37話 歯車が再び動き出す(3)
「そうとなれば話は早い。篶成。お前は先に三春君と美鈴ちゃんを連れて敵のアジトに向かってくれ」
「あ?場所はわかんねえよ。今修哉が捜索中だ」
「ほう、アイツも絡んでいるのか。まあ、金銭を要求しない辺りで察してはいたが……」
────修哉さんって街中で会った?
修哉────三春と久志が街中を歩いていた時にたまたま出会った男。
久志の知り合いらしいが、どう言った経緯で知り合ったのかは三春は説明されていなかった。
聞くところによると務所にいた事もあるようだが、話し方などから見ても悪い人ではないらしいが……
────どういう繋がりなんだろう。
修哉は街の守り屋などと言われているようだが、街最強の何でも屋と何処で接点があるのだろうかと気になった。
しかし周りの人達が『リバース』壊滅の為に部屋から動き出した為、三春は一旦疑問を頭の隅に覆いやり、今は凛を奪還する事に集中した。
「俺は後々合流しよう。場所が分かれば美鈴ちゃんが連絡してくれ」
「了解です!基仁さんは何を……?」
「少し……兵力の増強をと思ってな」
そういうと基仁は篶成、美鈴、三春に背を向けて家の何処かに歩いて行ってしまった。
「んじゃ、俺らも行くか」
そういうと篶成は駐車場とは逆の正面玄関に向けて歩き始めた。
美鈴は何も言わずにただいつものニコニコとした笑みを顔に浮かべたまま篶成の後ろについて行く。
しかし三春は流石にツッコミを入れざる終えなかった。
「あの……車で行かないんですか?」
『リバース』はメンバーが集まっている場所的にすすきのであろう。
したがってここからすすきのに向かうのは車でも何十分かは掛かってしまう。
しかし正面玄関には車はない。すると必然的に篶成は足で行こうとしている事となる。
足で行けばどれだけ時間が掛かるのだろうか。
凛をすぐに助けたい三春は足で行くなど悠長な事はしていられないので、若干言葉に焦りを含めながら篶成に対して言葉を投げた。
しかしそんな三春と相反して篶成はいつも通りの何処となく強面な表情を浮かべながらさも当たり前のようにとんでもない事を言い始めた。
「俺の足が一番早え」
「えぇ!?」
何を言っているのだろうかと三春は思わず驚愕の声を上げたが、そんな三春を宥めるように美鈴がニコニコしながら呟いた。
「大丈夫。本当ですから」
そういうと篶成は美鈴を片腕で抱きあげ、美鈴はそんな篶成から離れないように首に手を回してしっかりと捕まった。
「え?何を?」
急に抱き合った篶成と美鈴を見て三春は何をするつもりなのかと思い、困惑の色を隠せずにいるが、そんな三春を篶成は華麗に無視して三春の服を力強く掴んだ。
「なっ!?」
突如服を掴まれ篶成の元へ強引に引き寄せられた三春は思わずそのまま篶成の服を掴んでしまう。
「振り落とされんなよ」
篶成が既に壊れている扉から外に出ると勢いよく地面を踏み込み、そして────
「は!?」
────人の脚力のみで、さらには人を二人抱えた状態で篶成は空を飛んだ。
× ×




