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The Rampage 2021 - The Beginning of the Rampage!!!  作者: 冬野 立冬
3章 再び歯車は動き出す
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42話 歯車が再び動き出す(8)


「『リバース』のリーダーってどんな人なんでしょうね。あんな危険な組織のリーダーだから凶暴なのかな……」


 三春(みはる)の頭の中に浮かぶ『リバース』のリーダーは簡単に言ってしまえばプロレスラーのようなガタイに恵まれた喧嘩番長のような人間であった。

 さらにそこに今さっき自身が受けた不思議な魔術という力が加わると考えると三春は額に少量の汗を滲ませた。


「凶暴かどうかは分かりませんがカリスマ性は高い人でしょうね。一月前までは『リバース』なんて名前は聞きもしませんでした。なのに今となってはすすきの近辺に住む人で知らない人はいないレベルの組織に進化したと考えると(あなど)れない人物ですね」


「一月前は名前すら無かったんだ?」


 三春は今日初めてこの街に踏み込んだ為、当然ここら近辺で起きていることなど知る由もないので美鈴の言葉に心底驚いた。

 すすきのでは今現在大量に『リバース』のシンボルである青い鳥の入れ墨をしている人物が大量に我が物顔で闊歩(かっぽ)しているため少し前までは名前すら無かったという事は信じられなかった。


「ふふ、でも大丈夫ですよ。お兄ちゃんがいますから」


 そんな三春の不安を払拭させるかのように美鈴が兄である篶成(すずなり)を見てニッコリと笑ってみせた。

 そんな篶成は特段言葉を返さずに平気な顔で空を飛んでいるのみであった。


「あの、篶成さんは街の最強って言われてるって聞いたんですけどいつからそんな呼ばれ方をされるようになったんですか?」


 単純な疑問を三春は質問すると篶成ではなく美鈴が代わりに答え始めた。


「2012年の真波羽(まはば)事件。この事件以降お兄ちゃんは街最強の男と言われるようになったんです」


 聞き覚えのない事件に三春は聞き耳を立てながら美鈴の次の言葉を待った。


「街中で起きたある一家による抗争をお兄ちゃんが止めてみせたんです。それを見ていた住民の人達がネットに動画を上げたりしてそれがたちまち広がって気付けばお兄ちゃんは街最強なんて言われていたんです」


「そんな事が……具体的にどんな事件だったんです?」


「それは────」


「着いたぞ」


 美鈴が事件の全貌を語ろうとした直後、篶成が地面に足を下ろし到着の言葉を吐いた。


「ありゃ、じゃあこの話はまた今度機会があれば」


「うぅ……気になるけどそうだね!今は『リバース』の事を考えよう」


 三春は篶成から離れ、取り敢えず辺りを見渡した。

 周りにはビルが何本も立ち並んでおり、街灯もない為かなり薄気味悪い雰囲気を醸し出していた。

 そんなビルの一角に篶成と美鈴は入り込んで行き、三春は慌ててそれを追った。

 ビルの前には大きなバン車が止まっており、中にはアコースティックギターのようなものが垣間見えた。


 ────あれ、この車……


 三春はビルの前に止まっているバン車に心なしか見覚えがあった。

 それは確かこの街に来てすぐの時────


 久志と共に街を歩いてる最中に話しかけて来た久志の知り合い達が乗り込んでいた車だった。

 別れ際に人混みの向こうで修哉(しゅうや)杏梨(あんり)という人物にバン車の中で手を振っている人達が見えた。

 恐らくその車だろう。


 ────て事は今からこのビルの中に会いにいくのは……


「あの、修哉(しゅうや)さんって知ってますか?」


「あ?なんでお前が修哉の事知ってんの?」


 三春の問いかけに篶成が単純な疑問を持った。

 修哉は名前こそ有名だが特段子供が好きな訳でもなく面倒見はいいが三春のような『裏』の世界に入り込んでいない人物と接する事はまずないだろう。

 それ故に篶成は疑問を持ったのだった。


「えと、少し接点がありまして」


「ああ、そう。今から修哉に会いにいく。これからの事で聞きたいことがあるからな」


 篶成は特段質問を重ねずにまたすぐにビルの地下に続く階段にその足を向かわせた。


「あの、美鈴ちゃん。これから僕達は何をしに?」


「修哉さんが『リバース』のメンバーを捉えてるんです。そこから何か情報を引き出せないかなって」


「え!?じゃあ下で拷問でも行われてるの?」


「まさか。でも本人達は尋問と大袈裟に言っていますがくすぐったりしてるだけですよ」


 美鈴は堺家に行く前にここへ訪れた際、杏梨(あんり)津田(つだ)の楽しそうな会話を思い出してくすくすと笑いながら三春の質問に答えた。


「ああ、そうだ。さっき言い忘れた事があったんです」


 すると美鈴はニコニコとした表情のまま人差し指を立てて先程の魔術に関する話の続きを始めた。


「三春さんに(ほどこ)した魔術なんですがかなり簡易的何です。後々の事を考えてそこまで魔力を消費できなくて」


「簡易的?」


 魔力の事など一ミリもわからない三春は美鈴の説明に首を傾げながら聞き耳を立てる。


「私が今かけた魔術は今日の日付が変わる午前0時にプツリと解けてしまいます。解けたら再び痛みがじわじわと襲って来て三春さんは無事病院送りになるでしょう」


「う、うん?」


 イマイチピンと来ていないのか三春は首を傾げたまま相槌を打った。


「まあ、さながらシンデレラですね!男ですけど」


「えと、とにかく片をつけるならその前にしろって事?」


「そんな感じです。作戦は突入する前にまた確認するのでその時また魔術に関しても説明しますね」


「うん?」


 やはり魔術のことをイマイチ理解できていない三春は頭の上にハテナを浮かべながらも篶成の跡を追う美鈴の後ろ姿に付いていった。


 そうして『リバース』アジトへの突入メンバーが揃う。


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