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0.3秒の王国 ―アルゴリズムの王と宰相―  作者: Furi0804
第1章 未成年クリエイター事故
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9/20

王と宰相(9)

星河互娛本社 危機管理本部フロアは、再び重苦しい空気に包まれていた。




未成年クリエイターの取扱いに関する緊急会議。


信頼安全部門、プロダクト部門、法務、広報が揃う中、議論は早くも熱を帯び始めていた。




「ランキングアルゴリズムの調整は最低限にすべきです」




プロダクト責任者が強い口調で言った。




「これ以上過度に制限をかければ、クリエイターのモチベーションが明らかに落ちます。


小鹿の件は痛ましいですが、すべての未成年を同じように扱うのは過剰反応です」




対する信頼安全部門のチーフは、資料をテーブルに置く手が少し震えていた。




「過剰反応?十六歳の少女が廃ビルから飛び降りるような真似をしたんですよ。


投げ銭ランキング上位を狙わせる仕組みそのものが、彼女を追い詰めた一因です。


ここで手を打たなければ、次はもっと深刻な事態になります」




会議室の空気が一気に張りつめた。


啓文はテーブルの端で、黙って両者のやり取りを聞いていた。




啓文の役割は、対立を結論に変えることだった。


しかし、どちらの側にも完全に寄り添えない自分が、最近特に重く感じる。




法務部長がため息混じりに口を挟んだ。




「ナスダック上場準備の観点からも、未成年保護の強化は避けられない」




啓文は今朝送られてきたメールを思い返していた。


送信元は、上場準備を支援する米国のアンダーライター。


件名はシンプルだった。




>>Regarding Founder Control and Governance Concerns




「創業者の統制およびガバナンス上の懸念について」




本文は短く、しかし容赦なかった。




>>賀氏の最近の公的発言、および創業者による対外発信に関する社内エスカレーション体制について、当方では懸念が高まっています。




>>今回の事案により、星河がFounder Riskを個人の判断に依存するのではなく、組織的な枠組みによって管理できているのかという点について、疑問が生じています。




>>次回の投資家向け協議に先立ち、星河が導入を予定しているガバナンス上の対応策について、詳細なご説明をお願いいたします。




要するに、彼らが知りたいのは一つだった。




賀雲舟の発言リスクは、周啓文個人の腕ではなく、星河という組織の仕組みで管理されているのか。




彼の耳には、もう参加者たちの声が少し遠く聞こえていた。




賀総の無垢を守り続けることが、


本当に星河を守ることになるのか。




そして答えは、まだどこにもなかった。

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