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王のアルゴリズム(14)
啓文の最終出社日は、何事もなく終わった。
花束にチームメンバーからの挨拶、社内チャットの定型的なお疲れ様メッセージ。
啓文はひとりひとりに丁寧に礼を言い、笑顔で別れのあいさつに応じた。
誰にも余計な感情を残さないように——それが彼の最後の仕事だった。
引き継ぎ資料は完璧だった。抜けも、曖昧な部分も、ほとんどなかった。
「何かあったら、いつでも連絡してください」
啓文はそう言い残し、静かにエレベーターへ向かった。
彼は最後まで、周啓文だった。
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総裁室で賀雲舟は、黙ってモニターを見つめていた。
後任チームは、混乱なく動き始めていた。
啓文が残したマニュアル、テンプレート、危機対応フロー、広告主との関係性資料——
すべてが整理され、機能していた。
これからも、広報業務は滞りなく回るだろう。
賀総はゆっくりと息を吐き、背もたれに体を預けた。
腹が立った。
正しいから。
あまりにも正しいから。
その潔さが、妙に腹立たしかった。
賀雲舟はデスクの端を指で軽く叩き、短く鼻で笑った。
スクリーンにはいつものデータが流れ続けている。
王国は回り続ける。




