43話 電話に出た相手とは……?
時は堺家で抗争が起きている時間まで遡る。
ハバネによって家が荒らされている間に堺家宛てに一本の電話が掛かっていた。
しかしその電話は抗争が起きている本家の方には届いていなかった。
その電話は麻生という場所に拠点を置く堺家の人間────堺 蒼矢の元に届いていた。
「はい。もしもし?どちら様で?」
【やっと出たか!あんた堺家の人間だろ!?今すぐ三春って奴に変われるか?】
通話越しに聞く相手の声は通りがいい好青年の印象を思わせた。
蒼矢は一体何のようで連絡して来たのかと思ったが取り敢えず否定の言葉を口にする。
「俺は堺家の人間だが……今繋がっている電話は堺家のものじゃない。」
【はぁ!?クソ……今日はなんか情報が空回りしてるな。でもあんた堺家の人間なんだろ?とにかく三春って奴を連れて来てくれ】
「俺は今は本家にはいないからその三春とやらも知らん」
【はぁい〜???じゃあアンタは何者なんだよ。堺家の人間なら頼むよ。お前さんとこのお嬢様も危ないんだよ】
電話の向こうの相手が口にした『お嬢様』という単語に蒼矢はピクリと眉を顰めて詳しく問いただし始める。
「凛がどうしたって?お前は何故そんな事を知っている?」
凛とは堺家の御令嬢であり、蒼矢はその凛の兄に当たる人物であった。それ故に詳しく凛の事を聞き始める。
【『リバース』との抗争だよ!アンタの本家に『リバース』の連中が突入してんだよ!そこにアンタらのお嬢様も俺の友達も居るんだよ!俺が巻き込んだ形になっちまったからすぐにそこから逃げろって言いてえんだけど電話が繋がらねえんだ】
「そうか、もう抗争はそのレベルにまで発展してんのか」
【アンタは抗争の事も大して知らないのか?】
「さっきも言ったが俺は堺家の本家にはいない人間だからな。今は別の組みで────」
【分かった。今はそんな事どうでもいい。これは俺からの頼みだ】
話を遮られたことに蒼矢は若干の不満を抱きながらも携帯の向こう側から響く声に耳を傾けた。
【俺の友人を助けてやってくれないか?】
「断る」
【あぁ!?】
蒼矢の言葉に通話相手は明らかに苛立っているやうな声を上げるが蒼矢は態度を変えずに話を続ける。
「巻き込んだのはお前なんだろ?お前が片付けろ。俺が手伝う義理はない。妹を助けるのは兄である俺の仕事だ。ただその中にお前の友人もセットなんて話は無い」
【じゃあついでで良い。その代わりあいつに電話を渡してくれ。その後は俺がなんとかする】
「顔を見せないんだな?ビビりなのか?」
【仕事柄仕方ねえんだよ……】
「仕事ねぇ?声からしてまだまだ若いし君ろくな道歩んで無いでしょ?その道に友人を引き込みたく無いとか?」
【俺の事なんてどうでも良いだろ。とにかくアンタの妹を助けるついでで良いんだ。三春って奴に連絡手段を渡してくれ】
「考えておくよビビり君」
【考えって、あの────】
相手の言葉を聞き終える前に蒼矢は通話を終了させた。
蒼矢の頭の中には三春の事などほとんど無く、ただただ怒りと疑問が浮かんでいた。
────あのクソジジイは何をしてる?
蒼矢は当主であり父────堺 基仁を頭に浮かべていた。
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