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The Rampage 2021 - The Beginning of the Rampage!!!  作者: 冬野 立冬
2章 堺家騒乱
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22話 歯車が狂い出す(2)


「よお、修哉(しゅうや)


「うおっ!?何だ篶成(すずなり)か」


 突如背後からかけられた声に修哉は驚きつつもその声の主に気付くと同時に口元を緩ませながら言葉続けた。


「丁度いいところに来たな。これから俺もお前を探しに行こうとしてたんだ。ある事を伝えようと思ってな」


「ある事?」


 修哉の言葉に美鈴(みすず)が首を傾げながら言葉の意味を尋ねると、修哉は親指を後頭部側に指しながら美鈴の質問に答えた。


「今あっちでちょっと取り調べをしててな。それで気になる情報が出たから調べに行って欲しかったんだ」


 修哉の指の先には一台のバン車が止まっており、そのバン車に隠れるように地下へと続く階段がほんの少し見えた。

 修哉の言葉に篶成と美鈴は何が起きているのかを瞬時に察した。

 二人は修哉達とそれなりに古くから関係が続いているが故に、彼らがどのようにしてこの街で存在証明をしているのかをよく知っていた。

 だから今回もその一環が行われているのだと思ったのだ。


()()か?」


 察した内容が正しいのか念の為、篶成が質問をするが修哉は笑いながら否定した。


「そこまで酷いもんじゃねえよ。もうその手のアレからは手を引いてる。強いて言うなら尋問(じんもん)だ」


 そう言うと修哉は階段の下、即ち杏梨達がいる地下へと歩み始めた。

 篶成と美鈴はすぐにその後をつけ、共に階段を降っていく。

 修哉達が今いるビルはかつて飲食店が数個入っていたが今は潰れてしまい、形だけが残る言わば廃ビルであり、階段を降りる途中至る所にテナント募集のチラシが貼られていた。

 そんなチラシに彩られた灰色の階段を抜けると一つのドアに行き当たり、修哉は重々しいドアを片手で開けた。

 ドアの先からは薄暗い雰囲気が漂っており、時より人間の声が木霊(こだま)していた。


「だから!もうこれ以上は知らねえんだ!」


「ほんとかな。言葉だけでいうなら簡単だからなあ」


津田(つだ)くん。もう少しやってみよう」


「合点承知のスケ」


「あっ、やめ!おお!!!ううう!!!ぎゃ!!!」


 その光景は一言で例えるなら『可笑(おか)しい』だった。


「何してんだ?」


「何って、尋問だろ」


「はぁ……?」


 篶成と美鈴の目線の先には『リバース』のメンバーの象徴である青い鳥の刺青を右手に入れた若者が椅子に括り付けられており、それを杏梨と津田が言ってしまえば────いじめていた。

 杏梨は映画監督の如く椅子に足を組んで座り、津田に命令を出している。

 そして津田はそんな杏梨に言われるがままに若者をイジっていた。

 いじめの内容は実にくだらない────くすぐりであった。



「ほらほら吐け吐け!楽になれるぞ!」


「だから!!!うぅ!?!!!??おらぁ!知らねっぶへぇ!?」


 ────何を見せられてんだ?


 篶成はそんなアホらしい光景を眺め、思わず呆れた声でツッコミを入れた。


「あれが尋問か?」


「そうだな」


 さらっと答える修哉に篶成はどうツッコミを入れて良いのかわからず顔が引き()っている。

 そんな光景を見て美鈴がくすくすと笑いながら篶成のフォローに入った。


「強いて言うなら『強制誘導尋問』ですかね」


「あの若造もこんなヘンテコ集団に捕まって難儀な事だ」


「おい、ヘンテコとは何だヘンテコとは」


 正すべき事は今そこではないだろうと篶成は心の中で思いながらこれ以上目の前で行われている尋問とやらを追求してもどうしようもないと思い、先程の会話に話を戻した。


「で、気になる情報ってやつは何だ?」


 篶成の質問に修哉は緩み切った顔を仕事モードの真剣な表情に戻して答え始める。


「『リバース』の組織構成について聞いたんだがな。その一番上に位置するライムって奴は元々魔術師のうわさがあった。そこは別にいい。()()()()()()()()()()()()()()


 修哉の含みを持った言い方に篶成は口を開かずにじっと聞いていた。

 そんな篶成を見て美鈴も口での質問は入れずに沈黙を持って、その先のことを問いただす。


「あの捉えた若者曰くなんだが……ライムとかいう男は()()()らしい」


「マジかよ」


 修哉の言葉に篶成は目に見える驚きを露わにした。

 会話からも不死者という単語に反応したのは明確であり、その単語を聞いた瞬間、額に少量の汗を(したた)らせていた。

 それは美鈴も同じであった。

 美鈴は篶成とはまた少し違った反応をしており、不死者という事実から逃げるように顔を(うつむ)かせていた。


「美鈴ちゃんには少し嫌な情報だったかもな」


 そんな美鈴の頭に修哉は手を置いて優しく撫でた。

 普段ならそんな事をしようものなら容赦なく篶成が相手を吹き飛ばしているが、修哉に対しては特に何も言わない為、修哉が如何に信頼されているのかが垣間(かいま)見えた。


「そうとなりゃ俺達が介入する理由が出来たな」


 篶成は驚きの表情を切り替えて修哉同様に仕事モードの真剣な表情に切り替えた。


「そのライムとやらは必ず俺が一度ぶっ殺してその後に色々と聞く」


 篶成は両手で拳を作り、正面でその拳を混じり合わせ闘志を剥き出しにしていた。

 そんな篶成を見て美鈴も顔を上げて小さく深呼吸をした後にいつもの平然とした態度に戻り修哉に語りかけた。


「不死者が相手となれば私達程の適任は居ないでしょう。任せて下さい」


「あぁ、頼りにしてるぜ」


 修哉はそんな美鈴の頭から手を離し今後の方針について固めていく。


「まずそのライムとか言う奴の場所を探さなきゃいけねえ。まだ場所をあの若造は吐いてねえんだ」


「なるほど?でもアイツ下っ端の中の下っ端みたいな顔してるからな本当に知らなさそうだな」


 篶成は呆れるような顔をしながら階段の上を見て言葉を続ける。


「どうする?何となく強そうな奴見つけてくるか?」


「いや、その必要は無いぜ」


 篶成の問いに修哉は自信満々と言わんばかりの笑顔を張り付けて言葉を返す。


「『リバース』の幹部と思わしき人物が向かってるらしい場所を吐かせてある。そいつを捉えようぜ」


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