↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バトル漫画のモブに転生しましたが、何故か序盤ボスに溺愛されています!?  作者: 彩紋銅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/46

38 ルリカと飛翔再び

 ◇


「ちょっ!? 待ってください!」


 このままでは、私が白い虎に乗って飛ぶことになる!


「とにかく、もう少し上まで行こう」


 ぐあああっ!? 話を逸らされた!?


 オルレアさんを加えた私たちは、上空の物体に最も近い場所へと移動することになった。


 ◇


「まず、上空に浮いている物体に近づいたら、連絡をくれ。どうするか指示を飛ばす。できれば、画像データを送って欲しい」


「は、はい……」


 私はオルレアさんとメールアドレスを交換した。あとついでに電話番号も。


 結局、私がチトセさんに乗って、飛ぶことになった。


 何故、拒否権がないんだ!?


『じゃあ、行くわよ。尻尾巻きつけてあげるから、落ちることはないと思うけど、暴れたりはしないでよね?』


「はい〜」


 私は、成獣虎モードになったチトセさんの背に乗せてもらう。そして、私の胴体に尻尾を巻きつけてもらった。


 あ、ふわふわ〜。


「頼んだぞ、ルリカ」


「はい〜」


『じゃ、行くわよっ!』


 チトセさんが羽ばたいた。


 ひいぃぃぃぃ!


 そしてあっという間に、空中の怪しいモノに辿り着いたのだった。


「これは……幼虫、ですね」


 目の前には、カブトムシの幼虫に似た虫が、丸まった状態で浮いている。ただ大きさは、伸ばせば全長四十センチくらいはありそうだ。丸まっている今の状態では、直径二十センチくらいか。


 微動だにせず、風の影響も受けてはいない。明らかに〝停止〟の魂術が使われている。


『カブトムシとかの幼虫に似てるわね。たしか、芋虫は蝶々とかの幼虫のことで、カブトムシとかの地中で過ごす幼虫は、地虫っていうのよ』


「なるほど」


 余計な知識を得ながら、私は言われたとおりに虫の写真を撮り、画像データを送る。


「どうしたもんでしょう?」


 爆発するなら放置はできないが、下手に触ることもできない。


 その時、スマホに着信があった。


「はい」


『オルレアです。今どんな状況?』


「目の前に、大きな地虫が浮いている状態ですね。爆発するらしいので、下手に触れませんし、どうしようかといった感じです」


『ふむ。ルリカちゃんは符術が得意だよね?』


「え? はい」


『だったら、一体ずつ結界で覆って爆破すればいい。あ、でも、検分したいから、何体か生きたまま回収したいな〜』


「え〜と、無事に回収できれば今この場で爆破しなくてもいいですよね?」


 かなりの上空で、しかも結界で覆っているとはいえ、万が一ということがある。爆破は人のいない安全な場所で行いたい。


『もちろん。それが一番ベストな方法だからね』


「では、なんとか回収します! 一旦切りますね!」


 スマホを切って、ジャンパーのポケットにしまう。ファスナー付きなので、落とす心配もない。


 私は、〝万象札〟を一枚取り出して、この爆発する虫を回収するのに相応しい術式を考える。


 まずは、オルレアさんが言ったとおりに〝結界〟。

 この地虫は婿取山の主の端末らしいので、触ったり動かしたりしたらその情報が婿取山の主に伝わってすぐに爆発するかもしれない。

 それを悟られないように回収するしかない。

 それなら、〝停止〟の魂術の術式も組み込めばいい。


 あ、この位置から落ちると危険だから、浮遊の術式も組み込んでおこう。


 ちなみに、〝金縛り〟と〝停止〟の違いは、相手の肉体の自由を奪うのが〝金縛り〟で、相手の肉体だけではなく、意識や魂力の流れなども止めるのが〝停止〟だ。

 要は、その対象だけの時間を止めているような状態にする。


 そうして、それぞれの効果を阻害しないように調節した術式を、万象札に焼き付ける。


 それを目の前の虫に使うと……。


 虫の周囲に結界が展開され、その結界が虫を包んだままフワリと浮かんだ。


 周囲を見ると、あと五体ほど同じものがあったので、それも同じ処理をして回収。

 虫を包んだ浮遊する結界には、〝回収の札〟も付けておいた。

 さすがに六つも一緒には運べないので、一つだけ手に持ち、残る五つは上空に置いていくことにした。


 地上へ戻ってから〝回収の札〟を起動すると、上空に残してきた五つの結界が、順番に私の元へ降りてきた。


「これで回収完了です!」


「おお〜、凄いな、ルリカちゃん! 結界だけじゃなく、〝停止〟と〝浮遊〟の術式まで組み込んだのか!?」


「ひとまず、こいつらを持ち帰って、爆破処理できる場所を探しましょう」


「それなら、二手に分かれましょう。……いや、三手かな?」


 まず、私とオルレアさんが一緒に行動するのは決まっている。さらに、ルコウさんの車が一番広いため、ルコウさんも私たちと一緒なのは確定だ。


 イワツメ先輩は回収した虫たちを運ぶので一度事務所に戻る。

 バショウ先輩はイワツメ先輩の車に同乗。


 アオハさんは、ニゲラとツノゴマ君と共に、電車であとから合流する予定だ。

 もしかしたら、そのまま事務所に帰るかも。


 四手に分かれて、それぞれの爆破予定地に向かえればいいのだが、どの場所も、移動に使える路線の電車が一時間に一本か二本しかないため、こうなった。


 まあ、私とオルレアさんがいないとどうにもできないので、仕方がないのだが。


 ……ニゲラとツノゴマ君がめっちゃ不服そうだ。アオハさんのストレスが大変なことになりそう。


 ◇


「今後回収する虫は、事務所に集まって来るように設定しましょうか。車ですべて持ち帰るのも大変ですし」


「そんなことができるんだ!?」


『本部に引き抜きたい人材ね』


「うちも人手不足なんで、勘弁してください」


 ルコウさんが運転しながら、やんわりと引き抜きを断る。

 ちなみに、助手席には私、後部座席にはオルレアさんと、子虎の姿に戻ったチトセさんが乗っている。


「次はどこに行くんですか?」


「十千木市の有名な神社だな。ここに行き先が書いてある」


「あ、ありがとうございます」


「え? どこどこ?」


 オルレアさんとチトセさんが後ろから、覗き込んでくる。


 なんか、原作登場キャラに出会った感動も薄れちゃったな……。


 メモには小丘駅のほか、十千木市の神社、狭野市のお寺、芝草市の市役所の名が書かれていた。

 芝草市、二箇所もターゲットにされているのか……しかも二箇所の距離が近いし。


「あ、どうぞ」


 オルレアさんにもメモを渡す。


「まったく、婿取山の主が今頃になって動くとはね……」


「どうして、〝今〟なんでしょうね?」


「さてなぁ? 星の巡りが良いのか、準備が整ったのか……」


 そうして、次の目的地に着いたのだった。


 ◇


 ──その後、爆破が予告されていた各施設へ向かい、午後にはすべての爆破蟲に、結界、停止、浮遊の術式を組み込んだ特製札を使用することができた。


 すべてを車で持ち帰ることはできないので、〝回収のお札〟を併用し、対策局の事務所に集まるように設定した。


 そして、その日の夕方には、すべての爆破蟲が事務所に集まったのだった。


「こいつらはどう処理します?」


「山間部にある、()()()の演習場で爆破することになるだろうな。ルリカ、君がいなくても結界の効果は有効か?」


 日ノ本皇国だから皇国軍ね。


「はい。お札を外せば、術の効果はなくなります。あ、お札を無効化するお札、作りますか? 時限式にすることもできますよ」


「そんなものもあるのか……」


「私が作りました。あとからお札を回収するのは面倒なので……」


「それも頼もう。話はすでに付けてある。明日の朝、輸送だ。今日中にできるか?」


「が、がんばります! ……あ、万象札、足りなくなるかもしれませんね……」


 爆破蟲は全部で三十体前後、ちょっと足りないかも?


「あ。二、三体は、あっしが研究で使いたいから残しておいてほしい!」


「何するんですか?」


「殺虫剤を作る! 必要かどうかは分からないけど、念のためにね。このままだと、ルリカちゃんが一人で大変になりそうだし」


「あ、ありがとうございます?」


「万象札だが、心当たりがあるので、そいつに持って来てもらおう」


「心当たり、ですか?」


「ああ、ルリカもよく知っている人物だ」


 ◇


 その後、私は手持ちの万象札にお札無効化の術式を焼き付ける作業をしていた。


 ルコウさんはウツギさんと共に、他の退異師への説明。

 イワツメ先輩とバショウ先輩は、通常業務を少人数で回すための計画作り。

 オルレアさんはツヅミさんと一緒に、爆破蟲を研究するため薬剤室に籠もっている。


 酷く疲れた様子で帰ってきたアオハさんと憮然としているニゲラ、我関せずなツノゴマ君が気になったが、三人ともルコウさんとウツギさんの説明会に参加している。


 お札無効化のお札を二十四枚ほど作ったところで、持っていた万象札は無くなった。


 ウツギさんのいう〝当て〟はまだ来ないけど、大丈夫だろうか?


 手が空くと、どうしても〝停止〟の魂術について考えてしまう。


 私が知っている中で、停止の魂術……というか、〝天賦〟を持っているのは、私の元婚約者であるイソトマ様だけだ。


 五行家の血筋の者は、大抵その血筋に沿った〝天賦〟を持って生まれてくる。


 青春院なら、治癒魂術の天賦。

 朱夏院なら、肉体や武器、防具などを強化する天賦。

 白秋院なら、操作系の天賦。

 玄冬院なら、膨大な魂力を持つ天賦。

 土用院なら、神異と禍津祠を察知する天賦。


 ちなみに、〝天賦〟は、術式を必要とせずに発動できる特殊能力みたいなものだ。


 そして、玄冬院家の血筋の者は他の家と違い、膨大な魂力の他に様々な天賦を持つことが多い。


 イソトマ様の場合は、膨大な魂力に加え、〝停止〟の天賦も持っている。


 そしてイソトマ様は、友人たちと共に婿取山へ向かい、現在は生死不明だ。ご実家は死亡者扱いをしているらしいけど。

 彼がこの事件に何らかの関わりがあるのは間違いないだろう。


「はぁ……」


「どうしたルリカ? ため息なんて吐いて」


「え?」


 見れば、私の兄の青春院ヒスイがそこにいた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。