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The Rampage 2021 - The Beginning of the Rampage!!!  作者: 冬野 立冬
幕間
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47話 大暴れの予兆


 時は数分前に遡る。

 すすきのにあるとあるビルの地下にて────


「よお、修哉(しゅうや)。帰ったぜ」


 篶成(すずなり)美鈴(みすず)のペアが一仕事を終えて今現在『リバース』のメンバーを捉えている仮アジトに帰宅した。


「何だ、早かったな。って、その後ろの少年は?」


 修哉は篶成達を(ねぎら)うと同時に後ろにいる三春(みはる)に目を向けた。

 三春は修哉と目が合うとほんの数時間振りの再開ではあるが頭を下げて「どうも」も挨拶をした。


久志(ひさし)はどうした?ていうかこんな裏側のことにこの街に来た初日から足を突っこむかね普通」


「久志君とは色々あって別れちゃったんです。その後にもまた色々あって今はこんな感じで……不幸ですよね」


 三春は何処と無く自虐的な笑みを浮かべながら事の成り行きを雑に説明した後に言葉を付け足した。


「でも、この抗争に足を踏み入れると決めたのは僕自身です。お構いなく話を続けてください」


「へえ」


 三春の物言いに修哉は感嘆(かんたん)の相槌を打つとその後ろからもう一つの声が響いた。


「何か数時間前とは見違えてるね?男子3時間会わずば刮目(かつもく)して見よって奴???」


杏梨(あんり)さん!それは3日です!」


 場の雰囲気を和ますような杏梨と津田(つだ)の掛け合いが繰り広げられ三春は思わず苦笑してしまった。

 しかしそんな揚々と振る舞っている杏梨の違和感に三春は気付いた。


「その腕どうしたんですか?」


 杏梨の右腕には紫色のアザのようなものが出来ており、その一部をガーゼで覆っている状態であった。

 ここまで酷い内出血は三春は見た事がなく思わず背筋に寒気を走らせた。

 最も魔術が切れれば三春は全身青アザ状態なのだが三春は鏡で自身の身体を確認していない為知るよしは無いのだが。


「あ〜これね。『リバース』の幹部に思いっきり蹴られてさー!女の子蹴り上げるとか信じられないよね!おかげさまでこのアザよ!」


 杏梨はアザのついた腕をブラブラ振りながらため息混じりの言葉を吐いていた。

 そして杏梨の言葉に篶成がつかさず反応を示す。


「幹部とやり合ったのか?」


 篶成の質問には修哉が代わりに答えていく。


「篶成がここを出てすぐだったよ。後ろを付けられてたらしくてな。突然侵入してきて荒らされたよ」


「そいつは?」


「あっちで絶賛尋問タイムだ」


 修哉は親指で部屋の奥を刺し篶成達を案内する。

 普段ならここで三春が尋問!?などと大袈裟な反応を示すところなのだが来る直前に美鈴からそこまで大袈裟なものではないと聞いていたので特に驚かず三春もその後ろについて行った。


 部屋の奥には椅子にぐったりともたれかかった男の姿があり、縄で腕と足を縛られているので情報を聞き出していたのだろうと思われた。

 三春はそんな男を見ると同時に足元に転がっている白い粉に注目した。


「え?薬?」


 ドラマなどでよく見る透明な袋に入った白い粉。

 所謂(いわゆる)ドラックを想像して三春は顳顬(こめかみ)に汗を滴らせた。


「これ大丈夫なんですか?」


「安心しろ。自白剤だし警察関係者から横取りしたもんだから」


「え?それも大丈夫なんですか」


 関係者からそんな薬を横取りなんてしていいのかと疑問に思っていたが修哉があまりに軽々しく「大丈夫大丈夫」と言ったので三春はどうしようも出来なかった。


「まあ、とにかく情報は吐き出させた。他の幹部と思わしき奴らの情報とリーダーであるライム・ノルウェーツって男の事。そして今日の計画とやらもな」


「計画……?」


 修哉の言葉に美鈴は首を傾げながら質問をする。

 すると修哉はコクリと頷き話を続けていく。


「アイツは魔術師であり不死者だ」


 修哉の言葉に篶成と美鈴があからさまに態度を変えて顔を真剣な表情に切り変える。

 一方、三春は何が何なのやらといった感じで辺りを(せわ)しくなくキョロキョロしているが篶成と美鈴の表情から今ここで騒いだら篶成にキレられると察して口だけは開かないでいた。


「そこに座ってる男はさっきも言ったが幹部でな。ライムとかいう奴の魔術も傷が自然に治る不死の現象も目の当たりしているらしい」


 修哉は腕を組みながら壁に背中を預けてさらに言葉を続けていく。


「計画って奴は正直魔術に(うと)い俺にはわからなかった。だからその計画とやらに付いては美鈴ちゃんに情報共有として話しておく」


 修哉の言葉に美鈴は重々しく頷き、それを見た修哉は再び言葉を繋いで行く。


「何やらこいつらの狙いは満月の今日にしかできないらしい。満月の夜、そしてイギリスに限りなく近く異様に魔力濃度の高い札幌。そしてライムとやらの身体能力が条件らしい」


「何か心当たりはあるか?」


 修哉の話を聞き終えると篶成が横にいる美鈴に質問をした。

 美鈴は考え込む動作をしながらも会話を続ける。


「正直わからない……満月の夜というが鍵になりそうな気がするけど」


「あの幹部曰く本当に人を辞めて化け物になるつもりらしい。所々(あら)が目立つ言い方からしてあの幹部そんなにライムとかいう奴に忠誠誓ってなかったのかね?」


 囚われている男────ウィルは実際ライムに忠誠心のカケラも示していなかった為、修哉の予想は合っていた。

 当のウィルは薬の副作用で眠り込んでしまっているが……


「人を辞める……心当たりがない事もないですけどそんな事して何の徳が……?」


 美鈴は何か心当たりがあるのか普段ニコニコとして愛想のいい顔をさら(しか)めて考え込む。


「その心当たりってのは?」


「獣人化です」


「獣人化?」


 美鈴の口から放たれた言葉に三春は首を傾げながらその現象についての説明を求めた。


「文字通り人を辞める事です。でもこの魔術の使用者は悪魔に魂を貸す代わりに得る力と言われているのでその代償として使用者は必ず1時間以内に死んでしまうんです」


 一通り獣人化について説明した後に美鈴が「あっ」という言葉と共に何かに気付いた素振りを見せる。

 それは修哉や篶成も同じであり同時に同じ事を口にした。


「『【不死者なら代償がない】』」


「繋がったな」


 修哉が組んでいた腕をほどき、ポケットからバン車の鍵を取り出すと背中を壁から離して階段の方に向かい始めた。


「そいつが()っちまうとまずいか?」


「まずいどころじゃありません。人間の手には負えない領域に入ってしまいます」


「じゃあ急ごう。アイツらの計画とやらを考えるに時間指定とかあるっぽいが……」


「24時。満月の夜にしか契約は果たせないと言われています」


 その言葉を聞いて修哉は()めていた腕時計を見て足早に階段を登っていく。


「今は23時。1時間以内に片をつけなきゃいけないって事だな」


 そうしてその修哉の後ろに篶成や美鈴、杏梨や津田、その他バンドメンバー、そして三春がついて行き突入メンバーが揃った。


「俺と美鈴と修哉達はライムとかいう奴を止めるために。三春は何かしらねえけど(さら)われた堺家の女を取り戻す為に」


 篶成が状況を大雑把に整理すると三春は顔を引き締まらせて「はい」と返事をする。


「なんだ?女のために乗り込むか?」


「イケ男〜」


 修哉と杏梨がそんな三春を茶化すと三春は顔を赤くしながらも堂々と言葉を返した。


「凛さんは任せてください!」


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