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0.3秒の王国 ―アルゴリズムの王と宰相―  作者: Furi0804
最終章 0.3秒の王国
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王のアルゴリズム(14)


啓文の最終出社日は、何事もなく終わった。




花束にチームメンバーからの挨拶、社内チャットの定型的なお疲れ様メッセージ。


啓文はひとりひとりに丁寧に礼を言い、笑顔で別れのあいさつに応じた。


誰にも余計な感情を残さないように——それが彼の最後の仕事だった。




引き継ぎ資料は完璧だった。抜けも、曖昧な部分も、ほとんどなかった。




「何かあったら、いつでも連絡してください」




啓文はそう言い残し、静かにエレベーターへ向かった。


彼は最後まで、周啓文だった。




---




総裁室で賀雲舟は、黙ってモニターを見つめていた。




後任チームは、混乱なく動き始めていた。


啓文が残したマニュアル、テンプレート、危機対応フロー、広告主との関係性資料——


すべてが整理され、機能していた。


これからも、広報業務は滞りなく回るだろう。




賀総はゆっくりと息を吐き、背もたれに体を預けた。





腹が立った。




正しいから。


あまりにも正しいから。




その潔さが、妙に腹立たしかった。




賀雲舟はデスクの端を指で軽く叩き、短く鼻で笑った。




スクリーンにはいつものデータが流れ続けている。


王国は回り続ける。



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