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The Rampage 2021 - The Beginning of the Rampage!!!  作者: 冬野 立冬
2章 堺家騒乱
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28話 堺家騒乱(5)


 凛は安堵したような表情と共に、三春の肩に手を回し駐車場へと急ぐ。

 駐車場には先程の男にやられたと思わしき運転手の姿が寝そべっており、息はしているが気絶状態だと思われた。

 凛はそんな運転手を開いた指で差しながら今後の事について三春に話す。


「あの人から車の鍵を借りて逃げるわよ」


「えっ!?運転できるの!?」


「……何とかする」


「えぇ!?」


 凛の荒唐無稽(こうとうむけい)な言い様に三春は心配の念を抱くが後ろに戻ったところで混乱状態の家があるだけなので仕方ないと思い、三春は凛の事をそれ以上は何も言わずに信じた。

 堺家の近くには住宅街が広がっており、大凡隠れられる場所が存在せず、強いて隠れるとしたら他人の家になってしまう為、それは少し(はばか)られた。


 駐車場に着いた二人は運転手のポケットを探り、車の鍵と思わしき物を探していた。

 そんな最中、凛がある疑問に直面した。


「ねえ、この人……後頭部が腫れてる……」


 凛は鍵を探す途中で運転手の後頭部に目を奪われた。

 運転手は言っては悪いがあまり髪が多い部類の人では無くその分皮膚への損傷が色濃く残っていた。

 皮膚は紫色に腫れ上がり見るだけで痛々しい様子であった。

 それ故に凛は疑問を持つ。


 ────あの男にやられたとしたら……


 先程男は拳と蹴りだけで三春を遊んでいた。

 格下の相手だと慢心した故に男は勢いよく殴られ地面に寝そべっていた。

 しかし運転手を気絶させた際に使ったのは明らかに拳ではない。

 運転手の後頭部に傷をつけられるとしたらそれは────凶器以外ある筈が無かった。


 そうしてその予感は悪い方向へと展開させられる。


「悪いけど今この人を看病してる暇はないよ……帰ったらすぐに手当てします!ごめんなさい」


 三春は一度鍵を漁る手を止めて顔の前で両手を合わせて申し訳ないというポーズを取るが────

 次の瞬間、三春の身体はこれまでに聞いたどんな音よりも残酷で、そして呆気ないカンッという甲高い音と共に地面に倒れ伏した。


「三春!?」


 凛は慌てて三春の身体をさするが、三春は完全に気絶してしまったのか返事をしない。

 そうして三春の代わりのように先程まで凛を捉えていた男が口を開く。


「餓鬼の誤算はただ一つ。俺があんな拳で気絶すると思い込んだ事だ」


 男は喋りながら両手でペンチを遊ばせており、冷酷な目を凛に向けながら言葉を淡々と続ける。


「諦めろ。何をしたって餓鬼が大人に勝つなんてことはありはしねえ」


 そうして、男は凛の首を掴み乱暴に立たせ、尚も言葉を一方的に吐いて行く。


「今ここでめちゃくちゃにしてやっても良いんだぞ小娘」


 明らかに先程とは違った雰囲気────即ち狂気を(はら)んだ物言いに凛は思わず息を呑み、言葉を発することが出来なかった。

 男はそれを表情から読み取ったのか少し笑いながら雰囲気を緩めて凛を車まで引っ張る。


「まあ、安心しろ。俺はさっきも言ったけど『リバース』の中じゃ安全な方だ。無理矢理女子高生犯すなんて真似はしねえさ」


 そうして男は来た時に乗っていた車に無理やり凛を押し込み、反抗する凛の手足をガムテープで無理矢理縛り上げ、補強に図太い縄を巻き上げた後、半ば乱暴にその扉を閉めた。

 男は前部座席の扉を歩けると視線だけを混乱が起きている堺家に向けた。


「まあ……心配はいらねえか」


 そうして男は再び視線を車に移し、乗り込むと同時に車の鍵を差し込みエンジンを蒸した。

 車はゆっくりと動き始め、最初に車を止めていた正面入り口の方向に向かい始めた。

 黙々と運転をしている最中、後部座席で口が縛られていない凛が男に向かって質問を投げかけた。

 出来るものなら今すぐ縄を解いてガムテープも破り今すぐ運転の妨害をしたい所なのだが思いの外縄はしっかりと結ばれており、凛のか細い力では解く事は困難であった。


「何のために私を攫うの」


 凛の質問に男はバックミラー越しに後部座席に横になっている凛に目を向けながら言葉を返した。


「何、保険だよ。あんたさえいれば堺家の上の連中は手を出さない。調べたところによるとそこそこに強い奴らが数にいるらしいな?そいつらになるべく手を出さないように人質としてテメェを使う。そしたらこっちは無傷でそいつらをボコボコに出来るかもって話だ」


「最低ね」


「最低上等だ」


 凛の侮辱などまるで効いていないかのように男は華麗に笑い飛ばし、正面玄関の前に車を止めて窓を開けた。

 ハバネは家内を荒らす為に侵入したのだが、彼女は魔術師の為、そこまで時間は掛からないと思っていた。

 しかし────


「遅いな」


 男は時計を見ると既に十分が経過しており、ハバネにしては遅いなと感じていた。

 ハバネの身体強化魔術を持ってすれば、実力者がほぼいない今現在の家で手こずるなんて事はないと思っていたのだが────


「おっ、噂をすれば何とやら。戻ってきたな」


 男は玄関から走ってこちらに向かってくるハバネを見ると安堵したように肩の力を抜き、同時に(ねぎら)いの声をかけようとするが────男は思わずその目を疑い、言葉を失ってしまった。


 そこで男が見たハバネの表情は────


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