82話 抗争後(3)
「お前……この街で何をするつもりだ?」
裕斗の先輩の一言を確かに耳にしたライムは眉を顰めながらハルネに対して問いかける。
しかしハルネは相変わらずそんなライムの表情とは裏腹にニコニコとしながら裕斗の背中を見て言葉を発する。
「それはこれからのお楽しみだよ」
回答になっていない言葉にライムは舌打ちをした後、勝手にパトカーに歩き始めた。
慌てて裕斗の先輩がライムの後ろを掴み連行する形を取るがそれはもはや形式上のみで連行するというのに先輩はハルネと話を継続させるためにパトカーとは逆方向に力加えている始末であった。
そんな警官にも苛立たしい態度を露わにしているライムであったが、そんなライムの怒りを一瞬で消し去り、感情を全て疑問に移行させる言葉をハルネが吐く。
「魔術協会を潰すならまだ早い」
────!?
ハルネによって発せられた言葉にライムは文字通り驚きの表情と共に頭の中が疑問で埋め尽くされた。
「お前……どこまで知ってる?」
「どこまで……そうだなぁ」
ハルネはこれまでの優しい笑みを豹変させて何処か悪魔を想像させる凶悪的な笑みを貼り付け、ライムの質問に答える。
「全部だよ」
「全部だと……?」
疑問が絶えず頭の中に浮かび上がる。
この男は何が目的で自分に近付いているのか。
何が目的でこの街にいるのか。
何が目的で────この街のトップに立とうとしているのか。
「そう、全部。君が1888年にメキシコマフィアの一員としてアメリカの組織に抗争を持ちかけかけがえのない仲間を失ったこと。その抗争の時に不死者になったこと。その抗争には魔術協会が絡んでいた事。その後は世界を放浪しては協会における禁忌を犯し魔術協会に捕まってはその度に────より恨みが高まって行ったこと。全部、全部なんだよ」
「お前……」
「さあ、そこで提案だ」
ハルネは訝しむライムの表情を見て一際声を張り上げると同時に、両腕を仰々しく広げ一つの提案を投げる。
「僕に協力しなよ。僕の計画が終わり次第君の計画に協力しよう」
「お前の計画……?」
「あぁ、数年後────×××」
「……本気か?」
「本気も本気さ」
ライムはハルネの計画を聞いた後、しばらくハルネの顔を伺っていたが、やがて諦めたように小さなため息を吐くと再びパトカーに向けて自ら歩き始めた。
「約束は果たしてもらうぞ」
「あぁ────せいぜい期待してるよ」
× ×




