72話 収束の始まり(1)
────クッソ……何が……何が起きやがった?
ライムに吹き飛ばされた篶成は、右膝を押さえながら自身の身体に起きている異常事態について考える。
────急に何だってんだ……力が入らねえ。
先程までの篶成の身体には全く持ってこんな異常は起きていなかった。
しかし先程の攻撃の際から急に力が抜け始め、足に全く力が入らない始末になっている。
篶成は元々丈夫な身体を持っている人間だが、その丈夫は常軌を逸している。
銃弾一発ぐらいではまず倒れないし、生身の人間になど負ける事もまずない。
禁忌魔術である獣人化を使用しているライムとも互角に渡り合えるレベル。
そんな篶成が足先の銃弾一発だけでダウンする筈が無いのだ。
────何でこんな時に異常事態が起きやがる。
篶成は壁に背を預けながら何とか立ち上がり、右足を引き摺りながら再びライムに近づいて行く。
────アイツは……修哉の分も俺がぶっ殺すんだよ。
× ×
廃工場近くの公園にて────
「ここら辺でいいかな」
修哉を病院へ連れて行く途中、美鈴と津田、そして杏梨は廃工場が丁度見える位置の公園で抗争が終わるまで待機していた。
「すみません、なるべく近くで見ていたくて」
「いいんすよ。篶成さんの事心配でしょうし」
「美鈴ちゃんはお兄ちゃん思いの良い子だな〜」
美鈴のテンションとは裏腹に杏梨は美鈴に後ろから抱きつき美鈴の頭を撫でている。
明らかに場違いとも言えるテンションなのだが、杏梨は素でやっている訳ではなく、あくまで美鈴に余計な心配をさせない為に今の態度を取っているのだった。
「まあ、篶成なら大丈夫よ。アイツが負けるところとか誰も想像出来ないから!」
「負けはしないと思いたいんですけど……まあ、色々不安なんです」
× ×




