取っては素敵で感動的な物だった。
白鷹の本営からこのダンジョン前に移動した私達はいきなりに生き残りのプレイヤー達――――アレックス君とリビちゃんを見つけてしまった。
そして不本意ながら救出したアレックス君達(私は無視しようとしたけどチーちゃんが助けると言い出した)と別れた私とチーちゃんはお互いの目的を果たすべく別々に行動していた。
諸般の用事を済ませた私はチーちゃんに合流するべくこの野営地の中心に足を運んだのだが……そこで自然とこんな言葉が漏れてしまうほどの光景を目撃してしまっていたのだ。
ちなみにチーちゃんという呼び名は彼女の現実でのあだ名、チバナから取って『チーちゃん』なのだけど、そのチバナというあだ名には二つの意味があるんだ。
最初チーちゃんは彼女の苗字である立花の略称の意味合いだけでチバナと呼ばれていた。チバと略される事も有るが私はもう一つの意味合いも含まれているチバナという呼びの方が好きだね。
そのもう一つの意味とはチーちゃんが中学時代に起こした事件から「立花は血の花を咲かせる」と言われており、チバナの名はこの血の花という意味も含んでいるんだ。私はこの話がとってもチーちゃんらしく物騒で素敵だと思う。
彼女のアバターの名前のブラッドフラワーという名もこの話から来ている。
そしてそのチーちゃんに私は未だに認識されていない。
どうやら暴風があげる激しい慟哭の様な風切り音で私の声はチーちゃんには届かなかったらしい。
しかしこれは驚いたなぁ……あのボウガンのせいか?それとも『黒狼』の実力か?こんな事になっているとは思いもしなかった。
私の目の前には珍しくモンスター相手に手傷を受けているチーちゃんが無様に尻餅を付くという光景と、突然発生した竜巻と砂嵐に紛れて逃げようとしている『黒狼』の姿があった。
チーちゃんが手傷を受けて尚且つ獲物を取り逃がす、そんなレアな光景見ようと思っても見れる物では無い。
しかも、奥の手である『血吸い桜』の開花顕現まで行っている……あのチーちゃんがあそこまで力を使い切るなんて――――いやいやいや本当に素晴らしい!やはり我慢をしてでも此処に来て良かった!
私はブラッドフラワーというアバターが1対1の戦闘でここまで消耗している所を見たことがない。
その理由は高い戦闘センスを彼女が持っている事と、あの異常な回避能力が彼女を常に守っているからだ。
もし、ブラッドフラワーというアバターと戦うのならばまず、回避不能の絶対的な火力を用意する必要が有り、尚且つ1対1の状況を作らなければいけない。
そして絶対に1対多の状況を作らず短期決戦で挑まなければいけない。
何故ならばチーちゃんの固有スキル『吸血』は単独で多数の敵を相手にする事に適しており長期戦向けだからだ。
『吸血』というスキルは文字通り相手の血を吸うのではなく、彼女の周囲半径20メートル程から無差別に何か生命力っぽいものを吸い上げる能力だ。
吸い上げられていくその生命力らしきものは赤いオーラとして視認する事が出来て、それを吸い上げる光景がまるで血を吸い上げている様に見えるので統括AIがそう名づけたようだ。
このスキルの起動にはその時に残っている全MPを消費する必要が有り、消費したMP分だけその効果時間が延びて行く。
効果時間は前に私がチーちゃんから聴いたときでMP満タン時の全力開放が10分、小規模なら確か2、30分くらいだったかな?今は以前よりレベルが上がってMP量も増えているだろうしもう少し伸びているかもしれない。
まぁ全力で10分は少々短く感じるけれども、5分もあれば大抵の相手は打ち倒せるので効果時間はそう気にすることはないだろうね。
この『吸血』というスキルは確認されている固有スキル中でも郡を抜いて強力なスキルだ。
でも、強力なスキル故に幾つか厄介で扱い難い点があるんだ。
その中でも一番厄介な効果として、全力で起動させると敵味方判定すら無視して際限なく周囲にある全てを吸い上げてしまう事だね。
あれを全力で起動してしまうとしばらくは強固な魔法防壁を持つ私ですら近づけなくなる威力を発揮する。
魔法防御力の高い私でそうなのだから他の前衛職なんかはスキルを発動させられたらたまったもんじゃない。だからPTで行動している時なんかは使えなくなってしまう。
こればっかりはPT行動主体で行うAOの狩では大きなデメリットなんだよねぇ……まぁもっとも敵味方の判別がつかないけどその分ピンチの時は敵と一緒に仲間も吸い切ってしまっても良いし、単独でも相手が多ければ多いほど吸い上げる量は相対的に増えて行く1対多数戦にはもってこいのスキルなので使い方次第という事だね。
後は効果時間中は異常にテンションが上がって好戦的になったりするデメリットもあったりもするんだけれども、チーちゃんは元々好戦的なんだから対したデメリットでもない。
いつもより、ほんのちょっと性格が激しい元気なチーちゃんが出来上がるだけだ。
ちなみに『吸血』のその威力のほどは展開された範囲内に入ったゴブリン等の雑魚モンスターは一瞬で干からびてしまうし大型のドラゴンなんかでも5分とかからず全て吸いつくしてしまうちょっと強力すぎる威力を持っている。
しかもこの能力は生物以外にも効果を発揮する。
一度『吸血』を発動してしまえばチーちゃんが立つ大地は死に絶えて砂漠化し、範囲内に木々が有れば枯れ朽ちて除草剤でも散布したような有様にに変えてしまう。
自身の周囲に存在する全てから力を奪い尽くす。『吸血』はそんな恐ろしいスキルだ。
まぁそれだけならなんとかやりようがあるんだけどね……まったく……
更に恐ろしいのはチーちゃんが身に着ける着物、固有装備『血吸い桜』だ。あの着物は『吸血』と連動している。
チーちゃんが手当たり次第に吸い上げたものをあの着物は蓄積しているのだ。そして力が蓄積されるほど描かれていてる桜は開花して行き美しい見た目へと変じる。
もちろん見た目が変わるだけじゃないよ?ちゃんと凶悪な効果が付随されている。
あの着物は周囲の全てから吸い上げた力が続く限り無限の再生能力をチーちゃんに与えるという恐ろしい効果を与える。
もうこの再生能力が発動したチーちゃんは手が付けられない。
ただでさえ攻撃が当たらないのに、苦労して回避不能の攻撃を作れる状況を作った所で致命傷に見える攻撃すらほぼ瞬時に再生させてしまう。
多分この状態のチーちゃんは頭部を切り落としても直ぐにくっ付け治せば死なないだろうし、心臓を穿った所でかすり傷にもならないだろう。
再生の効果を維持しているチーちゃんを殺しきれる方法が有るとすれば回避不能の一瞬で体を完全消滅させるような大火力攻撃を行なうかチーちゃんを殺すと同時に『吸血』のスキルを停止させるか、『血吸い桜』の機能を停止させるしかない。普通の方法では、はっきり言ってそんな事は不可能だ。もちろんこの私でも無理だ…………と思う。
つまりこの状態のチーちゃんはほぼ無敵状態だ。
しかもその再生能力だけでも異常であるのに、あの再生能力はチーちゃんに限界を超えたアバターの無限超過駆動すら与えてしまう。
一部の前衛職業にはアバターに設定されている限界を外してアバターの能力を短時間だけ飛躍的に強化するスキルが有り、チーちゃんもこのスキルは有している。
その効果は筋力はや敏捷性を倍以上に引き上げる効果が有り、中級者ですら鋼にも勝る強度を持つドラゴンの鱗を鈍らな剣で切り裂けるほどだ――――でもこのスキル一つ致命的な欠点がある。
下手にこのスキルを長時間使ってしまうとそのアバターは崩壊を始めるんだ。
このスキルが与える一時的な能力アップとはアバターの各部位に施されたリミッターを外して超過駆動を行えるようにしてるだけなのだけれど、リミッターを解除したアバターの駆動は人間の域を超えた運動性と筋力を生み出す変わりに各部位に深刻なダメージを与えてしまう。
無計画にこのタイプのスキルを起動して戦闘中に剣を振って自分の腕がもげただの、踏み込みを入れたら自分の足が砕けただの話は良く聞く話なんだ。
まぁ単純な話、自らに生じるダメージを無視した諸刃の剣というわけだね。
だけどチーちゃんの場合は違う。チーちゃんには『血吸い桜』がもたらす再生能力がある。
あの再生能力は自らの肉体を砕いてしまう程の負荷すら一瞬で治療してしまう。
つまり力を吸い上げる対象が存在する限り無限に続く限界突破を可能とさせてしまう。
うちの中二病が入ったギルドメンバーに言わせればチーちゃんは移動する『死』そのものだそうだよ。
それを言ったギルドメンバーは他のギルドメンバーに中二臭いと笑われていたけどれ、恥ずかしながら私もそれには同意見なんだ。
獣に勝る運動性で移動しながら周囲から際限なく生命力?を吸いまくり、いたる所から再生の力を補給しながら手当たり次第に殺しまくる。
眼で追うのが不可能な速度で移動するだけで周囲の全てを吸い殺し、相手に接近すればその限界突破した腕力から生じる斬撃が敵を切り裂き引き千切る。
もはやそれは人間をという弱い存在を模した表したアバターではなく…………そうだな悪鬼羅刹とかそういったそんな表現が似合う存在だ。
だからチーちゃんは『死』そのものだといわれても私は頷ける。
そんなのが負けるなんて想像出来ないよね―――――でも、そんなチーちゃんがペタンと尻餅を付いて苦戦している。
これは中々に……いや、今まで一度だってなかった事なんだ。私が興奮してもなんらおかしくない、そんな光景なんだ今目の前に有るのは。
しかもチーちゃんは奥の手まで起動させたらしく、着物から血の色をした桜の花が咲いた古木を発生させてじたばたともがいている。
ちょっと可愛い……この映像は保存しておこう。
あぁ、どうやらアイテムを取り出そうとしているらしいけど、樹木が邪魔しているのと手が無くなってしまったせいで旨く取り出せない様だね。
ちなみにチーちゃんの左手が再生していないのは奥の手を起動させた弊害だとおもう。
チーちゃんの奥の手『血吸い桜』の開花顕現は、ある程度生命力?を蓄える事で使える召喚スキルだ。
使用するのに消費するものはMPではなく『吸血』で吸い上げた力そのもので、『吸血』を解除して吸い上げた力全てを開放する事でやっとあの木のを召喚する事が出来る。
そしてあれの一撃は吸った力が蓄積されれば蓄積されるほどに威力を増す。
一見唯の木槍なので大した事が無く見える攻撃だけどその形態は様々、今回の場合は槍みたいだけど剣みたいにしたり弓と矢を用意出来たりもする。
形態毎の性能も様々で、あの木槍の場合は対象を追尾しほとんどの金属を貫通しうる鋭さと強度を持っていて対象に確実な致命打を与えられる。
『吸血』の効果時間中に殺しきれない相手に対するチーちゃんの切り札、奥の手中の奥の手だ。
ちなみに使うと『吸血』の効果が切れるからなのか一気に戦闘中のテンションが落ちてしまうのでチーちゃんはあまり『血吸い桜』の能力を使いたがらない。
だから使うのはいつもは『吸血』の能力が切れる寸前か、『吸血』で殺しきれない相手くらいにしか使わない。
しかし……単体対象にしてあれを発動させて殺せなかったのは今までだと『白騎士』くらいだったんだけどなぁ……なるほど、中々どうして『黒狼』の名前は伊達ではなかったらしい。
「待てー!逃げるなぁ!!」
チーちゃんが砂嵐に紛れて見えなくなっていく『黒狼』に対して叫ぶ。
これも珍しい光景といえば珍しい光景だね。
チーちゃんはスイッチが入った状態だと異常にテンションが上がるけれども、普段は好戦的で大人しい人なんだ。
『血吸い桜』を使ったのならば『吸血』のテンションが上がった状態も消えて大人しいチーちゃんに戻っている筈だろうに金切り声を上げるなんて実に珍しい。
素晴らしいね。私の頭の中のチーちゃんフォルダーにまた1個潤いが加えられた――――実に喜ばしい限りだ。
しかしどうしたもんかなこれは…………『黒狼』に下手に手を出せばチーちゃんに私が切られかねない。
もちろんこの切られるというのは私がチーちゃんに関係を切られるとかそういう意味では無く、物理的にアバターを切り刻まれるという意味である。
暴風と砂嵐の向こうに僅かに見えている『黒狼』は仲間のコボルトの肩を借りて私やチーちゃんに背を向けて逃走しようとしている。
このままだと逃げられるのは間違いない。
それは分りきっているのだけれどここで下手に私が手を出すとチーちゃんの機嫌を損ねてしまうのは確実なんだよねぇ。
チーちゃんは自らが獲物と設定した物を横取りされるのを極端に嫌う傾向がある。
しかもその獲物足りえるのが強敵でなければいけないので、下手に私が狩ってしまうと代替が利かない場合が多い。
むぅー放置がまぁ無難か。
私は私で此処でまだやる事が有る。下手に今チーちゃんの機嫌を損ねてはそちらに支障が出てしまう可能性が出てくるし、リハビリ一発目であのボウガンまで持っている『黒狼』と単独で戦いたがったチーちゃんも悪い。
触らぬ神に祟り無しっていう奴だ。うん、昔の人は本当に良い事を言ったもんだ。
さてそうなると……あちらはどうするべきか。
私は逃げようとしている『黒狼』を見逃す事にして去る『黒狼』の後姿を目で追う。『黒狼』は中空を見上げてなにやら不満そうな唸り声を上げてその満身創痍の体を仲間のコボルトに預けて砂嵐の中に消えて行く。
『黒狼』が最後に見上げていた先にはなにやら薄っすらと光る毛糸玉くらいの緑の何かが在るが私の現在位置からではそれが何かは旨く判別できない。
恐らくあれがこの馬鹿みたいな暴風を作り出している原因なんじゃないかと私は睨んでいるんだけど……まぁ、チーちゃんがそちらに反応していない所見ると危険性は無いか。
私はそう判断し、風が止むまでこの面白い光景を静観する事にした。
***
そうしてしばらくすると周囲を荒らしまわっていた風がピタリと止み、暴風が発生させていた砂嵐も止みぼんやりとした緑の光も見えなくなっていた。
後にこの広場に残ったのは苦やしそうに『黒狼』が消えていった先を見つめるチーちゃんだけになった。
さてそろそろチーちゃんに話しかけても良いだろうか?
流石に黙って先程の光景を見ていたと親友に言えるほど私は厚顔無恥ではない。
これが私のかつての仲間――――例えば『頑健』や『白騎士』だった場合「ねぇ今どんな気持ち?一人で狩るって言ったのに獲物に逃げられてどんな気持ち?」と笑いながら煽ってやるのだが、チーちゃんはズレてしまっている私に付き合える貴重な友達だ、そんな事はしない。
私の本性の部分が疼いて少ししたい気持ちになるがそこはグッと堪える。今のチーちゃんを下手にからかうのは後がとっても恐いので絶対しない。
さて、どうやって声を掛けようか?点数稼ぎに慰める?駄目だね、それは私がチーちゃんの無様な姿を見ていた事になる。
格好つけたがりのチーちゃんがそんな事を知れば酷く傷つくかもしれない。
それに私が黙ってチーちゃんと『黒狼』の戦いを観戦していたと思われたくは無い。
事実はまぁその通りに観戦していただけなんだけど親友の戦いを傍観していただけの冷たい人間だと思われたくないじゃない?
もちろん、私が姿を現していたとしてもチーちゃんは手伝わせてくれなかったと思うけど……それとこれは別の話だよね。
じゃあ何事も無かったかのように声を掛ける?それは何か面白くないし、私が聴きたい事も聞き出せない。
私は私の目的のためにチーちゃんと『黒狼』の戦闘の内容を聞きたい。
正しくは絶対回避に匹敵する感を有するチーちゃんがどうやってダメージを負ったかを知りたい。
だけどチーちゃんは格好つけたがりなので、自らが手傷を負うなんてかっこ悪い事を正確には答えてはくれないだろう。
さて、どうしもんか……もう少しあのチーちゃんの可愛らしいアバターを盗み見ているのも乙なんだけど、もうあまり時間も無いし…………
そう、私が思い悩んでいる時だった。
「居るんでしょ?キサラ。出てきなさい!」
――――っ!
予想もしていなかった突然発せられたチーちゃんの言葉に私の体が私の意に反してビクリと震えた。
息を潜めて動きを止めていた私の体が驚き反応を示し、僅かに震えた足がブーツ越しの地面をザリッと鳴らす。
こういう時、私はAOのアバターの精度の良さを実感する。
プレイヤーの置かれた心理状態を明確に認識し、プレイヤー自身が認識もできない条件反射すらトレースしてしまうのだから素晴らしさを越えて何やら恐ろしさすら感じてしまう。
そして今はそれが憎らしくも思う。
何故ならば私がたてた音を聞き逃すチーちゃんではないからだ。
「やっぱり居たわね。さっさと出てきなさい」
突然チーちゃんが背後振り返り、私が居る何者も存在していない筈の大地へと眼を落とす。
こうなってはもはや隠れている意味が無い。
私は心落ち着けるために大きく深呼吸をする。
呼吸の必要の無いAOのアバターであるが、何も呼吸が出来ないわけではない。
むしろ人間は呼吸が当たり前だと認識している以上、プレイヤーの9割9部はゲーム内で無意識に呼吸を行っている。
「ふぅー、なんで分ったの?」
私は大きく息を吐いて心を落ち着かせると、得意魔法の一つである透明化魔法インビシブルを解いてチーちゃんの前に姿を現す。
それを見たチーちゃんは私を一瞬ギロリと鋭い視線で睨みつけてくるけど、私はその視線を受けているだけで胸がドキドキして張り裂けそうになる。
だけどその視線が本来の意味を果さず、私に取ってはご褒美にしかならない事を良く知っているチーちゃんは直ぐに諦めたかのように小さく溜め息を付いて平常時の冷静で冷たさを感じさせる表情に顔つきを戻す。
「すぐ後で気配と音があれば誰だって気づくわよ」
「誰でもって……音はまぁ、分らないでもないけど気配はちょっと……」
そうは言いつつも私はあの僅かな音を聞き分けられて、尚且つ音の発生源の位置なんて特定できない。
それは何も私がおかしいのではなく、普通の人は皆そうだと思う。
もっと言えば気配なんてもので人の居る位置は探れないし、それはAOのアバターをもってしも難しい事だ。
僅かな音でも聞き分けれる感覚系の強化スキルもAOには無い訳ではないけどそれは獣人系のアバターの専用スキルとなっていて人間型のアバターのブラッドフラワーには備わっていない機能だし、気配の探知も弓などを扱う中衛系職業のレンジャーならば可能だけど、残念ながらチーちゃん程の精度は無い。それにブラッドフラワーの職業は前衛系職業の剣聖だ。
つまり今行った事はブラッドフラワーの中の人、立花蓮華ちゃんの素の能力という事になる。
現実であれば、もしかすると過酷な戦場で生きぬける死線を潜り抜けた熟練の兵士が感としてその様な事を体現する事が出来るかもしれない(まぁ、これまったくの私の想像だけどね)
でももちろん、現実での彼女が視線を潜り抜けた兵士という事は無い。彼女は普通の女子高生だ。
なのに普通の女子高生である筈のチーちゃんはそれをやってのけている。
この子は本当に何か常識からズレてしまっているんだよねぇ――――まぁだからこそチーちゃんは私の友人足りえるのだけれどね。
まぁでも、それは今更だ。
こんな事で驚いては彼女と付き合っていけない。
「そもそもに私が一瞬音を立てたのだってチーちゃんに声を掛けられたからだよ?なんで分ったの?」
「ん?あぁ、最初からなんか居る気がしただけよ。後なんか悪寒がした。アンタが良からぬ事を企んでるときに感じるアレ」
良からぬ事を企んで時の悪寒かぁ……チーちゃんってなんか私に対しての感が異常に働くっぽいんだよねぇ。
この感が中々厄介で、いつも私が練りに練った企画を事態が大きくなる前に潰してくれるんだよ。
チーちゃんに私の企画を潰されてなければ白鷹なんてとっくに潰れてしまっている筈なんだけどね……大体はチーちゃんに阻止されてしまっている。
チーちゃん的に「皆が不幸になる(私を含めて)事は止めろ」って事らしいんだけどそれしか私は出来ないんだからしょうがないじゃない?
まぁでもそのチーちゃんの感が有るからこそ私はAOというゲーム内で仲間とかそういう生ぬる~い物を作るという貴重な機会を得られた訳で、その事についてはチーちゃんに感謝しなければいけない。
「あっはい。相変わらずの感ですね」
「なんで敬語?」
「いえ、その異常な感の良さに対して感服しているだけです。はい」
チーちゃんが居なければ私はもっとこう、人としての道を踏み外して邪悪な何かになっていたと思う。
この子の異常さは同じ異常者である私にとってある種の救いだ。
同じ異常者として世間から外れかけているものとしてチーちゃんには感謝しても仕切れないくらいの恩を感じているし尊敬もしている。むしろ愛しているといっても良いね!それほどに私はチーちゃん事が大好きなのである!!
だけど私のそんな気持ちは知らずにチーちゃんは私を胡散臭そうな目で見つめて冷たい言葉を投げかけてくる。
「アンタが敬語なんて気持ち悪いわ。普通に戻してくれない?」
「むぅー人が珍しく神妙な気持ちになっているのに、そう邪険にすることないじゃない」
「知らないわよそんな事……でっ見てたの?」
「そこそこに……」
「何処から?」
「…………チーちゃんがハートフルが取り出せなくてじたばたもがいてた所から」
此処で嘘をついて何も見ていないって言うのは簡単なんだけど、もはや私はチーちゃんに疑われてしまっている。
感の良いチーちゃんが私を怪しんでいるという事は嘘をついた所で直ぐに看破されてしまうだろう。チーちゃんはそういう子だ。
ならば無駄な労力になる嘘を態々付く必要もないだろう私はそう思って素直に見た事を話す事にした。
「ふーん、じゃあ全部見てた訳じゃないのね?」
おや?思ったより冷静な反応だ。
もっと、こう赤面して罵倒してくるとかそういうのを期待してたんだけど……まぁ怒られないならそれはそれで良いか……でも、なんだろうちょっと物足りなさを感じてしまうのが悲しい。
「そりゃあね。私も色々忙しかったから……」
「本当に?」
正直に話しているのにチーちゃんの疑いの目は晴れない。
まぁソレもその筈なのだ。私の普段行いを一番良く知っているチーちゃんが私が馬鹿正直に本当の事を言うとも思わないだろう。
だからこそ私達は友人関係を続けられる。
これでチーちゃんが馬鹿正直に私の言う言葉を信じるのならば、チーちゃんは私の傍に居られる人種ではない。
私の言葉を馬鹿正直に信じる人種など、私に壊される筆頭なのだから……
「本当本当、ほらその証拠にリビングデッドの姿も気配も感じないでしょ?流石の私でも此処でチーちゃんの戦いを観戦しながら此処の全域の浄化はできないよ」
「確かに嫌な感じは大分減ったけど……」
私が『白騎士』から受けた依頼の中にはこの野営地に存在してるリビングデッドの掃除だけではなくこの地の浄化も含まれていた。
これから第2部隊が到着するというのに、リビングデッドを生み出す呪いが野営地に充満していては狩り所ではなくなるからだ――――まったく、自分達の不始末は自分達でつければ良いのにね……
まぁそんなこんなで私がチーちゃんと一時的に別れて単独行動していたのは主にその浄化作業を行なう為だったんだ。
もっとも私が土地の30%程浄化を終えた段階で汚染の元である紫の粒子は突然此処の広場に集結してチーちゃんがほとんど吸い切ってしまったようなのだけれど……
「それで浄化の方は終了したの?」
チーちゃんは私の言葉を未だに信じていないのか訝しむ様に私の顔を覗き込んで真っ直ぐ私の目を見つめて来る。
再び少し胸にトキメキを覚えてしまうが、此処で慌ててはまた信じて貰えなくなる。
此処は冷静に、毅然として受け応えするべきかな?
「ほとんど終ったよ。呪いの元は消えたみたいだし、リビングデッドの姿も見えない」
実は狩りの続行を危ぶんで『白騎士』は私達をこの地に派遣したけど到着した段階でリビングデッドの大半は既に全身に罅を走らせ消滅する寸前だった。
どうやら呪いの効果が切れる寸前だったらしく私が手を下さなくても時間を置けば自然に消滅していたんじゃないかな?
放置しておいても良かったんだけど、まぁそれでも万が一第二部隊に被害者が出ても面倒なのは事実なんだよね。
私としては連中にはもう少し頑張ってもらわなければいけない。
だから少しは真面目に駆除と浄化は済ませておいた。
「そう、なら良いわ。あたしは一度本営の方に戻るけどアンタはどうする?」
「ん?戻るって?なんで?」
「誰かさんが代替品として寄こした安物の刀が折れたからよ!」
「え?嘘?あれ耐久度だけは――――」
「嘘じゃないわよ。そこに残骸が落ちてる!」
チーちゃんが少し離れた地面を白魚の様な指で指し示して私を睨み付けてくる。
その綺麗な指先に目が釣られて、そちらに目を移すとそこにはもうどうしようもない程に完璧に使い物にならなくなっている刀だった物が落ちていた。
それはその強力な力故に戦えば戦うほど武器を失ってしまうチーちゃん私がプレゼントした、復帰したてのリハビリ用に使うようにと理由をつけて私がこの場に来る前に渡していた物だった。
チーちゃんは『吸血』を発動させると現界突破の馬鹿力のせいで良く武器を壊す。
そのくせ洋物の長剣や大剣よりも耐久度が低い刀ばかり好んで使うのでチーちゃんのお財布は常に火の車。
狩りの収入はほとんど武器代に消えてしまっている。
だから私が気を利かせて彼女にプレゼントしたのがあの刀だった……安物だから好きに使い潰して良いよと言って渡した物だったけれども……うへぇ、折っちゃったのかあの刀…………あれでも駄目なのかぁ……
打ち捨てられた刀だった物は刀身が根元から上向きに曲がっており中ほどからポッキリと折れてしまっている。
それだけではない残されている刀の刃は、金属の塊でも切ったのか!?と問い掛けたくなる程にガタガタに削れてしまっている。
しかも刀身には遠眼に見てもわかるほどの大量の細かい罅割れが走っていて触れればボロボロと崩れてしまうんではないかという状態だ。
はぁー、一体どうやって使ったらあんな壊れ方をするのやら……これを見るに『破壊者』なんて称号は私なんかじゃなくチーちゃんに与えられるべきだと私は思うよ。
思わず呆れて心の中で溜め息付いてしまうほどに刀はズタボロに破壊されていた。
そんな呆れた気持ちが私の顔に出ていたのかチーちゃんはムスッとして私に文句を言ってくる。
「なによ?確かにもらい物を直ぐに壊しちゃったのは悪いけど、30Kmg前後の安物じゃ私の全力に耐え切れないのはアンタだって分ってた事でしょ?」
30kmgの武器――――kはキロバイトの略で大昔のネットゲームで1000という数字の略称として使われていたのを踏襲して今も使われている。
つまりチーちゃんがぶっ壊してくれた刀のお値段30000mgとなるわけだ。
この金額は上級者向けの量産品武器としては格安の部類に入る物でチーちゃんのランクのプレイヤーが使う武器の金額では決してない。
ちなみにmgはAOの通貨であるマナゴルドの略称だ。
中にはmと略する人も居るが100万を表すのにメガバイトの略称であるmを使う事も多く紛らわしいので通貨を表す場合にはmgと表記するのがプレイヤー間取り引きの鉄則となっている。
それに店の値札やマーケットボードに1kmの武器って標記したりすると距離を表す単位になってしまって値段を表記しているのか長さを表記しているのか訳が分らなくなってしまう。
まぁ、流石に1kmの長さの武器なんてないとは思うし、幾ら馬鹿力のチーちゃんでもそんな馬鹿な長さの武器は扱えない……と、思う。
「まさか『吸血』をこんなに早く使うとは思ってなかたから…………うん、うん……そうだね。次からはもう少し高いのを用意しておくよ……」
「いいわよ別に。毎度武器を貰うのも悪いし戻って何本か買ってくる」
「ごめんね……じゃあ私も一度戻ろうかなぁ」
「別に無理に突いて来なくてもいいわよ?あの刀確かカネミツさんの所で買ったのよね?」
「えっあ、うん」
まずい……これはまずい流れてになってきた。
「じゃあ少しアレよりランクが高めの物を買って来るわ。あれより高いのならきっともう少しやれると思うのよ」
「いやいやいや、あ、あれはあれで安かったけど良い物だったんだよ!」
「なに、急に興奮して?またなんか企んでる?」
「企んでない企んでない!あ、あれって特売品の売れ残りだったから、実は元の値段は結構するかもしれないんだ!それより高いのとなるとすんごい金額になるかもしれない!」
「うっ……そうなの?烏羽を折ってから金欠なのよね……あたし」
チーちゃんの言う鳥羽というのは、チーちゃん用にカスタマイズされたそれはもう見事な刀だった。
刀身は70cmだったくらいかな?その刀身がまぁ綺麗で、カラスの塗れ羽をイメージさせる光沢のある黒い金属が使われていた。
鍔は刃と同じ金属で作られてていたけどカラスの彫刻が刻まれていてそこに金が流し込まれていた。このカラスが愛嬌がある感じで可愛かったんだよねぇ。
そして柄には純白の糸が縫いこまれていて、これがチーちゃんの着物の色に合わせた感じになっていて良く似合っていた。もちろんその刀は見た目だけではなく強度、そして切れ味も凄まじく、レイド中に鋼鉄製の城門をバラバラに切断しても刃こぼれひとつしていなかった。しかも、ちょっとした特殊な武器スキルまであの刀は有していた。
まぁその分レアな素材を惜しまなく使っていたので製作費用は総額10mmg――――10000000mgを越えていた贅沢品だったのだけれども、あれは多分チーちゃんが一番長く使えていた武器だと思うし、あれを持っていた時のチーちゃんこそ最強だったと思う……でも、もうその刀は無い。
チーちゃんが休止する前にある理由から荒れに荒れ、暴れに暴れて壊れてしまったのだ……それ以来、折ってしまった烏羽に呪われてしまったたかのようにチーちゃんは武器を買っては折り、また買っては折るという悪循環に嵌っている。
あの刀さえ残っていたらもう少し色々と円滑に進むのだけれども――――まぁ終った話だね……
「参ったわね80kちょいしかないわよ、今……」
「うんうん、チーちゃんあんまり今お金もって無いでしょ?それで町についていざ同じ品質の刀を買おうとしたらお金がたりなくてガッカリしちゃうんじゃないかと私は心配してね?ね?」
「なんか、余計に怪しいわよアンタ……でも確かにあの刀、安物の割には良く切れるし耐えていると思ってたけど………………もしかして真打だったのかしら?だとしたらもったいない事をしてしまったかもしれないわね」
「う、うんそうだね。大当たりだったのかもしれないね」
真打というのは確か何本か打った刀の中で一番出来の良い物の事だった思う。確か大昔はそれを神社に奉納していたとかなんとか誰かから聞いた覚えが有る。
AOにもそれが有るのかは知らないしどうでもいいけど、どうやらチーちゃんは壊してしまった刀の価値に気が行ってしまい私への疑いの目を逸らしたようだ。
良かったなんとか誤魔化せそうだ。
私はあの刀をチーちゃんに渡すうえで一つの嘘をついてた。
そこでポッキリと折れている刀は、チーちゃんには30000mgという格安の部類に入る安い武器だと伝えて渡していた物だ。でも、実はあの刀、本当は名の売れた鍛冶職プレイヤーが作り上げた刀で量産品だけど一級品の部類に入る業物の刀だったんだよね。
少し前にあのカネミツの店で折れず刃こぼれしない上級者向けの至高の一振りという鳥羽を思い起こさせる宣伝文句で目玉商品として売られていた物を私がチーちゃん用にと買っておいた物だったんだ。
材質は鋼竜の鱗を使って作る竜鋼、刀身には強度強化のエンチャントが施されている耐久度抜群の一級品―――――だったんだけどまさか復帰1戦目から壊されるとは思いもしなかったなぁ。
ちなみにあの刀、実際のお値段は3mmgのそこそこに高価な物だった。
金額だけでみると鳥羽の製作費用の半分以下の値段とショボく見えるけど、それは鳥羽が異常に高かっただけ。
平均50kmg前後のお値段が多い量産品武器の中では飛び抜けた値段の一級品の武器だったんだよ……
割と庶民的な所が有るチーちゃんは安物でなければ受け取ってくれないと思って値段を偽ってプレゼントしたんだけど……あんなに簡単に壊れてしまうとは……鳥羽ほどの性能は流石に期待していなかったけどもう少し耐えると思っていた。もしかして、使い潰せとは言ったから雑に扱ってしまったのかなぁ?それともチーちゃんの馬鹿力に耐えれる武器なんて無いのかなぁ…………サヨウナラ私の3mmgのプレゼント、君は無残な姿になってしまったけど良く頑張った。
でも、あれ以上の物となると私じゃ用意するのは難しいかもしれない――――まぁ今はそんなことよりも先に進む為の話をしたほうが建設的だよね……
「えーと、で、どうしよっか?実は質を問わない武器の補給ならもうすぐ―――――」
「それは駄目よキサラ。ケジメがあるでしょ?あたしたちには」
「あーうん、まぁチーちゃんならそうだよね。うん」
実のところチーちゃんが態々遠く離れた森の中の本営に戻り、そこから転移魔法陣で始まりの町にもどらなくても質を問わなければ武器は調達できる。
簡単な話もうすぐ到着する第二部隊の連中に武器を幾つか分けてもらえば良いんだよね。
侍や剣聖は前衛の花形職業なだけあって結構な人数が第二部隊に所属している筈だから、補給物資が潤沢に有る白鷹には予備の武器が少しは用意している筈なんだ。
それを分けてもらえば良い。
だけどチーちゃんそれを良しとしない。袂を分った連中から情けを受けるのは御免被りたいという訳だね。
私としては敵対していようが仲違いしていようが利用できる物は利用してしまえば良いのにと思ってしまうのだけど、チーちゃんは筋を通したがりな人なので白鷹の連中から援助は受けたくないらしい。
まぁそういう所がチーちゃんの素敵な所なんだけれども、こういう時融通が効かないのは困り物なんだよねぇ。
「じゃあとりあえずはやっぱり町には戻らないといけないね」
「えぇそうね。戻って露店の方を見てみる。そこそこ良い武器が売ってれば良いのだけれど……」
始まりの町には店舗をもっていないプレイヤーでも商売を行える露店エリアというゴミゴミとしてるけど活気のあるエリアがある。
私としては整然とした冒険者居住区にある店よりも、そちらでショッピングするほうが好きだ。
露店エリアでは様々なレベル帯や職業のプレイヤーが思い思いの売りたい物を出店しているからゴミみたいな物から掘り出し物のレア素材やレア装備、はたまた使わなくなった中古品のそこそこに良い武器等も売られている事があるんだよね。
もちろん良い装備はそれ相応の値段がするけど、稀に中古品だからと安く値段設定していてくれている店もある。チーちゃんの狙いはその様な店を探し出してそこそこに良い安い武器を見つけることだと思う。
だけど、露店はその日ごとに出店者も売り物が違うのが当たり前。運が良ければ良い武器が直ぐ見つけれるだろうけど、運が悪いと目的の物が見つからずウロウロと露店エリアを歩き回る事になり、かなり時間を浪費してしまうかも知れない。正直後者の方が確率が高い。私も以前ギルドメンバーの武器探しを手伝わされて酷い目に――――そうだ、それがあるじゃないか!うん、このプランは楽しくなる、間違いない!このプランで行こう!!
「チーちゃんとりあえずうちのギルドの共有倉庫に『狂犬』が使わなくなった武器がいっぱいあるだろうから、それを持ってきたら?」
統括AIから『狂犬』の称号を与えられたプレイヤー、あいつは私のギルドの2大前衛の一人で(ちなみにもう一人はチーちゃん)恐らく戦闘能力だけならばチーちゃんに匹敵するバケモノだ。
あいつもチーちゃんに匹敵するほどの頭のおかしい戦闘狂だけど、それと同時に武器をコレクションする事を生きがいにしている変人でもある。
そのせいか固有スキルもアイテムイベントリを拡張するという変り種のスキルで、その中には彼のお気に入りの武器達が詰めこまれている。
そしてその武器コレクション量は膨大で拡張していても尚アイテムイベントリに入り切らなくなってしまった武器が私のギルドの倉庫に死蔵されているのだ。
「確かにあの人の武器ならまぁ外れはないのでしょうけど……勝手に借りるのは不味くない?」
「良いよ。ギルドの共有倉庫に入れてるんだ。誰が使っても問題ない。必要なら勝手に使っても良いとも言われてる」
ちなみに本当はそんな事は言われていない。
でも良いでしょ別に、ギルドの共有倉庫をギルドマスターである私の許可なく使ってその大半を武器で埋め尽くしてしまっているんだから、当然の報いだ。
「…………本当に?」
「うん、それでも気になるなら『狂犬』には私から後で言っておくから気にしないで使いなよ」
「そうは言ってもその……私が使うと武器を壊してしまうかもしれないじゃない?使ってないからといって流石に借り物を壊すのは……」
「それは旨くやっておくよ。アレはアレで話が通じる所もあるし私にはなんだかんだ甘い所があるからね。そもそもにあそこにある物は『狂犬』が飽きてコレクションの選外なってしまった物ばかりだから 多分壊しても問題ないと思うよ?」
『狂犬』の武器コレクション――――『狂犬』がアイテムイベントリに入れて持ち歩いている武器は20個。けどその内の10本はコロコロと変わる。それは『狂犬』のコレクション選考基準が使っていて面白い武器と実用的な武器に分けられているからなんだ。
あいつは使う武器の強さを順位付けしていて、上位の10個は実用向けの武器でほぼ不動だけど下位の11位から20位の武器はあいつが戦いを楽しむ為の武器で、飽きてしまうと別の物に変えてしまう。コレクションの内容がコロコロと変わるのはそのせいだ。飽きっぽいのだあの男は、しかも一度手に入れた物は手放さそうとしない……まぁ、それでそこから外された物が私のギルドの倉庫に死蔵されている選外の武器達。
中にはなんでこれを外したんだ?と問いかけたくなる10位以内に食い込めそうな強力な物が眠っていたりもするので腐らせておくのも正直もったいない――――まぁその類の武器って大抵呪いが掛かってて、装備すると面白おかしい感じになっちゃったりするんだけどね!
それを見抜けるかはチーちゃん次第!もし、それを選んじゃっても面白おかしい感じのチーちゃんを見れて私は眼福で、問い詰められても私は知らなかったらで通すつもり!悪いのはそんな危ない物を私の許可なく倉庫に置いていたあの『狂犬』って事になる!!
「でも、やっぱり勝手に借りるのは……」
あらら、ここまで言ってもお堅いチーちゃんらしくやはり無断借用は納得しないか……なら、もう少し押してみようか。
「コレクションの選外なった武器とはいえ、『狂犬』の武器だよ?使ってみたくはない?」
「うっ……確かに使ってみたいというのが本音よ。でもね壊しても弁償できるほどお金もってないわよ私」
ふむ……やはり興味はあるんだね。じゃあ後もう一押しかなこれは?
「あぁそこは気にしないでよ。もし壊れちゃったら私が弁償するからさ。チーちゃんはそこの所気にしないで」
「流石にそれは駄目よ。アンタに負担を掛けすぎてる」
「なら、こうしよう。壊したら一旦私が立て替えて弁償しておく、それでチーちゃんのお金が溜まったら私にお金を返してくれれば良い。これでどう?」
「………………随分勧めてくるわね。やっぱりなんか企んでる?」
はい。とは言えないよね。
「いやいや、ほらこうしてる時間も惜しいし露店めぐりする時間も惜しいじゃない?ね?」
「なんか、いつにも増して悪寒がするわ……何考えてるのアンタ」
あ、駄目だ。
これは駄目なパターンだ。
面白そうだと思った時点で私の楽しい企画は終ってしまっていた。
いつも同じ事繰り返す、馬鹿だなぁ私。
それで多分、この後のパターンはお決まりの物で――――
「キサラ、アンタなんか企んでるでしょ。白状しなさい?ね?」
「いやいやいやそれは勘ぐりとい――――ふぇっ?」
チーちゃんの表情が突然とても可愛らしい笑顔になった。胸が高鳴る。
あでも、これ知ってるぞ。よくチーちゃんの弟君が言っていた――――あ、やめて無理。
その瞬間、視認出来ない速度と角度で迫ったチーちゃんの手が私の首を掴んでいた。
そして、そのまま喉ごと私のお気に入りのコート型ローブの襟首を掴んで片手で持ち上げる。
「ちょ、まっ、ぐぇぇぇぇぇぇ」
急に喉を圧されて年頃の女の子らしくないカエルを潰したような声が出るが止められない。
AOのアバター故に痛みは感じないが、喉を潰される違和感と、気持ち悪さで顔を顰めてしまう。
「ちょっとアンタ、もう少し女の子らしい声だせないの?そこはキャアアでしょ普通」
理不尽だ!いつも思ってるけど、この子やっぱり理不尽だ!誰のせいでこんな事になってると思ってるんだよ!あぁああ締まるしまるしまる!潰れる!!
「ぐげ、ぞ、ぞんなごと言われてもの、喉つぶ、げぇぇぇ」
「何よ?はっきり喋りなさいよ」
「お、下ろじて」
「なら、白状しなさい。何を企んでいたの?」
「わがっぐぇぇぇぇぇぇぇ」
更に私の喉はチーちゃんの馬鹿力でギリギリと絞められていく。
もう、こうなったら喋る事など不可能だ。
ていうか、このままだと喉に致命的なダメージが残って魔法の詠唱が出来なくなってしまう。
それを狙っていたのかしらないけど、魔法使いにこれは致命的だ。
チーちゃん恐ろしい子。
***
その後、私はバンバンとチーちゃんの腕を叩いて、喋れない事をアピールしてなんとか解放してもらった。
もちろん、私の楽しい楽しい企画は全て白状させれてしまい、その後にもう一度ヤキを入れられたのは別の話である。
あぁ本当に、自分に正直に生きるというのは難しい。
昔に彼が示してくれた私の道というのはどうしてこうも生き辛いのだろう。
でも、だからこそ、私はこの生き方を止めない。
だって楽しいから………




