第九話 旅は続く
やがて空が明るくなりはじめ、朝焼けのような状態を生み出した。三人で夕焼けを見届け、不死鳥は灰となり、陰陽節は終了した。不死鳥の消滅と共に、周りにあった炎と煙も噓のように消えた。そういえば——
「莽薙達は何をしているんだ?」
「俺の代わりに住人を護衛するために先方に出てもらった」
「そんなことして大丈夫何ですか⁉」
「あいつらは案外生き残れるような人だと思うから」
そういいながら素振りをしている。なんて化け物なんだこの人間は。こんなの人の顔を被った鬼だろ。
「そういえば千々波は…?」
「梔子姫を迎えに行ってる。」
星空と月を見ると、暗闇しかなかったぬばたまの地獄から、いつもの日常に戻った事が良く実感できた。星がない夜はつまらないのと同じように、何もない事はつまらない。困難があってこその人生を揶揄しているのかもしれない。だからといってこんな経験二度と御免だが。陰陽節の終わったこの日は偶然にも流星が多く流れる夜であった。これも運命なのだろうか。
そんな陰陽節から一夜明け、希望の朝が久方ぶりにやってきた。消滅した不死鳥の周りにあった白乳白玉の残骸は負傷者の治癒にも使えるらしく、死傷者が多く出ることはなかった。今は倒壊した家屋の修復、灰になったものの代替を配布する方へ舵を切った。
「——父上」
三郎は父親の左に腰を掛け、看病していた。父は早く治療したこともあり、大事には至らず今に至る。
「三郎——、お前に偽りの自分を作らせるほど、私は間違った事をしてきた。許してくれ」
確かに父は間違っている。だが、間違っていない。父親の愛は本物だったと証明されたのだから。自分は何とも言えないので黙り込むことにした。
「時に三郎、お前は彼らと共に旅に出てみてはどうだ」
——⁉
「次期当主として見識はつけておいた方がいいだろう。どうだ」
次期当主は結局自分のままなのか。だが町が混乱している最中に行くのはどうなのだろうか。次期当主としてそれは許されない。やはり父は不器用なのだな。器用な自分はやはり猫をかぶり続けなくてはならない。
「いいえ、町が混乱しているのにここを離れるわけにはいきません。但し——」
「——但し?」
「但し、私は混乱が終わった後に莽薙達の故郷である千鶴へ向かいたいと思います」
父は微笑んだ。それが返答なのは察するまでもない。自身も同じ表情をして部屋を出た。あれだけ燃えて黒い煙が漂っていた世界は、昼ご飯の白い煙となって町を包み込んでいた。
やることはもう一つある。その為に莽薙達の下へ向かった。彼らは既に荷支度を済ませて出発する直前であった。首を突っ込むように背中に向かって話す。
「次は何処に行くのか決まっているのですか?」
尋ねると莽薙達は振り返った糀谷を認知した。
「能力についてよく知る人間が東に居るらしいから、不死鳥を知る為にその方向に」
どうやらこの梔子姫と打ち解けることができたようだ。彼らが彼女の為に不死鳥について知りたいのなら止めない理由は無い。逆に父のように排除しようとしてなくて安心した。
「船を手配しますよ、東に行くなら海を渡る必要があるので」
「それはありがたい」
屋敷の中に戻り船を手配するように屋敷に戻って家来に言いつけた。戻って来ると、再び背中を向けていた。急いで駆け寄って船の詳細を語り終えると、いよいよ旅が再開する。
「——それじゃ、いくよ」
「いろいろと、ありがとうございました」
この梔子姫が「不死鳥」という悩み、謎を解決する旅、人間として正しい生き方を見つける旅を再開し、次の目的地—神琉王朝・鳩海湾を目指す。旅を続けるのは莽薙達だけでない。高天河原の三郎や人々も彼らの旅を続けていく。
「——って、なんでついてくるの?」
「いいじゃないですか~、旅は道連れ世は情けって言いますし~」
「あ、あの、私もついて行ってもいいんですか」
「ああ、この旅の目的でもあるしな」
「私は女友達増えて大歓迎だよ‼」
僕らが歩みを止めない限り、僕らの旅は続いていく
僕らの旅が終わるところ——「僕らのユートピア」を目指して。
虚空の炎舞編 終
※イラスト 虚空の炎舞編 梔子姫(下手だけど、一つの話が終わったし……ご参考程度に)
読んでいただきありがとうございます‼
雰囲気は楽しんでいただけたでしょうか?
もしご不満があったらコメントしてください。いや、不満が無くても感想ください‼(^▽^)/
こんな感じで不思議な世界で、大きな冒険を繰り広げていきます!
次なる彼らの試練によって、あなたもまた得るものがあるかもしれませんね!(o^―^o)
※梔子姫さんのコメント
「こうして私の……いや、『私たち』の旅が始まったの。正直言って、この時の騒ぎは他に比べてそんなに大きくない気がする……。不死鳥状態で記憶無くしてるだけかなぁ……?」
では、次は鳩海湾で待ってます‼




