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The Rampage 2021 - The Beginning of the Rampage!!!  作者: 冬野 立冬
一章 beginning
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19話 堺家(2)


 ステラプライスから気付けば十五分程車は進んでおり、辺りから派手な街の雰囲気は消え去り、街灯に照らされる住宅街が顔を出し始めた。

 窓越しには犬の散歩をしている人や、ランニングをしている人達がチラホラと見える。

 春の生暖かい風は何処となく肌寒いが、散歩をしたり身体を動かしながら受ける分には丁度良い風で、この時間に外を出歩くのは心地良いのだろう。


 三春(みはる)はそんな風景を「街から外れてもこんなに住宅が並んでるんだ……」と思いながら見ていた。

 三春の実家は静内(しずない)という場所にあり、北海道の中でも特に田舎と呼んでいい場所であった。

 家はあるにはあるのだが札幌の住宅街と比べれば雲泥(うんでい)の差である。

 さらに特徴的なのは街灯の多さである。


 田舎は街灯が少し歩いた所に(まば)らに置いてあるのに対して札幌の住宅街は均等に、光が途切れない様に設置されている。

 その為、夜に散歩をしてもわざわざ懐中電灯を持って歩かなくて良いのだ。

 そんな些細な事に三春は感動を覚えながら少しの緊張を抱いていた。


 ────凛さんのお父さんってどんな人何だろ……


 凛の父親に関しては運転手が先程少し説明をしていた。

 堺家は江戸時代の末期から続く由緒正しき家系らしく、明治時代初期に北海道に開拓の移民として来たらしい。

 その時の当主が何と「Boys, be ambitious(少年よ、大志を抱け)」の生みの親であるクラークと知り合いらしい。

 何処でどう面識を持ったのかまでは運転手は知らないそうだが、家にはクラークの手紙が家宝として残されているそうである。


 堺家はその時代から今の札幌の地に根を張り、この街を作り上げて来たのだという。

 そして今の当主であり、凛の父親にあたる人物は今年で八十四を迎える老齢の人物らしい。

 しかしその風格はまだまだ衰えを感じさせず、未だに現役なのかと錯覚させる程の人物だそうだ。

 そんな人物と協力を結ぶなんて果たして出来るのだろうかと三春は不安になりながらも、流されるがままに車に揺られていた。


 そして遂に車がスピードを落とし、ある屋敷の中に曲がり敷地内に入って行った。

 住宅街の中で一際目立つ白と黒を基調とした荘厳(そうごん)な建物は明らかに異質感を放っており、寺の住職が住んでいると言われても誰も疑問を抱かないレベルで立派な建物であった。

 そんな敷地内に車は容赦なくタイヤを滑らせていき、やがて駐車場と思わしき部分に車を止めた。


「さあ、行きまっせ」


 運転手は車を止めるなり、すぐに扉を出て凛が扉を開ける前に凛の扉を開け、その道を開けた。

 ドラマでしか見たことのない風景に三春は感動すると同時に本当に凛さんは御令嬢なんだなと再確認した。

 三春は凛とは逆のドアを自分で開けて凛の後ろにすぐについていった。


「でかいね……」


「でかいだけで不便よ。部屋がいちいち遠いし」


「そんな悩み一度良いから抱いてみたいよ……」


 いかにも和風といった木で作られた格子戸(こうしど)を開けるとそこには凛の迎えをする運転手に似た堅気達が待ち構えていた。

 凛のことを見るなり、彼等は床に膝を突き「おかえりなさいませ」と何処となく重圧すら感じる雰囲気で敬意を込めて凛を迎えた。


「それやめてって言ってるでしょ。恥ずかしいから」


 凛の言葉に部下の一人が代表するかのように言葉を返す。


「しかし当主様の命令故。迎えを怠ることは出来かねます」


「そう……まあ今日はお客もいるし別に(とが)める気は無いわ。この人を客間に案内して」


「その御方は……?」


 凛が男を連れて来るなどよっぽど珍しいのか、堅気達はヒソヒソと「まさか……?」などと話しているがすぐに凛がそれを否定した。


「『リバース』を倒す策があるらしいわよ?ねえ三春さん?」


「いや、策があるなんて僕は……」


 三春は先程も凛にいびられた言葉を再び食らい、またもやおどおどする。

 さらに言えば三春は気の強いタイプではない為、その反論の声も小さく────


「その男の人……何か策があるんですか!?」


 ────またこうなるの……


 再び同じ状況に置かれた三春は顳顬(こめかみ)に少量の汗を流しつつすぐに説得をしようとするが既に遅かった。


「あの────」


「すぐに当主を呼んできます!客室でお待ちを!当主!!!諸葛(しょかつ)孔明(こうめい)が来ました!」


 ────は!?


 言葉を遮られるならまだしも、まさかの話を勝手に盛られてしまった。

 諸葛孔明は流石に三春も知っている。

 詳しい年代は覚えていないが最高の策士だと。


 ────僕が……いや、え?


 もやは三春の語彙力は消失していた。

 そしてそんな三春に追い討ちをかけるように凛が後ろから肩に手を置き、嫌味な言葉をニヤニヤとしながら呟いた。


「頑張れ。諸葛孔明」


 その笑みを含んだ顔はまさしく小悪魔と呼んでも差し支えなかった。


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